2008年06月07日

お神楽虫 (「心の風景のデッサン」より)

★お神楽虫


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“オカグラ虫”・・・そう、お祭りの時に出るお神楽に似ているから、その名が付いたような虫。
黄色の体に黒のヒゲがぐるりと取り巻いたような幼虫。蛾の幼虫。

柿の葉が繁るころ、むしゃむしゃ食べに現れる。柿の葉は、てんぷらにするとおいしいと聞くが、新鮮な艶のある葉は、オカグラ虫にとって恰好の食料だったのだろう。1枚の葉に数匹が群れているのだ。

そのお神楽のような姿をした虫は、お祭りのなつかしさの香とともに現れる。柿のの素朴な香とお祭りのお神楽を連想させるその虫は、なんとも時期の取り合わせがいい。

そのままでは、葉を食べ尽くしてしまうため、虫のよじ登った葉のついた枝ごと採ってしまい地上に横たわった。

柿の木を見上げては、お神楽を思い出すのは、こんな連想からである。

柿の木の持つ独特の素朴さ、その日本臭さ、これとマッチして、柿の木の化身のようにいつのまにかその季節にあらわれ、お神楽の舞を演じる。
ひとの手から逃れたお神楽の虫は、備わった燐粉で装ったかたびらを着け、天に向かって飛んでいこうとするのか。

下ろされた枝を集め、火を放つ。柿の葉のくすぶりの白い一筋の煙とともに、お神楽の虫は天に登っていった。

秋の実りの時、真っ赤に熟した柿の実は、お神楽を送る灯のように天に向かって捧げられているのか・・・。

                    「心の風景のデッサン」より

 

http://www2c.biglobe.ne.jp/~ofuroudo/dessan.htm 「心の風景のデッサン」より:温泉人(おふろうど)




ofuroudo at 00:20│Comments(0)

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