岡本法律事務所のブログ

2019年02月

期間 法律雑学  岡本法律事務所 弁護士岡本哲 電話086-225-5881
民法総則 第11章

条文をみればわかるとおもってますが、時効とか債務不履行のところでまちがえるとえらいことになる場合もありますので、実務についてら確認をわすれてはいけないところです。

 

 期間とは、ある時点からある時点まで継続した時の区分である。期間を定める法律行為(法律用語です)や法律の規定、裁判所の命令によって期間の計算方法が定められているときはそれによります。その定めがない場合は民法の一般的・補充的な期間の計算方法を定めています。

 

第138条 (期間の計算の通則)

 

期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う。

 

第139条 (期間の起算)

 

時間によって期間を定めたときは、その期間は、即時から起算する。

 

第140条

 

日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

 

第141条 (期間の満了)

前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。

 

第142条

 

期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。

 

第143条 (暦による期間の計算)

  1. 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。

  2. 2項週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

 

解釈上疑義がでるものとして期間をさかのぼる場合の計算方法(140条を類推して最終日不算入とします 3月15日の1週間前とすると3月14日から7をひいて3月7日)、連続しない2個以上の時間帯の合算については直接の規定はありません。ドイツ民法191条では1月を30日、1年を365日トスとしています。日本の場合もそうすべきという説もあるようですが、自分に有利な説を選んで主張することになりましょう。

(参考文献 リーガルクエスト民法1第2版・2018年 274頁)

 

昭和期の議論だと名誉毀損罪で保護される名誉は外部的名誉としての社会的評価であり、言論でなされるのが一般的でしたが写真等の画像をつかったものが平成になってあらわれだした。写真での名誉毀損の事例であり、重く処罰されている。

学者としては保護法益に関して議論をよんだ(クローズアップ刑法・2007年参照) 

二〇歳以上も年下の未婚女性に恋を打ち明け、振られた腹いせに、被害者が淫乱な女性である旨の文書や男女性交のわいせつ写真と被害者の顔写真を組み合わせたものなどを多数回にわたり公衆の目に触れるガードレール、電柱などに掲示し、被害者の名誉を毀損した被告人に実刑を言渡した事例

 

横浜地方裁判所 平成5年(わ)第469号、平成5年(わ)第638号

平成5年8月4日判決

 判例タイムズ831号244頁

       主   文

  被告人を懲役一年六月に処する。

  未決勾留日数中三〇日を右刑に算入する。

 

        理   由

 

 (本件犯行に至るまでの経緯) 被告人は、昭和四四年三月〇〇大学を卒業し、同年四月から○○会社に入社し、同年一〇月から神奈川県〇〇市にある同社〇〇部〇〇課に所属し、(略)の仕事に従事した後、同会社内の〇〇分室に籍を置き、(略)の仕事をしていた。ところが、平成元年八月ころから、上司との仲が気まずくなり、仕事の面でも嫌気をさしていたところ、平成二年四月、甲野春子(昭和四四年生)が同社に新入社員として配属となり、同月下旬ころから同女に実務指導をするうちに、同女に対し好意を抱くようになり、月一回位の割合で二人で外食したり、コンピューターショーを観るなどして日を過ごすうちに、同年一〇月同女に対し好意をもっていることを打ち明けた。しかし、その後同女は被告人に対し急によそよそしい態度をとるようになり、会社内で会っても被告人を避ける態度をとったため、被告人は、腹立たしい気持ちになり、同女に対し、仕返しをしてやろうという気持ちを抱くようになった。同年一二月末には、パソコンで「オマンコが大好きな甲野春子」などと入力したうえ、同女の自宅の電話番号をも入力し、これを印字し、更には社内報に載った同女の顔写真や通信販売で買った雑誌から切り取った女性の陰部の写真を組み合わせたものを一枚の紙にコピーしたものを作成するなどした。

 (罪となるべき事実)

 被告人は

第一 別表第一記載のとおり、平成四年六月三〇日午後九時三三分ころから同日午後九時五七分ころまでの間前後五回にわたり、神奈川県藤沢市辻堂元町六丁目四番三号先路上ほか四か所において、いずれもその場に設置されていたガードレール等に、前記甲野春子(当時二三歳)が淫乱な女性である旨の文章を掲載したビラ五枚を掲示し、これを不特定かつ多数人が閲覧し得る状態に置き

