岡本法律事務所のブログ

岡山市北区にある岡本法律事務所のブログです。 1965年創立、現在2代めの岡本哲弁護士が所長をしています。 電話086-225-5881 月~金 0930~1700 電話が話中のときには3分くらいしてかけなおしください。

2020年01月

ラジオ韓国 2020年1月30日 木 1700~1800JST 6155kHz

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1700 放送時間と周波数アナウンス

1700 6155 7275

1800 6155 

2000 1170

 

1000 9585 

1100 11810

 

1702 今週のキーワード

韓国のチャーター機派遣 30日に1機

 

コロナウィルスについてムン大統領が対策会議を開く 

 

野党正しい未来党のアン前議員が離党

 

レイバーの打ち上げが6兆ウォン売り上げ突破 日本のライン不振で営業利益は減少6101億ウォン

 

日本の韓国へのフッ化水素の輸出量は先月794トン。去年の同じ時期に比べると減少。

 

サンジュ市でM3・2の地震

 

2110 きょうの焦点

コロナウィルス汚染防止のためテソンの韓国と北韓の連絡事務所の暫定的停止

 

アーチェリー韓国代表はミャンマーのヤンゴンで強化合宿

ベルリン国際映画祭に『逃げた女』が競争部門にまぬかれた

100円 1108ウォン 1ドル1115ウォン

30日のソウル晴れ 午後3時9・1度

 

1715 玄界灘にたつ虹

中枝しおり イジンさん

 暖冬

新型コロナウィルス 日本ではマスクしている

チャーター機にのってもどってきたひとをどうするか

チュンチョンドで隔離予定 チュンチョンドのひとが反対している。

 

音楽 『ケンチャナヨケンチャナヨ ザッツOK』

 

岩手県の伊藤さんからのおたより 有名な風邪薬は韓国のほうが日本より安い

 

 

 

 

 

マイナーなほうの大法廷判決 尊属殺違憲 昭和48

尊属殺人被告事件

同じ日に尊属殺違憲判決が2つあります。こっちは実刑のほうです。

 

最高裁判所大法廷判決/昭和45年(あ)第2580号

昭和48年4月4日

刑法200条の合憲性

刑法200条は憲法14条1項に違反する(補足意見、意見および反対意見がある。)。

 

【参照条文】 憲法14-1

 

       刑法199

 

       刑法200

 

【掲載誌】  最高裁判所裁判集刑事187号155頁

 

       裁判所時報615号9頁

 

       判例タイムズ291号165頁

 

       判例時報697号3頁

 

       主   文

 

  原判決を破棄する。

  被告人を懲役二年六月に処する。

  押収してある腰紐(大阪高等裁判所昭和四五年押一一七号の六)は、これを没収する。

 

        理   由

 

  弁護人上辻敏夫の上告趣意第一点について。

  所論は、刑法二〇〇条は憲法一四条に違反して無効であるから、被告人の本件所為に対し刑法二〇〇条を適用した原判決は、憲法の解釈を誤つたものであるというのである。

  よつて案ずるに、刑法二〇〇条は、尊属殺を普通殺と区別してこれにつき別異の刑を規定している点ではいまだ不合理な差別的取扱いをするものとはいえないけれども、その法定刑を死刑または無期懲役刑のみに限つている点において、立法目的達成のため必要な限度を遙かに超え、普通殺に関する刑法一九九条の法定刑に比し著しく不合理な差別的取扱いをするものと認められ、憲法一四条一項に違反して無効であるとしなければならず、したがつて尊属殺にも刑法一九九条を適用するのほかはないことは、当裁判所昭和四五年(あ)第一三一〇号同四八年四月四日大法廷判決の示すとおりである。これと見解を異にし、刑法二〇〇条は憲法に違反しないとして「被告人の本件所為に同条を適用している原判決は、憲法の解釈を誤つたものにほかならず、かつ、この誤りが判決に影響を及ぼすことは明らかであるから、所論は理由があることに帰する。

