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お知らせ

「小熊秀雄を『しゃべり捲れ』講座」〜石川郁夫さんが講演

更新日:2017年11月02日


 「小熊秀雄を『しゃべり捲れ』講座」を11月22日午後6時半から、ときわ市民ホールで開きます。
 旭川ゆかりの詩人、小熊秀雄(1901〜1940)の作品や人となりをもっと市民に知ってもらおうと、小熊の研究者や郷土史家らを講師に招いて開催しています。
 29回目の講師は、小説家の石川郁夫さん。1937年(昭和12年)、礼文島船泊生まれ。北海道学芸大(現道教育大)卒。『ペタヌウ』編集人。著書に『魚吉の裁判』『隆司の夏』『地平を抱く』などがあります。石川さんは小熊賞の最終選考会で司会を務めています。
 小熊は、当時の旭川新聞の記者をしていた時代に、8編の小説を書いて紙面に掲載されています。また、その後、12編の小説を書いているとのこと。
 石川さんは、「小熊らしいユーモアや風刺のきいた鋭い社会批判は、後期の作品には発揮されているのですが、今回は旭川新聞に掲載された、初期の作品について紹介しようと思います」と話しています。
 参加費は500円。テキストとして実行委発行の「小熊秀雄詩撰 星の光りのように」を使います。当日会場でも販売します。1000円(税込)。
 問い合わせは、実行委事務局( あさひかわ新聞内0166-27-1577)へ。
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東京・池袋モンパルナスで小熊秀雄をしのぶ「長長忌」が開かれます

更新日:2017年11月02日

 2017年度の「長長忌」が11月11日(土)午後2時から、としま産業振興プラザ(東京都豊島区西池袋2ノ37ノ4・旧豊島区勤労者福祉会館)6階多目的ホールで開かれます。池袋モンパルナスの会と小熊秀雄協会(ともに本部・東京)の主催。
 小熊は1940年(昭和15年)11月20日、豊島区千早町のアパートで、肺結核のため亡くなっています。39歳でした。「長長忌」は36回目。その名は、長編詩「長長秋夜(じゃんじゃんちゅうや)」にちなみます。「池袋モンパルナス」は小熊の命名とされています。 
 当日は、詩人・エッセイストのアーサー・ビナードさんが講演します。旭川の市民実行委員会が運営する小熊秀雄秀雄賞の選考委員を務めるビナードさんが、「小熊秀雄とボブ・ディランの愉快なつながり」と題して話します。この小熊とディランの話は、今年5月に行われた第50回小熊秀雄賞の贈呈式の記念講演で披露しています。狷本語の天才瓮咼福璽匹諒腹絶倒の講演、会場を沸かせるに違いありません。
 また、その第50回小熊賞を詩集「オバマ・グーグル」で受賞した旭川出身の若き詩人、山田亮太さんが小熊の詩と自作の詩を朗読することになっています。
 参加費は、1000円(学生500円)。当日会場で受け付ける。
 問い合わせは、池袋モンパルナスの会の小池さん(TEL 03-3971-6965)、または小熊秀雄協会の佐相さん(TEL 080-2015-9969)へ。
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小熊秀雄 朗読会「秋の詩」を開催しました〜教育大生8人が小熊作品と『オバマ・グーグル』を

更新日:2017年11月02日

 小熊秀雄朗読会「秋の詩(うた)2017」を9月22日夕、じゃずそば放哉(6条7丁目右1号)で開催しました。
 15回目となる今回は、北海道教育大学旭川校の学生8人(男子3人、女子5人)が、小熊の作品と、今年の第50回小熊賞を受賞した旭川出身の若き詩人、山田亮太さんの詩集『オバマ・グーグル』に収録された詩を朗読しました。
 朗読者はいずれも村田裕和准教授のゼミで学ぶ2年生。山口純平さん(19)、中村玄さん(19)、大塚陽加さん(22)、矢吹優香さん(19)、冨田優美さん(20)、菅原佑希さん(19)、日永教優さん(20)、高橋響さん(21)の8人です。
 照明が落とされた会場で、スポットライトを浴びながら、学生たちは緊張した様子で、それぞれが選んだ詩を朗読。集まった45人が、学生たちの初々しい朗読に耳を澄ませました。
 市民実行委員会の副会長で、自身も朗読会に出演したことがある森内伝さん(80)は、「若い人の朗読はいいですね。皆さん、とても上手でした」と話していました。