第二 別表第二記載のとおり、同年一○月五日午後九時三六分ころ及び同日午後九時四五分ころの前後二回にわたり、同市辻堂元町六丁目四番二号先路上ほか一かずれもその場に設置されていた電柱等に、前同様のビラ二枚を掲示し、これを不特定かつ多数人が閲覧し得る状態に置き

第三 別表第三記載のとおり、同年一O月一五日午後九時五〇分ころ及び同日午後一〇時二〇分ころの前後二回にわたり、同市辻堂元町六丁目四番三号先路上ほか一か所において、いずれもその場に設置されていたガードレール等に、前同様のビラ二枚を掲示し、これを不特定かつ多数人が閲覧し得る状態に置き

第四 別表第四記載のとおり、同五年一月一日午後五時四六分ころから同日午後六時一〇分ころまでの間、前後八回にわたり、同県座間市栗原中央三丁目二番三号先路上ほか七か所において、いずれもその場に設置されていた住民表示街区案内板等に、男女が性交している等のわいせつな写真及び前記甲野の顔写真並びに同女が不特定の男性と性交を重ねている淫乱な女性である旨の文書等を掲載したビラ八枚を掲示し、これを不特定かつ多数人が閲覧し得る状態に置き

第五 別表第五記載のとおり、同五年二月一日午後一時三〇分ころから同日午後九時三〇分ころまでの間、前後七回にわたり、同県平塚市浅間町一番地の六所在の平塚八幡宮ほか六か所において、男女が性交している等のわいせつな写真及び前記甲野春子の顔写真並びに同女が不特定の男性と性交を重ねている淫乱な女性である旨の文章を掲載した絵馬ようのもの四枚及びビラ六枚を掲示し、これを不特定かつ多数人が閲覧し得る状態に置き

第六 別表第六記載のとおり、同年二月一九日午後九時ころ及び同日午後九時四〇分ころの前後二回にわたり、同県大和市下鶴間二、五四〇番地所在の諏訪神社ほか一か所において、いずれもその場に設置されていた絵馬掛けに掛けてあった絵馬等に、前同様のビラ六枚を掲示し、これを不特定かつ多数人が閲覧し得る状態に置き

 もって、公然事実を摘示して右甲野の名誉を毀損したものである。 、

 (証拠の標目)〈省略〉

 (法令の適用)

  被告人の判示各所為はいずれも刑法二三〇条一項に該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は同法四五条前段の併合罪なので、同法四七条本文、一〇条により犯情最も重い判示第四の罪の刑に法定の加重をし、その所定刑期範囲内で被告人を懲役一年六月に処し、同法二一条を適用して未決勾留日数中三〇日を右刑に算入することとする。

 (量刑の理由)

本件は、被告人が職場の上司等との関係かうまくゆかず、うさを晴らしたいという気持ちを持っていたうえ、好意を抱いていた被害女性から冷たくあしらわれたことから、その仕返しをしようと考え、長期間にわたってわいせつなビラを道路脇のガードレールやバス停留所の柱に貼りつけたり、更にはわいせつな絵馬のようなものを神社の絵馬掛けに掛けるなどして不特定、多数人が閲覧し得る状況に置いて被害者の名誉を著しく傷つけたもので、被害者が二三歳の未婚の女性であること、被害者に何ら落ち度が認められないことなどを考えると、被告人の本件犯行は悪質で、被害者に与えた精神的苦痛は甚大であり、被告人の刑責は重大であると言わざるを得ない。被害者及びその両親は被告人の本件行為により電話番号を変えることを余儀なくされ、更にはガードレールに貼られた本件のわいせつ文書などを剥がすため早朝、夜間と出歩き、精神的にも疲れ、家庭内でそのことから口論が絶えず平和な家庭も崩壊寸前に至ったものである。本件犯行が長期間にわたり極めて多数回に及んだこと、被告人の本件行為により被害者が職場を辞めざるを得なくなった後も被告人は同女の家の近辺で同様の行為を繰り返すという執拗かつ残忍な行為を行っていることなども考えると、被告人がいままで前科前歴がないこと、本件行為により懲戒免職になったことなど被告人に対して酌むベき事情を考慮しても主文刑期の実刑はやむを得ないと判断した。

  よって、主文のとおり判決する。

 (裁判官畠山芳治)


1人でも公衆?――頭の悪い名古屋高裁平成16年月4日判決の一人歩き

            弁護士 岡本 哲

名古屋高裁平成16年3月4日判決は、あまり評釈もでていないようであるがJASRACに変なお墨付きをあたえた、どんでも判決であり、当該裁判官は後世までそしられるべきであると考えている。