  同第二点および第三点について。

  所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。

  よつて刑訴法四〇五条一号後段、四一〇条一項本文により原判決を破棄し、同法四一三条但書により被告事件についてさらに判決することとする。

  原判決の確定した事実に法律を適用すると、被告人の所為は刑法一九九条に該当するので、所定刑中有期懲役刑を選択し、右は心神耗弱中の犯行であるから、同法三九条二項、六八条三号により法律上の減軽をし、その刑期範囲内で被告人を処断すべきである。ところで、本件は、幼いころから不遇ながらも被害者である養父の手で養育された被告人が、自己の夫のした若い他の女性との不始末に心を痛め、ついに自殺を考えるようになり、当時たまたま勤め先を解雇された一人暮しの養父の身を案じた結果、自殺の道連れにしようとして、これを殺害するにいたつたものである。養父は、日ごろから酒癖がよくなく、また年令もすでに六〇歳をこえており、被告人が自殺したのちには、どのように他人に迷惑をかけるかも知れないと深く憂慮していた被告人の心境は、十分察せられるけれども、夫の不始末には養父に何らの責任がないばかりでなく、犯行の際、被告人が養父に嘘をいつて睡眠薬をのませて無抵抗にしたうえ、所在の腰紐でこれを窒息死させていること、その他被告人の本件犯行後の心境、家庭の状況等諸般の情状にかんがみると、被告人を前記刑期範囲内で懲役二年六月に処するのを相当とする。よつて、押収してある腰紐(大阪高等裁判所昭和四五年押一一七号の六)は、刑法一九条一項二号、二項本文によりこれを没収し、第一審における訴訟費用は刑訴法一八一条一項但書を適用して被告人に負担させないこととして主文のとおり判決する。

  この判決は、裁判官岡原昌男の補足意見、裁判官田中二郎、同下村三郎、同色川幸太郎、同大隅健一郎、同小川信雄、同坂本吉勝の各意見および裁判官下田武三の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見によるものである。

  裁判官岡原昌男の補足意見は、次のとおりである。

  本判決の多数意見は、刑法二〇〇条が普通殺のほかに尊属殺という特別の罪を設け、その刑を加重すること自体はただちに違憲とはいえないけれども、その加重の程度があまりにも厳しい点において同条は憲法一四条一項に違反するというのであるが、これに対し、(一)刑法二〇〇条が尊属殺という特別の罪を設けていることがそもそも違憲であるとする意見、および(二)刑法二〇〇条は、尊属殺という罪を設けている点においても、刑の加重の程度においても、なんら憲法一四条一項に違反するものではないとする反対意見も付されているので、わたくしは、多数意見に加わる者のひとりとして、これらの点につき若干の所信を述べておきたい。その内容は、当裁判所昭和四五年(あ)第一三一〇号同四八年四月四日大法廷判決において述べたわたくしの意見と同趣旨であるから、ここにこれを引用する。

  裁判官田中二郎の意見は、次のとおりである。

  私は、刑法二〇〇条の規定が憲法一四条に違反して無効であるとする本判決の結論には賛成であるが、その判決の理由には同調することができない。その理由は、当裁判所昭和四五年(あ)第一三一〇号、同四八年四月四日大法廷判決において述べた私の意見と同趣旨であるから、それをここに引用する。

  裁判官小川信雄、同坂本吉勝は、裁判官田中二郎の右意見に同調する。

  裁判官下村三郎の意見は、次のとおりである。

  わたくしは、本判決が、原判決を破棄し、刑法一九九条を適用して、被告人を懲役二年六月に処した結論には賛成であるが、多数意見が原判決を破棄すべきものとした事由には同調し難いものがある。その理由は、当裁判所昭和四五年(あ)第一三一〇号同四八年四月四日大法廷判決において述べたわたくしの意見と同趣旨であるから、ここにこれを引用する。

