ブルブル ブルース (Blues)

荻哲の音楽日記−Blues、世界の音楽、よもやま話など

この間、<ローリング・ストーンズ誌が選ぶギタリスト250人>というサイトを眺めていたのです。

初めて名前を目にしたギタリストも少なくないし、正直、半分ぐらいのギタリストは名前を知ってるだけで、演奏すらも聞いたこともない。僕にとっては、「ああ、そうですか」ぐらいなもんだ。

350px-Jimmy_Nolen
が、リストの中にJimmy Nolenの名前を見つけた。しかも、12位という高いランクにである。とはいえ、実は僕も偉そうに彼のギターについて掛けるほど、詳しくはないので、書くことに間違いが有ったら、許してちょんまげ。

「チキン・スクラッチ」という奏法で有名な人ですな。
ローリング・ストーンズ誌の解説によると、この奏法は、ジェームス・ブラウンのバンドに入る以前、下手なドラマ―と演奏している時に、しっかりリズムを取ることを意識して、刻むように弾き始めたというものらしい。コードを押さえ少し指を指板から浮かして、リズムをパーカッシブに刻むという感じだ。

Cold Sweat

始まりから、チキンスクラッチですね。堪能なされたか?
確かに、このスクラッチが無ければ、この曲の感じもかなり違ったものになりますな。ボス猿様のジェームス様も、このスクラッチのおかげで踊りやすかったことでしょう。
やっぱ、ジミーさん、いいギタリストだ。しかし、JBは、完璧主義者かつ奇人だったようで、彼のバンドで働くのはきつかったと、後に人に言ってたそうです、

も、一発、JB、行きます。
I Got You (I Feel Good) 1965
彼の定番の一曲です。真ん中あたりで小気味の良いシャキシャキとしたギターの刻みが聞けますな。今では、誰でも弾いているような奏法ですが、始めたもん勝ちですかね。
でも、アース・ウィンド・アンド・ファイアーなどのファンク系のバンドでは、もっぱらこの奏法が使われるため、暖簾さまの影響力は大であります。

ジミーは、このジョニー・オーティスのバンドにもいたことがあって、このヒット曲にクレジットされています。
Johnny Otis - Willie And The Hand Jive (1958)
この曲の始まりは、もう最高。。画像が悪くて確かなことは言えないけど、椅子に座って弾いているのがジミーさんですかな。途中に入る短いソロもツボに入って曲にノリノリ。

Strollin' with Nolen
1956年の作というから、この曲もJ・ブラウンのバンドに参加する前です。商業的には成功しなかったそうですが、当時、R&B風の曲のレコードを幾つか吹き込んでいたようです。
なぜ、商業的に成功しなかったか…ボーカルが無いインストだったからでしょうね。

久しぶりにジェームス・ブラウン聞きましたが、もう亡くなってからすでに19年。親方も棺の中ですっかり骨になってるでしょうか。

マディ・ウォーターズの“The Complete Plantation Recording“というCDは、2005年9月に、僕がこのブログを始めてからすぐに買ったんじゃないかしら。 
The_Complete_Plantation_Recordings

当時の僕は、まだまだのブルースの初心者マークをつけており、ブルースのブログを書くために、「もっと色々とブルースのことを勉強しなくては!」と燃えていた。
このCDを買ったのも勉強のつもりだったか。

最初はこの曲で始まる。この録音がなされた1941年には、まだ28歳ぐらいのマディですが、歌にはすでにかなりのブルース力がある。
Country Blues (No. 1)

この曲には題名すら付いていなかったのだろう、カントリーブルースという適当な題名がつけられている。
しかし、これがこの偉大なブルースマンの最初の録音かと思うとやはり感動をおぼえる。
録音をしていた若きアラン・ローマックスも、自分と同じぐらいの歳のこの黒人の若者が、後年シカゴブルースの大御所の一人となるとは考えなかっただろう。

CDでは、この後にインタビューが続くが、マディが「乗っていた車がパンクした時に書いたんだ。まったく、ろくなことがありゃしねぇて思って、このブルースを作ったんだ」と。
インタビューで面白いのは、この時のローマックスは、サン・ハウスのことを知らなかったことだ。ローマックスにしても、民俗音楽としてのキャリアを始めたばかりだったんだろう。

