ぼちぼちと2

     生活や人生設計に間接的にかかわる防災や地球科学のおはなし

     ・・・でも毒にも薬にもならないお話が中心です。通勤途上の暇つぶしにご利用ください。

     『唯一生き残るのは変化できる者である』 チャールズ・ダーウィン

土壌・地下水汚染

土壌汚染、健康被害防止と浄化は別物

昨日に続いて、これも2004年ごろの資料が出てきたものです。(タイムスタンプは2004/07/08となっていました)
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土壌汚染防止法ができて、メッシュ法での調査となりました。法令に基づいて「きちんと調査」すると、健康被害を防ぐ対策が可能となります。それが土壌汚染防止法の目的なので、それで良いのです。

一方、土地の売買に伴い汚染物質を浄化する必要が生じることがあります。そして、しばしば、なかなか浄化できずに時間とお金が大幅に増えてしまうということがあります。

豊洲の汚染問題のようなことも起きます。(豊洲もメッシュ法で浄化を計画したために起きた混乱です。法令になっていると、論理的に非合理なことでも、高度な学識経験者を入れても一向に改善される気配がありません。)

これは、健康被害防止の手法と、浄化の手法を同じメッシュ法でやると起きることです。

浄化では、一番濃いところを見つけるということが最重要です。メッシュ法ではそれができません。理屈の上でできないのですからしかたありません。

当社が販売代理店となっているEVSは、地下水を生活水源にしていることが多いアメリカで開発されたソフトウエアです。

映画「エリン・ブロコビッチ」の世界で使うソフトウエアです。

(『エリン・ブロコビッチ』(原題: Erin Brockovich)は、2000年製作のアメリカ映画。アメリカ西海岸を拠点とする大手企業PG&Eから、史上最高額の和解金を勝ち取ったエリン・ブロコビッチの半生を描く。)

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地球統計学をつかって最も汚染物質が濃いところを探せるし、プリュームの推定精度が低い場所を出せるので、無駄なく追加調査地点の選定ができます。

土壌汚染調査をしている人で、論理的に物事が考えられる人にとってはあたりまえのことなのですが、法律ができて、「この方法でやってくれ」「法律に定められた方法でやります」という、ビジネス上無難なやりかたをしていると、この漫画のようなことが起きます。

顧客のために良いことをしようという動機より、責任を取らなくていいように非合理であっても法令・基準等の「大樹の陰」に隠れていようという動機のほうが強いからこうなります。

豊洲土壌地下水汚染の不思議

豊洲市場予定地で浄化したはずの箇所で、環境基準値の100倍位の汚染が、再調査でも出てきてしまった、ということが3月19日に公表されました。

小池知事、豊洲再調査結果「重く受け止める」 
東京都の小池百合子知事は19日午後、豊洲市場(江東区)の土壌汚染対策に関する専門家会議で公表された地下水モニタリングの再調査結果で、最大で飲み水の環境基準の100倍のベンゼンが検出されたことについて「非常に重く受け止めていかなければならない」と述べた。都内で記者団に語った。

これは東京都が公表している汚染データ、浄化データを3次元可視化すれば、容易に想定されることでした。そのことは今年の1月17日に公表しています。

「豊洲地下水、衝撃の基準値超え!」を、EVS解析結果で検証したところ、当たり前のことしか起きていなかった!
EVSで推定した汚染プリュームの広がりをみれば、今回のモニタリングによる分析結果も驚くことではなく、残存している汚染物質が検出されたにすぎない。今後のモニタリングでは、濃度の上昇や、さらに多くのモニタリング井戸においても基準を超過する可能性がある。(2017年1月17日)

こうなる原因は明らかです。土壌汚染対策法では、10mメッシュに区切って、汚染アリ・汚染ナシの二値的評価をすることになっています。この法律が、地上で生活する人の健康被害防止を目的としているので、この方法でよかろうということになっています。

でも浄化するとなると、自然を二値評価した方法論がうまくいくはずもありません。(盛土の地震時滑動崩落で、整数を使った点数法がさっぱりワヤなのと同様です)

汚染物質は連続的に濃度変化するので、アリ・ナシというようにきっちり区分けできません。

調査で汚染が濃いところは、土を抜き取って浄化し、また戻しています。戻したところにモニタリング井戸を設置したので、水が動かなければ、モニタリング井戸から採取される水はきれいなものです。7回めまでのモニタリングで汚染物質が出なかったのは、水が動いていなかったからです。8回目で少しだけ検出されたのは、水が移動しなくても汚染物質が拡散したからでしょう。