  裁判官色川幸太郎の意見は、次のとおりである。

  私は、多数意見の説示のうち、刑法二〇〇条が身分による差別的取扱いの規定であるとする点、および、これが憲法一四条一項に違反するとの結論には賛成であるが、尊属殺人につき普通殺人と異なる特別の罪を規定することが、憲法上許容された範囲の合理的差別であるという見解には、同調することができないのである。その理由は、当裁判所昭和四五年(あ)第一三一〇号同四八年四月四日大法廷判決において述べた私の意見と同趣旨であるから、ここにこれを引用する。

  裁判官大隅健一郎の意見は、次のとおりである。

  私は、刑法二〇〇条の規定が憲法一四条一項に違反して無効であるとする本判決の結論には賛成であるが、その判決の理由には同調することができない。その理由は、当裁判所昭和四五年(あ)第一三一○号同四八年四月四日大法廷判決において述べた私の意見と同趣旨であるから、それをここに引用する。

  裁判官下田武三の反対意見は、次のとおりである。

  わたくしは、憲法一四条一項の規定する法の下における平等の原則を生んだ歴史的背景にかんがみ、そもそも尊属・卑属のごとき親族的の身分関係は、同条にいう社会的身分には該当しないものであり、したがつて、これに基づいて刑法上の差別を設けることの当否は、もともと同条項の関知するところではないと考えるものである。しかし、本判決の多数意見は、尊属・卑属の身分関係に基づく刑法上の差別も同条項の意味における差別的取扱いにあたるとの前提に立つて、尊属殺に関する刑法二〇〇条の規定の合憲性につき判断を加えているので、いまわたくしも、右の点についての詳論はしばらくおき、かりに多数意見の右の前提に立つこととしても、なおかつ、安易に同条の合憲性を否定した同意見の結論に賛成することできないのである。その理由は、当裁判所昭和四五年(あ)第一三一〇号同四八年四月四日大法廷判決において述べたわたくしの意見と同趣旨であるから、それをここに引用する。(石田和外 大隅健一郎 村上朝一 関根小郷 藤林益三 岡原昌男 小川信雄 下田武三 岸 盛一 天野武一 坂本吉勝)(田中二郎、岩田 誠、下村三郎、色川幸太郎は、退官のため署名押印することができない。)

ラジオタイランド 日本語 2020年1月28日 火 2200~2215JST

9940kHz 54444 ICOM IC756PRO3 25mH DP

岡山県岡山市

 

2200 ニュース

プライユット首相が新型ウイルス対策は万全だと強調した。

タイでは8人の感染が確認されている。

 

北部の大気汚染は森林火災が原因と考えられている。

 

鉄道輸送局が複線化でタイ製資材の使用拡大をのぞんでいることを明らかにした。中国が大きく関与していてコンクリート製枕木が中国から輸入されるおそれがある。

 

新型ウイルスで観光収入が減少する見込み。

 

2210 ニュース展望

公共交通システムでの新型ウイルス対策

 

小島ひでみ

 

法人罰金40万円 代表者罰金40万円

平成12年大阪地裁

労働安全衛生法違反、労働基準法違反被告事件

大阪地方裁判所判決/平成12年(わ)第2141号

平成12年8月9日

 

【判示事項】 一 労働者に対する健康診断を行わなかった事業者等に対して、労働安全衛生法違反の罪が認められた事例

       二 違法な時間外労働をさせ、時間外労働に対する割増賃金を支払わなかった事業者に対して、労働基準法違反の罪が認められた事例

 

【参照条文】 労働安全衛生法122

       労働安全衛生法120

       労働安全衛生法66-1

       労働基準法121-1

       労働基準法119

       労働基準法32-2

       労働基準法37-3

 

【掲載誌】  判例時報1732号152頁

 

       主   文

   被告法人株式会社甲野を罰金四○万円に、被告人A子を罰金四〇万円にいずれも処する。被告人A子においてその罰金を完納することができないときは、金五〇〇〇円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

 

        理   由

 

   (罪となるべき事実)

  被告法人株式会社甲野は、大阪市北区《番地略》に本店を置き、行政広報誌等の雑誌の編集業等を営む事業者、被告人A子は、同社の代表取締役として、同社の業務全般、同社で雇用する労働者の賃金等の支払い及び労働者の労務管理等を統括掌理するもので労働基準法上の使用者に当たる者であるが、被告人A子は、同社本店事務所において、同社の業務に関し、

