ブルブル ブルース (Blues)

荻哲の音楽日記−Blues、世界の音楽、よもやま話など

<後ろから、前から>(閲覧注意!)
おれ、この歌、苦手でした。

いえ、人間、正直にならないといけませんね。
聞きたくもあったかも知れませんが、若かったおれは、この歌を聞いてしまうと、体のある部分に微妙な変化を起こすことが心配され、人前で聞くことが不安でした。

おれがブルースという音楽を聴き始めた頃、「Back Door Man」という題名があって、英語の歌詞がわからなかったけど、「この殿方は、<後ろ派>なんだな、ひょっとして表門では無くて、裏門から入るのが好きなんだろか、汚ねぇ好みだな」なんて考えたおれは、不浄でした。許してください。

大きな戦争が終わって幸せな1946年ごろ、こんな色っぽい女性が<Back Door Man>を歌っていました。ちょっと、お馴染みのハウリン・ウルフの歌と違いますね。
<Vanita Smythe - Back Door Man>

<お金は持っていないけど、気にしないわ、私の望みは彼と愛し合いたいだけ…>
困りますねぇ。つまり、裏口から通ってくる男を待ち望んでる歌なんですよ。

Howlin_Wolf02
そして、ここにアンサー・ソング。ウルフさん、上の歌聞いてこの曲を書いたんじゃないかしらん?
まあ、ただの空想ですけどね。
お馴染みの<Howlin' Wolf - Back Door Man>で御座います。
<野郎どもは知らないだろう、でも俺は女性達の御用達。俺はバックドアーマン、裏のドアからコソッと出入りする男。明け方に鶏が時を告げたら、裏からおさらばよ>。
いい加減にしときなさいな、気をつけないと相手の亭主に切られまっせ。

調べたら、Back Door のブルースは、まだまだありましたよ。
<SCRAPPER BLACKWELL−Back Door Blues' (1931) >
でも、歌の内容は間男ではないですな。おれの裏口にも朝日が差し込む日も来るだろう、としけた気分なんですね。家の裏に立ちながら、徒然なるままに…。安物のいがらっぽい煙草が似合いそうな曲です。

最後はぜひこれを聞いてちょうだい。
<EDDIE "CLEANHEAD" VINSON - Back Door Blues>
ピアノの伴奏でしんみりと歌われるこの歌。
雰囲気が有ってブルージィ。
<家の前から入っても出て行くのは裏口。お前が好きだけど、お前は人の妻…>
贅沢言ってやがんなぁ。まあ、間男にも悲哀があるようです。
ええ、あんた、いいじゃないかい、全部を手にして満足してしまうより、手に入らないものがある方が余計に燃えるのさ。罪の意識も恋のスリルを増すしなあ。
まあ、おれには関係ない話ですけど…。

ブログで10年以上も文章を書き溜めてると、時々前に書いたことをすっかり忘れてしまっていることがある。前に自分が書いた文章を読む。意外にも楽しく読めたりするが、「机の引き出しの隅にしまった忘れていたミルクキャラメルを見つけて、半分溶けたようなキャラメルを歯でしごいて味わう」ようなもんだと我ながら思う。

自分のブログに検索を掛ける。このバンドのことを前に書いたかどうか調べるためだ。前に<パールマンとカレズマ>という題で書いた記事で、少しカレズマティクスのことを紹介しているのだけど、少し補足的に書いてみましょうかね。

<Shprayz Ikh Mir>


考えてみれば、もう20年くらい前のことだ。以前勤めていた会社のアメリカ人の同僚が、「お前、こんなの好きだろう」と教えてくれたのが、このバンド。1980年半ばに結成され、メンバーが変わりながらも今も活躍している。

ご存じだろうか、ヨーロッパにはアシュケナージとセファディムという違ったユダヤ人がいる。荒い解説だけど、北の方のユダヤ人はアシュケナージと呼ばれ、イディッシュ語というドイツ語に近い言葉を話す。そして、南ヨーロッパのセファディムは、ラディーノ語と呼ばれるスペイン語に近い言葉を話す。ヨーロッパのユダヤ人はナチスの排斥のために数が減少したため、その二つの言語もすでに余り話されなくなっている。言語も文化の一つであるので、話し手がいなくなれば、廃れるのは当然だ。ちなみに、ボブ・ディランはトルコ辺りから移民したユダヤ人が祖父母にいたそうで、セファディムの流れも入ってる。