 

 

 

著作権侵害差止等請求控訴事件

 名古屋高等裁判所判決/平成15年(ネ)第233号

 平成16年3月4日

【判示事項】 一 社交ダンス教室においてCD等に録音された音楽著作物を再生演奏するのは、著作権法二二条の規定する公の演奏に当たり、同法三八条の規定する非営利で料金を受けない演奏には当たらない

 二 訴訟の提起前に実施された著作権侵害に関する一回の実態調査の結果に基づき、訴訟の提起前三年間につき不法行為に基づく損害賠償請求が、それに先立つ七年間につき不当利得に基づく利得返還請求が認容された事例

 判例時報1870号123頁

 

       主   文

 1 一審原告の控訴に基づき,原判決主文第3項を,次のとおり変更する。

 (1) 一審被告株式会社ツゲは,一審原告に対し,193万5360円を支払え。

 (2) 一審被告Aは,一審原告に対し,302万4000円を支払え。

 (3) 一審被告亡H訴訟承継人Bは,一審原告に対し,362万8800円を支払え。

 (4) 一審被告Cは,一審原告に対し,201万6000円を支払え。

 (5) 一審被告D及び一審被告Eは,一審原告に対し,連帯して302万4000円を支払え。

 (6) 一審被告Fは,一審原告に対し,241万9200円を支払え。

 (7) 一審被告Gは,一審原告に対し,287万8848円を支払え。

 (8) 一審原告のその余の請求をいずれも棄却する。

 2 一審原告のその余の控訴及び一審被告らの各控訴をいずれも棄却する。

 3 原判決主文第1項及び第2項中,一審被告Hに関する部分の「H」を「亡H訴訟承継人B」と変更し,一審被告Eに関する部分の「I」を「E」と,一審被告Fに関する部分の「J」を「F」とそれぞれ更正する。

 4 訴訟費用は, 1,2審を通じてこれを5分し,その1を一審原告の負担とし,その余を一審被告らの負担とする。

 5 この判決の主文第1項の(1)ないし(7)は,仮に執行することができる。ただし,一審被告株式会社ツゲが125万円の,一審被告Aが200万円の,一審被告亡H訴訟承継人Bが240万円の,一審被告Cが130万円の,一審被告D及び一審被告Eが各々100万円の,一審被告Fが160万円の,一審被告Gが190万円の各担保を供するときは,供託した者に対するこの判決主文第1項の(1)ないし(7)及び原判決主文第2項の(1)ないし(7)の仮執行を免れることができる。

 

        事実及び理由

 

 第1 控訴の趣旨

 (一審原告)

 1 原判決主文第2項及び第3項を,次のとおり変更する。

 2 一審被告ら(ただし,一審被告Kを除く。)は,原判決別紙差止請求一覧表記載の各自の社交ダンス教授所施設から,原判決別紙物件目録記載の録音物再生装置及び関連機器を撤去せよ。

 3(1) 一審被告株式会社ツゲ及び一審被告Kは,一審原告に対し,連帯して422万6707円及びうち344万3675円に対する平成14年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 (2) 一審被告Aは,一審原告に対し,719万5957円及びうち594万8550円に対する平成14年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 (3) 一審被告H訴訟承継人Bは,一審原告に対し,866万7765円及びうち713万8260円に対する平成14年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 (4) 一審被告Cは,一審原告に対し,481万5403円及びうち396万5700円に対する平成14年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 (5) 一審被告D及び一審被告Eは,一審原告に対し,連帯して660万4350円及びうち538万0752円に対する平成14年12月14日から各支払済みまでいずれも年5分の割合による金員を支払え。

 (6) 一審被告Fは,一審原告に対し,660万4350円及びうち538万0752円に対する平成14年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 (7) 一審被告Gは,一審原告に対し,1322万1679円及びうち1214万5335円に対する平成14年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 4 訴訟費用は,1,2審とも,一審被告らの負担とする。

 5 仮執行宣言

 (一審被告ら)

