岡本法律事務所のブログ

岡山市北区にある岡本法律事務所のブログです。 1965年創立、現在2代めの岡本哲弁護士が所長をしています。 電話086-225-5881 月~金 0930~1700 電話が話中のときには3分くらいしてかけなおしください。

2016年07月

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在日韓国人の法律相談

韓国に住む義父の扶養について義弟と協議したい  日本人妻以外は韓国人

 

質問

わたしは在日韓国人と結婚した日本人女性です。在日韓国人である夫とともに日本の倉敷市に住んでいます。

夫の父は在日1世の韓国人ですが、義母がなくなったあとは、現在は韓国にもどって生活しています。

義父は身体に故障をきたしており、老後の蓄えもなくなってきているようです。

夫には弟が倉敷市にいますが、韓国語は夫も義弟も話すことができません。

しかたなく私と夫が交替で義父の面倒をみるために韓国へいっています。交通費や生活費の援助がばかになりません。義弟にすこしはだしてもらうことはできないのでしょうか。

わたしや夫が言っても裕福なくせに話に応じてくれません。

 

回答

倉敷の家庭裁判所で調停等の協議が可能と思われます。

韓国という外国要素がありますので、どこの国の法律を適用すべきか、国際私法により準拠法を決める必要があります。日本の場合、国際私法という法令はなく法適用通則法が国際私法の主要な部分をしめますが、扶養に関しては「扶養義務の準拠法に関する法律」(略称、扶養義務法)によることになります。親族関係から生じる扶養義務一切について扶養義務法によります。契約による場合は法適用通則法によります。扶養義務の存否、扶養義務者の順位、扶養権利者の範囲、扶養義務の方法、扶養請求権の行使期間などが、決まることになります。扶養義務法は段階的連結主義をとっており、扶養権利者の常居所地法、その準拠法によって権利者が扶養されない場合は当事者の共通本国法、共通本国法がなかったり共通本国法でも権利者が扶養されない場合は日本法によることになります(扶養義務法2条)。

 扶養義務の前提問題である親族関係の存否については法適用通則法に定める準拠法によることになります。本件では義父・夫・義弟については実親子関係ですので、法適用通則法により親子に共通本国法がある場合には本国法、共通本国法なき場合は子の常居所地法によります。相談者と夫の間については法適用通則法24条により相談者については日本法によることになります。

扶養義務については共通本国法があるため義父・夫・義弟については韓国法、義父と相談者については扶養権利者の本国法としての韓国法によることになります。

 韓国民法974条は直系血族及びその配偶者間、生計を同一にする親族間に互いに扶養義務を認めています。

日本民法が直系血族間および兄弟姉妹間にしか扶養義務を認めていない(日本民法877条1項)に比べて扶養義務を認められる範囲が広くなっています。

 本件では相談者・夫・義弟が扶養義務者となります。

扶養義務は扶養権利者が自己の資力又は勤労により生活を維持できない場合に限り履行責任が認められます(韓国民法975条)。扶養の順位については現在の韓国民法では長男優先というようなことはなく、扶養義務者が数人いるときは、当事者が扶養順位を協議して合意できれば、合意内容に従い、合意できなければ裁判所に決めてもらいます(韓国民法976条)。扶養の程度・方法については当事者が協議して合意できれば合意内容に従い、協議がまとまらなければ裁判所が扶養権利者の生活程度と扶養義務者の資力その他初版の事情を斟酌して定めます(韓国民法977条)。この場合は相談者・夫・義弟が扶養義務者として協議をし、まとまらなければ裁判所で決めてもらうことになります。

 韓国の裁判所か日本の裁判所か、いずれに管轄が認められるべきか、ですが扶養義務者が全員日本に居住していますから日本でも国際裁判管轄が認められると思われます;。日本のなかでは全員倉敷市に居住しているので倉敷市の家庭裁判所に管轄が認められることになります。

 

嫁の舅に対する扶養義務がある、というのが日本に住んでいるひとにとっては抵抗があるかもしれませんが、扶養権利者が韓国法が本国法である場合はこのようになります。

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