2009年03月18日

★竹の皮

★竹の皮

“お蔵の鈴木さん”の玄関の上がり口の板の間は、採ってきた野菜や山菜を処理するための作業場で、ちょうど農家の土間と同じように。
ひやっとした板の間は、外の明かりが射し込み、それでいて安心して座って居られるといった、外と部屋との中間的な所であった。

この上がり口の板の間で、竹の子の皮むきが始まる。キュキュッと竹の子の皮と中身とを捩じりながら抜いていく。あっという間に、回りは竹の子の皮でいっぱいになる。
三角錐の竹の子を囲んでいる皮は、はずれた後も 元の形を維持しようと、内側へとくるくる丸くなる。竹の子の根元に近い部分の皮はやわらかく、一方、先端の毛のはえた部分の皮はバリッとして、キュルッと丸まる。何個も、何個も板の間に転がっている。

なぜだろう。きっと母から伝え教わったのだろうと記憶しているのだが、この丸ま
った竹の子の皮の中に、真っ赤な汁とシソの付いた梅干しを入れ、くるっと包み込んで巻いてしまう。細く丸まった方を、ちょうどジョウゴのようにして口にくわえ、チュ−チュ−とすっぱい汁を吸うのである。
これが、竹の子の青臭い香りと梅としその香が混じり合って、好奇心と食い気の旺盛な子供の口の中にチョロッと入りジュワッと口いっぱい広がり、一瞬、顔がゆがむ。

それを吸った者同志で目を合わせて、ニコリ。

これ一つで、遊びの間中、十分にチュ−チュ−楽しめるのである。

あまりお菓子の無い頃の、口の中いっぱいに広がるすっぱさが、心の中いっぱいにしみ渡った頃のお話しである。

                        「心の風景のデッサン」より

 

http://www2c.biglobe.ne.jp/~ofuroudo/zinen.html “ずねんと”:温泉人(おふろうど)






心の風景のデッサン
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「心の風景のデッサン」:温泉人(おふろうど)
・・・故郷、それは心の中にある「心の風景」に違いありません。決して消えることのない・・・


まえがき

 誰にでも、生涯の中で忘れ難い自然や季節との思い出があります。でも、これは思い出といったものだけでは語れない「その人が大切にしてきたもの、これからも大切にしていきたい宝物」なのではないでしょうか。

 昔のことを、そして自分の生まれ育った故郷を単に懐かしんでいるということではないのです。きっと大切にしたい何かがそこにあるからと感じるからなので す。自分の心の目で心地よいと感じ、大切にしたいと思っている価値観がそこにあるのかもしれません。きっかけは、小さいころに出合った光景だったかもしれ ません。でも、その時代、その場所に戻ることはできないし、その意味も違うのかもしれません。





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トロイメライ



温泉人(おふろうど)
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略 歴(写真活動):温泉人(おふろうど)




日立市田尻での講演にて
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(哲学堂公園のネコ)・クリックしてみてください。話の様子が聞こえますから。



木札:温泉人(おふろうど)
 温泉人(おふろうど)の意味 

 日本語ドメイン取得 http://温泉人.jp   


ofuroudo at 00:08│Comments(0)

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