大雨が降ると斜面が崩れます。自然は大雨を降らせて日本中、世界中の斜面を崩すのが仕事なので、決して「異常」ではありません。極めて正常です。その結果としての地形を毎日みんなが眺めているのです。

斜面が崩れると、土砂が流れます。土砂が移動する道中のものはいったん壊されます。自然物であればじきに再生します。たまたまそこに家屋があるとそれも壊れます。自然物ではないので再生しません。ただそれだけのことです。

プレートが押し合って日本列島は隆起し続けています。海面との比高が高くなるにつれて侵食量・侵食速度は大きくなります。自然は海水面の高さと同じになるまでせっせと削るのが仕事だからです。

平野は、とても平坦です。河道が堤防で固定されていたら、土砂は河川内しか流れませんから、こうした平坦面は作れません。平坦面だということは、河道が一定ではなかった証拠です。河道が暴れるのが自然としては正常です。堤防で固定するのは自然から見れば異常で、人工的にしかできません。

侵食は、古くなった表層土砂(地表の垢のようなもの)を雨で流す行為です。古い垢が落ちるので、落ちた場所は一番新鮮で健全です。

joretu7雪害地の地盤強度を計測してみたところ、崩壊跡地がダントツで強く、木が根返りをしているけれど「まだ崩壊していない」場所が一番弱い、という結果になりました。崩壊地は、一番崩れにくい場所ということが言えます。

大雨で崩壊が発生すると、空中写真等で見て「よく見れば崩壊跡地のようである」などというコメントが定型文のようにして出されますが、崩壊跡は一番崩れにくいので、この表現は厳密には違うと思います。崩壊跡地の周辺部が「まだ崩れていないので」崩れやすいのです。 (左図で、崩壊跡地は右上のグループで、崩壊地周辺は左下のグループ)

それに、、、、よく見ても崩壊跡地が周辺にないようなところは、日本の山地・丘陵縁辺地形部には、ほとんどないんじゃなかろうか?とも思います。そろそろ「崩壊跡地」を崩壊の元凶と見るのは止めにしたらどうでしょうか。

対策はというと、一番崩壊しにくく、一番強いところに対策をして、一番弱いところは対策しない、ということが災害対策ではなされています。これは、災害対策で最重要視されているのが、被災住民の「民生の安定」だということを示しているものです。民生の安定は大切なことですが、もうすこし合理的な対策方法にシフトしていくべき時代になってきていると思います。