さて、カレズマティクスはアメリカのバンドなんだけど、多くの曲はイディッシュ語で歌われる。なんて書くと、古臭い曲ようだけど、現代風のアレンジが施された音色は聞きやすい。人によっては、カレツマ・ジャズという新しいジャンルで呼ぶ人もいるけれど、カレツマにしろジャズにしろ、色々な音楽のスタイルが混じり込んでいるということだろう。

01166131842
僕の好きな彼らのアルバムは、<Possessed>。上の<Shprayz Ikh Mir>は、その一番最初の曲。この曲だけで、すぐにファンになった。マイナーな曲調の歌には、それでも不思議な力強さに溢れている。

<An Undoing world>は、英語で歌われている。歌詞に出て来る“Refugee”は難民という意味。ロシアやドイツで排斥され、追われたユダヤ人のこととも受け取れるけれど、いまだに世界各地で、戦火を逃れて移民をする人々のことを悲しく考えてしまうのです。

<Eyn Mol>というのは、安息日に皆でテーブルを囲んで、歌いながらワインで酒盛りしている感じだ。アルバムの最後に置くには良い曲だろう。

ということで、今回はお仕舞。

クリーブランドは北部のオハイオ州にあるので、てっきり北部系のブルースかいな、と思って聞いてみたのですが、出て来たのは、ケイジャンの音。

<CLEVELAND CROCHET / SUGAR BEE>

名前は<Cleveland Crochet>だけど、英語式にクロチェットと発音するのか、クロシェと発音するのか定かではないです。彼はケイジャンのフィドル弾きで、ヒルビリー・ランブラーズというバンドを率いていました。
1961年に出された「ハニービー」は、ケージャンのジャンルでは初の全国的なヒットだったようです(ビルボードのホットヒット100に入ったくらいですけどね)。しかし、悲しいかな商業的には成功したとは言い難く、その後もクリーブランドさんは、ルイジアナのローカル辺りのみでの活躍だったそうです。

初期のロックとケ―ジャンの間にも相互の影響もあると思われますが、このケイジャン曲もご機嫌な感じでロックしてますね。途中の節操無いスライドのソロも思わずツボにはまり、随喜の涙を流す息子さん、じゃなかったオギテツであります。この様なドロドロした音楽などは、特に好き! 
この音楽を食べ物に例えると、「油でこんがりソテーしたチキンの上に、これでもかと掛けられたグレービー。その横には二人分ぐらいのマッシュポテト…」。分かるね?

クリーブランドさんは、2011年に92歳で亡くなったようですが、晩年もフィドルを弾いている写真が残っています。ケージャン料理みたいな脂っこい料理食っても長生きは出来る?のかな。

cleveland-crochet


それでは、最後は少し落ち着いた曲でも。
<Telephone Port Arthur - Cleveland Crochet>

「小さなデスクコンサート」っていうミニ・コンサート。NPRという放送局の中にあるデスクの前で、こじんまりとした演奏が行われている。

歳のせいだろうか、大きな会場で行われるコンサートにはどうも行く気が起きにくい。駐車する場所を探して、あっちにこっちに右往左往していることなどを考える始めると行く気が萎えてしまう。僕としては小ぶりな会場で行われるコンサートの方が行きやすい。会場から一歩出れば、すぐに普通の街並みに溶け込めるしね。

<Sister Sparrow & The Dirty Birds>

このネェちゃん、なかなかソウルフルな歌いっぷりでいい。売れ筋だと思います。
さて、この「小さなデスクコンサート」。新人のアーティストが多いのかなと思ったら、意外にも大物が出演している。

例えば、<ピーター・フランプトン>
若い頃の彼の歌は余り関心が無かったけれど、12:20ごろから始まる<Baby, I Love Your Way>は、僕でも知っているぐらいの流行歌でした。でも、こうしてアコースティックで聞かされると、いい歌なんだな、これが。観客と演奏者の距離もすぐ近くだから、良いコミュニケーションが出来てます。

