劇画・長谷川 伸シリーズ 沓掛時次郎 (イブニングKC)劇画・長谷川 伸シリーズ 沓掛時次郎 (イブニングKC)
著者:小林 まこと
販売元:講談社
(2010-11-22)
販売元:Amazon.co.jp
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そらまめパパさんの 

お父さんの[そらまめ式]自閉症療育

にて、ブックレビューされていました。→「沓掛時次郎(劇画・長谷川 伸シリーズ)(まんがレビュー)


股旅物、時代物なんですが

まず、原作とまったく違うものであるということ。

原作をベースにして、まったく違う話しに、漫画家の小林まこと氏が見事に脚色。


しかも、話しの中心に、自閉症の子がいるということ。


私も、ASや軽度発達障害については詳しくなりましたし、自閉症がどんなものかも知ってきましたが

でも実際に、重度と呼ばれる子たちとは、関わる機会もなく

無知に近いのです。


私自身、ブログで自閉症の漫画を描いていく上で

重度の子はどうもイメージがつかめない。


そこでこの本を注文したのですが


これが、もう! 全ページ宝物のような本でした。


当該の自閉症の子どもはしょっぱなから登場します。

つねに耳をふさいで、ぽかーんと口をあけてる のですが

(その耳のふさぎ方も、右手で右耳を抑えるのではなく、右手で左の耳をおさえるかっこうで)


どのコマも、 あー!自閉症の少年だ!  とわかる。


これはすごいわ。


自閉症の漫画といえば、 光とともに…」 ですけど、こちらの光くんは、

だまっていれば、可愛い男の子で、一見障害があるようには見えない。

そのことから、誤解を受けることも多かった。

(光くんですら、そうですから、アスペルガーなどの知的障害がないタイプの自閉症児者は、もっと複雑な誤解を受けるんですよ)


でも、小林まことの描く自閉症のこの男の子は、どこから切り取っても

どのコマを見ても

自閉症の少年なんです。


これは、小林まこと氏に、自閉症のお子さんがいることからなのだそうですが

漫画家らしい観察で、それでいて父親らしい視点で、お子さんのことを見ているのだろうなあと。



時次郎は、六ツ田の三蔵という男を切るのですが、

三蔵には、おきぬという妻と、太郎吉という子どもがいました。

女房子どもも殺せという指示には従えず、女子どもを切る義理もないということで

立場を逆転させ、そのおきぬと太郎吉をつれて、逃亡の旅に出ることになっちゃうんです。


時次郎は、太郎吉に「一生懸命歩いたら、だんごを買ってやる」と約束します。

その途中で、山小屋を発見、そこで休憩とろうとするのですが

急に太郎吉が暴れだします。

だって、太郎吉には「だんご買ってやる」の 約束が先にあるから

途中で、休憩するなら、そこでだんごをもらえなければ、お約束にならないんですもの

結局、時次郎が命がけで山をおりて、おだんごを買いに走るんですね。


そこのところも、自閉症の子らしいなあ…。

と、思いました。



私、小林まこと氏については、

デビュー作をリアルタイムで読んでます。


1・2の三四郎 1 (KCスペシャル)1・2の三四郎 1 (KCスペシャル)
著者:小林 まこと
販売元:講談社
(1988-03)
販売元:Amazon.co.jp
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この当時のイメージが残っているので、 この 沓掛時次郎 を読んで

「うわ〜。こんなに絵のうまい人だったかなあ?」

と、びっくりしました。


また、太郎吉がとても愛くるしい!!

「うきゃー」というような奇声しか発してないのに、

(たぶん、私が自閉症を知らないころ、こんな奇声を発する子をみたら、ぎょっとしていたと思います)

なんというか、

物語とはいえ、みんなが太郎吉を可愛がり、優しくするのが よーくわかる。



物語の構成もよく、もう何度読んでも涙がでます!



このまんま、実写映画化にしてほしい!!!



と、思いました。







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