受託者とは、委託者から財産の名義を預かる者です。
名義を預かると、財産に関する管理・処分は自分の名前で可能になります。
自分の名前なのですが、それは信託のために行われます。
そうすると、管理・処分の効果は、信託財産に帰属することになります。
信託財産を売れば、代金となる。
貸せば、賃料が入る。
あげればなくなる。
信託財産にのみ変化が生じます。
それは受託者の個人の財産とは別ものなので、自分の懐は一切関係ありません。
ところで、信託財産である家を売ろうと契約したのですが、さらによい条件の別の人に売って
しまった場合とか。
とんでもないはなしです。
買い手はどうしてもほしくて、自分の家をすでに売ってしまった。
帰る場所なし。
売り手である受託者個人に損害賠償請求ができるか。
それは、信託財産の話だから、僕個人は知りません。
とはいえません。
受託者の信託事務(信託財産の処分契約)上の責任を、受託者は直接個人で負います。
不思議です。
信託は法人ではないので、行為者はあくまで受託者個人であり、
効果も、受託者個人に帰属するのです。
そして信託財産「にも」帰属する。
だから、受託者は個人で損害賠償責任を負います。
受託者の個人の家屋敷を売り払ってでも、責任を果たすことになります。
もっとも、被害者である買い主は信託財産から損害賠償してもらうこともできますが、またそれは別の
話です(信託財産責任負担債務というもの。)。
委託者の万感の思いをのせて受託者という列車が遠く銀河を目指して往きます。
行き先はもちろん、信託のアンドロメダ星雲
受益者はそこにいます。
第二十一条 次に掲げる権利に係る債務は、信託財産責任負担債務となる。
一 受益債権
二 信託財産に属する財産について信託前の原因によって生じた権利
三 信託前に生じた委託者に対する債権であって、当該債権に係る債務を信託財産責任負担債務とする旨の信託行為の定めがあるもの
四 第百三条第一項又は第二項の規定による受益権取得請求権
五 信託財産のためにした行為であって受託者の権限に属するものによって生じた権利
六 信託財産のためにした行為であって受託者の権限に属しないもののうち、次に掲げるものによって生じた権利
イ 第二十七条第一項又は第二項(これらの規定を第七十五条第四項において準用する場合を含む。ロにおいて同じ。)の規定により取り消すことができない行為(当該行為の相手方が、当該行為の当時、当該行為が信託財産のためにされたものであることを知らなかったもの(信託財産に属する財産について権利を設定し又は移転する行為を除く。)を除く。)
ロ 第二十七条第一項又は第二項の規定により取り消すことができる行為であって取り消されていないもの
イ 第二十七条第一項又は第二項(これらの規定を第七十五条第四項において準用する場合を含む。ロにおいて同じ。)の規定により取り消すことができない行為(当該行為の相手方が、当該行為の当時、当該行為が信託財産のためにされたものであることを知らなかったもの(信託財産に属する財産について権利を設定し又は移転する行為を除く。)を除く。)
ロ 第二十七条第一項又は第二項の規定により取り消すことができる行為であって取り消されていないもの
七 第三十一条第六項に規定する処分その他の行為又は同条第七項に規定する行為のうち、これらの規定により取り消すことができない行為又はこれらの規定により取り消すことができる行為であって取り消されていないものによって生じた権利
八 受託者が信託事務を処理するについてした不法行為によって生じた権利
九 第五号から前号までに掲げるもののほか、信託事務の処理について生じた権利
2 信託財産責任負担債務のうち次に掲げる権利に係る債務について、受託者は、信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負う。
一 受益債権
二 信託行為に第二百十六条第一項の定めがあり、かつ、第二百三十二条の定めるところにより登記がされた場合における信託債権(信託財産責任負担債務に係る債権であって、受益債権でないものをいう。以下同じ。)
三 前二号に掲げる場合のほか、この法律の規定により信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負うものとされる場合における信託債権
四 信託債権を有する者(以下「信託債権者」という。)との間で信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負う旨の合意がある場合における信託債権

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