そして、マディに「サン・ハウスとロバート・ジョンソンとは、どちらが優れたミュージシャンだったか」を聞いている。マディの答えは「どっちも同じ(優れたミュージシャンだよ)だったよ」である。

muddy-young
後に<I Can’ Be Satisfied>と名付けられる<I Be's Troubled>。マディはオープンGチューニングを「スパニッシュ・チューニングだ」と説明しているが、ローマックスはこの時に初めてスライドバーを見たようだ。
I Be's Troubled (Plantation Recording)


マディはロバ・ジョンやサン・ハウスから多大な影響を受けたと言っていましたが、これなどはブラインド・ウィリー・ジョンソンの曲みたいだ。
You Got To Take Sick And Die Some Of These Days (Plantation Recording)
彼も時に教会に行ったのだろうか。

さて、インタビューの中で、マディはこのプランテーション(農場)に17年に働いていると答えていますが、この録音の数年後、シカゴに移り住むことになります。

彼がシカゴでミュージシャンとして活躍を始めるのは、1950年に入ってからだから。しばらく、シカゴでトラック運転手などの仕事に就きながら、リトル・ウォルター、ウィリー・ディクソン、サニーランド・スリム、リロイ・フォスターなどのミュージシャンとの出会いを通して、段々とブルース力を上げて行ったのだろう。

朝はブルースマンにとって最悪の時かもしれぬ。
やけ酒とばかりおだを上げ、飲んで騒いだはよろしいが、今朝、頼みのお財布君の様子がどうもおかしい。ゲッソリと痩せてしまい、中身も虚ろである。

悪い酒飲んだなら頭も痛かろう。一緒にいた女性も見当たらないし。
窓の外では町の人々が律義な生活をしている。そう、ブルースマンは行くところがない。腹も減り始めた…。
Freight Train Blues‐Robert Pete Williams

<俺な、朝起きて、汽車に乗って何処かに行きたくなった、泣くなよベイビー、俺にあんな真似して置きながら…>
風来坊ですかね、女に冷たくされてこの町を、朝早く列車で去るわけです。
このピートー・ウィリアムスという人、何だかへなちょこな歌もあるんですが(とはいえ、そんな歌も聴いてますぜ)、こんなカッコいい歌もやっちゃうんだな、これが。
この少しつまずいた様なギターワークにも惹かれてしまう俺です。
rpw2
朝起きて、鏡の中の顔見て、「こいつは誰だ?…俺じゃないだろ!」と…中年過ぎの人なら、身に覚え有りますかね、この自問。特に深酒の翌朝など。
Grown So Ugly ‐Robert Pete Williams
<朝起きて、靴は履いて、靴紐縛って、顔を洗って、鏡の前で髪を整えて…>
刑務所から出て、スクラップ業を生業としたピートさん、やはり、たまに朝、嫌々起きる時もあったのか、説得力のある朝ブルースである。

さて、この曲はディランのだけど、フレディさんにかかるとこんなカッコいいブルースになる。
Meet me in the morning‐Freddie King
<日の昇る前が一番暗いのだと人は云いうけど、お前が去ってから、俺は真っ暗闇の中だぜぇ> 
このカバーはオリジナルより良いと思うのは、僕だけか?

Early in the Morning‐ Sonny Boy Williamson

ブルースにピッタリの声…良いですねぇ。1937年の録音で、ギターにロバート・ナイトホークとヘンリー・タウンゼンドが参加してます。

Walkin' Blues‐Robert Johnson
金の匂いで寄って来た女は、金がなくなりゃ手あたり次第を漁って、朝早く逐電…何ともひどい一日の始まりであります。<もう死んじゃっても良いんだもん♬>と拗ねるロバート君であります。

Early Morning Blues‐Blind Blake
<お前さん、昨日の夜はどこに行ってたんだね。俺はお前のことを思って悲しんでたのさ>。やけ酒飲んで挙句の果てには<お前の腹にピストルを一発お見舞いしてから、俺もド頭を打ちぬくぜ>と恐ろしいことを…。昔のブルースには多いですね、この手の歌詞。

こうして湿気た朝のブルースを並べてみましたが、ああ、皆さま方は、どうぞ、ブルーな気分になることなく良い一日をお迎えください。

なに、もう遅い? 
すみません。
へへへ。

オマケ1:
朝のブルースは男だけのものか?  いやいやも女性にも憑りつきます。
41OUFPkIY0L.__AC_QL70_ML2_
朝起きたら… 小林万里子
立派にブルースだす。男性のみなさ〜ん、事が終わっても女性には優しく振舞いましょう。