<テデスキ・トラック・バンド>も、ビッグネームですかね。

それと、今ではユセフ・イスラムと名前を変えた<キャット・スティーブンス>
昔ほど声が伸びないが、それでも最後に演奏される<父と息子>には、しみじみとさせられてしまいます。昔は若者として、今は父として歌える曲です。

Nick Lowe
やや、ニック・ロウも発見! 
<Rome Wasn't Built In A Day>
ギター一本の弾き語りでも聞かせてくれます。上手いスね。

良く名前を知られているミュージシャンも余り聞いたことのない名前の人も居ますが、少しつまみ食いをしながら、自分の趣味に合いそうな動画を探してみるのも楽しいのです。
そういえば、日本にいる時に、デパートの地下街で食べものの試食をするのが好きでした。まあ、僕の場合、結局何かを買うので、まあ悪い客じゃないでしょう?

コンサートに行ってよかった。素直にそう思った。

途中で座って聞いているのが堪らなくなり、すでに踊り始めている人々に加わって、僕もずいぶん踊りました。バルカンのジプシー音楽は基本的にダンスの音楽であります。

72歳という高齢なので、講演自体の時間は長くはなかったけど、その分、バックバンドがバルカンの<Čoček(チョチェク)>を堪能させてくれました。チェチョクとは、バルカン地方のロマ(ジプシー)の音楽で、早いビートと雄弁なブラスの演奏が特徴的です。<音楽のサンプルはこちら

マケドニアに生まれたエスマは14歳の時に、地元のコンクールで優勝し、プロに転向したそうで、故郷を去る時に手に持っていたのは舞台用の衣装1着とわずかな身の回りの品ぐらいだったという逸話がある。そして、今ではバルカンでは著名なロマ音楽の歌手であります。
esma-redzepova-jugoton

次の動画はオーストリアのTVで放映された22才頃のエズマ。この曲は初期の代表作の一つ。まだスリムなエズマさんであります。バルカンのロマ音楽らしく、トランペットやクラリネットが入ります。<Esma Redzepova‐Romano Horo>



<Chaje Shukarije>
ピッツバーグ大学のコンサートでも歌った彼女の代表作の一つ。聞いていて、ジプシー達の故郷であるといわれるインドはラジャスタン付近の音楽が彷彿されるような気がする。「小さな可愛い娘」という題名。
<そこの小さくて可愛い娘さん、そんな後ろに歩いていないで、僕の近くにいらっしゃい>という風の歌詞だったと思います。

<Нино, Нино>
若頃のエズマはやはり可愛いです(そして、今も可愛い御婆さんですが)。複雑なリズムに、管楽器の音。これこそバルカンの音。聞いていて自然と体が動き始まりますよん。

<Gelem, gelem>
多くの歌手にカバーされている曲です。
題名は「私は旅する」という意味。コンサートの前に、講演側の大学の文化人類学の先生が、ロマに対する偏見は今でもヨーロッパに根強く残っていると説明しておりました。この歌はそんなロマの民の嘆きであります。

最後になりますが、エズマは歌手だけではなく、ロマの地位向上のために色々と慈善事業に加わっているそうで、例えば、里親として多くのロマの孤児達を養子にしたそうで、その数は43人に上るそうです。そして、学校に通わせ、ロマ音楽の教育などを与えたとか。
今回もバックで演奏してるミュージシャンの中に彼女の養子がいたそうです。とにかく、ビッグ・ハートの持ち主なんですね。ノーベル平和賞の候補にもなったことがあるそうです。
esma_redzepova_200

少し前の新聞の記事にこんなのがあった。
ニューヨーク州の北部にあるイサカ市の市長が、「麻薬中毒者が安心して薬を打てるようなシェルターを無料で提供したらどうか」と提案したのだとか。
確かに、NY州の北は冬がとても寒い。安全で凍死の心配のないシェルターが必要かもなあ。行き倒れが少なくなる。しかし、当然のごとく反論は出る。税金でジャンキーのための施設を作るのはけしからん、と。まあ、そうですけど、行倒れした人のために、救急車や警察が出たり、司法解剖したり、冷凍保存したりなども金が掛かるんだよな。僕は、やめたい人に更生施設への紹介なども出来る機会が作れるので、良いアイデアかなと思うのですが…。