 第一 法定の除外事由がないのに、平成九年二月六日ころ、常時使用する労働者B子を雇い入れる際、同人に対し、医師による健康診断を行わず、もって、労働省令の定める医師による健康診断を行わなかった

 第二 法定の除外事由がないのに

 一 常時使用する労慟者C子に対し、平成八年四月一七日ころから平成一〇年三月三〇日ころまでの間、一年ごとに一回、定期に医師による健康診断を行わず

 二 常時使用する前記労働者B子に対し、平成九年二月六日ころから平成一〇年一二月八日ころまでの間、一年ごとに一回、定期に医師による健康診断を行わず

 もって、それぞれ労働省令の定める医師による健康診断を行わなかった

 第三 法定の除外事由がないのに、平成一〇年一月五日ころから同年三月二七日ころまでの間、別紙時間外労働時間一覧表記載のとおり、前記労働者B子に対し、一週間の各日につき、一日八時間を超えて計四八回にわたり、合計一五八時間三一分の時間外労働をさせた

 第四 平成一〇年一月五日ころから同年三月二七日ころまでの間、別紙不払割増賃金一覧表記載のとおり、前記労働者B子に対し、時間外労働、休日労慟及び午後一〇時から翌午前五時までの深夜労働をさせたことにより、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ命令で定める率である二割五分以上の率で計算した割増賃金合計三四万二〇五三円をそれぞれの所定支払期日に支払わなかったものである。

  (証拠の標目)《略》

  (法令の適用)

  被告法人株式会社甲野の判示第一の所為は、労働安全衛生法一二二条、一二〇条一号、六六条一項、労働安全衛生規則四三条に、判示第二の一及び二の各所為は、いずれも労働安全衛生法一二二条、一二〇条一号、六六条一項、労働安全衛生規則四四条一項に、判示第三の所為は各月毎に労働基準法一二一条一項、一一九条一号、三二条二項に、判示第四の所為は各月毎に、同法一二一条一項、一一九条一号、三七条三項、平成一〇年法律第一一二号による改正前の同法三七条一項、平成一一年政令第一六号による改正前の労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令に、それぞれ該当し、被告人A子の判示第一の所為は、労働安全衛生法一二二条、一二〇条一号、六六条一項、労働安全衛生規則四三条に、判示第二の一及び二の各所為は、いずれも労働安全衛生法「三条、一二〇条一号、六六条一項、労働安全衛生規則四四条一項に、判示第三の所為は各月毎に労働基準法一一九条一号、三二条二項に、判示第四の所為は各月毎に、同法一一九条一号、三七条三項、平成一〇年法律第一一二号による改正前の同法三七条一項、平成一一年政令第一六号による改正前の労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令に、それぞれ該当するところ、被告人A子の判示第三及び第四の罪については、各所定刑中罰金刑をいずれも選択し、被告法人株式会社甲野及び被告人A子の以上の罪はいずれも刑法四五条前段の併合罪であるから、いずれの被告人についても同法四八条二項により各罪所定の罰金を合算し、その合算額の範囲内で被告法人株式会社甲野及び被告人A子をいずれも罰金四〇万円に処し、被告人A子については右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金五〇〇○円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置することとする。

  (量刑の理由)

