ぼちぼちと2

生活や人生設計に間接的にかかわる防災や地球科学のおはなし

     ・・・でも毒にも薬にもならないお話が中心です。通勤途上の暇つぶしにご利用ください。

『唯一生き残るのは変化できる者である』 チャールズ・ダーウィン

熊本地震(4)活断層

西宮市は、独自の活断層マップを持っていて(といっても既存資料と特別に違うわけではない)、開発申請があったときに、活断層がその近くを通っている場合、活断層調査を事実上義務付けています。
bidou37
そんな事情があって、何度か活断層調査を頼まれてやったことがあります。ところが横ずれ断層は、断層面が立っているので、ボーリング調査で活断層を検出することができません。大阪層群も断層近くでは曲がっているので、断層なのか、断層近傍の変形なのかわかりません。被覆層が土石流堆積物だと、礫ばっかりでわかりません。ボーリングで活断層調査をするのは、事実上不可能なのです。

bidou36ところが、報告書ではさもボーリングで分かった(「存在しないことが分かった」だけが結論になります)と書かれます。もはやこれは言い訳のための茶番です。

わかるとすれば、トレンチ調査しかありません。トレンチ調査で地山が観察できるためには、被覆層が薄い必要があります。深いと巨大な溝になってしまうからです。被覆層の薄い良質地盤に溝を掘り、観察し、そして埋め戻す。。。良い地盤をチェックするために悪い地盤にしてしまうという馬鹿げたことをしていました。

病気が無いかどうか手術で開腹し、病気が無いことを確認して、縫合するというあり得ない医療のようです。

そこで、微動アレイ計測によって断層を非破壊で検知しようという試みをしました。傾斜地でアレイ配置を使うとなかなかうまくいかないので、同じくらいの高さのところに配置するなどの工夫は必要ですが、こちらの方が合理的です。

masiki39話は熊本に戻って・・・

益城町の馬水地区などの被害のひどかったところの地下に、伏在断層があるのかどうか?ということが住民からの質問でありました。

亀裂分布図の延長線上に載っているように見えるからです。

活断層はあるかもしれないし、無いのかもしれません。緩い被覆層があるために地表にズレが出なかったとして、、、活断層の直上だけが特別な被害を受けるのかどうか、ということもよくわかりません。揺れはその周辺一帯に強く発生するはずです。直上だけが危ないのか?という命題です。

正直言って、直上だけが危ないというわけではないように思いますが、確証はありません。

熊本地震(3)砂上のBCP

morido35「砂上のBCP」はキャッチコピー好きの釜井先生が、熊本地震調査の際に熊本南工業団地で見つけられた谷埋め盛土変動について言われた言葉です。下記の報告書には、「本調査結果は、工業団地における BCP (Business Continuity Plan) にとって地盤データが非常に重要であることを示している。」とオトナシイ表現になっていますが。

谷埋め盛土における被災状況 熊本南工業団地
taniume33
ワンパック住民相談の時間のあいたときにドローン撮影をしようということで、ドローンを持っていっていたのですが、住民相談会の間はそういう時間的余裕はありませんでした。

最終日の朝早くに熊本南工業団地に行ってきました。

morido36工場のブロック積擁壁がブルドーザの排土板の役割をはたして土やアスファルトをめくり上げていました。この工場もBCPを策定されていたと思いますが、地盤が動いて被害を受けることは想定外だったのではないかと思います。

熊本地震(2)弁護士会の感想

6/10-12の専門士業熊本ワンパック住民相談の記録が弁護士会から送られてきました。

住民は様々な悩みを抱えています。法的なものもありますが、そこに本当に住み続けてよいのだろうかという「自然科学的」なものもあります。

そういう事情があることを察して、今回の専門士業熊本ワンパック住民相談は開催されたのだと思います。私は、「行ってくれ」と言われて行っただけなので、その企画段階のことまではわかりません。

gbengosshikai31弁護士会の報告書のまとめの部分には、技術士が行って良かった的なことが書かれていますので、少しはお役に立てたのだろうと思います。

私の感想は、NPOのニューズレターに6/13に流しました。

dokusen32技術士会向けの報告書は、昨日作成して送りましたが、少し表現を軟らかくしています。

技術士会向け報告書
http://toshisaigai.net/event/20160610kumamoto.pdf 

このワンパック住民相談に参加した技術士を除く7つの「士業」はすべて業務独占資格です。中立的な立場で仕事をすることが求められていますので、他人資本の入った株式会社には入らず個人事業主として仕事をされています。