26wm

さて、リトル・フィートのチャイナ・ホワイトという曲。
学生時代に初めて聞いた時には、歌の内容などは分からなかったけど、ロウェル・ジョージのボーカルはとても力強いし、最後にコーラスも出て来るというわけで、こりゃあゴスペルに影響を受けた懺悔の歌詞かなあと、当時学生だった僕は考えていたのでした。

ところが、数年前ぐらいに歌詞を調べてみたら、ダブルミーニングの歌詞。
中国女性に慰めて欲しいな〜とも、チャイナ・ホワイトと呼ばれるモルフィネ系麻薬の歌とも取れるわけです。もの悲しげなゴスペル風のメロディにその歌詞を載せて、ロウェル・ジョージはとうとうと歌いあげてます。

今回は自宅で録音した風のバージョンを聞いてみましょう。
<Lowell George - China White>

「この残酷な現実を吹き払ってくれ、嵐から守ってくれよ。心に忍び込んでくる疑惑、俺の人生は台無しさ。疲れ果て磨り減って。心優しい可愛いチャイナ・ホワイトちゃん、でも今夜はここにはいないよ。愛は俺を置き去りに…」 
ご丁寧にも、そのチャイナ・ホワイト嬢の名前は、モウリーン(モルフィーン)だとか。
リンダ・ロンシュダットとのワンショットでは、可愛いロゥエルさんなのでした。日本に来た時は、小林亜星でしたが…。

ドイツで、スライドについて聞かれ、最初にたばこを銜えながら弾いて歌うのも、この曲。
China White
スライドの弾き方などを少し解説していて興味深い。

そういえば、リトル・フィートの代表曲の一つ、<Willin’>も採油現場などにドラッグを売り渡る男の話でした。

上の写真は、どこかのコンサートのポスター。似てないけど、70年ごろのイラストが雰囲気有ります。1枚、欲しいな。

その昔(僕が小ガキ生の時)、大学祭などに行きますと、「歌声喫茶」っというコーナーがあって、大学生のお兄さんとお姉さん達が中心となって、皆で一緒にフォークソングを歌いあげるわけでしたが、日本語の歌もあれば英語の歌もありで結構楽しい。考えてみれば、カラオケのない時代でしたが、やはり、みんな歌を歌うのが好きだったんですね。下はそんな歌声喫茶の一コマ。
歌声喫茶

「歌声喫茶」では、ガリ版刷りの小さな歌集を配っていて、「さあ、君も好きな歌が有ったら、大きな声で歌って」と、多分、教育学部の女性学生がくれたりする。あの頃は、年上のお姉さんに話しかけられただけでも、顔が赤くなる初心なガキでした。

今、考えるとガリ版のインクの匂いが懐かしく感じたりします。今はコンピューターで色々ときれいに作ってしまうけど、当時のガリ版には手作りの良さがあったような気がしますぞよ。

この<Four Strong Winds>という歌は、そんな場所で初めて聞いていたんじゃないかな。そういえば、ボブ・ディランの「風に吹かれて」とか、PP&Mの「500マイル」なんかもそうですね。下のイアンとシルビアのがオリジナルですね。
<IAN & SYLVIA ~ Four Strong Winds>

だから、後年(大学生)の時に、ニール・ヤングのカバーを初めて聞いた時に、「この歌、聞いたことがあるなぁ」と思ったのでした。
<Neil Young - Four Strong Winds>

恋人の仲が終わってしまって、カナダのアルバータに行く男の切ない心情を歌いあげてますが、まだまだ未練が吹っ切れてなくて、「もう一度、君に問いかけたら、考え直してくれるだろうか、でも、すでに何回も同じことを繰り返しているからなぁ」みたいなことを歌ってます。

この曲や同じアルバムに入っていた<Comes A Time>は、今でも好きな曲です。明るい曲調hでポジティブなこの歌は、何だか、落ち込んだ時に聞くと癒されますね。バック・ボーカルのニコレッタ・ラーソンの歌声も懐かしいです。

