土木研究所の佐々木さんが、土層強度検査棒という画期的発明をしました。極めて軽量の装置で、土層深と土層強度を簡易に計測できる代物です。それまでにも簡易貫入試験などがありましたが(これは結構重い)、打撃貫入抵抗からは土の締まり具合しか情報として得られません。一方、土層強度検査棒は、粘着力c、内部摩擦角φという、斜面安定解析に不可欠な地盤強度が得られます。

この装置の出現で、表層崩壊の正体がとても良くわかるようになりました。

1.表層崩壊の深さは、粘着力cで決まる
 →水圧により内部摩擦角起源の抵抗力は失われるので、対抗できるのが粘着力だけになる。通常表層土の粘着力は、実測するとc=7〜12kN/mですが、傾斜角30度程度の斜面なら、崩壊厚1.5m程度になります。がけ崩れ統計の最頻値と合致します。

2.基盤岩が浅いと爆裂型崩壊(Sudden Spreading)が起きる
 →上記の限界崩壊深よりも浅いところに基盤岩(不動層)があると、内部摩擦角φ起源の抵抗力が失われても、安全率Fs=1.00よりも大きくなります。このためそれだけでは崩壊しません。ところが、過剰間隙水圧はどんどん上昇し、土を地表から引き剥がします。これが爆裂型崩壊です。

3.静水圧(いわゆる地下水位)では、大半の斜面は崩壊しない
 →c、φを土検棒で実測し、安定計算すればすぐにわかります。

大雨による災害が起きると、1週間程度の間に調査に入っていました。そうすると、大きな岩を吹き飛ばしていたり、まんまるの爆裂孔ができているのを見ることができました。最初の内は、どういう原因でできたのかがよくわかりませんでした。

それが、土層強度検査棒で強度と土層深を実測することにより、その謎が解けました。

あとは合理的な対策をどうするか、だけです。