（本ﾌﾞﾛｸﾞは月水金に更新されます。ｺﾒﾝﾄはmytube20062000@yahoo.co.jp へ）
(写真：整地され、これから野菜でも植えようかと地主さんは考えていたのでしょう。そこに謎の足跡が！！)
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ネコかいな　はたまた謎の　四足か　整地の畑に　残るミステリ

＋＋＋＋＋四道将軍(5)
　藤原不比等とその一派がシナリオ(筋書き)を作り、肉付けをした古事記、日本書紀を祟神天皇の四道将軍派遣説話を典型事例として書いてきました。藤原不比等一派は倭国に起きた様々な出来事、倭国で時の為政者の治世・行為を多少事実をゆがませて倭国史書を編纂したのではありません。そうした事実と多少異なる権力者に都合のよい史書編纂は世界中のどこにでも見られることです。自民党が編纂する自民党史しかりです。共産党が編纂する共産党史が編纂時の党指導部の都合のよい記述で語られることはよく知られています。

　しかし、藤原不比等の歴史編纂はこれとはまったく異なるのです。編纂上の筋書きがあり、この筋書きにあうように倭国を弄繰（いじく）り回したのです。それを私は「無から有｣を捏（こ）ね上げたと書いたのです。そのまさに要（かなめ）が奈良盆地という狭小な地に「箱庭」とよぶにふさわしい倭国史を「構築してしまったのです。まさに信じがたいことですが、そう思うと日本書紀の記述には合点がゆくのです。

　表題の議論に戻ります。ところで、なぜ日本書紀は「相津」(会津)について語らないのか？ここにも記紀の関係を解きほぐす鍵が潜んでいます。そのために再度、日本書紀記事を振り返って見ます(10月17日記事)：
　原文：
崇神天皇十年（癸巳前八八）秋七月(この部分省略)
九月丙戌朔甲午。以大彦命遣北陸。武渟川別遣東海。吉備津彦遣西道。丹波道主命遣丹波。因以詔之曰。若有不受教者。乃挙兵伐之。既而共授印綬為将軍。（中略）

文意：岩波文庫「日本書紀」（一）、286頁より
崇神天皇十年秋七月24日（丙戌朔己酉ひのえついたちのつちのととり）(この部分省略)
　9月9日、大彦命を北陸に、武渟川別を東海に、吉備津彦を西に、丹波道主命を丹波に派遣した。もし教えに従わぬものあれば武力で以ってこれを討つべし、印綬をさずけ彼らを将軍とした。（中略）


　一方古事記は、これを次のように書きます(9月26日記事)
　%%%%%古事記
原文：
又此之御世。大毘古命者。遣高志道。其子建沼河別命者。遣東方十二道而。令和平其麻都漏波奴〈　自麻下五字以音。　〉人等。（中略）。　故大毘古命者。隨先命而。罷行高志國。爾自東方所遣建沼河別。與其父大毘古共。往遇于相津。故其地謂相津也。(後略)

文意（岩波文庫「古事記」102頁より）：
また崇神天皇の治世に、大毘古（おおひこ）命を高志道（こし、現在の新潟、北陸）に派遣した。その子の建沼河別命（たけぬなかわ）を東方十二道に派遣した。そうして麻都漏波（まつろはぬ＝服従しない）人たちを和（やわら）げ平らかにした。（中略：この部分では越へ行く途上、少女の詠む歌から天皇の腹違いの兄の謀反を察知し、これを討った。この戦いで、敗残群が糞をもらし褌を汚したなぞの尾篭なエピソードが語られます）。かくして大毘古（おおひこ）命は天皇の命令を引き続きやりとげ、高志国にたどり着いた。東の道を進軍してきた建沼河別およびその父と相津で出会った。こうしてこの地は相津と呼ばれることとなった。（後略）。
％％％％％　古事記引用終わり

　９月26日記事で私は東国に派遣された将軍を、古事記は「建沼河別命」と書き、日本書紀が武渟川別と書いていることを議論しました。会津は遠く西国から渡来した「高昌｣(こうしょう、匈奴の一派)の名残を深くとどめる場所です。「ショウ」が漢字表記では「沼」になったのです。倭国史ドラフト版である古事記では「音」（おん）をそのまま表記する「沼」が使われました。「沼｣の音が「ショウ」を連想させることを見咎めた藤原不比等は、｢沼｣と同義である「渟」に置き換えたのです。そして、この漢字だけを置き換えることに不自然さを感じさせないために「建｣を「武」に「河｣を「川」に変え、重要点の変更をぼやかしてしまったのです。

