2013年09月12日

薬事情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介(2013年7月)    ふくおか県薬会報 vol26より引用


【医薬品一般】
Q:気圧の変化と慢性疼痛(に関係はあるか?(薬局)

A:天候の変化が様々な慢性疾患の症状に影響することは日常経験的
  に知られており、特に関節リウマチ、関節症、神経痛、腰痛、片頭痛等
  の慢性疼痛患者の約30%が体調変化を経験した報告がある。
  また、慢性疼痛モデルラット(神経因性疼痛、関節痛)を使用した実験
  では、大気圧から27hPa減圧した気圧低下により、痛み行動が増強
  する現象が認められている。
  気圧低下による慢性疼痛増強には、以下の機序が示唆されている。
  交感神経が興奮すると、副腎髄質からのアドレナリン分泌が亢進し、
  末梢血管が収縮して組織内の虚血、酸素濃度の低下、pH低下等が
  発生する。
  慢性疼痛疾患では、患部の痛み情報を伝える痛覚線維は局所の
  病的変化に対して感受性が高まっているため、これらの変化が痛覚
  線維の興奮を引き起こす。さらに、慢性疼痛の病態では交感神経と
  痛覚線維間の組織的・機械的な異常連絡が出現し、交感神経の
  緊張が直接的に痛覚線維を興奮させて痛覚増強を引き起こす。


Q:薬剤性白血球減少症の治療法は?(薬局)

A:白血球には、顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)、単球、リンパ球等
  があり、そのうち好中球が約50〜70%を占め、好中球減少が直接
  白血球減少に反映する。薬剤性好中球(顆粒球)減少症の機序は、
  顆粒球系前駆細胞への直接毒性と免疫学的障害(アレルギー性)が
  考えられる。原因薬剤は多数あり、抗甲状腺薬のプロピルチオウラシル、
  チアマゾール、抗がん薬、チクロピジン、サラゾスルファピリジンで頻度
  が高いが、抗痙攣薬のカルバマゼピン、抗不整脈薬、非ステロイド性
  消炎鎮痛薬(NSAIDs)、H2ブロッカー等でも起こる。
  治療は、まず原因薬剤を中止し、感染症合併例には広域スペクトラムの
  抗菌薬を投与する。薬剤中止後、1〜3週後に好中球数は回復する。
  重症の好中球減少症が長期間持続する場合や敗血症等の重篤な
  症例では、ノイトロジンTM等のG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)製剤
  を投与する(がん化学療法による好中球減少症のみ保険適応)。
  また、ロイコンTM錠・注射液(成分:アデニン)とイノシンTM静注
  (成分:イノシン)は「薬物による白血球減少」に適応がある。


Q:ブレディニンTM50咯を3錠1×朝食前で使うことはあるか?(薬局)

A:ブレディニンTM50咯(成分:ミゾリビン)は、核酸代謝におけるプリン
  合成を阻害する免疫抑制剤である。適応により用法が異なり、腎移植に
  おける拒否反応の抑制には1日1〜3回、原発性糸球体疾患による
  ネフローゼ症候群およびループス腎炎や関節リウマチには1日3回服用
  する。ミゾリビンの薬理作用は濃度依存性で、近年、経口パルス療法や
  大量療法等で治療効果を得た報告や、小児ネフローゼ症候群や関節
  リウマチ患者において、1日投与量は変更せずに分割投与から単回
  投与に変更した結果、安全性は損なわずに有効性が改善された報告が
  ある。
  また、食後投与は絶食下投与に比べ吸収が低下し、魚類、肉類、醤油等
  に含まれるイノシン酸により吸収が阻害された報告があり、食事や食事
  の内容がミゾリビンの吸収に影響を及ぼす可能性が示唆されていること
  から、1日1回食事前に投与されることがある。


Q:スポーツをすると貧血になりやすいか?(一般)

A:スポーツ活動に伴って鉄の需要増加、消耗、喪失が生じるため、アスリート
  の貧血の多くは鉄欠乏性貧血である。特徴は下表のとおり。治療は一般人
  と同じく鉄補充を行う。一般人に比べてアスリートの罹患率が高いという点
  については否定的な報告が多い。 
  
