今般の熊本地震で被災された方々に心よりのお見舞いを申し上げます。


(本ブログは月水金に更新されます。コメントはmytube20062000@yahoo.co.jp へ)
(図1:九州地方の2007-2010期間の地殻変動、国土地理院時報 No.124, 2013 (http://j55.pw/iet4 )より。不動点(中央の赤い星印)をどこに置いて計算するかにもよるが、九州と言う地塊の挙動が見えてきます:図でGNSSとは、「汎地球航法衛星システム」"Global Navigation Satellite System(s)" 、PSIは計算手法)
九州変位


何故なのか 地震の予知の 難しさ 自然の動き 推し量りがたし

 昨今、ジャーナリズムでもてはやされているのが村井俊次東大名誉教授による地震予知です。氏のホームペイジを眺めてみると:
%%%%%村井予測 http://j55.pw/UQki 
「【地震予知の村井俊治氏】4月、5月への予言!最新の地震予測とは? 
大地震の予知・予言のための週刊MEGA最新地震予測について
大地震予知・予言の村井氏による2016年4月6日発行分、MEGA最新地震予測の一般公開情報によりますと警戒リスク上昇地域と下降地域それぞれあるようです。
警戒リスクの上昇地域は、南西諸島(レベル1→レベル2)、北海道道南・青森県(レベル1)。逆にリスク下降の地域は、北信越地方・岐阜県(レベル4→3)、北海道北部周辺(削除)、鹿児島県・熊本県・宮崎県(削除)だそうです。
(参考:http://ch.nicovideo.jp/jesea/blomaga/ar1003813,4/6発行)
%%%%%村井氏ホームペイジ引用終わり

 熊本県での地震リスクは4月は低下したと書いています。つまり村井手法では、地震予兆は検知できなかったのです。村井氏を揶揄するとか貶めるとかの意図は全くありません。むしろ地震予知の難しさを改めて思うからです。何故なら、村井氏の観測とデータ整理はそれなりに手順を踏んでおり、他者による検証が可能です。しかし、その予兆計算手法が地震学的視点から論理的であるのかどうかは私には定かではありません。

 冒頭の図1はGPSの精度を更に高めた地殻変動測量の結果です。人工衛星と航空測量技術を統合した新技術と言ってよいかもしれません。SAR(Synthetic Apature Rader)と呼ばれています。指定された観測期間内での地表の動きを“cm”のオーダで計測できるとされています。但し、計測結果を図示する際には、或る特定地点を不動であったとして解析します。それが上図の星印です。
 不動点が今回の地震の震央近くであったゆえであるのか否か、九州の北西部はあたかも熊本から遠ざかるような(九州が北西-南東に伸張するような)変動が見えています。これは、今般の地震の発震機構解とも整合的です:
(図2:気象庁による本地震の発震機構解、プレス向け解説、第一報より(http://j55.pw/9xrc )
fps-kumamoto


 上図で、“T”が”N”の近くにあります。これは、この地震を引き起こした力がほぼ水平で、その方角が南北を向いていることを示しています。図1と図2を見る限りでは、九州の北半分は南北に引っ張られている、つまり阿蘇山から天草にかかる北東ー南西に走る地質構造線を境いにして、九州が南北に引きちぎられるような地学環境にあるらしいことがわかります。

 こうしたことは地震の発生状況からは見えてきません:
(図3:朝日新聞記事がまとめている吸収地塊内の地質構造、http://j55.pw/dpra (朝日新聞)より
九州断層5


 さて、今般の地震活動を当地の普段の活動に何がしかの予兆を発見することが出来たのでしょうか?図4に見るように、4月3日、6日に今般の地震の震央近くで地震が起きています。しかし、これが4月14日午後9時半の地震の予兆であると事前に断言できる地震専門家はいません。しかし、今にして思えばそうであったのでしょう。これが現在の地震学のレベルなのです。

(図4:気象庁による直前の熊本周辺地震活動、http://j55.pw/PVvc )
seis beforekumamoto

 
 以下に紹介する記事は、読者の皆様のご参考までに転載しておきます。登場する木村氏は、地学的教育を受け、その素養もしっかりとおもちの方ですが、とかく議論が大仰になりがちな方と私は見ています:

%%%%%「東京スポーツ紙」より http://j55.pw/pjWx
熊本の震度7大地震「巨大地震の前兆か」の声2016年4月15日 17時0分 東スポWeb

熊本城の石垣が崩れ、高速道路はデコボコに。熊本県中北部の益城(ましき)町で震度7を観測した14日午後9時26分ごろの地震で、熊本県警は15日、建物の倒壊などによる9人の死亡を確認したことを明らかにした。ほかに心肺停止になった人もいる模様。県内約500か所に一時計約4万4400人が避難した。国内で震度7を観測したのは2011年の東日本大震災以来で、九州では初めて。西日本の広い範囲に揺れが及んだこの地震は、さらなる巨大地震の前兆なのか、熊本・阿蘇山などの火山活動に影響を及ぼすのか。
余震とみられる地震も続いており、15日午前0時3分ごろに震度6強、14日午後10時7分ごろに震度6弱が観測された。気象庁によると、震度7の地震の震源地は熊本地方で、震源の深さは約11キロ。地震の規模を示すマグニチュード(M)は6・5と推定される。
熊本県によると15日午前5時現在で、地震による同県のけが人は少なくとも860人で、うち53人が重傷。気象庁によると、余震は100回を超えた。
各地で道路の陥没や火災、停電、断水も相次ぎ、崩れたがれきなどで一時生き埋めになった人も。熊本城の石垣は崩壊した。
熊本県のほぼ中央北寄りにある益城町は熊本市の東に隣接するベッドタウンで、近くに布田川・日奈久(ふたがわ・ひなぐ)断層帯が存在する。
専門家は地震や余震の分布から、「日奈久断層がずれ動いたことによる地震の可能性が高い」と分析する
政府の地震調査研究推進本部によると、熊本県では1889年に熊本市付近でM6・3の地震が起き、死者20人の大きな被害が出た。江戸時代以降に布田川・日奈久断層帯周辺で起きた複数の地震の記録が残っている。
今月6日には県北部の菊池市で震度1の地震が発生。今年に入って熊本県内では震度1、2を観測する地震が複数発生。震源は約10キロと浅く、熊本地方や天草灘、阿蘇地方が震源となっている。
琉球大学名誉教授の木村政昭氏(75)は今回の地震について、昨年11月14日に九州南西沖で起きたM7・0地震との関連を指摘する。
「この時も震源は約10キロと浅かった。この地域は宮崎県、大分県にまたがる日向灘側のプレートから断続的にプレッシャーをかけられている。私は最終的に日向灘を震源とするM8・7の巨大地震が19〜20年ごろに起きると想定しており、今回の地震はその前兆かもしれない」
火山活動にも注意が必要だ。震源のすぐ近くには阿蘇山があり、数千年前の大噴火では九州全土に被害をもたらした。阿蘇山の中岳では活発な火山活動が続き、昨年9月の噴火では噴煙が高さ2000メートルに達した。今年は2月に1600メートル、3月に1000メートルまで噴煙が上がる噴火があった。
木村氏は「日向灘からの圧力で火山のマグマだまりは上に押し上げられる。九州には阿蘇山のほかにも鹿児島の桜島、雲仙岳、霧島などの活火山がある。地震が火山活動に影響を及ぼす可能性もあるので、しばらく注意が必要だ」と訴える。
日向灘の東方には巨大規模が予想される南海トラフ地震の震源域が横たわる。日向灘付近では昨年7月、大分県南部を震源とするM5・7、最大震度5強の地震が発生。南海トラフ地震の前兆かと懸念する声もあった。今回地震は日向灘の反対側。発生メカニズムの解明が待たれる。
%%%%%東スポ記事転載おわり

+++++パナマ漏洩
 パナマに租税回避をする世界の企業、金持ちのリストの一部が漏れ出たことで、胸に覚えのある関係者がビビッていると「日刊ゲンダイ」紙が報じています:
(図5:日刊ゲンダイ紙記事転載)
panama


 この租税回避措置について経済学者・竹田氏が明快に語っています。私がとりわけの解説を付すことも無いと思います。
(図6:竹田茂夫氏の指摘、東京新聞4月14日付けコラム記事より)
P414竹田