ぼちぼちと2

     生活や人生設計に間接的にかかわる防災や地球科学のおはなし

     ・・・でも毒にも薬にもならないお話が中心です。通勤途上の暇つぶしにご利用ください。

     『唯一生き残るのは変化できる者である』 チャールズ・ダーウィン

業務独占で個人事業主になれるとしたら?

昨日の日経コンストのページにリンクされていたところに、このような記事がありました。

建設業からの“脱出願望”が強いのは誰? 転職意識調査
発注機関の人は居心地がよく、民間会社は脱出したい人が多い。その理由は、「名ばかり管理職のため、月80〜100時間のサービス残業を強いられた。収入は低く、長時間労働にも疲れ果てて転職を決めた」
yametai1

転職理由としてはもっともだと思います。一度しかない人生で、そんなクソみたいな職場環境にいる必要などありません。

ただ、転職意志を持っている人は良いのですが、「転職したいと思わない」人の中に、仕事や職場環境に満足しているからだけだろうか?という思いがあります。満足しているなら問題ありません。

ひょっとすると、転職すればするほど環境や収入が悪くなるから嫌だ、という消極的な理由も含まれているのではないでしょうか。

建設コンサルでは、技術士資格を持っていても独立して食えません。士業の中で稀有な「役に立たない」資格なのです。ですから、企業に買い叩かれます。転職すればするほど条件が悪くなる可能性が高いです。それなら・・・居座り続けよう、が正解かもしれません。

もし、他の士業と同様に業務独占だったらどうでしょうか?

今の会社評価は入札時に「技術士の人数」で外形的に行われていますが、業務独占になると基本的に個人事業主なので「技術士の契約人数」で評価することになるでしょうか。そんな意味のないことはやめるでしょうか?

個人事業主なので、評判の良い技術士と、「ヤブ技術士」がユーザーによって選別されれます。自動的に質の向上が果たせます。(質の向上が業務独占化の前に来る必要はないのです)

腕の良い技術士は、たくさん稼ぐことができるようになるでしょう。嫌な仕事は断れるでしょう。発注機関の収入の何倍も稼げるようになれば、発注機関の人も「転職したい」と思うかもしれません。

(名称独占のみというのが、高収入を得るチャンスがない最大の理由で、企業が安く雇える理由です。上限のある公務員給与を羨むのはやめて、青天井が目指せます)

腕の良い技術士には、仕事の待ち行列ができるかもしれません。談合や標準歩掛とは無縁の世界があるかもしれません。

これなら「子供に行かせたい業界」でしょう。

公益法人日本技術士会幹部には、業務独占資格化する気持ちが無いかもしれませんが、会員の97%を占める、零細事業者(1社あたりの会員数が5名以下)にとっては動機があってよいのです。

「公益」を目指すのであれば、3社しかない会員数200名以上の大手コンサルのことよりも、97%の零細技術士事務所のことを考えて改革をすすめるのが技術士倫理に適うというものです。

お父さんと同じ仕事はするな!

日経コンストの読者のページに衝撃的な投稿がありました。

「お父さんと同じ仕事がしたい」2017/06/27
小学4年生の息子に「大人になったらお父さんと同じ仕事がしたい」と言われ、反射的に「お父さんの仕事ではなく、公務員になりなさい」と答えてしまった。
otousan5

このかたは、「建設業界は、仕事の醍醐味とも言える新設工事が減少し、維持・補修工事が大幅に増えるなど、環境が大きく変わってきている。今後10年の先行きを見通すことも難しいこの業界に自分の子どもが進むことを望ましくないと思うのは自然な親心だと思う。」と書かれています。

私も自分の子供に、この業界に来てほしいとは思っていません。でも上記の理由ではありません。ルール違反をしないと生きていけない仕組みが改善されないからです。

ルールとは、法律や契約条項のことです。20世紀末に書いたブログにも似たようなことが書かれています。

丸投げ摘発[Date 99/4/2]  ;18年も前に書いたものです。ほとんど改善されていないですね
「丸投げあるいは再委託しているのは、この会社の特異性なのか、業界の構造上の問題なのか」という点に行き着く。
実は当社が元請企業と行う契約書の中にも「再委託の禁止」がはいっています。そしてそれは遵守しています。

契約違反の再委託![Date 99/12/6] 
大蔵省近畿財務局は,95年度から97年度までに4件の国家公務員宿舎設計業務を一般競争入札で大阪市内の「二葉設計事務所」に発注したが,同事務所が設計契約に違反し,業務の一部を同局の承諾を得ずに下請けへ外注したことが明らかになったとして,同事務所を10月18日から9カ月間の入札参加停止処分とした。

