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2021年09月27日

沖縄石油基地事件 那覇地裁昭和54年

佐藤幸治『日本国憲法論・第2版』成文堂・2021年・210頁

危険物貯蔵所等建築工事禁止仮処分申請事件

那覇地方裁判所判決/昭和52年(ヨ)第85号

昭和54年3月29日

【判示事項】    石油タンク建設差止め仮処分申請が却下された事例

【参照条文】    民事訴訟法760

          民法709

【掲載誌】     判例時報928号3頁

【評釈論文】    環境法研究18号70頁

          別冊ジュリスト126号18頁

 

       目   次

 

当事者

主文

申請の趣旨

申請の趣旨に対する答弁

申請理由

一 当事者

 1 債権者ら

 2 債務者及び本件CTS建設計画の概要

二 被保全権利について

三 債務者石油基地設置予定にかかる本件CTSの地盤の問題点について

 1 設置予定地の位置

 2 埋立地及び旧海底部分の地質

 3 各地層の支持力

 4 地盤改良の問題点

 5

四 その他の原因による原油タンク事故発生の危険性について

 1 原油の特性

 2 誤操作又は保全不良による流出又は火災事故

 3 建設時の設計及び施行不良による流出事故

 4 静電気による爆発及び火災事故

 5 腐食による流出又は爆発事故

 6 アニュラ プレートの脆性破壊による流出及び火災事故

 7 落雷による火災事故

 8 暴風雨によるタンク破壊事故

 9 地震による爆発、火災事故

五 タンカー運航による危険性について

 1 巨大タンカーの操船と海難事故の危険性

 2 金武湾におけるタンカー運航の危険性

 3 海難事故以外の事故発生の危険性

六 予想される火災事故の規模と消防体制の問題点

 1 火災の規模と特質

 2 消火設備の問題点

 3 与那城村の防災体制

七 海洋汚染及び大気汚染の危険性

 1 排油及び含油雨水

 2 大気汚染

八 本件CTS設置予定地の地理的歴史的特質

 1 地理的歴史的特質

 2 開発計画

 3 既汚染

九 石油備蓄政策及び本件CTS設置による経済的効果について

 1 石油備蓄政策の内容

 2 右政策の問題点(有意義性の欠如)

 3 同(有害性)

 4 経済効果

一〇 債務者石油基地締結にかかる公害防止協定の限界について

一一 三菱石油水島製油所重油流出事故について

 1 はじめに

 2 事故概要

 3 事故原因

 4 事故による環境悪化

一二 保全の必要性

申請理由に対する債務者石油基地の認否及び主張

申請理由に対する債務者ターミナルの認否及び主張

疎明資料《略》

理由

第一 本件CTS建設計画の概要

 一 債務者石油基地について

 二 債務者ターミナルについて

第二 債権者ら及び被保全権利

 一 債権者ら

 二 被保全権利

  1 債権者らの主張

  2 環境権

  3 人格権

  4 本件における審理判断の範囲

第三 三菱石油水島事故について

 一 はじめに

 二 水島事故の概要

 三 調査委員会の調査報告

 四 水島事故から得られる教訓

第四 本件CTS建設計画に関する問題点と債務者らの災害防止対策

 一 暫定指針と改正消防法

 二 地盤及び基礎に関する問題

  1 債権者らの主張

  2 地盤と債務者石油基地の改良計画及び基礎の設計

   (一)

   (二) 地層

   (三) 改良設計

  3 債権者らの指摘に対する判断

   (一) 島尻粘土層

   (二) 債権者らの1の(ハ)の主張について(地層ごとの許容支持力)

   (三) 圧密時間

   (四) 圧密の非可逆性

   (五) 圧密期間の扱い方

  4 結論

 三 タンクの構造等に関する問題

  1 債権者らの主張

  2 タンク本体の設計

  3 債権者らの指摘に対する判断

 四 その他の事故原因及び被害原因

  1 海上事故

  2 原油ガスの危険性及び有毒性

  3 衝撃火花による火災

 五 債務者らの災害防止対策等

  1 災害防止対策

  2 公害防止協定

  3 法令における災害対策

第五 本件差止め請求の許否

第六 結論

債権者目録《略》

物件目録

図面

別表

計算式

 

