<<<音楽の良いところは、ヒット{Hit}しても、痛みを感じないことさ。さあ、僕を音楽で打っておくれ、音楽でヒットしておくれ - Trenchtown Rock>>>
ボブ・マーレイとウェイラーズの<Live! (1975年)>を買った理由は、その頃に熱心に読んでいた<ニューミュージック・マガジン>で、北中さんという音楽評論家が、ベタ褒めしていたからだった。友人の誰に聞いても、「ボブ・マーレイなんて名前も聞いたこと無い」という返事だったので、不安はあったけれど、とにかく新宿のディスクユニオンで購入した。店員がレコードを袋に入れて手渡す時に、「これ、良いよ」と言ってくれたのを、まだ覚えている。
僕は、その当時ジャマイカについて、どの位知っていたのだろう。コーヒーの産地、ハーリー・ベラフォンテの出身国、カリブ海にある小さな島国、首都はキングストンなど…学校の地理で習った程度だろうか。
家で早速、レコードへ針を降ろす。ポッ、チリチリチリ…。
最初の曲は、<Trenchtown Rock>。耳のすぐ傍を通る動脈から直接聞こえてくる鼓動の様なベースのリズム。蝉の王様の様な大声のボブ・マーリーと言う歌い手。3人の女性のコーラスが色めかしい。その後、レコードを数回、通しで聞いた。すぐに中毒になり、その音楽の虜になった。
二番目の曲は、セクシャルな歌詞の<Lively Up Yourself>。なんせ、rockして、dipして、comeしてとかなんとか…。レコードの日本語のライナーノートでは、訳者は思い出せないが、今考えると良い訳をしていたのではないかと思う。
赤、緑、黄色のジャマイカの国旗の色、縮れ毛を編み上げたドレッドロックスと呼ばれる髪型、手を広げたような大麻のマークなど、このボブ・マーレイとウェイラーズの音楽と共に日本にも紹介され、気がつくと人気グループとなっていった。
この<Live!>のレコードの中には、政治的メッセージや社会的な不正を憤る歌なども含まれており、その後、Jimmy Cliffなどの歌も聞き出したので、ジャマイカの持つ様々な社会問題を知るようになった。当然だけれど、彼等の生活は歌を聞いて踊って、という気楽なものだけでは無かったのだ。
<奴等は満腹、俺達は飢えてる。飢えてる俺達は、怒れる暴徒>という歌い出しの<Them Belly Full>。貧しい農夫に下された不正な裁判判決を憤る<I Shot The Sheriff>。
興味深いのは、<Get Up, Stand Up>だろう。これは、いわゆるラスタファリズムの思想を歌に託してものだ。
アメリカでも1970年前後に、黒人達のアフリカへの回帰運動が起こった。例えば、マルコム・リトルは白人に由来する姓(リトル)を捨て、マルコムX(先祖が捨てさせられたアフリカの名前)と名乗り、イスラム教に改宗した。同じく、カシアス・クレイも英語名を捨てて、イスラム教の下でモハメッド・アリとなった。ラスタファリズムもジャマイカの貧困層を中心に起こされた、アフリカ回帰の思想なのだ。
この歌では、<説教師様よ、語るんじゃねーや、偉大なる神が空から降りて、全ての悩みを持ち去る、なんてな。生きる価値は現世に求めるしかないじゃないか、だから、立ち上がって自分達の権利のために戦おう>といった内容が出てくる。白人がもたらしたキリスト教に対するラスタファリ達のメッセージなのだろう。
ボブ・マーリーの父は英国人で、彼が生まれた時にはすでに40歳を過ぎていたらしい。ジャマイカ人の母はまだ十代だったという。その後、トレンチタウンのゲットーで、母一人に育てられた彼には、父の思い出は皆無に等いそうだ。久しぶりに、この歌を聞きながら、そんな話も頭に浮かぶ。
彼が脳腫瘍で38歳の若さで亡くなった時に、ある友人が、「ボブ・マーレイは、本当に歌う聖人みたいだったよなぁ」とポツリ。歌う聖人か…確かに。
ボブ・マーレイとウェイラーズの<Live! (1975年)>を買った理由は、その頃に熱心に読んでいた<ニューミュージック・マガジン>で、北中さんという音楽評論家が、ベタ褒めしていたからだった。友人の誰に聞いても、「ボブ・マーレイなんて名前も聞いたこと無い」という返事だったので、不安はあったけれど、とにかく新宿のディスクユニオンで購入した。店員がレコードを袋に入れて手渡す時に、「これ、良いよ」と言ってくれたのを、まだ覚えている。