夜が明けたら‐浅川マキ
風来坊は男だけじゃない。この歌は小学生の時にラジオの深夜放送で初めて聞いたです。

オマケ2:
月曜の朝のブルース。これも古典ですね、もう。
Monday Morning Blues‐Mississippi John Hurt

このアルバムの始まりは、このセイリング・シューズという(滑るのは簡単だ)という題の歌であります。耳が嬉しがるのに、ものの10秒もかからない。
Easy to Slip

この<Sailin’ Shoes>は、最高にご機嫌なアルバムで、もう50年以上前に出されたアルバムだけど、いまだに聞きたくなる。もう元気一杯、夢一杯って感じ。

このアルバム絵の作家は、ネオン・パークという変てこな名前のアーティストで、リトル―フィートの他のアルバムの絵も描いている。
少し不気味なこの絵も、実はパロディらしくて、ロココ期のフランスの画家フラゴナールの「ぶらんこ」という絵を下敷きにしたものらしいが、この絵のカタツムリ君は一体何を感じて角を立てているのか? その内、槍も出るのかな?
The_Swing_(P430)
歌詞は意訳すると、こんな感じかな。
<いとも簡単にツルリと落ちてしまう…記憶を巡らせて、 無為な時を過ごす
実らなかった愛や思い出せない人々…彼らは本当に存在したのかしら?

今日、世界はとても冷たく感じる、すべての魔法も消え失せた
僕が奏でる悲しいメロディーのように、汝と一緒に過ごした日々の思い出は溶けて行く
立ち去った貴女の面影の中に、永遠に漂っていたくは無いから、
もう一本タバコに火をつけて、やれ、忘れる為に思い出そうか。>

このレコードのA面は素晴らしい曲がこれでもか、これでもかと並んでるのだけど、どれが良いか? <Willin'>は、このブログで何回か出してるので、今回はスキップするけど、このアルバムのテイクが一番聞きやすいかもね。

個人的にはこの曲が好きです。
Cold, Cold, Cold
スライドが気持ち良いフレーズを。ジョージ君の歌もノリノリだしね。
失恋の歌とも取れるけど、コールドターキーで毛布被って震えている時の歌なのかもしれない。

最近、何だかどこの国でも政治家達がお騒がせしているようだけど、この曲なんかどうじゃ?
A Apolitical Blues
毛主席からニクソン大統領(?)に直通電話が掛かって来るのだけど、大統領はどうやら憂鬱な気分で、電話口に出たくないと駄々をこねる。
僕が思うに、政治家の数を減らせば、この世のトラブルが少なくなるはず。

このA面には他にも名曲とされる<Willin’>や<Tripe Face Boogie>などが綺羅星の様に整列している。ライブでもよく演奏された曲どもだ。
R-2288908-1536753943-3879

B面の最初には、アルバムのタイトル曲である<Sailin' Shoes>が先頭。
のっけから、フワフワな声で<ターバンを被った女の人とコカインの木、リズムに乗って踊ってる>なんて…歌ってる。まあ、段々と薬にのめりこんで行くロウェル・ジョージっぽい歌なのかな。声は少しフワフワしてますが、入って来るスライドはいい感じ…しっかり素面で弾いてるはず。

この意味深な曲は、意外にも(?)色々な人がカバーしてるのですが、僕的にはロバート・パーマのカバーがワイルドな感じで好きです。
Robert Palmer−Sailing Shoes

寒い時には、暖かい国のとろろんとした音楽を聴くのじゃ。

目をつぶって、床の上…じゃない、砂浜で寝そべって、冷たいビールで汗をかいたグラスに手を伸ばすところ…と想像する。
電気ストーブが夏の暑い風を演出してくれている。ありがとう。

聞くのはこんなやつ。
Bola Sete & The Vince Guaraldi Trio: Outra Vez

クローズド・リム・ショットというのだろうか、ドラムの音を聞いていると、何だか台所でお野菜を切ってる音って感じ。ストトン、スットン。
BOLA sETE

ギターのボラさん(上)は、顔だけ見るとブルース系なんだけど、彼はブラジルの人だから、明るい音楽を弾くのです。ブルースなんて、ひねくれた音楽なんて、弾きませんよ。
でも、下の彼を思い出したりする。
s-l1200 (1)