  【pseudoanemia】
  トレーニング開始早期に、循環血漿量が増加するため希釈性の貧血が生じ、
  一時的にヘモグロビン値が低下する。治療は必要なく、通常はトレーニング
  継続により1〜2ヶ月で正常ヘモグロビン値に回復する。

  【スポーツ貧血  functional anemia】
  ヘモグロビン値は正常だが、貯蔵鉄指標のフェリチン値が低下した状態。
  鉄補充により、運動能が改善した報告と変化なしの報告があり、適応判断
  は難しいが、症例により鉄補充を検討する。


【安全性情報】
Q:学校の手洗い場で使用する網入り石鹸の網が黒ずんでいるが、
  細菌汚染は問題ないか?(薬局)

A:児童生徒用の網入り固形石鹸の網について、微生物汚染状況を検査した
  報告がある。52検体中107個以上の一般生菌数が14検体から検出された。
  さらに大腸菌群が2検体、黄色ブドウ球菌が1検体から検出された。
  固形石鹸を入れている網には大量の細菌が付着しているものが多く認め
  られたため、網入り固形石鹸の使用に際しては、使用後はよくすすいで
  石鹸や網に付着した汚れや細菌を洗い流す必要がある。
  また網は材質の種類を問わず菌数が高く、使用は極力避けるべきである。
    (平成21年度 学校における食の安全に関する実態調査報告書)


Q:運転免許が与えられない病気等は何か?(卸)

A:現行の道路交通法では、運転免許を受けようとする者ごとに自動車等の
  安全な運転に支障があるかどうかを見極めることとされており、運転免許
  の拒否または取消し等の事由となる病気等について以下のように定めて
  いる(道路交通法第90条「免許の拒否等」の第1、2項、道路交通法施行
  令第33条の2の3「免許の拒否または保留の事由となる病気等」の第1〜
  3項)。

  【幻覚の症状を伴う精神病】
   ・統合失調症 (自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断または
   操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しない
   ものを除く)

  【発作により意識障害または運動障害をもたらす病気】
  ・てんかん(発作が再発するおそれがないもの、発作が再発しても意識
   障害および運動障害がもたらされないもの並びに発作が睡眠中に限り
   再発するものを除く)
  ・再発性の失神(脳全体の虚血により一過性の意識障害をもたらす病気
   であって、発作が再発するおそれがあるもの)
  ・無自覚性の低血糖症(人為的に血糖を調節することができるものを除く)

  【自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気】
  ・躁うつ病(躁病およびうつ病を含み、自動車等の安全な運転に必要な
   認知、予測、判断または操作のいずれかに係る能力を欠くこととなる
   おそれがある症状を呈しないものを除く)
  ・重度の眠気の症状を呈する睡眠障害
  ・自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断または操作のいずれ
   かに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する病気

  【介護保険法に規定する認知症】
 
  【アルコール、麻薬、大麻、あへんまたは覚醒剤の中毒者】


【その他】
 Q:妊娠線はなぜできるのか?予防法は?(一般)

A:腹部妊娠線の発生頻度は初産婦71.6%、経産婦87.6%で、分娩回数が
  増加するにつれ発生頻度は高く、妊娠線の強さも強くなった報告がある。
  腹部妊娠線の発生には、分娩年齢、分娩回数、胎児の大きさ、妊婦の
  体格栄養(体質)等が関与していると言われる。
  妊娠線は腹部のほか、乳房、上腕、太腿、臀部にもでき、一度できたら
  完全に元には戻らない。
   (原因)
   以下の2点があげられる。
  “乕罎竜涎磴平びで、皮膚の表皮は伸びるが、真皮や皮下組織の
    一部のコラーゲン、弾性 線維は伸びにくいため、断裂が起こり、赤紫色
    の線状斑(妊娠線)が現れる。
  妊娠中は副腎皮質ホルモンが増加し、皮膚のターンオーバーが抑制
    されてコラーゲンの生 成が抑えられることにより、弾力を失い皮膚組織
    に断裂が起こりやすくなる。

  (予防法)
   ‖僚泥灰鵐肇蹇璽襦糞涎磴並僚伝加を避ける)
   適度な運動(皮下脂肪を付きにくくする)
     J歇哨吋◆癖部が大きくなり始めたころから臨月まで、専用のクリームや
         オイル等で皮膚 に柔軟さを与える)
     な帯やガードルの使用(腹部を支え、急激な皮膚の伸びを予防) 等
         がある。

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