技術士も法律上は中立公正な立場で仕事をしなければなりません。でも、被雇用者として働いている人が大半です。立場的には経営者や株主のために働いているわけです。会社から公正中立は求められていません。自分が正しいと確信する見解よりも、技術基準に忠実で、手間をかけずに利益を上げることが求められます。

その違いこそが、技術士の社会的地位の向上を大きく阻んでいる根本問題です。(技術士自身がそれに気づいていないことも大きな問題です)

しかし、公益社団法人日本技術士会は、技術士の業務独占資格化には大いに後ろ向きです。(最近は後ろ向きであっても発言が出るようになりましたので、以前の「完全シカト」よりも前進したのかもしれませんが)

それは、技術士会のボスが他人資本の株式会社のボスだからです。経営者は株主のために会社が儲かる仕組みを維持することが責務です。上場しているような大手建設コンサルタントが、技術士資格を業務独占資格にすることは、会社にとってデメリット以外の何物でもないので、そのボスが業務独占資格化を推進する動機が無いのは理解しています。

専門士業熊本ワンパック住民相談のレポートは、技術士資格の特異さを技術士自身に感じてもらうことができる良い機会だと思いました。ワードのオリジナルファイルでも渡していますが、その部分が途中で消されたら、それはそれで重要な情報です。(「こんなこと書きよって!」と憎まれれば、無関心よりも相当マシだということになります)
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兵庫県弁護士会の方に、世話人の方がレポートを送ったら、全国の弁護士会にも送りたいとのメールがあったそうです。 弁護士会の方々が、技術士資格が業務独占資格でないことに興味を持たれるとはあまり思いませんが、技術的な問題の裁判の際に技術士が出張ってこない理由の一端はわかってもらえるのではないかと思います。

熊本地震(1)益城町の液状化?

(このブログは、書き溜めしたものをタイマーをセットして公開しているものなので、普通は半月以上前に書いたものを公開しています。ところが今月は何やかんやで時間が取れず、気が付いたらデポが3つくらいになっていました。また週末に熊本行きになりそうなので、ちょっと焦っています。)

trench30先日、専門士業熊本ワンパック住民相談に行ったとき、ちょうど布田川断層のトレンチ調査を京大理学部がやっていて、そこにいた女性(たぶん学生さん)に興味深い説明を聞いたのですが、調査をした方々が最初に公表すべきだと思いますので、これは封印。

益城町で視たり相談を受けた現象は、おそらく液状化なんだろうと思いますが、ボーリング調査データベースなどではN値=1程度の火山灰質粘性土(シルト)のようです。(出典は下記)

熊本地震復興支援ボーリング柱状図緊急公開サイト
masiki26
シルトが液状化したというところまでは良いのですが、噴砂跡がほとんどありませんでした。これが少し疑問点です。以前、当社の美馬君が阿蘇の豪雨災害時に阿蘇の火山灰の単位重量を計測したら、12.9kN/m3でした。場所によっては10.1kN/m3と水と同程度のところもあったようです。粒子が多孔質であることに加え、土の構造的にも空隙が多かったのでしょう。
aso70
極端な例で言えば、水と同程度の土の質量だと、完全液状化しても噴砂は起きません。完全液状化とは過剰間隙水圧比=1のことですが、通常の液状化はそこまでいくことは(たぶん)ありません。0.6〜0.7位ではないかと思います。 13kN/m3だと0.77位でようやく地表まで噴水を押し出すので、土が軽かったこともなんとなく説得力があります。

益城町の土が阿蘇の山の方と同じかどうかわかりませんが、単位重量は軽めだった可能性があります。(左図は豪雨災害で調査に行ったときの阿蘇の計測値です)

専門士業は「サムライ」だった。でも技術士は士業の体をなしていない。

soudan21今年 4 月に発生した熊本地震で大きな被害を受けた地域に対して、阪神・淡路まちづくり支援機構が中心となって専門士業が一堂に会し、住民の相談を受ける「熊本専門士業ワンパック住民相談会」が開催されました。6月10日(金)〜12日(日)までの3日間でした。