  本件は、行政広報誌等の雑誌の編集業等を営む被告法人株式会社甲野とその代表者である被告人A子の労働安全衛生法違反及び労働基準法違反の事件であるが、被告人A子は被告法人株式会社甲野の業務に関して、その使用する従業員の数が少ないことから、不規則な勤務形態をとる業務であることを知りながら、特定の病院などと提携するなどして、従業員の健康診断を法律どおり実施できる体制を確立せず、その結果主として平成九年における雇入時の健康診断及び定期健康診断を実施せず、常時使用する労働者の健康管理に必要な基礎資料を得るために法律で定められた必要な健康診断をしなかったものであり、事業者としての基本的な業務を怠った点において問題があり、また、独自の経営理念に基づき労働基準法に定める手続を履行しないまま、就業時間についてはフレックスタイム制度を、給与については年俸制度をとっているとして、時間外労働や休日労働について特段の配慮をせず、割増賃金を支払わなかったものであり、その結果八二日間、総計で一五八時間一干分の時間外労働をB子にさせ、割増賃金三四万二〇五三円を支払わなかったもので、使用者としての所要の手続をとらず、違法な状況を続けてきたものであり、未熟な者は時間を多く使うことからそのような者が残業をしても割増賃金を支払わなくても良いかのように主張するに至っては労働関係法規を守らなかったことに対する真の反省があるのかどうかに疑問を感じざるを得ない面があるなど、被告人の刑事責任は軽視できないものであると認められる。

  一方、判示第一及び第二の罪に関しては、会社設立後継続して健康診断を怠ってきたというものではなく、時期は固定していないもののほぼ毎年いずれかの時期に健康診断はしてきたものであり、平成八年四月に実施した定期健康診断の結果に不合理な点があり、病院を代えようとしたが適切な医療機関が見つからないまま日時を経過させてしまったものであり、このことは健康診断をしなかったことを合理化する理由にはならないものの、健康診断を怠るについてそれなりに理由がなかったわけではないこと、判示第三及び第四の罪に関しては、労働者の過半数を代表する者との協定を結ぶなど所要の手続をとらない限りフレックスタイム制度を導入したなどということは到底言えないものの、従業員に対し勤務時間中の時間を仕事に関連することにではあるが自由に使える余地を与えるなどの配慮を被告人A子なりにしていたことや、時間外労働時間に対する割増賃金には及ばないものの、年二回の昇給をさせるなどの配慮をしていたことなどの事情も認められる。

  以上の本件をめぐる一切の情状を総合し、各違反行為に見合う罰金額を算定し、それを合算した上で併合の利益を加味して考えると、検察官求刑どおり、被告法人株式会社甲野及び被告人A子をいずれも罰金四〇万円に処するのが相当であると判断した。

  よって、主文のとおり判決する。

  求刑 被告法人株式会社甲野 罰金四〇万円

     被告人A子 罰金四〇万円

           (裁判官 上垣 猛)

 

時間外労働と労働基準法32条1項違反罪の計算方法 最高裁平成21年

道路交通法違反,労働基準法違反被告事件

 

最高裁判所第1小法廷判決/平成19年(あ)第1951号

平成21年7月16日

 

【判示事項】 1 労働基準法36条1項に基づき月単位の時間外労働の協定が締結されている場合における協定時間を超えた時間外労働と同法32条1項違反の罪

 

       2 週単位の時間外労働の規制違反に係る訴因の特定が不十分で,その記載に瑕疵がある場合に,訴因変更と同様の手続を採ってこれを補正しようとした検察官の予備的訴因変更請求について,裁判所の採るべき措置

 

【判決要旨】 1 労働基準法36条1項に基づき月単位の時間外労働の協定が締結されている場合において,協定時間を超えた時間外労働があるときには,原則的な労働時間制の下では,始期から順次1週間について40時間の法定労働時間を超えて労働させた時間を積算し,協定時間に至るまでは協定の効力によって時間外労働の違法性が阻却されるが,これを超えた時点以後は,1週間について40時間を超える時間外労働がある各週につき同法32条1項違反の罪が成立する。

 

       2 週単位の時間外労働の規制違反に係る訴因の特定が不十分で,その記載に瑕疵がある本件のような場合(判文参照),訴因変更と同様の手続を採ってこれを補正しようとした検察官の予備的訴因変更については,適正な訴因となるように措置した上,これを許可すべきである。

 

【参照条文】 労働基準法32-1

       労働基準法36-1

       労働基準法119

       刑事訴訟法256-3

       刑事訴訟法312-1

 

【掲載誌】  最高裁判所刑事判例集63巻6号641頁

       裁判所時報1487号197頁

       判例タイムズ1310号119頁

       判例時報2060号158頁

       労働経済判例速報2056号3頁

       LLI/DB 判例秘書登載

 