       主   文

 

 債権者らの申請をいずれも却下する。

 申請費用は債権者らの負担とする。

 

       事   実

 

(申請の趣旨)

 一 債務者沖縄石油基地株式会社(以下、債務者石油基地という。)は別紙物件目録(一)記載の土地上に同目録記載の危険物貯蔵所等の建築工事をしてはならない。

 二 債務者沖縄ターミナル株式会社(以下、債務者ターミナルという。)は別紙物件目録(二)記載の土地上に同目録記載の危険物貯蔵所等の建築工事をしてはならない。

 三 申請費用は債務者らの負担とする。

(申請の趣旨に対する答弁)

 主文と同旨。

(申請理由)

 一 当事者

 1 債権者らは、沖縄本島中部東岸に位置する金武湾及び浜比嘉島(別紙図面(一)参照)付近を生活の本拠として恵まれた自然環境を享受し、あるいは同付近に居住して漁業に従事している者である。債権者らの居住する右地域のうち、中頭郡勝連村字浜は、債務者らが計画している後記危険物貯蔵所の設置予定地から南東約一キロメートル、中頭郡与那城村字屋慶名は右予定地から約四キロメートル、同郡同村字照間は約五キロメートル、貝志川市は約七キロメートル離れたところに位置する(別紙図面(一)参照)。

 2 債務者石油基地は、石油類の貯蔵及び受払作業並びにこれに関連する事業を営むものであり、別紙物件目録(一)記載の埋立地に同目録記載の危険物貯蔵所を建設することを計画し、その工事に着手しようとしている。債務者ターミナルは、石油精製及びこれに関連する事業を営むものであり、右埋立地に隣接する別紙物件目録(二)記載の土地上に同目録記載の危険物貯蔵所(以下、債務者石油基地設置予定のものと併せて、「本件CTS」という。)の建設を計画し、着工しようとしている。

 債務者両名の工事概要は左のとおりである。

 債務者石油基地は、本件埋立地に、タンク一基について、容量九万九五〇〇キロリットル、内径八〇メートル、高さ二二メートル、重量二〇〇〇トンの基準で、合計二一基の原油貯蔵タンクを建設しようとしている。そして付帯設備として通気弁(大気圧弁付ブリーザー)、エアフォームチェンバー、パイプを、更に高さ一・八五メートルの防油堤、同じく一メートルの仕切堤等の工事を行なわんとしている。二一基の原油タンク群と埋立地との位置関係は別紙図面(二)のとおりであり、タンク本体、基礎付近及び仕切堤の概要は、別紙図面(三)ないし(五)のとおりである。

 債務者ターミナルは、与那城村字平安座六四八三番地に、タンク一基について、容量九万九五〇〇キロリットル、内径八〇メートル、高さ二二メートルの原油貯蔵タンク四基を別紙図面(六)のとおり建設しようとしている。

 二 被保全権利について(人格権又は環境権)

 一般に、個人の生命、身体の安全及び精神的自由並びに平穏自由で人間たる尊厳にふさわしい生活を営み良き生活環境を享受することは、明文の規定はないものの、憲法一三条、同二五条の趣旨からみて、最大限に保護かつ尊重されるべきであり、個人に疾病をもたらす等の身体侵害行為はもとより個人に著しい精神的苦痛を与えあるいは著しい生活上の妨害を来たす行為が存在する場合においては、右のような利益の総体としての人格権又は環境権に基づき、その侵害の排除を求めることができ、更にそのような侵害が現実のものとなっていない場合でも、その危険が切迫しているときには、事前に侵害行為の発生を禁止することを求めることもできると解すべきである。