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小熊秀雄 朗読会「秋の詩2017」 22日 じゃずそば放哉で 教育大の学生が小熊と『オバマ・グーグル』を

更新日:2017年09月19日

 小熊秀雄朗読会「秋の詩(うた)2017」を22日午後6時半から、じゃずそば放哉(6条7丁目右1号)で開催します。
 15回目の今回は、教育大学の学生8人が、小熊の作品と、『オバマ・グーグル』で今年の第50回小熊賞を受賞した旭川出身の若き詩人、山田亮太さんの詩を朗読します。朗読者(敬称略)は次の通りです。朗読作品は当日のお楽しみ。
 山口純平、菅原佑希、日永教優、矢吹優香、中村玄、富田優美、高橋響、大塚陽加。
 入場券は一般1200円(会員1000円)で、コーヒーとケーキのセットが付きます。朗読が始まるまでの時間、コーヒーとケーキをどうぞ。
 定員40人。入場券は、こども冨貴堂(7条買物公園・TEL 25―3169)で販売しています。
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誕生日にちなみ 常磐公園の小熊秀雄詩碑を清掃

更新日:2017年09月07日

 小熊秀雄賞市民実行委員会のメンバーが7日、常磐公園にある小熊秀雄の詩碑の清掃作業を行いました。
 小熊(1901―1940)の戸籍上の誕生日9月9日にちなんで、会の恒例行事になっています。7人が参加し、碑の前の雑草を取ったり、碑を洗うなどの作業に汗を流しました。
 旭川で新聞記者として活躍した小熊の詩碑が、市民有志によって建立されたのは1967年(昭和42年)のことです。今年は詩碑建立と小熊賞が始まって50年の節目の年にあたります。
 半世紀を経て、詩碑は劣化が進んでいて、メンバーたちは「修復をしなければいけないね」と話し合っていました。

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清掃作業を終えて参加者が碑の前で記念撮影
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「小熊秀雄を『しゃべり捲れ』講座」開く 東延江さんが講演

更新日:2017年07月27日

「小熊秀雄を『しゃべり捲れ』講座」を7月26日夜、ときわ市民ホールで開催しました。
 旭川ゆかりの詩人、小熊秀雄(1901〜1940)の作品や人となりをもっと市民に知ってもらおうと、小熊の研究者や郷土史家らを講師に招いて企画開催しています。
 28回目の講師は、詩人で、旭川の歴史や詩の分野にたくさんの著書がある東延江さん。近く、『続・旭川詩壇史』を刊行する東さんが、その出版記念を兼ねて「昭和初期の旭川の詩人たち」と題して話しました。
 東さんは1938年(昭和13年)生まれ。若い頃から、旭川で活動してきた多くの詩人たちと交流しました。
 「小熊秀雄や今野大力と議論したり、酒を飲んだりした詩人たちの話を聞くことができました」と東さん。例えば、下村保太郎さんからは「小熊はいつも着物を着ていて、その朗読は素晴らしかった」という話や、小池栄壽さんからは、「小熊が上京するときに自分が旅費を出した。僕は遊んで歩かないから、お金があった」という話を直に聞いたそうです。参加した30人が、東さんの話に静かに耳を傾けました。

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約30人が集まった28回目の講座で話す東さん
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『続・旭川詩壇史』の東延江さん講師に 小熊秀雄を「しゃべり捲れ」講座

更新日:2017年07月14日

 「小熊秀雄を『しゃべり捲れ』講座」が2017年7月26日(水)午後6時半から、ときわ市民ホール1階101号室で開かれます。
 旭川ゆかりの詩人、小熊秀雄(1901〜1940)の作品や人となりをもっと市民に知ってもらおうと、市民実行委員会(橋爪弘敬会長)が企画する市民を対象にした連続講座です。
 28回目の講師は、詩人で、旭川の歴史や詩の分野にたくさんの著書がある東延江さんです。東さんは1938年、旭川生まれ。中学生の頃から詩作を始め、十三詩集『花散りてまぼろし』で第47回北海道詩人協会賞受賞。著書に、『旭川詩壇史』『北海道の碑』『旭川の街並み今・昔』など多数。
 間もなく『続・旭川詩壇史』を刊行する東さんが、その出版記念を兼ねて「昭和初期の旭川の詩人たち」と題して講演します。昭和初期、旭川には小熊を含めて、熱気にあふれた青年詩人たちがいました。全道の詩人たちは彼らを「大雪山系の詩人たち」と呼んだといいます。東さんが、『続・旭川詩壇史』に登場する、それらの若き詩人たちに焦点を当てて話します。
 参加費は500円。テキストとして実行委発行の「小熊秀雄詩撰 星の光りのように」を使います。当日会場でも販売します。税込1,000円。
 問い合わせは、実行委事務局(旭川市8条6丁目 あさひかわ新聞内 27-1577)へ。
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第50回選評2