さて、招かれてニューポートジャズ・フェスティバルで初めて演奏したのは、1962年。そして、再び1966年に自身のトリオと共に出演したわけだが、そのライブ・アルバムは、彼に世界的な名声をもたらしたらしい。
下は、ニューポートジャズ・フェスティバルでのライブレコードから。
Black Orpheus Medley: Manha De Carnaval/ Adieu Tristesse/ Samba De Orfeo
カーニバルの朝はけだるく始まるのです…まあ、お祭りが始まれば、また疲れ切るまで踊るんだろうけどさ。
聞いていると頭の真ん中あたりがジーンとして来てウトウトする。

下の曲の題名は(Ash Wednesday)というカトリック教会の春の祭日。日本では<灰の水曜日>とかいうらしい。この日に、街でヤシやシュロを燃やした灰で額に印を付けた信者を見かけたりする。
Agora E Cinza (Ash Wednesday)
ああ、そうかぁ、もうひと月ぐらいで(Ash Wednesday)。
春が来るんですねぇ。
梅は咲いたか、サクラは…。

いや、いや、俺はもうすでにここで真夏を楽しんでいるんだった。


おまけ:
Soul Samba
やっぱ、この手の音楽はリズム感なんだよね。

彼女の中で一番売れたのはCourt and Sparkというアルバムだそうな。

Court and Spark

<愛が私の玄関に訪れた。寝袋と恋に落ちた男の狂気とを携えて…>
アルバムの最初は、印象的なピアノのイントロで始まる。こんな感じで愛は彼女の心の扉を叩いたに違いない。そして、特徴のある、大人の女を感じさせる声で歌が続く。
静かに始まる愛ほど、激しいものになる…のかな? …覚えあります?

そして、次の曲は、<Help Me: ねぇ助けて頂戴、また恋に落ちてしまったわ>と、乗りの良い曲で聞き手を惹き付けて行く。バックには、ジャズ・フュージョン系のミュージシャンたちが名を連ねており、聞きやすく演奏も素晴しい。
確かに、よく出来たアルバムで、グラミー賞の最優秀アルバムにもノミネートされた。
彼女は画家でもあり、このアルバムの絵も彼女が描いたものだ。
xcourt

色々と素晴らしい曲が並んでいるんけど、私的にはこんな曲をこのアルバムから選んで、次に移りたい。

Down To You
高校の古典の時に<後朝(きぬぎぬ)の別れ>という言葉を習った。
「男女の一夜の逢瀬が終わった後」の別れ、という意味だけど、まだ、男女の仲も良く分からない若い僕らににはどの位理解出来たか。
この歌は、その次の朝の情景を歌ってるのだろうか。

ある批評家はジョニを「恋多き女」と書いていたけれど、彼女は、様々な恋愛の風景を描き分ける感受性があるわけだな。
このアルバムは男女の仲を歌ったものが多いようだけど、彼女の恋愛観も読み取れそうだ。自立した女性であるのは確かだが、そこはかとなく女性の細やかな感情が滲んでくる。

僕が初めて彼女の作った歌を聞いたのは、この曲。
誰のバージョンだったかな。
The Circle Game
美しい歌声であります。
どこかで読んだ話だけど、この曲はニール・ヤングの<Sugar Mountain>という曲へのアンサー・ソングだったとか。
歌は子供時代の情景から始まる。
<昨日、外で遊んでいた子供は捕まえたトンボを瓶に入れた。雷の音に怯え、夜の流れ星に涙した>、
そんな子供もやがては大きくなって行く。
彼女は歌う、<季節はぐるぐる回る、彩られた回転木馬も巡る、私たちは時間の回転木馬の上。戻ることは出来ず、来た道をただ振り返るだけ。ぐるぐると回り続けるゲームの中で>
そして、「シュガーマウンテンに住めば二十歳にならない」と引っ込み思案なニール・ヤングにこう歌い掛ける。
<夢がいつも実現することはないと分かったけれど、最後の一年が終わる前には、新しい夢や良い夢、たくさんの夢が待っているはずよ>と。
そう、振り返るだけじゃなく、前を向いて歩きなさいと、ジョニの姐御はニール君の尻を叩いて励ましたのでありましょう。


おまけ:
この曲も思い出深いので載せます。
Both Sides Now (Live At The Isle Of Wight Festival 1970)
黄色いドレスのジョニが素敵です。

