櫻井龍子裁判長不当決定 捜査報告書の証拠能力否定 最高裁平成27年
前田最前線登載 公務執行妨害被告事件
最高裁判所第1小法廷決定/平成26年(あ)第1422号
平成27年2月2日
【判示事項】 被害者等が被害状況等を再現した結果を記録した捜査状況報告書を刑訴法321条1項3号所定の要件を満たさないのに同法321条3項のみにより採用した第1審の措置を是認した原判決に違法があるとされた事例
【参照条文】 刑事訴訟法321-1
刑事訴訟法321-3
【掲載誌】 最高裁判所裁判集刑事316号133頁
判例タイムズ1413号101頁
判例時報2257号109頁
LLI/DB 判例秘書登載
【評釈論文】 警察学論集68巻10号174頁
ジュリスト1492号178頁
捜査研究64巻9号11頁
判例時報2280号174頁
法学セミナー61巻1号116頁
刑事法ジャーナル48号114頁
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人佐藤利男の上告趣意のうち,捜査状況報告書の証拠能力に関して判例違反をいう点は,原判決が,第1審判決の証拠の標目に同報告書が掲げられておらず,また,証拠の標目に掲げられた証拠によって判示事実を認定することができる旨判示しているから,原判決の結論に影響のないことが判示自体において明らかな事項に関する判例違反の主張であり,その余は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
なお,所論に鑑み上記捜査状況報告書の証拠能力について検討すると,記録によれば,同報告書は,警察官が被害者及び目撃者に被害状況あるいは目撃状況を動作等を交えて再現させた結果を記録したものと認められ,実質においては,被害者や目撃者が再現したとおりの犯罪事実の存在が要証事実になるものであって,原判決が,刑訴法321条1項3号所定の要件を満たさないのに同法321条3項のみにより採用して取り調べた第1審の措置を是認した点は,違法であるが,その違法は原判決の結論に影響を及ぼすものではない。
よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 櫻井龍子 裁判官 金築誠志 裁判官 白木 勇 裁判官 山浦善樹 裁判官 池上政幸)