更新日:2017年05月02日

50回目にふさわしい大胆な意欲作
佐川 亜紀(詩人)   

 小熊秀雄賞が五十回目を迎えたことは詩の世界で注目される記録だ。未来に向かってさらに発展させるのにふさわしい新鮮なエネルギーを備えた最終候補作として、『オバマ・グーグル』と『詩碑』の二詩集を推した。
 『オバマ・グーグル』は情報技術が加速度的に変化する現在における言葉と詩と社会に対して鋭い批評性と痛快な風刺を放ち、ウェブページからの引用で表題詩を構成する大胆な実験を試みた。パロディ、風刺、ユーモア、「詩ではない詩」は小熊秀雄の真髄に通じる。今後も既成の枠を打ち破り続ける活気ある表現を望みたい。
 『詩碑』は、在日と朝鮮半島と日本の歴史と未来について真摯に考え、地球的な新しい人間の在り方を提起している重要な作品だ。日本社会で朝鮮民族のルーツを明らかにする困難さを自尊心に高め、朝鮮語に普遍的な意義を加え、アジアの平和を願う。連れ合いや母親との固有の関係から具体的に表された作品が胸に沁みた。
 『音たてて幸せがくるように』は、原発事故の実情が隠蔽される今、福島の現地と避難民の過酷な生活を平易な分かりやすい言葉で伝え、祈りの声が柔らかく温かい。誠実でヒューマンな人生の描写が無念さを倍加させる。
 『馬ぁ出せぃ』は、地方の言葉と風土と歴史をふまえた叙事を定型詩で表わす独創的な工夫が優れていた。韻律だけではなく内容の重層化も含蓄が濃い。庶民の生活からくみ上げた声を効果的に用い、今日に響くものだ。
 『腕を前に輪にして中を見てごらん。』は、感受性が豊かで、身体と言葉が始原に還るみずみずしさに満ちている。一語一語を選び、思いをこめ、リズムにも独特の流れと切れを入れて丁寧さが行き届いている。一層、自分の詩の世界を広げ深められるよう期待したい。
 『ロックンロールは死んだらしいよ』は、各編の非常に魅力的な一行に凝縮と飛躍の醍醐味を感じる。その凝縮と飛躍がすばらしいだけに、他の多くの行との関わりに拮抗や生成が不足しているように思えてしまう。感性は現在をあざやかに掬い上げ、言葉もきらめいている。


「十分に小熊的」だと思う
堀川 真(絵本作家・名寄市立大准教授)
 今回小熊賞候補として私が推したのは「音たてて幸せがくるように」と「詩碑」の二冊だった。前者は、福島の今日を書くにあたってきらびやかな言葉一つ使っていないことに気づいたとき、普段着の世界が抱える重さに深く感じ入り、寄り添いたくなったからだ。後者は、在日というテーマのもつ熱量に圧倒されながら、言いたいことをいうのが詩でないならば何が詩なのかということを私に迫ってきたからだ。選考の結果、今年度の受賞作は「オバマ・グーグル」となった。表題作である「オバマ・グーグル」について考えてみたい。
 「オバマ・グーグル」は、ネット上にある膨大な情報を、大量の出典元とともに再構築した作品である。実は途中で「ここに読み継がれるべき言葉はあるの
か?」という疑問が起こってしまっていたのだが、そう思うことがオバマ、グーグル、ネット情報、そして詩の意味を考え始めることに直結し、本作を理解したことにもなっていた。「オバマ・グーグル」は、その作品を通して、日常において「私は今何を読んでいるのか」という気づきを与えるものであり、私自身、本作を読む前と読んだ後では、言葉に対する信頼度が再構築されたと思っている。
 くしくも選考会の席上、本作の批評性について語る佐川亜紀氏に私が賛意を示したところ、アーサー・ビナード氏が「詩人の言うことを簡単に信じちゃいけないよ!」と発言された。皆それに笑ったのだが、それは詩人自らが言葉の無謬性など信じちゃいないという健康さのあらわれだったように思う。慎重に、噛むように、時に突き放して、滑稽さも視野に入れ、本当の意味を求める。「オバマ・グーグル」の意図を私はそのように受け止めた。電車の中から本が消え、皆がスマホにふれている今日の文字空間において、十分に小熊的であると思う。受賞おめでとうございます。

