先日見に行った地すべり地で、ずっと前(20年くらい前)に感じたことを思い出し、その答えも見つかったような気がしたのでメモしておきます。

20年くらい前、兵庫県北部の村岡層群(第三系)分布地には、第四紀火山岩が被覆していて、その火山岩類が地すべりを起こしています。兵庫県では有名な地すべり密集地帯です。

dekoboko新しい火山岩類は陸上噴出物なので、その当時の地形面を埋めて堆積しています。すなわち海底堆積物である村岡層群は、その当時にはすでに陸化し、侵食によって地表には凸凹(谷や尾根)ができていたということです。火山噴出物は、その量が少ない時には谷に沿って流れますが、多い場合には谷も尾根も埋めて平坦面を作り上げます。

第三紀層は不透水層で、第四紀火山岩類は良透水性地盤です。このため地下水は、第三紀層の上面を走ります。そして、第三紀層の凹地形(地下の谷地形)に沿って流れます。このため、第三紀層(基盤岩)の谷部の上の土塊が地すべりを起こし、地表に凹地形をつくることが期待されます。

ところが、調べてみるとその逆になっていました。基盤岩の凹地形の直上は、地表地形の凸地形となり、基盤岩の凸地形の直上は地表地形の凹地形になっているという確度が高く、他地域での再現性もそこそこの規則性があることがわかりました。

なぜ?

当時はわかりませんでした。現在は深い土塊よりも浅い土塊の方が、基盤岩傾斜角が同じであれば側方抵抗が小さいので滑り易いという解釈ができます。ただ、地下水は基盤岩の凸地形には少なそうです。漫画的に絵を描くからそう思うだけなのかもしれません。実際にはこんな単純な形状(縦横比もめちゃくちゃだし)ではないので地下水はちゃんと存在しているのかもしれませんし、パイプ流として水圧を作用させてくれているのかもしれません。ここはまだ未知(無知)の領域です。

とはいえ、簡単に考えると「ああなるほど!」となります。コンクリート厚の薄いところから先に剥がれて行くという一般常識と、地すべり土塊が薄いところから先に滑って行くということは、実は似たような話です。