エビデンス

2011年08月03日

薬を使った歯周病治療

 今日は歯周病治療について書きたいと思います。

 昔は歯槽膿漏と言われていた病気です。
歯周病とはハグキが腫れたり歯を支える骨が溶け、歯がぐらぐらになり抜けてしまう病気です。
自覚症状が少なく、症状があってもしばらくすると緩和し、気づかずに進行してしまうのが特徴です。
症状としては歯ブラシをすると血がでる、口臭がする、歯が揺れてくるといったものがあります。
 
 歯周病の主たる原因は口の中にいる細菌の毒素によるものです。
そのため治療は細菌を減少させ、毒素を減らすことにあります。
従来の治療方法は細菌に汚染された組織を除去するために、外科的に歯の根を薄く削ったり(現在はほとんど削らない方法が主流になっています)、汚染された歯肉を除去していました。
この様な方法を機械的治療といいます。
治療効果は高いのですが、歯がしみやすくなったり、根が露出しやすくなる欠点がありました。

 一方、原因が細菌なので内科的に抗生物質や抗真菌薬を使用することにより歯周病を治せないかと言うことが研究されつづけてきました。この様な方法を抗菌療法といいます。
でも口の中の細菌は多様で、バイオフィルムというバリアに守られているので有効な薬剤がないといわれていました(そのため多剤を併用し、投与期間が長い方法もありました)。そのため歯周治療は機械治療方法が主たる治療方法で、急性期のみ抗生物質を使用することが推奨されてきました。

 近年、統計学的手法の発達により今までの論文が統合され、科学的根拠の高い(エビデンスレベルが高い)システマティックレビューが登場しました。様々な論文が統合できるため症例数が飛躍的にあがり、治療方針の精度が高まりました。
 2003年にHaffajeeらが機械的治療単独と抗菌療法を併用した場合を比較したシステマティックレビューを発表しました。その結果は抗菌療法(抗菌薬の飲み薬)を併用したほうがよい結果が得られると言うものでした。
(Systematic anti-infective periodontal therapy. A systematic review. Haffajee AD, al. Ann Peridontol. 2003)

 そして2010年には日本歯周病学会でも「歯周病患者における抗菌療法の指標」というガイドラインが作成され、機械的治療と抗菌療法の併用についてはエビデンスレベル1、推奨度グレードB(行うように勧められる)として、従来の治療で反応の低い患者さんに推奨されるとしています。

 当医院では組織移行性が高く、バイオフィルム破壊効果のあるジスロマックを用いた歯周抗菌療法を行っています。

 通常の歯茎の治療では改善が見られなかった患者さんは是非、ご相談ください。


尾形デンタルクリニックHP

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