第50回小熊秀雄賞の選評1

更新日:2017年05月02日

 第50回小熊秀雄賞の4選考委員による選評をお知らせします。あさひかわ新聞のご協力いただきました。2日付のあさひかわ新聞にも掲載されております。

劣化の流れに抗して
アーサー・ビナード(詩人・エッセイスト)

 四半世紀前にぼくは日本語を学び始め、好きな単語、好きな熟語、好きな諺をたくさん覚えてきた。また、決して多くはないが、嫌いな言葉にも出くわした。これまで覚えた中でいちばん気持ち悪い日本語はときたら、「マイナンバー」だ。その媚びた響きから推測すると、広告代理店のコピーライターが作った言葉だろう。権力の企みを包むパッケージにすぎず、根がなく深まる可能性は皆無。英語に置き換えれば一層うさん臭く、税務署の職員に「Give me your my number please」といわれた際、ぼくは唖然とした。yourとmyをくっつけて不条理の域に入っている。
 半世紀の節目の小熊秀雄賞の最終候補作品は、言葉の劣化と闘う力に満ちていて、いろいろな抵抗の可能性を示している。岡隆夫さんは『馬ぁ出せぃ』の登場人物の肉声を通して、土に根ざした日本語を手渡してくれる。『ロックンロールは死んだらしいよ』を綴った山崎修平さんは、短歌の定型の厳しさを生かし、自由詩の表現を高めようとする。
 『腕を前に輪にして中を見てごらん。』には感情移入の実験が含まれ、清水あずささんは山羊に、水滴に、地層に化けてその立ち位置から言葉を蘇らせようとする。二階堂晃子さんは『音を立てて幸せがくるように』を通じて、原発と核開発の巨大な利権に日常語の力を突きつけている。『詩碑』を編んだ丁章さんは、日本語に組み込まれた歴史的勘違いを摘出しようと試みる。朝鮮半島の言語が、その手術のメスとなる。
 そして最も鋭く、いちばん愉快に言葉の抵抗を繰り広げたのは、山田亮太さんの『オバマ・グーグル』だ。題名からプーンと、「マイナンバー」に似たうさん臭さが漂ってくる。当たり前か。虚像のバーチャル大統領をインターネット検索のキーワードに利用して、夥しいグーグル言語の洪水を一瞬堰き止めて切り取り、その断面図を構成したのが「オバマ・グーグル」という一篇なのだ。
 ただコラージュだけでなく、さまざまな手法が駆使されたこの詩集は多様性に富み、例えば巻頭詩の「登山」ではリズミカルな繰り返しが読者を人生のハイキングへといざなう。「いちばんたかいやまのいちばんうえで/ぜんぶのやまをみわたせば」と仮定から出発して、若山牧水の「幾山河」の歌とも響き合い、しかもタイトルの「登山」以外はすべて仮名で綴られて、子どもから楽しめる童謡に仕上がっている。
 一方、第三章の入口に据えられた短詩「無人」は、ぼくらの従順さの度合いを試す、一種のラジオ体操といえる。さて、みなさん「右手を高く挙げなさい」のあとにくる恐ろしい命令に、果たして何パーセントの読者が素直に従ってしまうのか? グーグルで検索しても大統領の一般教書演説を聴いても、答えは出ず、詩を読んで考えるしかない問題だ。