法律と契約とどちらが上位かというと、、、実は契約です。法律を破る契約はできませんが、法律でOKでも契約でNGにすることはできます。ゆえに、契約のほうが法律より厳しいのです。

ただ、契約条文が厳しくても、その遵守が徹底されなかったり、場合によっては強い会社に対しては黙認して、弱い会社に対しては契約を盾に罰するという二重基準が行われる恐れもあります。発注側の胸先三寸です。

以前も書きましたが、この業界には談合もまだ残存しているようです。談合決別宣言を出してもまだやっているのです。AIを使えば、どの入札が談合で、どれがガチンコかは容易に判別できると思います(そんなの使わなくてもわかりますけど)。

談合は刑事罰の対象なので、管轄は警察になります。そして刑事罰になります。契約違反は甲乙の問題ですから「刑事犯」ではありません。

多くの場合、営業マンが談合するのでしょうけど、それは基本的に社長の指示です(直接的に言ったかどうかは別として)。

社長が社員に犯罪せよという業界に子供をいかせたいとはおそらく誰も思いません。私は、既にその世界で生きてしまっているのでしょうがありませんが。。。

私が独立した1990年台前半に埼玉土曜会事件などがあり、建設業・建設関連業の談合構造はなくなるだろうと期待したのですが、、、、バレるたびに「もうやりません。誓います」というだけで免罪されるということが繰り返されてきました。

正直者が馬鹿を見る構造が改善される見込みは、いまのところあまり感じません。

建設コンサルの仕事自体は、けっこう面白いものです。「基準病」などの問題もありますが、それはビジネスチャンスでもあるので、一概に排除しなくてもよいのかもしれません。でも、ルール破りをしないと受注も業務遂行もしにくいという業界に、子供をつかせたいとは思いません。

業界全体でイメージアップ作戦をしていますが、根本問題に手を付けないで上辺を飾っても徒労に終わるのだろうと思います(せいぜいマスコミの悪口を言ってウサを晴らす程度)。

技術伝承云々を言う前に、自分の子供に勧めたい体質に改める必要があります。

必要悪?談合が復活していた!被災地復旧工事で1765億円、20社で受注割り振り(2016.03.09)

外向けに何を言おうと、中にいる人はほんとうの体質を知っています。ですから、子供に勧めようとはしないと思います。

「基準というものは,考えるという行為を遠ざけさせてしまう(格好の)道具である。」

「砂防と治水」237号の論説に、京大の小杉先生が「土砂災害警戒・避難における適切な雨量指数とは」と題した論説を書かれています。

現在よく使われいてるスネーク曲線を用いた土砂災害発生予測には、「積算雨量の指数と降雨強度の指標の組み合わせによって斜面内の地下水位変動が予測できているという前提がある」と記載されています。

実際の観測データを使って、本当に地下水位変動が予測できているかということを実証してみると、場所ごとに最適化されたパラメータを使えば可能だが、地点ごとにパラメータを変えないといけない、ということになるそうです。多分そうだろうと思います。

方向性として、データを収集して個別の箇所の最適パラメータをあぶり出す方法と、分からないものは分からないと受け入れた上で工夫してやる、という2つがあると書かれています。これも、もっともだと思います。

その論説の中で紹介されている文献に、大垣先生というかたの「考えることを遠ざけさせるもの」というのがありましたので検索したところ、WEB上にありました。

考えることを遠ざけさせるもの
「基準というものは,考えるという行為を遠ざけさせてしまう(格好の)道具である。」
ひとたび「基準」というものが確立すると,その基準が一定の権威を持つようになります。専門家でさえ,その項目や数値を,さらに深く「考えることなく」,議論や考察の前提にしてしまうことはよくあることです。
“standards”(基準)は,他の言葉に置き換えることもできます。すなわち,「指針」,「ガイドライン」,「マニュアル」,「教科書」,「常識」,「時代の空気」,あるいは,組織内では「永年の慣習」などです。

学会等の懇親会でこういう話をすると、皆異口同音に同意されます。しかし、実践されている人はごく僅かです。「思い」を「行動」に変えられる人は多くないということだと思います。

バックグラウンドに共通の思いや問題意識があって、多くの人が行動はできないという環境は、、、どう考えてもビジネスチャンスです。

私は、土砂災害は自然の神様の意思を読み取れない人間の無知が引き起こしているものだと考えています。神様の意思(侵食・運搬などが対象)を読み解ければ、最終目的である自然との共存、自然の中での居候、すなわち「予防」が可能になると考えています。土砂災害防止のゴールはあくまでもそこにあります。観測などのデータ収集ではありません。それらは神様の意思を読み解くための手段です。