その昔、もう一人のリトル・ウォルターこと、ウォルター・ミッチェルを紹介したことがありました。この人の写真の表情が堪らなく好きでさぁ。
little walter mitchell

彼はミシシッピから、シカゴではなく、デトロイトに移住したのでありますが、ちょうど、アメリカでは自動車産業が花盛りで、昼は工場にお勤め、夜は地元でハープ吹きという感じの人かと想像します。

最近、新しい彼の音源を見つけて、始めて聞く僕は嬉しい限りであります。
<Walter Mitchell Stop Messin' Around>

ピアノなども入って中々モダンでありますが、よく聞くとハーモニカが二つ聞こえて来る。何だかハモってるような、外れるようなドロドロとした音がB級ブルースの醍醐味です。
下は僕が買った<デトロイト・ブルース>というレコードにあった曲。
<Walter Mitchell ーPet Milk Blues>

春の夜半、静かな部屋で聞くとすごく雰囲気があって良いです。上手いのか下手なのかよく分からないけれど、ブルジィな気分にさせてくれるブルースなのであります。これってスタジオ録音なのでしょうけど、どんな様子で録音されたのでしょうか。スタジオに籠る匂いはウィスキーと葉巻かな。オナラもしちゃったりしてね。

さて、相方のハープは、ロバート・リチャードというミュージシャンで、このハープ吹きもデトロイトで活躍したようで、幾つかレコードを出しています。探したら、こんなモコモコしたブルースが見つかりましたよん。最後の「ゼィ」って声は何ですかね。
<Robert Richard―Junkyard Stomp>

さて、ハーモニカ二本ということで、忘れてはならないのは、これです。
残念ながら、相方のハープ吹きが誰だかクレジットされていません。
<Jaybird Coleman - River Of Jordan>
元歌の歌詞に少し手が加えられています。「あの世でおっかさんに会ったら、お前の仕打ちを言いつけてやるんだ」なんてヒネタことを言ってます。で、元歌は、ブルースじゃなくて、ゴスペルなんですよ。ブルーグラス系では、カーターファミリーも吹き込んでますね。ジェイバードの歌と比べて、歌詞がストレートです。
<River of JordanーThe Carter Family>

そして、これなんかも印象深いダブル・ハーモニカの名曲ですよね。
<Big Walter Horton - Little Boy Blue>
相方はCarey Bell<ケアリー・ベル>。ビッグ・ウォルターの少しざらつぃた声が素敵で、体の芯から身震いが出て来るような名曲です。やはり夜に一人でウィスキーを舐めながら聞きたい。水で割らないで、ストレートに氷を入れてお願いしますよ。

今日のイメージ曲:本文とは関係ないんですけどね。今、こんな音楽を聴きたい気分の俺なんだよう。
<Doctor Ross : "Thirty Two Twenty" >


19世紀だかのイギリスでの話。
ある貴族の未亡人が、自分もそろそろ寿命が…ということで、十年前以上も前にカリブで海賊に捕まった行方不明の息子を探そうと新聞広告に出したそうな。そして、ある日やって来たのは、くたびれた山高帽の男。彼が連れて来たのは、行方不明の息子と似ても似つかぬ風采の上がらぬ醜男である。

しかし、長い牢暮らしと拷問、そして栄養失調でこの様な哀れな姿になったのだと山高帽の男が語るうちに、人々は「そうかもしれない」と思い始める。海賊に捕まった経験なんて誰もしたことないのだし。

男は未亡人の母親の前におずおずと進み、大きい青い目の双眸から、ポロリポロリと涙をこぼした。失語症になっているのだろうか、何を聞いても要領を得ないが、何回か会ううちに未亡人は少しづつこの男が長い間探していた息子だと信じ始めたようだ。理屈よりも感情が勝ることもある…。

周りの人間も次第に考え始めた、「ペテン師だったら、もっと似ている人間を連れて来るだろう。これは余りにも似ていないが、ひよっとすると本物かもしれぬ」。

結論から書くと、この男は偽物。山高帽の男は彼に口をきかずにただ頭を振るしぐさをするぐらいでいいのだと指示していた。しかし、この男、根が単純なせいか泣き顔に哀れさが漂っていたという。