【評釈論文】 近畿大学法学62巻2号49頁

       研修736号13頁

       ジュリスト1445号94頁

       法曹時報64巻6号1471頁

       刑事法ジャーナル20号93頁

 

       主   文

 

  原判決を破棄する。

  本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

 

        理   由

 

  検察官の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって,本件に適切でなく,その余は,単なる法令違反の主張であり,弁護人水野武夫,同元氏成保,同藤内健吉の上告趣意は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,量刑不当の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。

  しかしながら,検察官の所論にかんがみ,職権をもって調査すると,原判決は,刑訴法411条1号により破棄を免れない。

  1 本件公訴事実のうち,労働基準法32条1項違反の事実の要旨は,「被告人は,石油製品の保管及び運送等を営むA社の代表取締役としてその業務全搬を統括していたものであるが,同社の統括運行管理者と共謀の上,同社の業務に関し,同社が,同社の労働者の過半数を代表する者との間で,書面により,平成17年4月16日から平成18年4月15日までの時間外労働及び休日労働に関する協定を締結し,自動車運転者に対して,法定労働時間を超えて延長することができる時間は,1日につき7時間,1か月につき130時間などと定め,平成17年4月15日,大津労働基準監督署長に届け出ていたのであるから,上記各協定時間の範囲を超えて労働させてはならないのに,労働者Bをして,同社の事務所等において,1か月130時間を超えて,同年11月16日から同年12月15日までの間に15時間30分,同月16日から平成18年1月15日までの間に38時間15分の合計53時間45分の時間外労働をさせた」というものである。

  第1審判決は,上記公訴事実とおおむね同旨の事実を認定し(第1審判示第1の2),被告人を有罪とした。これに対し,被告人が控訴を申し立てた。原判決は,第1審判決の上記判示部分は,違反に係る週が全く特定されておらず月単位の時間外労働協定違反の事実を認定したものであるが,適用された法令である労働基準法32条1項は週単位の時間外労働を規制するものであって,月単位の時間外労働には直接の規制は設けられておらず,また,いわゆる36協定違反については罰則が設けられていないから,月単位の時間外労働協定違反の事実は犯罪を構成しない事実であるとした。さらに,原審は,その手続において検察官の請求した週単位の時間外労働の事実(当該月の中で違反となる週を特定したもの)を明示する予備的訴因変更を不許可としたが,原判決は,その理由につき,時間外労働というのは,法定労働時間や時間外労働協定といった一定の規範に照らさなければ観念できないものであるから,時間外労働を構成する労働日ないし労働時間が基本的に同一であるとしても,違反している規範を異にしている場合には,それらの時間外労働は社会通念上別個の事実であり両立し得るものであって,基本的事実関係を異にすると解すべきであり,旧訴因の月単位の時間外労働協定違反の事実と新訴因の週単位の時間外労働の事実とでは基本的事実関係を異にし,公訴事実の同一性が認められないとした。そして,原判決は,第1審判決を破棄して自判し,上記公訴事実については被告人を無罪とした。

  2 しかしながら,原審の予備的訴因変更を不許可とした措置及び原判決の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

  (1) 労働基準法32条1項違反に係る上記公訴事実は,その記載だけからみると,月単位の時間外労働を示す内容となっており,当該月の特定はされているものの,週の特定はもとより週という言葉さえ出てきておらず,これを直ちに週単位の時間外労働の規制違反を記載したとみることはできない。しかし,労働基準法に月単位の時間外労働の規制違反の規定はないこと,起訴状には罰条として週単位の時間外労働を規制している労働基準法32条1項が記載されていることを合理的に解釈すると,週単位の時間外労働の規制違反の事実を摘示しその処罰を求めようとした趣旨ではあったが,結果として,違反に係る週の特定に欠けるという不備が生じてしまったと解するのが相当である。したがって,本件は,訴因の特定が不十分でその記載に瑕疵がある場合に当たり,その瑕疵の内容にかんがみると,訴因変更と同様の手続を採って訴因を補正すべき場合である。