 債権者らは、右のような人格権及び環境権に基づき、債務者らが設置計画中の本件CTS工事の差止めを求めるものであり、以下申請理由三ないし七項においては、本件CTSが建設されれば、債権者らが身体侵害、精神的苦痛及び環境破壊によるその他の生活上の妨害を被る高度の蓋然性が存在することを、また同八ないし一一項においては、右の点に密接に関連するその他の事情を、詳述する。

 三 債務者石油基地設置予定にかかる本件CTSの地盤の問題点について

 本件CTSが建設された場合に予想される危険を考えるに際しては、まず債務者石油基地の設置予定にかかる本件CTSの地盤の特殊性に由来する事故の発生に留意しなければならない。

 1 債務者石油基地による本件CTS設置予定地は、沖縄本島中部東海岸に位置する宮城島と平安座島間の水深約五メートル、広さ約六四万坪余の海面を、その東方の約八三万坪の海域からポンプで深さ約一〇尋にわたり採取した砂泥をもって埋め立てて完成した土地である。

 2 そして右埋立地の表面より旧海底面下までの埋立層は、海底浚渫土で構成されており、含水比が高いうえ、決して砂礫層とはいえず、多量にシルト、粘土等の細粒分を含有し、不均一なサンゴ破片、貝ガラ斤を混えている。これはサンドポンプで底土を海水とともに吸入し、パイプラインで埋立区域に放出するという埋立工事による底土の攪乱及び浅海干潟の底質、その内湾域における沿岸地質の複雑さのためであり、右埋立層は軟弱性と不均一性という特徴を有する。

ウィキペディアより
連邦憲法裁判所
(れんぽうけんぽうさいばんしょ、Bundesverfassungsgericht)は、ドイツ連邦共和国における憲法を取り扱う憲法裁判所

カールスルーエにある連邦憲法裁判所

ドイツ南部のカールスルーエにある。裁判官は、ドイツ連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)から選出されて構成される。法廷は2つ存在し、各法廷に8名ずつ、計16名の裁判官が所属している。ドイツ連邦共和国基本法における抽象的規範統制具体的規範統制憲法異議連邦制的紛争を取り扱う。

弁済能力の内容 東京高裁昭和33年

倒産判例百選第5版 2013年 4事件 6版 3事件

破産決定に対する即時抗告事件

東京高等裁判所決定/昭和32年(ラ)第731号

昭和33年7月5日

【判示事項】       破産宣告決定を相当であると認めた事例

【参照条文】       民法113

             破産法126

【掲載誌】        金融法務事情182号3頁

【評釈論文】       別冊ジュリスト106号22頁

 

 (争 点)

 抗告人栗栖赴夫は相手方東京都商工信用金庫外十名に対して合計約金六百二十万円の債務を負担し、これが支払不能の状態にあるものとして昭和三十二年十一月二十日東京地方裁判所において破産の宣告を受けたが、(一)本件については、申立債権の存在が明白でなく、審理不当である、(二)抗告人は支払停止をしていない、(二)抗告人は支払不能ではない、から原決定は取り消されるべきであるとして抗告を申し立てた。

(決定要旨)

 (一)申立債権の存在が明白でないとの点について。

 証拠を綜合すれば、次の事実を一応認めることができる。すなわち、抗告人は昭和二十七年十月頃相手方東京都商工信用金庫小山支店の支店長南条正七に対し会社設立のため資金の必要ありとして金四百万円の融資を申し出た。右南条は抗告人と親戚関係にあつて、特に眤懇な間柄であり、且つ右申出に当り抗告人は借受金は会社設立のため単に見せ金に使うのであるから翌日にでも返還することを言明していたので、当時南条は小山支店長として相手方の本店に無断でこのうよな大金を融資することは許されていなかつたにもかかわらず、抗告人の言を信用して相手方の代理名義を以て同月三十一日金四百万円を数日中に返還すべき約定で抗告人に貸与した。しかるに抗告人は約旨に反して右借受金の返済をしないのみならず、同年十一月八日に至り、右南条に対し更に金二百万円の追加融資方を申し出で、若しこれに応じないときは前記四百万円の返済も覚束なくなる虞がある旨暗示したため、右南条は行きがかり上、これまた本店の諒解を得ないで相手方の代理名義を以て抗告人に対し前同様の約定で金二百百円を貸与したものである。