さて、未亡人が遺産相続の書類にサインをする直前に、山高帽の男がその昔、脱税のかどで捕まったことがあるのを密告した人がいたというのだ。それを胡散臭く思った人々が調べ始めたら、彼がペテン師であることが割れたのだとか。

Herb Cohen
随分前だが、アメリカでベストセラーになった本で、「ネゴが出来ないものは 無い(You Can Negotiate Anything)」という本を読んだことがある。著者はハーブ・コーエン<Herb Cohen>というプロのネゴシエーターである。彼はプロとして、大きな商談の交渉や人質解放の交渉など様々な交渉を行って来たそうだ。
彼の外見はといえば背が低くてパッとしない。どう見ても、普通の親父さんであるが、彼いわく、もし彼がピシッとしたいかにも切れ者のエリート風だったら、相手が警戒して懐を開けてくれないだろう、とのこと。
これは一理ある。油断に乗じて、一本を取るのだ。



おまけ:
これは5年前ほど、大阪の友達から採集した話である。
オギ:「大阪じゃ、引ったくりが多いそうだね。なんだか、全国一らしいなあ。飲酒運転検挙率一位は高知だけど。」
K君:「実はオレオレ詐欺は、関西では通用しないのだ。関西のオバちゃんは、あんな手に乗らんて、だからどうしても実力行使ということで、ひったっくりが多くなるらしい」
オギ:「なるほどなあ、商店で値引きもしないで正札で物を買うのは関東だからなあ。騙され易いのかもなあ。勉強になりました」

ところが数年前の新聞に、全国で大阪を抜いて千葉が「ひったくり」で第一位になったとか出ていた。俺の出身県だぜ千葉って。えっ。
St_Germain
上の写真は17世紀のパリに現れたサンジェルマン侯爵。不死不老の人物としても知られておりましたが、果たして奇人かペテン師か、それともアメリカに渡ってロバジョンの魂を買ったか。

春先
ゆっくりしたいが、春の訪れとともに、色々なことが 地中から出て来る虫の様に ワサワサと。啓蟄(けいちつ)はまだなのにね。
ブログの更新もママならずパパでした。しかたない。お茶を濁すために、こんな話。

ロシアと云えば、色白の美人、プーチン、ウオッカなどが頭に浮かびます。なぜだか知らんが、ロシア人は酒が強いという印象がある。ウオッカを喉の奥にぶち当てる様に飲む、みたいな。

先日、近くのスーパで意外なものを見た。
ロシア語のラベルが張られたビール。

第一印象:「おいしいかな? しかし、ロシア人じゃ、いくら飲んでも、ビールなんかじゃ酔わないだろう」。ラベルをよく見ると、アルコール度5度。普通のビールの度数。

買うか買おうか迷ったけど、500mlの瓶のデザインが如何にも武骨っぽくてロシアなんだよね。基本的には寸胴に首が据えられた感じなんだけど、握るところが少しくびれている。持ちやすくしているのかな。 
しかし、それを見ながら、「さすがのロシア美人も20歳代後半になって、腰の括れが太くなって来た」という感じがするデザインだ、と私は思った。
まあ、僕は痩せた子より、少し太めの方が好きだったりする。
それにビールに番号がついてるんだよね。囚人みたい。僕が飲んだのは8番のラーガビール。日本円に直すと215円ぐらいで、安いし。
まあ、下の写真を参考にしてください。
baltika

味は、まあまあだと思いましたが、人によっては、ちょっと強い匂いがすると思うでしょうね。ホップか何でしょうか、イーストなんでしょうか。

ところで、このBaltika(バルティカ)というビールの醸造元、委託でツボルグとかカールスバーグみたいなビールも作っています。二つとも、デンマークのビールのはずだよなあ。まあ、アメリカえ売っているサッポロは、カナダ製で有りますから、驚くには当たりませんけどさ。

最後はこれでも見て下せい。
ロシアのビール踊り

このページのトップヘ