1.ICF
1-1.ICFの歴史

 世界保健機関(WHO)は医療、福祉、教育、労働、などの健康分野において共通概念を設定するために国際分類を開発してきた。まず、障害種別を超えて、障害を持つことには複数の要因が関与するという考え方のもとで、ICIDH(国際障害分類)が提唱された。ICF(国際生活機能分類)はICIDHの考え方の応用として概念が生まれた。ICIDHは障害に注目していたが、ICIDHは「障害」というマイナス面のみに注目しており、それだけでは健康状態を把握できない。そこでICFという考え方が生まれた。ICFは全体的な健康状態に注目した。すなわち、ICFの対象は障害のある人だけに限らず、個人の生活に影響を与える健康上の特徴に関する分類である。ICIDHの「疾患」をICFでは「健康状態」へ、「機能障害」を「心身機能と身体構造」へ、「能力障害」を「活動」へ、「社会的不利」を「参加」へと変更した。ICIDHでは疾患から機能障害、さらに能力障害と社会不利へと一方的であったが、ICFでは相互に影響し合う様子が表現されている。一方向では、障害のあることが不可逆的で、社会的要因が障害を増強させる側面を見逃しがちになるからである。ICIDHではなかった「環境因子」「個人因子」という概念を追加した。ICFは「健康状態」「心身機能と身体構造」「活動」「参加」「環境因子」「個人因子」から成り立つ。

1-2.ICFの特徴
①中立的な立場で見ていくため、誰でも適応できる。
②それぞれの因子が相互的・複合的に関係しあう総合的なモデルである。
③「活動」「参加」では、能力と実行を見る。
④「心身機能と身体構造」「活動」「参加」を統合した「生活機能」という概念を提唱。

1-3.ICFの各用語の定義
心身機能・・・生理的機能
身体構造・・・器官・肢体とその構成部分などの身体の解剖学的部分
活動・・・課題や行為の個人による遂行
参加・・・生活・人生場面へのかかわり
環境因子・・・人々が生活し、人生を送って居kる物的な環境や社会的環境、人々の社会的な態度による環境を構成する因子
個人因子・・・個人の人生や生活の特別な背景


2.自立支援
2-1.自立支援の視点
①自立支援の3段階(自己選択、自己決定、自己遂行の支援)
②生活不活発病の防止と残存能力の活用
③意欲を高める支援(動機と欲求)
④個人の自立とグループの自立
⑤セルフマネジメントの自立
⑥個別化
⑦重度化防止

2-2.自己決定
①何があるのか認識し覚える
②それらの違い(特徴)を理解・認識・覚える
③自分の好み・希望と各品の特徴を比較する
④好み・希望に関するそれぞれの違いを比較する
⑤自分の好み・希望に一番近いものを選出する

2-3.マズローの欲求段階説
 マズローの欲求段階説によると、人の欲求には5段階ある。
①生理的欲求
②安全・安心の欲求
③社会的欲求・所属と愛の欲求
④自我・承認(尊重)の欲求
⑤自己実現の欲求
ケアを提供する際、欲求の段階と各欲求の内容を意識し、それぞれの欲求を満たすケア、次の段階の欲求を満たすケアを提供する視点を持つことが必要である。
これによって、よりスムーズで効果的なケアが提供できるようになる。

2-4.個別性
 集団画一ケアでは個人の希望や一人ひとりの症状が無視されやすく、過剰介護や尊厳の低下など様々な問題が生じる。そのため個別性を中心に置いた「個別ケア」の視点が重要である。

3.障害
3-1.障害の概念
 障害者基本法では、障害者を「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害がある者であって障害および社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」と定義している。

3-2.障害の種類
3-2-1.身体障害
 身体障害には、①視覚障害、②聴覚障害、③平衡機能障害、③音声機能、④言語機能または咀嚼機能の障害、⑤肢体不自由、⑥内部障害がある。

3-2-2.知的障害
 知的障害とは、「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)に現れ、日常生活に支障が生じているため、なんらかの特別な援助を必要とするもの」とされている。
3-2-3.精神障害
 精神障害者とは、「統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質、その他精神疾患を有する者」と定義している。

4.感染症
4-1.介護で問題となる感染症
 介護で問題となる感染症には①ノロウイルス、②インフルエンザ、③白癬菌、④食中毒、⑤疥癬、⑥肝炎、⑦結核、⑧風邪などがある。

4-2.感染症予防の基礎知識
感染症予防で大切なこと
①感染源の排除
②感染経路の遮断
③抵抗力の向上

4-3.感染源
 感染源になる可能性のあるものは、①排泄物(嘔吐物も含む)、②血液・体液・分泌液、③使用器具・器材などです。①~③は素手で触らず、必ず手袋を着用して取り扱うようにする。手袋を外した後でも手洗い・消毒をする。

4-4.感染経路
 感染経路には、①空気感染、②飛沫感染、③接触感染(経口感染も含む)、④血液媒介感染などがある。