「しゃべり捲くる」の諸相
石本 裕之(旭川高専教授)  
「小熊秀雄賞」第五十回をお祝い申し上げます。
 今回は「しゃべり捲くる」ことの意味や形について考えさせられた。特に印象に残った三点について述べたい。
 山田亮太さんの第二詩集『オバマ・グーグル』。表題作は、現代人の脳化による陥穽の危うさを、読後に突きつける作品。詩集は、現代を切り取る独自の視点・手法、持ち味の風刺性・諧謔性が生かされ、第四十三回小熊賞最終候補の前作『GIANT FIELD』にもまして詩作に豊かさが広がっている点も評価された。一方、諧謔性の裏に隠れつつある滑稽や羞恥の感覚を、私は密かにこの詩人の魅力ととらえている。「訪れたことのないこの町のすべてを/私は知りたい」(「私の町」)、「運転手の誰もがこの配達が徒労になることをわかっていた/なまずくん/私たちの一人はなまずくんと呼ばれていた」(「自動販売機」)。なお、小熊賞第五十回目にして、山田さんが初の旭川出身の受賞者であることを会議後に知らされ、選考委員一同は顔を見合わせたものであった。
 清水あすかさんの第四詩集『腕を前に輪にして中を見てごらん。』。前作『二本足捧げる。』は第四十六回小熊賞最終候補作であった。日本語の古用法が滲む八丈言葉を織り込んだ、詩人独特の言葉の揺れは、懐かしく耳に響く。わが身は風景の色や線と合流する。海も山も、詩に描かれる風景は、地学的な長い歴史に根付いて土着している。「/なんて美しい血管が空に広がっている、/夕方に生えている木の枝が脈を作る、/この身体を推敲して何百年と何千年と/まだ掬われないでいる詩がする拍一つ一つと。」(<木の脈から一手。>)。
 山崎修平さんの第一詩集『ロックンロールは死んだらしいよ』。「言葉」を主テーマに、音楽や儀式や戦いが演奏される詩集だ。登場人物は、町や道や駅や店を舞台に、春や光や祝祭に包まれて、踊るや知るや伝えるを行為する。少年と友人とわたしとあなたとが接しては離れる。現れては、消える。時間や季節や時代がわずかに融解するせいだ。カバー画は三岸好太郎の「道化」なので、読みながら私は札幌の昭和五十年代を歩く気もした。「僕らはすべての生きている腐臭をすべての感情を受け容れないとならない、/そんな無理をしなくても良い好きなものを食べに行こうよ/」(<朝のはじまること>)。





小熊賞50周年事業第1弾の原画展開催中

更新日:2017年04月26日

DSC06213-001小熊秀雄詩碑が常磐公園に建立され、さらに小熊賞が創設されてから今年で50周年となるのを記念する事業の一つとして、藤井紗和個展「焼かれた魚」が旭川市のギャラリーKIDS(7条8丁目買物公園、こども冨貴堂内)で5月17日まで開かれています。小熊秀雄賞市民実行委員会が企画し、こども冨貴堂が協力して実現しました。

藤井さんは1985年、旭川市生まれ。多摩美術大デザイン学科卒。現在は東京のデザイナー事務所で活躍されています。今回の個展のテーマ「焼かれた魚」は、旭川で才能を開花させた詩人小熊秀雄の代表的な童話として知られています。皿の上で身動きのできない焼かれた秋刀魚が、自由な故郷をめざし、無残な姿になりながらも、ひたすら海へと向かった話です。

藤井さんは、この作品で優れたデザイナーに贈られる2015年の日下潤一賞を受賞されました。

展示されているのは22点。クレヨンの一種のオイルパステルで描いた作品は、藤井さんならではの青と白色を基調とした深みのある色彩と、引っ掻くように描かれた線で、小熊秀雄の童話を繊細かつ大胆に表現しています。それぞれの作品には小熊の文章が併せて展示され、秋刀魚の切ない思いがしみじみと伝わってくるようです。 

DSC06193-001藤井さんは「この童話を書いた小熊秀雄という作家は、私の生まれ育った旭川に縁の深い詩人で、小学生の頃通っていた市民プールのある公園に小熊の言葉が刻まれた詩碑があります。しかし、大人になるまで作品を読んだ事がなく、家にあった小熊の童話をまとめた本で初めてその作品と出逢いました。暗く救いがないお話しで衝撃を受けたのを覚えています。ただ暗く悲しい中に、何かひっかかるものがあり、とても印象に残っていました」と話しています。

会場では、これらの原画を挿絵にふんだんに使った本『焼かれた魚』(税込1080円)と原画のポストカード(同150

円)も販売しています。問い合わせは、こども冨貴堂(0166−25−3169)へ。