 1 原判決中一審被告ら敗訴部分を取り消す。

 2 上記取り消しにかかる一審原告の請求をいずれも棄却する。

 3 訴訟費用は,1,2審とも,一審原告の負担とする。

 第2 事案の概要

 1 本件は,音楽著作物の管理等を業とする一審原告が,社交ダンス教授所(社交ダンス教室)を経営する一審被告ら(ただし,一審被告Kを除く。もっとも,以下においては,ダンス教授所の経営主体を示す場合,法人の取締役である一審被告Kを除くその余の一審被告らを単に「一審被告ら」ということもある。)に対し,著作物の無許諾使用行為を理由として,著作権法(以下「法」という。)112条に基づき,一審原告が管理する音楽著作物の使用差止め(同条1項)と録音物再生装置等の撤去(同条2項)を求めるとともに,一審被告ら(一審被告Kを含んでおり,同人に対する請求の根拠は,法人の責任に加え,商法266条の3第1項に基づくものである。)に対し,主位的には不法行為に基づき,①使用料相当損害金,②これに対する履行期後の日である各翌月1日から平成14年11月30日まで民法所定の年5分の割合による既経過遅延損害金及び③弁護士費用並びに①と③の合計額に対する同年12月14日から支払済みまで同割合による遅延損害金の各支払を,予備的には(主位的請求について時効の抗弁が認められることに備えて)不当利得に基づき,上記と同額の利得金及び悪意受益者の利息金の返還を求めた事案であるが,原審が一部認容の判決を言い渡したので,これに不服がある当事者双方が控訴したものである。

  なお,一審被告Hは,控訴後の平成15年2月17日に死亡し,同人の権利義務をBが承継した。

 2 前提事実は,次のとおり付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第2」の「1」に摘示のとおりであるから,これを引用する。

  原判決6頁12行目の末尾に,次のとおり加える。

 「また,同一覧表の施設番号3の施設は,一審被告Hが平成15年2月17日に死亡するまで経営し,その後は同人の訴訟承継人であるBが経営している。」

 3 本件の争点及びこれに関する当事者の主張は,次のとおり付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第2」の「3」及び「4」に摘示のとおりであるから,これを引用する(ただし,同「3」を「2」に,同「4」を「3」と訂正する。)。

  原判決24頁18行目の末尾に,次のとおり加える。

 「例えば,一審被告Gの経営する原判決別紙差止請求一覧表の施設番号7は,平成10年6月開設後,レッスン数が徐々に増えていること,一審被告Fの経営する同施設番号6は,平成13年1月に長年勤務していたダンス教師が独立し,生徒の約8割がそちらに移ったため,生徒数が急減したが,その後生徒数は増加していったこと,一審被告Cが経営する同施設番号4は,2年前から専属スタッフが増えたことなどから,受講者数が増えたことなどの事情がある。」

 第3 当裁判所の判断

 1 当裁判所は,一審被告Kを除く一審被告らが,それぞれが経営する本件各施設において,営業時間中,本件物件を操作して,CD等に録音された管理著作物を再生する行為は,①法22条が規定する公衆に対する演奏に該当し,②法38条が規定する非営利の演奏には該当せず,③著作物の公正な使用(フェア・ユース)に該当することを理由とする一審被告らの権利濫用の主張は認めることができないから,一審被告らの行為は一審原告の演奏権を侵害するものであり,④一審被告らに対して,一審原告が使用料規程等に基づいて著作物の使用料を請求することも,権利濫用とはいえず,⑤平成14年3月31日まで演奏権を制限していた法規の下でも,法附則14条が適用されない例外に該当し,一審原告が演奏権を行使できるものと判断するが,その理由は,次のとおり削除訂正するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の「1」ないし「5」に説示のとおりであるから,これを引用する。

 (1)原判決30頁20行目の「甲5の1ないし7」を「甲5の1ないし7,乙43の1ないし7,44」と改める。

 (2)同頁21行目から22行目の「受講を希望する者は,」の後に「ある程度社交ダンスの経験を積んでいてさらに研鑽を積むために受講を申し込む者が多いという傾向が見られるものの,全くの初心者であっても」と改める。

 (3)同32頁1行目の「①」及び3行目の「こと,②」から8行目の「考えられる」までを,いずれも削除する。

 (4)同36頁12行目の「社会通念上許容されていると考えられる上」を「社会通念上許容されており,一審原告が一審被告らに対して,許諾契約締結にあたって,過去の無許諾利用分について精算を求めたとしても,正当な権利の行使であると考えられる上」と改める。

 (5)同39頁末行の「被告らの論法に従えば,」から40頁4行目の「事実が認められる。」までを,「甲12の4によれば,著作権問題を所管する文化庁は,昭和45年の法改正に伴う施行令の制定に当たって,ダンス教授所と同義であると考えられる「ダンス教習所」は法施行令附則3条2号に該当するものと解釈していたことが認められる。」と改める。

