第5章 信託の変更と終了

 

第50条 委託者が唯一の受益者である場合、その者又はその承継人は信託を取り消すことができる。それが信託文書に別途規定されている場合は、その規定が優先する。

第51条 信託が作成された後、委託者は、次のいずれかの状況の下で、受益者を代理し、または信託の利益のために処分することができる。

1)受益者が委託者に対して大きな不法行為をする。

2)受益者が他の共同受益者に対して大きな不法行為を行うこと。

3)変更または処分が受益者の同意を得る。

4)信託文書に規定されているその他の事情。

委託者は、前項第1号、第3号及び第4号に掲げる状況のいずれかにおいて、当該信託を取り消すことができる。

第52条 信託は、委託者又は死刑者が死亡し、民事訴訟の能力を失い、信託財産が法令により解散又は破棄されたこと、又は破産宣告されたことにより解約されず、本法または信託書類に別段の定めがある場合を除き、受託者が辞任すること。

 

第53条 次のいずれかの状況において、信託は終了する。

1)信託文書に明記されている終了の理由が発生したこと

2)信託の継続は信託の目的に反して行われたこと

3)信託の目的が実現したか、実現できないこと

4)関係当事者の協議

5)信託の解除

6)信託の撤回

 

第54条 信託が終了した場合、信託財産は信託書類に明記された者が所有するものとする。文書にそのような仕様がない場合は、所有権を決定するために次の優先順位を適用するものとする。

1)受益者またはその後任。

2)委託者またはその後継者。

 

第55条 前条の規定により信託財産の所有権を決定した後は、信託財産を所有者に移転し、その所有者を受益者とみなし、信託は存続するものとみなす。

 

第56条 人民法院は、信託が確定したときは、本法第17条の規定に基づき当初の信託財産について強制措置を講じ、その措置を受ける者とみなす。

 

第57条 信託が終了した後、受託者は、本法の規定により報酬を請求する権利又は信託財産から報酬を受ける権利を行使したときは、担保権を有するか又は不動産の所有者に請求をする権利を有する。

 

第58条 受託者は、信託が終了した場合には、その信託業務についての清算報告をしなければならない。受益者または所有者が報告に異論を唱える場合、受託者は、その者が犯した違法行為を除き、報告書に記載されている問題の免除を受けるものとする。