 もつとも、証拠によれば、日産メトロ交通株式会社は金額四百五十万円及び金額百五十万円の約束手形各一通を相手方宛に振り出し、抗告人は右各手形に手形上の保証をしたことを認めることができる。これによると、抗告人は相手方に対し、右約束手形の主債務者日産メトロ交通株式会社のためにその手形上の保証債務を負担しているにすぎないかの如く見えるけれども、原審証人南条正七の証言と相手方審問の結果を綜合すれば、南条正七は抗告人を厚く信用していたため、前記貸金を交付するに当り、抗告人から何らの証書類を差し入れさせなかつたところ、抗告人は約旨に反しその返済を遷延し、南条の厳重な督促により昭和二十八年六月頃に至り右貸金債務の支払方法として振出日附を遡及して作成された前掲の約束手形二通を差入たたことが窺えるので、右約束手形の存在することは、抗告人と相手方との間に消費貸借が成立したとの認定を妨げるものではない。

 してみると、南条正七が相手方の代理名義を用いてなした右消費貸借契約は本来無権代理行為に当るものであるが、本件破産申立書の記載によれば、相手方は南条のなした右消費貸借に基き抗告人に対し金六百万円の債権があることを主張し、これを申立債権として抗告人に対する本件破産の申立をしていることが明らかであるから、相手方は右南条のなした無権代理行為を追認しているものということができる。そうすると抗告人は相手方に対し右消費貸借契約に基き金六百万円の債務を負担するものであるから、本件申立債権の存在が明白でないとする抗告人の主張は採用できなか。

 (二)抗告人は支払停止をしていないとの点について。

 破産法は原則としズ支払不能を破産原因と定め、債務者が支払を停止したときは支払不能と推定しているのである。従つて裁判所は破産事件の審理に当り債務者が支払不能の状態にあるものと認めるときは、支払停止の有無の点につき判断するまでもなく破産を宣告すべきものである。本件においては債務者たる抗告人は後記説示のとおり支払不能の状態にあるものと認められるから、抗告人が支払を停止したか否かの点は判断の必要をみないのであり、原決定も抗告人が支払不能の状態にあるものと認めて破産宣告をしているのであつて、支払停止の有無につき判断を加えているわけではない。従つて抗告人の主張はすでにこの点において採用し難いのみならず、証拠によれば、抗告人は昭和二十八年八月当時においては、相手方以外にも他に多額の債務を負担して金融逼迫し、同年八月三十一日三和銀行神田支店を支払銀行とする金額四百十七万円の約束手形を不渡りにしたため遂に銀行取引の停止処分を受けるに至つたことを窺うことができる。従つて抗告人にはその頃支払停上の行為があつたものと認められるので、抗告人の主張は理由がない。

 (三)抗告人は支払不能の状態にあるものでないとの点について。

 およそ支払不能とは、債務者が一般に金銭債務の支払をすることができない客観的状態をいうのであつて、人の弁済力は財産信用及び労務の三者から成立するものと解せられるから、抗告人の所有する財産、その信用及び労務について順次検討してみる。

 (A)抗告人の財産-本件記録によれば、相手方は原裁判所に破産宣告前の保全処分として抗告人所有の有体動産の仮差押の申請をなし、昭和三十年二月十八日その旨の決定がなされ、同月二十一日抗告人の肩書住所において仮差押の執行がなされたのであるが、これによると、抗告人は右住所に家具、什器、書籍、書画、骨董類等有体動産を所有しその見積価額は合計金五十六万一千八百円であることを一応認めることができる。

 抗告人は、右見積価額は甚だ低額で、什器備品の総計は右見積価額の三倍ないし四倍の七十万ないし八十万を下らないし、抗告人所蔵の書籍には稀本珍本が多く、全書籍の価額は約二百万円と見積られ、更に書画、骨董類も少なくとも百五十万円を下らない旨主張するけれども、抗告人の右主張事実を認めるべき疏明はない。その他抗告人が特記すべき財産を有することを認めるに足る疏明は存しない。

