地盤品質判定士会のWEB会議等に参加して思うことは、やっぱりコンサルは公共事業じゃないとやる気がでないんだなぁということです。

実は、宅造法が改正されて変動予測事業が公共事業化されるその瞬間まで、建設コンサルタント業界は、完全無視状態でした。特に大コンサルはガン無視。ちなみに、当初(といっても法改正前の青写真時ですが)は変動予測事業も民民事業とされていたので、コンサルは全く興味を持っていませんでした。

ところが、変動予測事業が公共事業化された途端に我もわれもと・・・。

そして学会は公益法人化し、地盤品質判定士という資格を作って、「これからは公益性を示すために個人の宅地相談だ!」と言っていても、実際にそれに取り組む建設コンサルはほとんどありません。「コンサル企業に属していて個人相手の仕事などできません」です。それが、宅地耐震化事業で、地盤品質判定士に地方自治体が発注するとなると、色めき立つ・・・。

建設コンサルには公共事業しかしない。ということなのでしょうね。哀れを感じます。

私はいつも技術士会の欠点をあげつらっていますが、、、でも技術士会は公共事業にそんなに傾倒していません。建設部門以外はもともと公共事業には縁が薄いからかもしれません。最先端技術を、徹底した品質管理で行っている他部門の人の話は、いつも興味深いです。

NPOでも、行政と協定を結んで云々の話は時々あります。学会も然りです。でも私はあまり積極的にはなりません。学会はコンサル技術者が会員に多いので、協定を結ぶことが多いですが、NPOでそういう話が出ると「やめときましょ」とブレーキを掛けています。

行政ができることを、NPOや学会がしゃしゃり出て一緒にやる必要ありません。むしろ、行政のセーフティネットから漏れる人たちが、NPOや学会が相手にすべき対象です。行政の施策は、最大限多くの人が救われるように作られていますが、漏れる人がどうしても出ます。そこに網を張るのがNPOや学会のはずです。

弁護士が、法律の網から漏れる人たちを助けているようなことが、学会やNPOがやるべき価値のあることです。行政ができることは、行政がちゃんとやりますから(もしやらなかったら、住民からちゃんとやってよ!と言えば済むことです。地方議員さんは、そのためにいるし、使えるだろうし)。

私は、判定士会や学会やNPOで公共事業がしたいとは全く思いません。非公共事業をするためにそこにいると思っています。もちろん、判定士会の仕事の中に行政発注のものもあります。ただし、建設系とはまったく異なる非技術系の部署の仕事なので、非公共事業的です。そういう仕事は、とても面白いです。

公共事業でないと建設コンサル会社にとって取り組む価値がないという事情は、もちろんわかります(経営者目線?)。でも古典的な技術基準にがんじがらめに縛られ、新しい手法を使えません。健康保険適用の治療みたいな感じです。とてもストレスフルです。

民間事業は、「オーサライズされていない」ような(保険非適用)最先端の方法論でも、依頼主に説明して、理解してOKしてさえくれたら使えます。技術者にとって自由の翼があります。ごっつ魅力的な市場なんです。そこに、古臭い手法(昭和の遺物)が押し寄せてくると、魅力がなくなります。
昭和の遺物32

民間市場で、最新技術を使ってデファクトスタンダードをつくるのが、とても魅力的です。公共事業で新技術を使おうとした時の、あの労力の多さと、進捗の遅さは、ちょっと絶望的です。コネも不可欠だろうし。。。そんなの嫌だし。

医療との違いは、医療では保険適用が安く、適用外が高いですが、地盤ビジネスでは逆だということくらいです。でも楽しいから悪くありません。

宅地耐震化の民間市場に、2次元安定解析などという、谷埋め盛土評価に使えっこない(とコンサル技術者だって本音ではわかっている)昭和の遺物を持ち込んで仕事をしたら、気が変になりそうです。マニュアルに書いてあると、そういう心の葛藤が起きない人たちなんでしょうか。それはそれで興味深いので、爪の垢をとって研究したい気がします。