 2 一審被告らの上記著作権侵害行為に基づく損害について検討するに,

 不法行為に基づく損害については,①1曲1回当たりの使用料相当損害金,②本件各施設におけるダンス教授所の平均月間営業日数,③1日当たりの管理著作物の利用数については,いずれも,原判決の判断と同様に,以下のとおりであると認められ,その理由は,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の「6」の「(1)」の「ア」の「(ア)」及び「(イ)」に説示のとおりであるから,これを引用する。

   ① ② ③

(1)一審被告株式会社ツゲ 60円 12日 32曲

 (2)一審被告A      60円 24日 25曲

 (3)亡一審被告H     60円 24日 30曲

 (4)一審被告C      40円 24日 25曲

 (5)一審被告D,E    60円 20日 30曲

 (6)一審被告F      60円 20日 24曲

 (7)一審被告G      60円 24日 119曲

そして,以上の数値をもって一審原告の損害算定の基礎とし得る侵害期間は,後記のとおり,一審被告Gを除けば,10年間であるというべきであるが,不法行為に基づく損害賠償請求については,一審被告らが,本訴提起から3年前以前の不法行為に基づく損害賠償請求権は,3年の消滅時効(民法724条)にかかっていると主張して,消滅時効

を援用しており,証拠(甲5の1ないし7,16の1ないし3の1及び2)及び弁論の全趣旨によれば,一審原告は,昭和52年8月,名古屋市内の5か所のダンス教授所において,音楽著作物のCD等の再生について調査しており,その中には,原判決別紙差止請求一覧表の施設番号2ないし4のほか,同施設番号1の本校に当たる桜山本校の実態調査が行われたこと,同施設番号1については,上記のとおり,桜山本校があるほか,笠寺分校があるし,同施設番号5についても,四日市及び津に教室が,同施設番号6についても,丸の内及び本山に教室が,同施設番号7についても,大府及び熱田に教室がある上,同施設番号7については,教師の数が22名と,他のダンス教授所に比べて,相当多数であることが認められ,これらの事実を勘案すれば,著作権等管理事業者として普段から音楽著作権の侵害行為に注意を払っていた一審原告は,本件訴訟提起の3年以上前から,一審被告らがダンス教授所において音楽著作物を許諾なく使用するという不法行為を知っていたものと推認することができる。すると,一審被告らによる時効消滅の主張,すなわち,本訴提起から3年前以前の一審原告の一審被告らに対する不法行為に基づく損害賠償請求権は,3年の消滅時効(民法724条)にかかっているから,一審被告らが,本訴において,同時効を援用することによって消滅したとする主張は理由があるというべきである。すると,不法行為に基づく損害賠償をなし得る期間は,本訴提起時から遡って3年前の時点である平成11年6月1日以降,一審原告が終期とした平成14年11月30日までの42か月となり,一審被告らが一審原告に支払うべき①使用料相当損害金,②確定遅延損害金,③弁護士費用の各金額は,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の「6」の「(1)」の「ア」の「(エ)」,「イ」及び「ウ」に説示のとおりであるから,これを引用するが,これらの内の①及び③の金額は,次のとおりである。