  (2) ところで,いわゆる36協定で1か月につき延長することができる時間外労働時間が定められている場合における労働基準法32条1項違反の罪に関して検討すると,同条項の文理,36協定の趣旨等に照らすと,原則的な労働時間制の場合であれば,始期から順次1週間について40時間の法定労働時間を超えて労働させた時間を計算し,これを最初の週から順次積算し,上記延長することができる時間に至るまでは36協定の効力によって時間外労働の違法性が阻却されるものの,これを超えた時点以後は,36協定の効力は及ばず,週40時間の法定労働時間を超える時間外労働として違法となり,その週以降の週につき,上記時間外労働があれば,それぞれ同条項違反の罪が成立し,各違反の罪は併合罪の関係に立つものと解すべきである。そして,36協定における次の新たな1か月が始まれば,その日以降は再び延長することができる時間に至るまで,時間外労働が許容されるが,これによると,1週間が,単位となる月をまたぎ,週の途中の日までは週40時間の法定労働時間を超える違法な時間外労働であり,その翌日からは新たな1か月が始まり,時間外労働が許容される場合も生じる(端数日は生じない)。この場合も,その週について上記違法な時間外労働に係る同条項違反の罪が成立することとなる。そして,1週間の始期に関しては,問題となる事業場において就業規則等に別段の定めがあればこれによるが,これがない場合には,労働基準法32条1項が「1週間について40時間」とのみ規定するものであることなどにかんがみると,その始期を36協定における特定の月の起算日に合わせて訴因を構成することも許されると解される。

  (3) 本件につき,検察官のした予備的訴因変更請求についてみると,「平成17年12月7日から同月13日までの週及び同月9日から同月15日までの週を通じた週」などとし,15日から逆算して1週間を構成している点及び本件につき時間外労働の罪が1罪として成立するとして「通じた週」としている点については,2で述べたところから明らかなとおり,適正を欠くものであり,上記関係についていえば,「平成17年12月7日から同月13日までの週につき15分の,同月14日から同月20日までの週につき15時間15分のそれぞれ時間外労働をさせた」とすべきである。しかし,検察官の上記予備的訴因変更請求は,週を特定し,週単位の時間外労働の規制違反の罪を明示して瑕疵を補正しようとしたものと理解できるから,原審は,上記適正な訴因となるように措置した上,予備的訴因変更を許可すべきであったと解される。

  3 以上によれば,予備的訴因変更を許さず,第1審判決を破棄して,前記公訴事実(労働基準法32条1項違反に係る部分)について被告人を無罪とした原判決には,刑訴法256条3項,312条1項の解釈適用を誤った違法があり,これが判決に影響を及ぼし,原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。なお,本件では,前記公訴事実と原判決が有罪としたその余の公訴事実とは併合罪の関係にあるとして起訴されたものと解されるから,上記違法は,原判決の全部に影響を及ぼすものである。

  よって,刑訴法411条1号により原判決を破棄し,同法413条本文に従い,更に審理を尽くさせるため,本件を原審である大阪高等裁判所に差し戻すこととし,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官金築誠志の意見がある。

  裁判官金築誠志の意見は,次のとおりである。

  私は,原判決を破棄して本件を原審に差し戻すことには賛成であるが,本件労働基準法32条1項違反の罪については,多数意見とは異なり,予備的訴因変更を許可するまでもなく,旧訴因(本位的訴因)のままで(ただし,後記のような補正をした上で)有罪判決をすることができるものと考える。

  1 労働基準法32条1項は,「使用者は,労働者に,休憩時間を除き1週間について40時間を超えて,労働させてはならない。」と規定し,その違反に対し同法119条1号が罰則を定めている。この労働時間の制限は,いわゆる36協定によって延長することが可能であり,しかもその限度を1週間とは異なる単位で定めることが認められている(労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成10年労働省告示第154号)2条,3条参照)。本件においても,1か月単位で延長時間の限度が定められている。