 (B)抗告人の労務による収入-抗告人審問の結果によると、抗告人は現在財団法人経済政策研究所会長並びにビルマ企業会議、SS製薬株式会社、塚本商事株式会社の各顧間をしていて、その顧問料等の収入は月額約十万円であることを認めることができる。

 (C)抗告人の信用による支払能力-抗告人は株式会社日本興業銀行の理事、総裁を経て、昭和二十二年六月片山内閣の大蔵大臣となり次いで昭和二十三年三月には芦田内閣の国務大臣兼経済安定本部総務長官、物価庁長官等を歴任し、中央大学や慶応大学において教鞭を執つたこともあり、法学博士の学位を有するいわゆる名士であることは本件記録に徴し明らかである。従つて抗告人が多大の信用を博していたものであることは容易に窺知できるけれども、相手方提出の疏明方法を綜合すれば、抗告人は昭電事件以来漸次その信用を失墜し、昭和二十七、八年頃から一千万円以上の多額の債務を負担しながら金融意の如くならず、肩書住所や郷里に所有していた不動産を売却処分するに至り、現在においては抗告人の信用による支払能力は特に取り立てて論ずるほどのものでないことを推認することができる。

 以上の各点を綜合して判断すると、抗告人は現在相手方に対する債務を含め合計金約六百二十万円の債務を負担し、一方積極財産として前示有体動産(見積価額合計金五十七万円余)のほかは特記すベき財産とてもなく、抗告人の労務並びに信用の点を考慮に入れても、全く支払不能の状態にあるものと認めざるを得ない。

 以上のとおりであるから、抗告人に対し破産宣告をした原決定は相当であり、本件抗告は理由がないとしてこれを棄却した。

会社更生法と憲法の財産権保障 最高裁昭和45年

倒産判例百選第5版 2事件 第6版2事件

最高裁判所大法廷決定/昭和40年(ク)第464号

昭和45年12月16日

【判示事項】    1、会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)112条、241条、会社更生法213条、242条と憲法29条1項、2項

          2、会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)125条、147条、237条、241条、会社更生法213条、242条、243条と憲法29条2項、32条

          3、会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)244条と憲法14条1項

【判決要旨】    1、会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)112条、241号、会社更生法213条、242条は、憲法29条1項、2項に違反しない。

          2、会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)125条、147条、237条、241条、会社更生法213条、242条、243条は、憲法29条2項、32条に違反しない。

          3、会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)244条は、憲法14条1項に違反しない。

【参照条文】    会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)112

          会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)125

          会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)147

          会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)237

          会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)241

          会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)244

          会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)213

          会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)242

          会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)243

          憲法29

          憲法32

          憲法14

【掲載誌】     最高裁判所民事判例集24巻13号2099頁

          最高裁判所裁判集民事101号751頁

          裁判所時報560号3頁

          判例タイムズ257号149頁

          金融・商事判例249号8頁

          判例時報618号3頁

          金融法務事情612号22頁

【評釈論文】    別冊ジュリスト52号10頁

          別冊ジュリスト106号10頁

          時の法令746号50頁

          判例評論150号30頁

          法学研究(慶応大)45巻7号111頁

          法曹時報23巻9号298頁

          民商法雑誌66巻2号172頁

 

       主   文

 

 本件抗告を棄却する。

 抗告費用は抗告人の負担とする。

 

       理   由

 

