公認会計士協会からアクセス担当の公認会計士の処分が公表されている。長いが、全文引用する。
気になるには2点。

1つは処分が6ヶ月の業務停止ということと、もう1つはこういった事件を防ぐために、審査体制などを厳格にチェックする体制に監査法人、公認会計士協会、金融庁がいわゆる厳格監査体制に移行しているが、それによってこういった事件を防ぐことができるのか、という点だ。

1点目の6ヶ月の業務停止についてはどう考えても甘い。これだけ不正の兆候があったにもかかわらず何もしなかった会計士に対する処分がこんなもので許されるのは社会一般の常識とはかけ離れていると思う。

次に厳格監査体制によってこのような事件が防げるか、という点だが正直難しい。厳格監査を最終的にチェックする際にはどうしても内容の判断まで踏み込めず書面のチェックになってしまうからだ。要するに資料があって、そこにちゃんとやりました、ということがかいてあれば審査は通ってしまう可能性が高い。以下の例にあるような会計士として信じがたい行動をとる人たちが、審査を通すためにウソをつきとおすことはそれほど想像に硬くない。

プロフェッショナルの仕事をチェックリストで規制するのではなく、まずはとんでもない行為をとった者を厳格に処理しないといけない。そのことによって緊張感をもった業務を遂行する、独立心、プライドをもった会計士が増えていくことがこの業界をよくするはずだ。


○公認会計士の懲戒処分について
http://www.fsa.go.jp/news/24/sonota/20121227-3.html
***以下、引用***
株式会社アクセス(以下、「アクセス」といいます。)が作成した財務書類について、新日本有限責任監査法人(旧法人名:新日本監査法人)の業務を執行する社員(以下、「業務執行社員」といいます。)として監査証明を行った公認会計士に対し、本日、下記の懲戒処分を行いました。


1.処分対象

公認会計士藤原祥孝(登録番号:8393号住所:大阪府東大阪市)

公認会計士清水万里夫(登録番号:8572号住所:大阪府泉大津市)

2.処分内容

上記2名ともに、業務停止6月(平成24年12月28日から平成25年6月27日まで)

3.処分理由

上記2名は、アクセスの平成17年3月期の財務書類に係る監査において、相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明した。

【事案の概要】

アクセスは取引先に協力を依頼し、注文書や検収書等の外部証憑を偽造することにより、架空売上の計上及び売上の前倒し計上等を行い、重大な虚偽の記載のある財務書類を添付した有価証券報告書等を近畿財務局長に対し提出した。

本財務書類に関し、上記業務執行社員2名の行った証券取引法に基づく監査証明については、以下の問題が認められた。

(1)平成16年9月中間期について

ア売掛金の残高確認状を発送したところ、監査チームの主査(上記業務執行社員2名とは別の者)は、売上先のA社監査役より、残高確認状に記載された取引は、A社としては債務の認識がない旨の連絡を2回受け、このことについて上記業務執行社員2名は同主査から報告を受けた。

その後アクセスから、A社の営業担当取締役から売上の減額の要請があり、この要請を受けたい旨の申入れがあったが、上記業務執行社員2名は、A社に対し再度残高確認等を行わないまま、減額前の注文書と検収書が実在することから取引自体は実在するとのアクセスによる説明を疑うことなく受け入れ、また減額の適否についても単に内部証憑を確認したのみで、アクセスの主張どおりA社への売上の計上を認めた。

イしかし、当時のアクセスは、当期利益が3期連続赤字で、銀行からの新規借入れが困難であり、資金繰りが厳しい状況にあった。

また、適時開示において、平成16年9月中間期の連結業績予想の利益を黒字予想で公表していたが、A社への売上の減額により利益が赤字となり得る状況にある中で、この売上の減額とほぼ同時期に、B社への売上について、A社への減額と同額を増額変更して計上した。

このように、不正又は誤謬に起因する財務諸表の重要な虚偽の表示の兆候が見られたにもかかわらず、上記業務執行社員2名は、A社に対し再度残高確認等を行わなかった。

(2)平成17年3月期について

ア上記業務執行社員2名は、当初の監査計画において、売掛金の残高確認を全件実施する予定にしていたが、A社への売掛金についてのみ、アクセスから最終的な契約合意の微妙な時期であるため残高確認状を送付しないよう要請を受けたことなどから、金額的重要性が高く、より慎重な監査手続を行う必要があったにもかかわらず、代替手続を行うだけで、A社への残高確認を実施しなかった。

また、この代替手続においても検収書に記載のあった注文書が存在せず、期末に売上計上した取引の一部が、中間期で売上計上した取引と類似していたなど売上の前倒し等の可能性が疑われたにもかかわらず、上記業務執行社員2名は、上記代替手続により十分な監査証拠が得られたとして、A社への残高確認を行わなかった。

イ上記業務執行社員2名は、A社以外に対する金額的重要性の高い売掛金の残高確認についても、取引先から債務認識が無い旨の回答が2件あったにもかかわらず、アクセスからの「取引先の事務処理遅れ」との説明を受け入れ、再度残高確認を行うなどの十分な追加手続を実施しなかった。

ウ上記業務執行社員2名は、海外の取引先に対する金額的重要性の高い売掛金の残高確認において、残高確認状を自ら発送せず、アクセスが持参することを許容するなど、監査人自身がコントロールせずに残高確認手続を行った。

上記(1)及び(2)のとおり、上記業務執行社員2名は、アクセスの財務書類の監査において、職業的専門家としての懐疑心を十分に保持することなく、また、自己の意見を形成するに足る合理的な基礎を得るために十分かつ適切な監査証拠を入手せずに、証明をした。

***引用、ここまで***