浄化した隣の区画では、調査地点では基準以下でも、連続的な汚染が当然あります。10m×10mを中心の1点で代表するというのは、それを見逃す恐れがとても高いのです。(その程度の見逃しであれば地上の人間の健康に関してはOKということだと思います)

地下水位を低下させるために、水を汲み上げ始めました。そうすると、地下水が横に動き始めます。隣の浄化されていない区画から、浄化されモニタリング井戸がある区画に汚染物質は移動します。そして9回目でいっぱい検出されたわけです。

単純な話です。

何が不思議かというと、こんな単純な話をああでもないこうでもないと騒いでいることです。本当に日本は「科学技術立国なのか?」と思ってしまいます。すでにタダの「自称」になってしまっているんじゃないでしょうか。専門家委員会の先生方は、間違いなくわかっている話だと思いますが、その発言には政治への配慮でモゴモゴいうことになっているように見えます。

豊洲地下水の第9回モニタリング結果は「衝撃」ではない

豊洲の地下水汚染に関する問題は、専門家であれば問題の本質は難しくないと思います。それにも関わらず、報道では”専門家会議の委員からは「なかなか見られない現象」「初めての経験」「あまりにもショッキング」と驚きの声が続いた。”と書かれています。その理由こそがミステリーです。

5街区は今回の現象を理解するのにとてもわかり易い分布になっています。白のグリッドは浄化なし、赤のグリッドが浄化あり、です。白のグリッド内の取り残し汚染物質が、浄化した赤のグリッドに移動してきて検出されたということです。
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土対法では、汚染物質の分布を、グリッド単位で評価するわけですが、歯抜けになっているところが本当に汚染なしの箇所だと思えるのでしょうか。汚染物質はそんなに人間の思う通りの分布にはならないでしょう。
toyosu9
マスコミでは、過去の分析に捏造があったかも、と報道していますが、そんなリスクの高いことを分析会社がやる理由があるとは思えません。モニタリング井戸がある箇所は、土を置き換えた場所なので、地下水の移動がなければ汚染物質が検出されなくて当たり前です。水を動かせば、隣のグリッドにあった汚染物質が対策済グリッドの中に侵入して来る場合もありますので、検出されるのは当然でしょう。何も不思議な事はありません。

土対法の方法でも、多くの汚染物質は除去されていると思いますが、対策しなかったグリッド内に残存している汚染物質が水の組み上げによって生じた地下水の流れで移動して、今後も新たなモニタリング井戸から検出されると思います。ずっと組み上げていれば、そこまで汚染物質が到達して除去されるため、いずれはなくなると思います。
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以下は妄想・・・

水を汲み上げて移動させれば、対策をしなかったところに残存している汚染物質が、対策済のモニタリング井戸の位置に移動し検出されることは、専門家であれば予測できると思う。なぜ今回のような事態になったのか?
1.対策していないグリッドに残っている汚染物質は微量で、検出されても基準以下になると思っていた
2.モニタリング中は地下水位管理用の揚水の予定はなかった(地下空間が見つかって騒ぎになって急遽地下水位を下げるためにポンプを稼働させた) 

土対法では、対策後2年間モニタリングをすることになっている。今回の「対策」は、赤のグリッドの箇所の土の置換であり、揚水による対策ではない。揚水は、地下水位管理のためのもので汚染対策ではなかった。故に、揚水は最終水質調査が終了してから行う予定のものだった。ところが、小池知事にかわって、盛土ではなく空間が地下にあることがわかって、そこに溜まっている水に汚染物質が入っていることが報道されたため、地下水を下げる必要が生じた。地下水を下げるための揚水を始めれば、汚染物質が移動することになるので、モニタリング終了後に稼働する予定だったが、最終分析前に稼働せざるを得ない状況になった。 専門家の「驚き」とは、有害物質が検出されたことではなく、検出値が自分の予想より大きかったことではなかろうか。

「なかなか見られない現象」「初めての経験」「あまりにもショッキング」という専門家のリアクションは、こういう事態がいままでなかっただけのような気がする。 あれば、同じようなことを経験し、浄化にグリッドの二値評価ではうまく行かず、3次元的なプリューム解析が必須だということを知っていたはず。
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