 抗告代理人山田利夫の抗告理由第一について。

 所論は、原決定は憲法二九条一項、二項の解釈、適用を誤まるものであると主張する。

 思うに、会社更生法(以下法という。)は、企業を破産により解体清算させることが、ひとり利害関係人の損失となるに止まらず、広く社会的、国民経済的損失をもたらすことがあるのにかんがみ、窮境にはあるが再建の見込のある株式会社について、債権者、株主その他の利害関係人の利害を調整しつつ、その事業の維持更生を図ることを目的とするものである。そして、法は、右の目的を達成するため、更生債権または更生担保権については、更生手続によらなければ弁済等のこれを消滅させる行為をすることができないこと〔昭和四二年法律八八号による改正前の法(以下改正前の法という。)一一二条、一二三条〕、更生計画によつて債務の期限が猶予されるときは、その債務の期限は、担保があるときはその担保物の耐用期間内、担保がないときまたは担保物の耐用期間が判定できないときは二〇年までそれぞれ定めることができること(法二一三条)、更生計画認可の決定があつたときは、計画の定めまたは法の規定によつて認められた権利を除き、更生会社は、すべて更生債権および更生担保権につきその責を免かれ、株主の権利および更生会社の財産の上に存した担保権はすべて消滅し、また、更生債権者、更生担保権者および株主の権利は計画の定めに従い変更されること(改正前の法二四一条、法二四二条)などを、それぞれ定めている。もとより、これらの規定によつて更生債権者、更生担保権者および株主の財産権が制限されることは明らかであるが、右各法条の定める財産権の制限は、前記目的を達成するためには必要にしてやむを得ないものと認められる。しかも、法は、更生手続が裁判所の監督の下に、法定の厳格な手続に従つて行われることを定め、ことに、更生計画は、改正前の法一八九条以下の綿密な規定に従つて関係人集会における審理、議決を経たうえ、さらに裁判所の認可によつて効力を生ずるものとし、その認可に必要な要件を法二三三条以下に詳細に定めるなど、公正かつ衡平に前記目的が達成されるよう周到かつ合理的な諸規定をもうけているのである。したがつて、これらの点を考えると、論旨の指摘する改正前の法一一二条、法二一三条、改正前の法二四一条、法二四二条の各規定は、公共の福祉のため憲法上許された必要かつ合理的な財産権の制限を定めたものと解するのが相当であり、憲法二九条一項、二項に違反するものということはできない。

 右と同旨の原決定の判断は正当であり、憲法二九条一項、二項の解釈適用についての原決定の判断に所論の違憲ありとは認められず、論旨は採用することができない。

 同第二について。

 所論は、原決定は憲法二九条二項、三二条の解釈適用を誤まるものであると主張する。

 そこで、会社更生法の規定をみると、更生債権者が更生手続に参加するためには、裁判所の定めた期間内に所定の届出をすることを要し(改正前の法一二五条)、届出をしても、その権利について異議があると、その異議者に対し訴をもつて権利確定の手続をすることを要し(改正前の法一四七条)、これらいずれの手続を怠つても更生手続に参加する資格を失い、裁判所の更生計画認可の決定があると、更生債権は、更生計画の定めによつて認められた範囲内においてのみ存在し、その余は失権することとなり(法二一三条、改正前の法二四一条、法二四二条、二四三条)、届出をしなかつた更生債権者は、更生計画認否の決定に対し不服の申立をすることができない(改正前の法二三七条)旨をそれぞれ定めている。

 そして、会社更生法の右各規定によつて更生債権者の財産権が制限されることは明らかであるが、前記抗告理由第一に対する判断で説示したところと同様の理由により、右各規定は、公共の福祉のため憲法上許された必要かつ合理的な制限を定めたものと解するのが相当であり、憲法二九条二項に違反するものということはできない。

