谷埋め盛土の滑動崩落が、いい加減に取り扱われている背景には、めったに地震は起きないし、被害を受けると言ってもこれまで直接的な犠牲者は仁川百合野町だけだし・・・的な甘い考えがあるような気がしています。

福島第一原発は、以前書いたように、偶然が2つ重なって東日本壊滅に至らなかったそうです。その偶然は、いずれも本来であれば「見過ごせないミス」だったのですが、それが幸いして大爆発に至らずに済みました。

全電源喪失になったのは、津波によって発電機が動かなくなったという説ばかりですが、そんな大事な施設に地上からの電力供給が無かったはずがなく、それにはあまり触れられていないのが不思議です。

東京電力の事故調査報告書は、いまでもHPに掲載されていますが、地上の鉄塔が倒れて停電になったために電力供給がなされなくなりました。
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そして、その鉄塔を倒したのは盛土だったのです。(先日、ある大学で講義に使いましたが、先生方は「初めて知った」という驚きの反応でした。生徒さんたちは特に興味なさそうでした。平和な日本です)

盛土は東日本を壊滅の危機に追いやりました。いまごろは、日本のなかで住める国土は半分になっていたかもしれないのです(煽りすぎ?)。

(そういえば3日前が3.11でしたね。私はこういう「記念日」に意味はないと思っているので、特にどうも思いません。そういう記念日を覚え、イベントすることが「頑張ってる」とは思いません。イベントするより盛土をもっとケアするほうが先でしょ。イベントしたけりゃ、「盛土をもっとケアせよ!」というのをしたほうが役に立ちます。すいません、変な性格で)

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現在では地下にどのような谷が隠れているのかわかりませんが、人間のしたことなので復元できます。こういうところが都市には無数にあります。崩れたあとで、「揺れによって強度低下した。これは予見できないので不可抗力」と言われないようにする(たぶん確実にそういわれて責任逃れされる)にはどうしたらよいでしょうか?
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1番の谷に盛られた盛り土が滑って鉄塔を倒壊させました。この谷の幅/深さ比が大きいことは、鳥瞰図を見ただけでもわかりますね。これは縦横比が誇張されています。1:1にすると下記の図のようになります。
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盛土の滑動崩落を甘く見ると、再びこのようなことが起きないとも限りません。たぶん、リスク一覧の中に、いまだに滑動崩落は入っていないと思います。このままでは、次に同じことが起きても、東電と同じような報告書が出るのでしょう。

これをもう少し真剣に検証したら、今日本中で行われている二次スクリーニングみたいに「2次元安定計算した結果、全盛り土に危険性が無いことが判明しました。調査終わります」などというふざけたことは言えなくなると思います。一歩間違えば国の半分が滅びたんですから。

また、盛土は3000平米未満のものは公共事業で変動予測が行われません。小さな盛り土も同様の確率で滑動崩落します。いやむしろ変動する頻度は大きな盛り土より高いです。地震国でありながら、この盛り土への無頓着は何だろう?

(でも本質的には所有者の責任なんですよ。日本の法律では)

表層崩壊も結構悲惨です。斜面防災点検では、「要対策」「カルテ監視」箇所の崩壊率が、全崩壊個所の20%前後と、けっこうキツイ感じです。多くの崩壊は「対策不要」または「調査する候補にもならなかった」箇所で起きています。まだまだ人間の目は節穴レベルです。

盛土も同様に、調査対象外のものがたくさん変動すると思います。調査された3000平米以上の盛土でも30%程度は変動するはずですので、「全盛り土安全宣言」した都市でも、その割合で滑ります。30%を不可抗力と言い張れますか?(最近国交省で行われた委員会の報告書では熊本地震では10%くらいだったとのことでした。集計の仕方でしょうね)

福島第一原発や、仁川百合野町のように、土砂が斜面下方になだれ落ちる、というケースはけっこう稀ではあります。地形条件が鍵です。盛り土の下が急斜面の場合になだれ落ちます。こんな感じ。
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こんな状態になったら、運が相当よくないと助かりません。(逆に言えば、運が良ければ助かります。この写真の家の方が亡くなったのか助かったのかは知りません)