　さて、もう一点藤原不比等が神経をいきわたらせたところがあります。上の二つの将軍派遣記事、古事記では「遣高志道」、かつ「罷行高志國」と、はっきりと行き先である「高志」と書いています。一方日本書紀は「遣北陸｣としか書きません。これは藤原不比等の古代史シナリオ作成・編纂にとってまことに重大なﾎﾟｲﾝﾄであるからです。「高志」（こし）は「高昌｣の「こうしおう」が転じたものです。つまり、これは倭国東方に「コウシ」なる地があったことを直ちに連想させるのです。それを藤原不比等は嫌ったのです。「沼」を「渟」に置き換えたのと同じ論理が働いたのです。

　蛇足ですが、北陸三県を「越後｣、｢越中｣、「越前」と呼びますが，この「越」は「コシ」に由来します。つまり古代倭国の東方にあった「古志王｣(こしおう)または「香々背男｣(カガセオ)から派生したのです。

　こうした文脈から、つまり「古志王｣(こしおう)または「香々背男｣(カガセオ)の存在を倭国史から抹殺したいとの藤原不比等の思惑からは「会津｣の地が日本書紀では明記されるはずはないのです。
（つづく）
　
＋＋＋＋＋ある国会事故調査委員は吉田調書報道をこう見てる
　吉田証言、吉田調書どちらもが朝日新聞とかかわっています。この二つの記事でライバルの読売新聞は朝日読者を読売読者に転向させるべくパンフレットまで作成し朝日読者に配布したと聞きます。しかし、戦果はごく微小に終わったようです。
　さて、朝日新聞を擁護する一部の「インテリ」さんは、朝日が吉田調書を「公のまな板」に載せたことを賞賛しています。私はかねてより、読売新聞は評論に値せず、朝日新聞もその「ヌエ的報道｣を折に触れ指摘してきました。今回の吉田調書「スクープ」にも朝日新聞の「進歩面(つら)」が透けて見えるように思っていました。
　そんな折ネットで下記を見つけましたので転載しておきます：
　福島原子力発電所事故の国会事故調査委員をつとめた野村修也弁護士が、吉田調書をめぐる朝日新聞報道についてつぶやいています。
％％％％％野村修也弁護士のつぶやき
http://iiko.hatenablog.com/entry/2014/09/27/142059　
吉田調書の関係で東電の全員撤退問題が話題だが、国会事故調の報告書で決着積みの話。吉田氏以外の証言や東電の内部文書、電話記録等を検証した結果、清水社長の曖昧な伝え方と官邸側の確認不足（大臣が電話口に出るのを避けるなどしたこと）によって生じた官邸側の「誤解」だったことは明らかだ。続く

続き。つまり朝日新聞の「プロメテウスの罠」でスクープされた東電の全員撤退問題は、そもそも「誤報」だったと言わなければならない。「誤解」していた官邸関係者からの取材をもとに書かれたことが原因ではないかと思われるが、この記事は、国会事故調のみならず政府事故調によっても否定された。続く

続き。朝日新聞の記者は、国会事故調の公開ヒアリング後の記者会見で、毎回のように撤退問題に関する国会事故調の調査に不満をぶつけていたが、そのこだわりは徐々に、本店は撤退を考えていたに違いないという事実無根の憶測や、残存者が70人程度では全員撤退に等しいという主張にすり替わった。続く

続き。そして、その延長線上に出てきたのが、今回の「命令違反」報道だった。おそらく朝日新聞の記者は、入手した「吉田調書」の中から、全員撤退につながる発言を探したのだろうが、それが文脈を見誤る原因になったのだろう。国会事故調は関係者の証言だけで事実関係を認定しているわけではない。続き

続き。その意味で、吉田調書という１つの証拠だけで、鬼の首を取ろうとした記者の感覚にも疑問を感じる。いすれにせよ、以上の点からすれば、朝日新聞が誤報と認め訂正すべきなのは、単に今回の「命令違反」の記事だけではなく「プロメテウスの罠」で報じた全員撤退報道それ自体ではないかと思う。

東電の全員撤退問題は、�‥貪堵稟宗↓�反原発論（原発は事故が起これば撤退を余儀なくされるような制御不能なものだから止めるべき）、��菅元総理ヒーロー説（全員撤退を阻止してに日本を救った）と結びついているので厄介だが、そうした主張のために事実を歪めたのでは、事故から教訓は得られない。

新聞が一定の主張を持つことは否定しないし、むしろ重要なことだと思う。政権側と異なる意見は特に貴重だ。だから、朝日新聞のオピニオンの欄で汚染水対策に関するインタビューを受けた際は、とても光栄だと思ったし、今もそう思っている。大切なのは、意見と事実報道の明確な分離。ただそれだけ。

事実を色眼鏡で眺めて都合の良いように歪めて解釈しておきながら「それが事実だ」と言い張って記事を書くのは絶対に許されない。自分の主張からしてたとえ不都合な真実であっても、それを正確に伝えた上で、「意見」であることを明確にしつつ一定の主義・主張を述べる新聞は必要だし尊重されるべき。
2014年9月21日 11:42
％％％％％ツイッタ記事紹介終わり