2009年03月07日

★化石の中身

★化石の中身

化石の中身

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

化石、時間が封じ込められたかのような不思議なもの。この時間の缶詰のようなものを妙に驚きの目で見つづけた記憶がある。まだ、人間が存在していないほどに昔のことが、化石として今生きているものに伝えられているのだ。

学生のころに、蔵王のふもとに化石とりに出かけた。山に面した崖の下を堀っていくと、サメの歯の化石や、大きな二枚貝の化石が出てくる。このことからも、この付近はかつて温かい海の浅瀬だったことを伺い知ることができる。今では、雪の多い地方であることからは、想像もできなかったのである。

ある日、いつものようにノミと金槌を持って、崖を探索していると、貝柱のようなものが形取られている化石に出会った。しかも、貝殻は付いていない。よく見ると貝の形が輪郭として読み取れるので、不思議なこともあるものだと思って、そっと家に持ち帰った。

その後、何年かして博物館に行く機会があり、これは貝の中身の化石であることが分かり、おお急ぎ家に戻ってその化石がしまってあった缶の箱を取り出したが、もう乾燥がひどく、形をなしていなかった。
普段、固い貝殻や骨の化石について出会ったことがあったが、貝の中身といった軟らかいものの形が残ってしまうことの面白さを、事ある毎に思い出すのだ。

生き物が、その時代その場所に生きていたという証を、しっかりと刻んでいるのだ。

今を生きている我々にとって、なにが生きざまとしての証を残せるのか。きっと、その固体が残せるかといったことだけでなく、その固体の子孫までの永い時間をくるめて、つまり人として次の世代にその生きてきた証を刻んでいきたいものだと思えてくる。

こんな、時間軸を飛び越しての不思議さに、この貝の中身の化石は引き込んでいったのだ。果てしない時間の長さを感じさせてくれた。

                                   「心の風景のデッサン」より

 

http://www2c.biglobe.ne.jp/~ofuroudo/dessan.htm 「心の風景のデッサン」:温泉人(おふろうど)

http://blog.livedoor.jp/ofuroudo/archives/51506774.html 時の化石(化石):温泉人(おふろうど)



ofuroudo at 00:10│Comments(0)

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