その時の記録は、NPOのニューズレターに速報として公開しましたので、興味があれば参考にしてください。

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こういった相談会は、弁護士や税理士などの法制度に詳しい士業の方々がそれぞれの団体独自で開催する形式が多いのですが、今回の災害は土砂災害や地盤災害が多かったということで、他の士業とともに日本技術士会に派遣要請があり、当 NPO の太田英将(日本技術士会防災研究会にも所属)が行くことになりました。(6/1から当社に加わった川浪聖志君も一緒に行きました)

参加者した専門士業は、弁護士、税理士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、司法書士、行政書士、技術士、建築士の8業種です。これだけの士業が揃うと、たいていの住民相談には対応できます。悩んだ姿が、なんかスッとした顔になったり、むしろ将来に夢が持てて明るい顔になったりして、士業冥利に尽きるという感じでした。
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それぞれの士業の方々は、技術士を除いて業務独占資格です。士業は、他者の意向の影響を受けず、中立的な立場で判断しなければならないので、他人資本(株主)がオーナーであるような株式会社の従業員になってはならないのが原則です。

実は、技術士も原則は同じですが、実態は大半が株式会社のサラリーマンで、常に上司や役所OBや株主の意向に沿った仕事をしなければならない立場の「企業内技術士」です。他者の影響下にある限り、本来は士業とは言えません。

今回のワンパック住民相談会では、士業の方々は、まさに他者の影響を全く受けず、自信に満ちて中立的に住民に説明されていました。技術士も、参加したのは個人事務所的な方々ばかりだったので、他人資本の影響を受けず対応できたと思います。(当社も他人資本は入っていません)

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業務独占資格(ぎょうむどくせんしかく、occupational licensing)とは、ある業務に対して、ある資格を有する者のみが行うことができる旨の法令の定めがある場合における、その資格をいう。

有償業務独占資格 - 弁護士、不動産鑑定士、行政書士・・・有償業務の場合のみ独占
無償業務独占資格 - 税理士、司法書士、土地家屋調査士・・・有償無償業務に関わらず独占
行為独占資格 - 建築士・・・業務であるかないかに関わらず全て独占
(労働形態は、基本的に個人事業主=他人資本が入る組織では中立的な仕事ができないから。他人資本が入らない形の法人化はOK。例えば弁護士法人。)

名称独占資格 - 技術士(大半が他人資本が入るサラリーマン=企業内技術士)
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技術士資格も業務独占資格であるべきではないか、との問いに対する日本技術士会の答えは、、、技術士会会長曰く、「技術士の人数が少なかったので職業資格にできなかったが、そのうちRCCMができたので、今の状態で技術士の職業資格化は、社会を混乱させるので困難」

ジョークですか? 

技術士の職業資格化は「社会を混乱させる」??

現状の技術士の「名称独占のみ」の制度に対して、本来業務独占を求めるはずの日本技術士会トップが業務独占資格にならないよう、現在の状態を維持するよう努力しているように見えます(たぶん実際そうだと思いますし、その理由も想像できます)。技術士の狭い世界だけを見ていれば気が付かないかもしれませんが、他の士業の方々とつながりを持つと、きわめて歪(いびつ)でおかしい制度だということが確信できます。

中立である士業は、中立であることが必須である裁判の仕事などでも活躍するわけですが、他人資本にどっぷりと影響を受けた企業内技術士は、裁判の仕事に従事することができません。そんな士業って・・・。

(現在、裁判の仕事に従事している技術士は、当社のような他人資本の入っていない零細なコンサルか、企業をリタイアして株主等の影響圏から解放されたご高齢の方々のみです。公益社団法人日本技術士会会長が属するような大手建設コンサルタントはやっていません。技術士会が唱える、「技術士の地位向上」というのは公共事業の入札参加要件に技術士を入れることと考えているようです。視野が狭すぎます。)

いまの技術士は士業の体をなしていないのです。そのことに気付かないように誘導された企業内技術士(その存在が公共事業受注条件にされている)が大量にいることもまた大きな問題だと思っています。
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ワンパック住民相談の報告書を弁護士会などにも送ってもらっていますが、参加した8士業のうち、技術士だけが業務独占資格でないことも書いています。他の士業の方々は、おそらく「へぇ〜、そうなの。でもそんなので中立的な仕事ができるの?あっ、公共事業だけだからいいのか!」と言うでしょう。特に技術士資格に興味があるとは思えませんが。。。 

技術士資格は公共事業入札の要件にすることによって、なんとなく有意義な資格のような気がしていると思いますが、それは「ゆでガエル」の心持に過ぎないかもしれません。 
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