私も小杉先生と同様に、分からないものは分からないで良いが、予防はできるようにする、という立場です。ただ、根本問題は何かを捕まえるために研究的なアプローチはします。土中の過剰間隙水圧にたどり着いたのは、実測によってアプローチしたからです。とはいえ、予防は、個別の調査なしにできるようにする必要があります。「まだ崩れていない斜面」に大きな調査費用をかけるという動機は、ほとんどありませんので。。。ですから調査ではほとんど稼げない、ということを前提にしたビジネスモデルを考えねばなりません。

未解決の問題(3)落石するかどうかの判定

高エネルギーの落石問題は、リングネットなどの柔構造対策の出現で解決されました。

いま残っている問題は、斜面上の転石が落石になるかどうかを判定するというものです。

島根県で走行中の車に落石があたり、助手席の女性が亡くなったという事故がありました。そのため島根県では、落石対策に力を入れています。踏査を中心に評価が行われていますが、崩壊と同様に「見ただけで本当にわかるのか?」という疑問があります。

斜面を見にいって、転石の上を歩いて調査してから時間をおかずにその転石が落石となる場合がります。本当にギリギリのバランスであれば、踏査時に上を歩いた時点で落石になるはずですが、そうはなりません。

なにが落石のトリガーとなるのかは難しいです。

もっともよく言われるのが、凍結融解です。もちろん大きな要因だとは思いますが、その現象で落石が発生する瞬間を見た人はいません。

凍結融解が起きないようなところでも落石はあります。石の根本の侵食だという人もいますが、これも落石の瞬間を見た人はいません。

木の根が亀裂を押し広げたという人もいますが、これも同様に見た人はいませんし、証拠を得た人もいません。

落石問題は、「どういうトリガーで落石が発生するのか」という本質的なことが実はまだわからないのです。

いつものように、見た目と経験と勘で、「まあそんなもんだろう」という人間の合意で理由が作られています。ただ、人間の見た目と経験と勘というのは、人元の寿命=人間の時間感覚がベースになっているので、自然現象を評価する際には誤ったバイアスになりがちです。

私は、ギリギリのバランスでないものが、何かの理由で一気に不安定状態にジャンプする現象があるのではないかと疑っています。だから、踏査時にはその上を歩いても崩れないのに、なにもないときに落ちてしまうのです。

振動・共振がひとつの原因ではなかろうかと思っているのですが、まだ妄想段階です。

鉄道総研では、転石の振動で安定不安定の評価をする研究が行われているというのを聞きました。ただ、まだ装置が大きくて山に持っていくのが大変だともいわれていました。

転石の安定性評価は、エビデンス・ベースドになっていないので、未解決なのです。誤った評価法では、いくら一所懸命に踏査しても、「頑張ったので許してね」というアマチュア的なことにしかなりません。(受注者側にとっては、責任がなくて一番儲かるのがこれなので、変えようという動機が湧くかどうかわかりませんが)

未解決の問題(2)法面小段水路(性悪説の立場の対策)

私は、維持管理に関しては性悪説にたっているので、普段も放置、大雨の後も放置というもっともよくあるパターンの水路をイメージしました。清掃に行くと言っても、多分行かないだろうという前提で物を考えました。

清掃に行かなくても機能が維持できる蓋はどういう構造なら良いんだろう?と考えると、移動した落ち葉や枯れ枝が、水路を超えていってくれたら次の法面に行くだけなので、現状と大差ないから大丈夫じゃないかというアイデアでした。

実は、これは雨樋では実績がある考え方です。セキスイの枯れ葉よけエスロネットという製品があります。

枯れ葉よけエスロネット
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実際にこれが設置されている雨樋が、仕事で歩くところにあって、見事に枯れ葉や枯れ枝を樋に入れずに水だけ入れているところを目撃しました。水路もこれと同じでいいじゃないか!と思ったわけです。

蓋を斜めにするというだけのアイデアです。当初は、一部の水が水路を超えて小段に達して、その勢いで枯葉なども小段に押し流すというイメージでしたが、実際に製品を作って実験してみると、殆どの水がストレーナーで落ちてしまうので、斜め蓋の上に枯葉などが残ってしまいました。
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しかし、雨が上がって乾燥すると、今度は風が枯葉を飛ばしてくれてます。自然の清掃員です。

これなら、メンテナンスフリーの水路蓋になるのではないかと期待できたので、いま山の中で実証実験中です。まだ、大雨が来ていないので、どの程度の差が出るのかはわかっていません。
20170626S
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    (独)土木研究所開発
    土木研究所資料 第4176号 平成22年 土層強度検査棒による斜面の土層調査マニュアル

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