僕は、その当時ジャマイカについて、どの位知っていたのだろう。コーヒーの産地、ハーリー・ベラフォンテの出身国、カリブ海にある小さな島国、首都はキングストンなど…学校の地理で習った程度だろうか。
家で早速、レコードへ針を降ろす。ポッ、チリチリチリ…。
最初の曲は、<Trenchtown Rock>。耳のすぐ傍を通る動脈から直接聞こえてくる鼓動の様なベースのリズム。蝉の王様の様な大声のボブ・マーリーと言う歌い手。3人の女性のコーラスが色めかしい。その後、レコードを数回、通しで聞いた。すぐに中毒になり、その音楽の虜になった。
二番目の曲は、セクシャルな歌詞の<Lively Up Yourself>。なんせ、rockして、dipして、comeしてとかなんとか…。レコードの日本語のライナーノートでは、訳者は思い出せないが、今考えると良い訳をしていたのではないかと思う。
赤、緑、黄色のジャマイカの国旗の色、縮れ毛を編み上げたドレッドロックスと呼ばれる髪型、手を広げたような大麻のマークなど、このボブ・マーレイとウェイラーズの音楽と共に日本にも紹介され、気がつくと人気グループとなっていった。
この<Live!>のレコードの中には、政治的メッセージや社会的な不正を憤る歌なども含まれており、その後、Jimmy Cliffなどの歌も聞き出したので、ジャマイカの持つ様々な社会問題を知るようになった。当然だけれど、彼等の生活は歌を聞いて踊って、という気楽なものだけでは無かったのだ。
<奴等は満腹、俺達は飢えてる。飢えてる俺達は、怒れる暴徒>という歌い出しの<Them Belly Full>。貧しい農夫に下された不正な裁判判決を憤る<I Shot The Sheriff>。
興味深いのは、<Get Up, Stand Up>だろう。これは、いわゆるラスタファリズム
アメリカでも1970年前後に、黒人達のアフリカへの回帰運動が起こった。例えば、マルコム・リトルは白人に由来する姓(リトル)を捨て、マルコムX(先祖が捨てさせられたアフリカの名前)と名乗り、イスラム教に改宗した。同じく、カシアス・クレイも英語名を捨てて、イスラム教の下でモハメッド・アリとなった。ラスタファリズムもジャマイカの貧困層を中心に起こされた、アフリカ回帰の思想なのだ。
この歌では、<説教師様よ、語るんじゃねーや、偉大なる神が空から降りて、全ての悩みを持ち去る、なんてな。生きる価値は現世に求めるしかないじゃないか、だから、立ち上がって自分達の権利のために戦おう>といった内容が出てくる。白人がもたらしたキリスト教に対するラスタファリ達のメッセージなのだろう。
ボブ・マーリーの父は英国人で、彼が生まれた時にはすでに40歳を過ぎていたらしい。ジャマイカ人の母はまだ十代だったという。その後、トレンチタウンのゲットーで、母一人に育てられた彼には、父の思い出は皆無に等いそうだ。久しぶりに、この歌を聞きながら、そんな話も頭に浮かぶ。
彼が脳腫瘍で38歳の若さで亡くなった時に、ある友人が、「ボブ・マーレイは、本当に歌う聖人みたいだったよなぁ」とポツリ。歌う聖人か…確かに。
コメント
コメント一覧 (8)
この歌詞の著作権の話も好きだし
♪スーツ(達)の中には悪人もいた♪
というところは大人になってから
うん!うん!と頷いてしまいます。
著作権の話とは、友人の名前を作詞者にしたと言う件ですね。ゲットー生まれの心意気という感じです。
”♪スーツ(達)の中には悪人もいた♪”と言うのは、何を指すのでしょうか?
JOEさん
彼ほど、政治に大きく影響したミュージシャンは居ないでしょう。聞いた話では、ラスタファリズムは、マーリーの死後、求心力を失ったようですけれども。
考えてみると、マーレイが生きていれば、63歳!なんですよね。
オギテツ
このLive良いですよね!
この頃のヴァージョン違いも持っているのですが、
どちらも甲乙つけがたい出来で、ググッと来ます♪
1stも捨てがたいし・・・。
そして、こっそりレゲェ集め始めました・・。
最近、お忙しそうですね。
バージョン違いが有るのですか?
初めて知りました。
そう、このアルバムが僕にレゲエの扉を開いてくれたのです。
オギ
もちろんライブも好きです!
オギ
> 私は初期のアルバムをよく聴きますよ!
> もちろんライブも好きです!
善人の衣を着た悪人がいたという意味みたいです。