  このように36協定によって労働時間の延長限度を定めた場合,その限度を超えて労働をさせた違反行為については,別に罰則の定めがないので,この場合も32条1項によって処罰することを予定しているものと解されるが,この場合の擬律がここでの問題である。

  2 多数意見は,協定期間である1か月(以下,「月」は36協定期間である1か月を指す)の始期から順次1週間ごとに算出した法定労働時間を超えた時間を積算して,延長限度を超えた日の属する週以降,1週間ごとに週単位の時間外労働罪が成立するとする。これは,1週間40時間を超えて労働させれば,それだけで1週間単位の時間外労働罪の構成要件は充足され,36協定による延長は同罪の違法性を阻却するにとどまるという考え方を前提としている。36協定で定める限度を超えない限り,およそ同罪の成立が問題となる余地はないのであるから,はたして違法性阻却の限度にとどまると考えてよいか疑問がなくはない。その点は措くとしても,1か月に含まれる各週の時間外労働の状況いかんにかかわらず,常に月の初めの時間外労働から順次延長許容時間に繰り入れて,月の終わりの方の週において違反週を特定するという方法は,特定の週ごとに時間外労働罪の成否を検討するという実質を既に失っており,1か月間全体で犯罪の成否を判断していることにほかならないように,私には思われる。

  また,多数意見は,月末に7日に満たない日数が残る場合には,次の月にまたがって1週間を構成し,次の月に属する日の法定時間を超える労働時間は,次の月の36協定の違法性阻却の効果を受ける関係上,その週の時間外労働には算入しないという取扱いをしている(月末残日数の時間外労働を処罰するために,これとともに1週間を構成する次の月の日数の法定時間内の労働時間は,その週の労働時間に算入する取扱いになるものと解される。)。構成要件的評価の対象となる期間と36協定の期間とが一致しないことになるが,この結果,具体的には,次の月に属する日数の労働時間を合算しても法定時間を超えない場合や,退職等の理由で1週間を構成すべき労働日がない場合について,妥当な結論が得られるのかといった問題が生じるように思われる。

  3 労働基準法が36協定によって1週間と異なる単位で労働時間を延長することを認めている以上,その協定期間単位で延長限度を超える違反労働時間数を認定するのは自然なことであって,協定期間は7日で割り切れない場合が多いのであるから,この超過労働時間を特定の1週間ごとに振り分けようとすることには,もともと無理があるように思う。したがって,同法32条1項の罪を認定するには,協定期間において延長限度を超える労働時間数を算出した上で,同条項の規制単位期間(1週間)に合わせ,その超過労働時間数の1週間当たりの換算値を摘示すれば足りると考える。つまり,同条項による労働時間の規制は,単位期間当たりの割合的なものと見るわけである。

  この認定方法によれば,協定期間全体を通じて違反時間数を算定するのであり,その期間内にいくつの週が含まれていようとも包括一罪と解すべきであるから,週の特定は要しないし,また,7日で割り切れない期間の場合も,1週間当たりの換算値を摘示することは可能であるから,問題は生じない。こうした認定の仕方は,32条1項が「1週間について」と規定しているのを,「1週間当たり」と読むだけのことであるから,文理上も無理はなく,変形労働時間制等を含む現在の労働基準法上の労働時間規制の在り方にも矛盾しないものと思う。

  4 本件労働基準法32条1項違反に係る本位的訴因は,1週間当たりの違反時間数の記載を欠くが,罰条の記載及び1か月単位の違反罪は法令上存在しないことからすれば,同条項違反の罪を包括一罪である1か月単位で特定して起訴したことが明らかであるから,訴因を上記の趣旨を明確にするよう補正の上(具体的には,平成17年11月16日から同年12月15日までの間に合計15時間30分の時間外労働をさせたとの事実については,「1週間当たり3時間37分の」という文言を付加して),有罪判決をすることが相当であると考える。

 (裁判長裁判官 涌井紀夫 裁判官 甲斐中辰夫 裁判官 宮川光治 裁判官 櫻井龍子 裁判官 金築誠志)

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