懐中電灯は横領だったのか?
2年ほど前に、
青梅市の姉妹都市ドイツのボッパルトから
1万2000個の懐中電灯が、ボッパルト友好協会を通じて青梅市に届けられました。
ボッパルト市の意図としては、日本は震災によって全国的に停電が続いており
姉妹都市の青梅市も停電で困っているだろうから、
懐中電灯1万2000個を使ってほしいと
ボッパルト友好協会に託したということであった。
その1万2000個を受けたボッパルト友好協会は、
1万2000個を配り切るには
青梅市の協力が必要であると考え、
青梅市に1万2000個を託すことにした。
それを受けた青梅市長は、
「青梅市は停電で困ってはいない。むしろ原発近くの市町村が困っているだろう」
と考え、どこか受け渡せるところはないだろうか?
そうであるならば、受け渡し先を見つけてほしいと、
青梅市の部課長の56名に、
サンプルとしてボッパルト友好協会から受けた懐中電灯を手渡しました。
そこでである。
新聞沙汰になったのは
「青梅市長が懐中電灯を横領して部課長に手渡した」
という論調が市内のみならず、西多摩地域に流れた。
私は、いったいどんな高価な懐中電灯なのだろうとサンプルを見てみたところ・・・。
自家発電ができるオモチャの懐中電灯といっては言い過ぎかもしれませんが
500円くらいの品物であり、横領品と断言するにはどうなのだろうという代物でありました。
市長も「横領してやろう!!」という気持ちは絶対なかったはずで
むしろ、「1万2000個の懐中電灯をどうやって被災地にとどけるか?」
「部課長に託して、懐中電灯の使い道を見つけてほしい」という考えであったと思います。
問題の立て方としては
1万2000個の懐中電灯をどうやって被災地で困っている方々に届けるか?
届け先を見つけるために、いいアイデアはないか?
手始めとして、青梅市の部課長にサンプルとして56個を手渡した検討する。
という設定が正解であったと思う。
望ましい状況は
①ボッパルトから懐中電灯を、1万2000個、青梅市は受け取った。
②青梅市は停電で困っていない。もっと困っている市町村がある。
③青梅市の部課長に56個渡して、届け先を探す。
④届け先が見つかる。(実際、いわき市に届けました。)
⑤ボッパルト市も、ボッパルト協会も、青梅市もいわき市も懐中電灯のリレーによりハッピーな状態になる。
という流れであり、目指すところはこの通りだったと思います。
ところが、
③の青梅市長が部課長にサンプルとして56個を渡したところをあげつらって
横領と断定したことにより
「青梅市は横領の自治体だ。」という世論を作り上げ
ボッパルト市の思いを潰し、ボッパルト友好協会の思いも潰し
青梅市長のなんとかしようという意思を曲解し
青梅市民は、青梅市長が横領したと思いこむ
という
だれも得をしない世論を作り上げたことは
よろしくなかったことであったと思います。
マイケル・サンデル教授の正義とは何か?
という題材になりそうですね。