 原決定に所論の違憲ありとは認められず、論旨は採用することができない。

 次に、憲法三二条にいう裁判とは、同法八二条にいう裁判と同様に、現行法が裁判所の権限に属せしめている一切の事件につき、裁判所が裁判の形式をもつてするすべての判断作用ないし法律行為を意味するものではなく、そのうち固有の司法権の作用に属するもの、すなわち、裁判所が当事者の意思いかんにかかわらず終局的に事実を確定し当事者の主張する権利義務の存否を確定することを目的とする純然たる訴訟事件についての裁判のみをさすものと解すべきであつて(昭和二六年(ク)第一〇九号・同三五年七月六日大法廷決定・民集一四巻九号一六五七頁、昭和三六年(ク)第四一九号・同四〇年六月三〇日大法廷決定・民集一九巻四号一〇八九頁、昭和三七年(ク)第二四三号・同四〇年六月三〇日大法廷決定・民集一九巻四号一一一四頁、昭和三九年(ク)第一一四号・同四一年三月二日大法廷決定・民集二〇巻三号三六〇頁、昭和四一年(ク)第四〇二号・同四五年六月二四日大法廷決定・裁判所時報五四八号九五頁等参照)、憲法三二条は、かかる裁判の請求権を保障しているものにほかならず、その本質において固有の司法権の作用に属しない非訟事件は、憲法三二条の定める事項ではなく、したがつて、非訟事件の手続および裁判に関する法律の規定について、憲法三二条違反の問題は生じないものと解すべきである。

 ところで、会社更生手続の眼目であり、会社更生の基準となる更生計画は、関係人集会においてその案が審理可決された上、裁判所の認可をもつてはじめて有効に成立するのであるが(法二三二条以下)、裁判所のなす右更生計画認否の裁判は、国家のいわゆる後見的民事監督の作用に属し、固有の司法権の作用に属しないことが明らかであつて、その本質は非訟事件の裁判であり、それに対する不服の申立もまた純然たる訴訟事件ではないと解すべきであり(昭和三七年(ク)第六四号・同四一年一二月二七日大法廷決定・民集二〇巻一〇号二二七九頁参照)、また、前説示の改正前の法二四一条、法二四二条、二四三条による更生債権失権の効果は、有効に成立した更生計画を要件として法律により定められた私権の変更の効果にほかならない。以上の次第で、右失権の定めおよび前説示の更生計画認否の決定に不服の申立ができない(改正前の法二三七条)旨の定めは、非訟事件に関する定めであり、憲法三二条が保障する裁判請求権の制限ないし剥奪と解すべきものではなく、したがつて、同条に違反するものということはできない。

 なお、更生手続中、所論の更生債権確定の訴は、純然たる訴訟事件と解すべきであるが、この訴の前提となる更生債権届出期間の定めおよびこの訴についての出訴期間の定めは、会社更生法の目的に照らし必要かつ合理的なものであり、実質上裁判の拒否と認められるような不合理な点は認められないから、憲法三二条に違反するものではない(昭和二三年(オ)第一三七号・同二四年五月一八日大法廷判決・民集三巻六号一九九頁参照)。

 以上と結論を同じくする原決定の判断は正当であり、原決定に所論の違憲はなく、論旨は採用することができない。

 なお、抗告理由中の法二三四条についての主張は、論旨が不明というべく、特別抗告適法の理由に当らない。

 同第三について。

 所論は、改正前の法二四四条を適用した更生計画認可の決定を是認する原決定は、憲法一四条に違反すると主張する。

 そこで、考えてみると、憲法一四条一項は、国民に対し絶対的な平等を保障したものではなく、差別すべき合理的な理由なくして差別することを禁止している趣旨と解すべきであるから、事柄の性質に即応して合理的と認められる差別的取扱をすることが何ら右法条の否定するところでないことは、当裁判所の判例とするところである(昭和三七年(オ)第一四七二号・同三九年五月二七日大法廷判決・民集一八巻四号六七六頁参照)。

 ところで、改正前の法二四一条、法二四二条、二四三条によれば、更生計画の定めによつて更生債権者または更生担保権者に対し権利が認められた場合には、その権利は、確定した更生債権または更生担保権を有する者に対してのみ認められることとし、改正前の法一二五条、一二六条所定の届出や、改正前の法一四七条以下に定める権利確定の手続を怠つた更生債権者または更生担保権者は何らの権利も認められず失権することとしている。他方、改正前の法二四四条によれば、更生計画の定めによつて株主に対し権利が認められた場合には、その権利は、株式の届出をしなかつた者に対しても、認められるものとしている。かように株主を更生債権者または更生担保権者に対し別異の取扱をしているのは、更生債権者または更生担保権者の各権利と株主の権利とはそれぞれその性質を異にし、かつ、株式の数および内容は、会社の知悉するところであり、また、その帰属は、株主名簿等により明らかであるからである。したがつて、右取扱の差異は、事柄の性質に即応した合理的な差別というべきであつて、改正前の法二四四条の規定を適用した更生計画認可の決定を是認する原決定が憲法一四条一項に違反するものということはできない。