Bob Dylan - All Along the Watchtower


この歌詞は旧約聖書に出て来る、バビロニア帝国崩壊の予言の部分を下敷きにしているという話がありますが、現代のバビロニア帝国への批判にも通用しそうな感じだ。

僕は、この歌詞をこんな風に訳してみたのでした。

*****
<見張りの塔から>
ここから逃げ出した方が良さそうだ、道化師が盗人に言った。
あまりにも混乱していて、心が休まる暇もない。
ビジネスマン達はワインを全部飲んでしまうし、
農民達は土地と見れば耕してしまう。
その価値が分かる人物なんぞは居ないんだ。

少し落ち着きなさいな、と盗人が なだめるように言った。
人生はただの冗談、と感じている人々も居るみたいだけれど、
聞き飽きたよ、俺たちはそんな言葉に構わないでおこう。
これで終わりってわけじゃないだろう。
今は、偽りの言葉を口しないようにしよう。
さあ、日も暮れて来たぜ。

王子達は城に出入りする女達と裸足の召使い達を、見張りの塔からずっと眺めていた。
どこか遠くでヤマネコの唸り声がした。そして、馬に乗った御者二人が近づいて来たのだった。
すると、風が唸り始めた。

*******
RWS_Tarot_00_Fool
タロットの道化

何らかの寓意が考えられるけれど、あえて書かないようにしましょう。

さて、占星術師たちは、時代がすでに<風の時代>に入ったと書いている。
けれど、その風は何を変えるのか? 
その風はいつ吹くのか?  
それとも「当たるも八卦、当たらぬも…」の迷いごとか。

風が吹けば、桶屋が儲かる、とか。
この大統領の下で、儲けようとする桶屋も多いだろうな…。

それとも、答えは風に吹かれて、あちらこちら右から左へと…かい?
Bob Dylan - Blowin' in the Wind
彼の他の歌では、「今日の勝者は、明日には負けることもある」と歌っていた。


おまけ:
中世風の<All Along the Watchtower

朝、窓から庭に残る雪をぼんやりと眺めておりますと、こんなイングランドのバンドの名前が頭に、ふっと浮かぶのです。
mcguinness-flint-when-im-dead-and-gone-capitol-15

こんなバンドの名前、一体だれが知ってるんだろう。学生時代、行きつけのロック喫茶で良くかかっていた。茶店のマスターがこの曲が好きでしたね。
Happy Birthday Ruthy baby --- McGuinness Flint

アクが無くて、ほのぼのとした歌でしょう?
あの頃、この歌を聞きながら、コーヒー啜り、これから何をしようか、どこへ行こうか、なんて考えていたんだろうな。当時は携帯なんて無いから、友達のアパートに行って居なかったりすると、そのままお散歩の日になったりした。

結成のメンバーは、ギタリストのトム・マギネスとドラマーのヒューイ・フリントだから、マギネス・フリント…、地味だねぇ。活動時期も1970年から1975年と長くないです。
次の曲が彼らの歌の中では、ヒットしたようで、1970年の英国のシングルで2位まで登ったそうだ。
When I`m Dead And Gone
フェイセスの<Ooh La La>に似た感じです。で、やはり70年代のあの頃のイギリスの音だ。

最後は、この曲でおしまい。
Malt And Barley Blues
この曲もヒットチャートの上位まで行ったとか。アルバムの写真の女性は何を編んでいらっしゃるのか?
聞きながら、このバンドももう少し有名になっても良かったのでは、と思うのだけど。
以前、The bandになり損ねたバンドとして、<エッグス・オーバー・イージー>を取り上げましたが、このバンドは「フェイセスになり損ねたバンド」と言っても良いのかな…。
そう、時々には思い出して、彼らの曲を聞きませう。

新年でありますので、のどかな時代のブルースでも。
これは1930年というからもう百年近い前の音源。
Charley Jordan-Keep It Clean

この曲は、ヘンリー・トーマスなどを思い起こさせる。

しかし、ここに一つ問題がある。途中で出て来るフレーズが、どうも「ココ掘れ」とか「コレコレ」に聞こえてしまうのだった。雰囲気的に戯れ歌なんだろうけど、このコレコレとは、どうも気になる。