   ①       ③ 

 (1)一審被告株式会社ツゲ 101万6064円 10万円

 (2)一審被告A      158万7600円 15万円

 (3)亡一審被告H     190万5120円 19万円

 (4)一審被告C      105万8400円 10万円

 (5)一審被告D,E    158万7600円 15万円

 (6)一審被告F      127万0080円 12万円

 (7)一審被告G      755万6976円 75万円

   さらに,一審原告が予備的に請求している不当利得に基づく利得の返還請求について検討するに,前記認定・判断を前提とすれば,一審被告らは,一審原告の許諾を受けず,かつ,使用料を支払わずに管理著作物を使用したことによって,法律上の原因なく使用料相当額の利得を受け,これによって一審原告は同額の損失を被ったと認められる。そして,平成4年6月1日から平成11年5月31日までの7年間における使用料相当損害額は,証拠(甲5の1ないし7,13,14,16の1ないし3の1及び2,19)及び弁論の全趣旨によれば,一審原告は,昭和52年8月,原判決別紙差止請求一覧表の施設番号2ないし4のダンス教授所において,音楽著作物のCD等の再生について調査しており,いずれも,平成13年9月若しくは10月における調査よりも,管理著作物の利用件数が多かったこと,ダンス教授所における受講者は,初心者から上級者まで,その実力は様々であり,その実力に応じた指導がなされるものの,その際にCD等によって再生された音楽の利用曲数は,受講者の実力の違いに基づいて,顕著な差が生じるものではないこと,同一フロアに複数の受講生がいても,一時に演奏することのできる楽曲は1曲であること,昭和59年にNHKが「レッツダンス」を放映したことを契機に一般人にも社交ダンスが浸透しはじめ,社交ダンスの人口は増加したものの,映画「Shall we ダンス?」が大ヒットした平成8年をピークに,バブル経済の崩壊に伴う経済状態の悪化もあって,社交ダンス教室の生徒数は漸次減少の傾向が見られること,財団法人自由時間デザイン協会が発行している「レジャー白書2001」によれば,「洋舞・社交ダンス」の余暇活動参加人口は,平成4年から平成12年までの各年において万人の単位で,200,260,190,230,260,250,240,180,200で推移していることなどが認められ,これらの事情を総合勘案すれば,一審被告Gを除く一審被告らは,毎月いずれも前記不法行為が成立した使用料相当額の利得を受けていたというべきである(なお,一審被告Fについては,平成13年1月に長年勤務していたダンス教師が独立し,生徒の約8割がそちらに移ったため,生徒数が急減したことを主張するが,平成13年11月若しくは12月にはある程度回復していたこと(乙39)を考慮に入れると,上記認定を左右するものではないし,一審被告Cについても,2年前から専属スタッフが増えたことなどから受講者数が増えたことを主張するが,これを裏付ける的確な証拠はなく,上記認定に影響を及ぼすものではない。)が,一審被告Gについては平成10年6月にダンス教授所を開設しており,同人が原判決差止請求一覧表の施設番号7において,ビルの2階と3階とを使用していることを考慮に入れても,開設当初から平成14年2月に調査した結果に基づいた利用回数を平成10年6月1日から平成11年5月31日までの2年間についても妥当するとは考えがたいので,本件に顕れた一切の事情を斟酌して,前記不法行為が成立した使用料相当額の7割をもって利得額と推認するのが相当である。

  以上によれば,一審被告らの不当利得の額は,次のとおりである。

 (1)一審被告株式会社ツゲ

60円×32×12×12×7=193万5360円

  (曲) (日) (月)(年)

 (2)一審被告A 

 60円×25×24×12×7=302万4000円

 (3)亡一審被告H 

 60円×30×24×12×7=362万8800円

 (4)一審被告C 

 40円×25×24×12×7=201万6000円

 (5)一審被告D,E

 60円×30×20×12×7=302万4000円

 (6)一審被告F 

 60円×24×20×12×7=241万9200円

 (7)一審被告G 

 60円×119×24×12×2×0.7=287万8848円

なお,一審原告は,上記一審被告らが悪意の受益者であるとして利息金の支払を請求するが,一審被告らが,ダンス教授所におけるCD等に録音された音楽著作物を再生する行為が著作権の侵害になると知っていたことを認めるに足る的確な証拠の提出はないので,利息金請求は棄却するほかない。また,不当利得については,不法行為に基づく損害賠償請求とは異なり,確定遅延損害金や弁護士費用を請求できる根拠を欠くので,これを請求することはできない。

 3 一審被告Kの責任については,一審被告株式会社ツゲの不法行為責任と同額の責任を,商法266条の3第1項に基づいて,負うべきであり,その理由は,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の「7」に説示のとおりであるから,これを引用する。

 4 本件物件を本件各施設から撤去することを求める請求については,本件物件が法112条2項が規定する「専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具」に該当するとは認められないので,同請求を認めることはできないが,その理由は,以下のとおり訂正するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の「8」に説示のとおりであるから,これを引用する。

  原判決48頁21行目の「趣旨」を「趣旨や一審原告が控訴審において提出した書証」と改める。

 5 以上によれば,一審原告の本件控訴については,不法行為に基づく損害賠償請求や本件物件の撤去請求は理由がないから棄却すべきであるが,不当利得の返還請求については上記限度で認容すべきであるから,この限度で原判決を変更し,一審被告らの本件各控訴はいずれも理由がないから棄却することとし,さらに,一審被告Hの死亡に伴う訴訟承継に基づいて,原判決の同人に関する部分の「H」を「亡H訴訟承継人B」と変更し,一審被告の内の2名につき,従来芸名を用いていたところを本名に更正(「I」を「E」,「J」を「F」)し,職権により仮執行免脱宣言を付することとし,主文のとおり判決する。

 名古屋高等裁判所民事第4部

    裁判長裁判官  小   川   克   介

       裁判官  鬼   頭   清   貴

       裁判官  濱   口       浩

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