土壌雨量指数履歴順位第1位となると、地中では何が起きているのでしょうか?

土壌雨量指数の味噌は、土中水分量の絶対値(雨量の絶対値に近いけど微妙に違いますが、雨量と捉えても理解の上では差し支えありません)ではなく、「その地域の順位で評価」するというところです。

雨がいつも多い四国や九州などでは、履歴順位第1位の土壌雨量指数の値は大きいですし、雨が少ない北海道のようなところでは土壌雨量指数第1位の値は小さいです。

地域によって、雨に対する耐性が異なるということです。

気象は地球規模のものですから、大雨が降りやすいところと降りにくいところがありますが、履歴順位第1位となる確率はそんなに違わないでしょう。ということは、豪雨災害が起きる確率は、日本全国同程度と考えて良いことになります。

土壌雨量指数履歴順位第1位となると、土壌水分量が多くなります。土壌水分量が履歴順位第1位となって変化するのは、重量くらいですが、飽和度100%以上にはなれません。土壌雨量指数第5位くらいでも土はグチョグチョになりますから、飽和度100%にはなっているものと思います。でもそれでは崩れません。

土壌水分量の値で崩壊予測をすることはできない、ということです。

崩壊地の調査をすると、とんでもない爆裂孔を見る機会があります。直径2mの穴から吹き出した水で巨大な岩塊が吹き飛ばされた例や、直径10mくらいの円形の土が吹き飛ばされて水とともに流れ去った例などを見ます。こういうのは被災後にも残っているので見ることができたわけですが、土砂崩壊とともに見えなくなる方が多いと思います。

21世紀のはじめ頃、土木学会斜面工学研究小委員会でミズミチ研究の話を進藤先生からお聞きした際に、ピンとひらめきました。ミズミチはソイルパイプという不定形なパイプ状をしています。土中の水の大半は、粒子の間隙ではなく、ソイルパイプ=ミズミチを流れているため、普段は「自然の地下水排除工」として機能しています。

「善玉ミズミチ」ですね。

ところが、自然の地下水排除工というだけあって、その地域で排出する必要がある地下水の量分のミズミチしかできていません。それ以上になると、ミズミチは満タンになります。ミズミチが満タンになると、地下水圧は被圧状態となります。ソイルパイプの飽和地下水面(かなり斜面の上の方)が水頭(ヘッド)になります。細かく言えば、圧力損失が起きますので、そのヘッドがそのままソイルパイプに作用するわけではありませんが・・・。

ソイルパイプが飽和したら「悪玉ミズミチ」に豹変します。侵食の神様の立場で言えば、表層土砂を剥ぎ取る道具になります。悪玉ミズミチ内の水圧こそが、神様の大工道具なのです。そして、ミズミチはジキル博士とハイド氏のように2つの顔を持っています。

つづく