プロレスでは、橋本と長州の<コラコラ問答>というのが有名(?)ですが、さて、この歌の「コレコレ」は何だろう。

こんな時に悩んでいても解決に繋がらない。
どうするかというと、他の人カバーを探すことである。
Keep it clean
探すと、ヒッピーぽいオッサンのカバーが…。でも、上手だなこの人。というか、1930年代にこんな風に弾いていたジョーダンさんのギターは、かなり素晴らしい。

そして、分かったのが、コレコレは<Coca Cola>ということ!
まあ、少し訳してみると、
<もし象の笑い声を聞きたかったら、川まで連れて行って、お尻を洗ってあげなさい、そして乗っかった後は、コカ・コーラとレモンソーダとお皿に載せたアイスクリームをあげなさい、石鹸と水できれいに洗いましょう…>
なあ、何のこっちゃ、なんだけど何か意味深だ。何をきれいに洗うのかしらね…、へへへ。
この変な題名の曲は、しかし、なかなかの人気で、色々な人がカバーしている。

例えば、デイブ・バン・ロンクは、彼らしいアレンジを加えて歌ってる。
Dave Van Ronk−Keep It Clean

次の曲はガレージロック風。歌い手は、ホワイト・ストライプのジャック・ホワイト。
The Raconteurs - Keep it clean
元歌とは全然違うねぇ。
jordan24

チャーリー・ジョーダンは1890年にアーカンソー州に生まれた。ナマズ顔である。
早い時期のブルースのミュージシャンだけれど、ギターの腕はかなり洗練されている。時に、あのビッグ・ジョー・ウィリアムスなどとも共演をしていたらしい。

演奏活動の他に密造酒なども造って売っていたそうだが、ある争いで撃たれてしまい、足が不自由になったという話だ。上の写真にも松葉杖が写っている。まあ、アメリカが物騒なのは、昔からなのですな。亡くなったのは1954年というから、60年代のフォークブームには少し早かった。残念であります。

最後にもう一つ、彼の歌をば…。彼のユニークなギターが聞けます。
Hunkie Tunkie Blues

年の暮れ、ですか。
まあ、僕は旧暦の正月の方が好きなのですが。

ま、憂さや悩みや不安を忘れて、気軽にこんな楽しい曲を聞きましょう。
美味しい酒もあるし。


https://www.nicovideo.jp/watch/sm24361739
日本の題名は「栃東の取り組み見たか」。
この動画、いつ消されるか分からんですが、作った人は栃東のファンだったんだろうね。
曲と同時にその取り組みも観れて、有り難いです。

吾妻光良さんは、大学の頃からギター雑誌に記事を書いてましたが、当時から相撲の話を書いていました。確か、千代の富士が嫌いだったような覚えがある。

この人は大学の卒業時に記念コンサートを行ったのだが、同学の僕も見に行った覚えがある。
確か、ブルース同好会で知り合ったベース弾きと一緒に。少し年上の吾妻さんのギターの冴えにはびっくりした。当時の僕には考えもつかない技量だったし、とにかく、ステージがコミカルで楽しかった。

さて、最近、相撲が人気だそうで、僕も場所になるとインターネットで相撲観戦しております。
翔猿(とびざる)という力士の名前が好きで、応援している。大型化している相撲取りの中で、小兵ながら活躍している力士には感心してます。まあ、相撲を見るのが好きだった祖父の遺伝かもしれないです。

さて、上の相撲には元歌がありまして、下がそうですね。
Did You See Jackie Robinson Hit That Ball? (1949 Version)
元歌では、アメリカのスポーツである野球のカッキー・ロビンソンが取り上げられていますが、日本語の歌では、吾妻さんのお好きな国技相撲です。この辺のアイデアが素敵です。
mitsuyoshi_azuma4-1024x1536

何でも、吾妻さんは、最近、退職してから(ようやく)プロとなられたようで、僕としては意外でした。そうかあ、今までは忙しい仕事の合間をやりくりして演奏活動をしていたんですね。ここら辺も彼の元気を感じますね。

この風刺が入った曲は、カリプソの曲を下敷きにしてますね。
「福田さんはカッコいい」吾妻光良トリオ@5.18, 2013 田無神社
コンサートの場所が田無神社…渋い。

この人も、大学祭の「憂歌団」のコンサートで実物を見た。
嫌んなった 木村充揮&吾妻光良&スインギンバッパーズ

お二人も健在です。来年も皆さん、健康で活躍しよう! 

↑このページのトップヘ