第52回小熊秀雄賞は東京の柴田三吉さんの詩集『旅の文法』に決まりました。 
5月11日に贈呈式が開催されます。 田中綾・三浦綾子記念文学館館長が記念講演を行います。


 第52回小熊秀雄賞の最終選考会を6日、旭川市高砂台の旅館「扇松園」で開催し、柴田三吉さん(66、東京都葛飾区)の『旅の文法』(ジャンクション・ハーベスト)に贈ることを決めました。
 全国から110点の応募がありました。対象は、2018年1月から12月末までに刊行された詩集。

 選考委員は、アーサー・ビナード(詩人・エッセイスト)、佐川亜紀(詩人)、堀川真(絵本作家・名寄市立大准教授)、松井晶彦(演出家)の4氏。当実行委員会の坂井勝が進行役を務めました。

 実行委員会による第1次審査で18点を選出。その中から2次選考として、実行委員会と4人の選考委員が各2点を推薦し、7点が最終選考会にノミネートされました。最終選考候補は市民実行委員会のホームページなどで公表しました。

 午後3時から始まった最終選考会は、会員25人が見守る中、公開で行いました。4人の委員が、7冊の詩集について講評する形で選考が始まり、2時間半を要して、『雨の巨人』(友理・名古屋市)、『無刻塔』(門田照子・福岡市)、そして『旅の文法』三点に絞り込みました。

 『旅の文法』について、「1冊の詩集としてはムラがあるが、1人の表現者の身体の中で消化されて言葉が出て来ている」と評価する意見の一方で、「全体として力がある詩集だと認めるが、中の1編の詩にリアリティーを感じられない」と反対する声もあり、若い詩人の『雨の巨人』、大分の方言で書かれた『無刻塔』を強く推す委員もいて、白熱した議論が続きました。

 午後6時半過ぎ、反対意見だった委員も「皆さんがそこまで評価するならば」と折れて、「ここで何度も議論された小熊基準を満たし、『この詩集を読んでね』と手渡せる1冊である」として、『旅の文法』に第52回小熊秀雄賞を贈ると決しました。

 柴田さんは1952年、東京都葛飾区生まれ。都立蔵前工業高校卒。父親のあとを継いだ神社仏閣の建築業の傍ら詩を書いてきました。これまでに壺井繁治賞、日本詩人クラブ賞などの受賞歴があります。

 受賞の知らせに、柴田さんは「このたびは伝統ある小熊秀雄賞に選んでいただき、ありがとうございます。小熊秀雄が詩で示した時代への抵抗姿勢は、現在の社会情勢にあって、その重要性が大きく増しています。1935年に出版された『小熊秀雄詩集』の序には、「(この1冊をまとめ)民衆の心臓への接触の機会をつくり得たことはこの上もなく嬉しい」とありますが、私もその精神を受け継いで、民衆の心臓に触れるような詩を書いていきたいと思っています」とコメントを寄せました。
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 第52回小熊秀雄賞贈呈式は、5月11日午後3時から、アートホテル旭川(市内7ノ6)で開催します。受賞者には、正賞の「詩人の椅子」と副賞30万円が贈られます。

 また、記念講演として田中綾・三浦綾子記念文学館館長が話す予定です。授賞者による詩の朗読、選考委員による講評なども行われます。参加費は、700円。問い合わせは、市民実行委員会の氏家(TEL:090-5950-3328)へ。