 原決定に所論の違憲はなく、論旨は、採用することができない。

 よつて、本件抗告を棄却し、抗告費用は抗告人の負担すべきものとし、裁判官全員の一致で、主文のとおり決定する。

昭和四五年一二月一六日

     最高裁判所大法廷

         裁判長裁判官    石   田   和   外

            裁判官    入   江   俊   郎

            裁判官    長   部   謹   吾

            裁判官    城   戸   芳   彦

            裁判官    田   中   二   郎

            裁判官    岩   田       誠

            裁判官    下   村   三   郎

            裁判官    色   川   幸 太 郎

            裁判官    大   隅   健 一 郎

            裁判官    松   本   正   雄

            裁判官    飯   村   義   美

            裁判官    村   上   朝   一

            裁判官    関   根   小   郷

            裁判官    藤   林   益   三

最高裁判所大法廷 昭和40年(ク)第464号 会社更生計画認可決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件 昭和45年12月16日

 

破産免責手続と憲法32条 最高裁平成3年

倒産判例百選第5版 1-2 第6版1-2

免責決定に対する抗告事件

最高裁判所第3小法廷決定/平成2年(ク)第127号

平成3年2月21日

【判示事項】    破産法366条ノ4第1項および366条ノ8の各規定と憲法32条

【判決要旨】    破産法366条ノ4第1項の破産者の審訊についての規定ならびに同法366条ノ8の破産者および異議申立人の意見の聴取についての規定は、憲法32条に違反しない。

【参照条文】    憲法32

          破産法366の4-1

          破産法366の8

【掲載誌】     最高裁判所裁判集民事162号117頁

          金融・商事判例866号26頁

          金融法務事情1285号21頁

【評釈論文】    熊本法学87号137頁

          ジュリスト臨時増刊1002号137頁

          判例タイムズ臨時増刊790号242頁

          法学教室134号76頁

          法学研究(慶応大)65巻10号157頁

 

       主   文

 

 本件抗告を却下する。

 抗告費用は抗告人の負担とする。

 

       理   由

 

 本件抗告理由中、破産法所定の免責規定、特に免責の不許可決定の要件を規定した同法三六六条ノ九の規定が憲法二九条に違反すると主張する部分があるが、右免責規定が憲法二九条に違反するものでないことは、当裁判所の判例とするところであり(昭和三六年(ク)第一〇一号同年一二月一三日大法廷決定・民集一五巻一一号二八〇三頁)、右論旨は理由がない。

 また、右抗告理由中、破産裁判所が審訊の手続により破産者に対し免責の決定をすることができる旨を定めた破産法三六六条ノ四の規定及び免責の申立てにつき異議の申立てがあつた場合に破産裁判所が異議申立人の意見を聴くことを要する旨を定めた同法三六六条ノ八の規定は、詐欺破産及び過怠破産等の事実について債権者の証言等による立証の機会を奪うもので憲法三二条に違反すると主張する部分がある。

 しかしながら、破産法における破産者の免責は、誠実な破産者に対する特典として、破産手続において、破産財団から弁済できなかつた債務につき特定のものを除いて破産者の責任を免除し、破産者を更生させることを目的とする制度である(前記大法廷決定参照)ところ、右免責の裁判は、当事者の主張する実体的権利義務の存否を確定することを目的とする純然たる訴訟事件についての裁判ではなく、その性質は本質的に非訟事件についての裁判であるから、右免責の裁判が公開の法定における対審を経ないでされるからといつて、破産法の右規定が憲法三二条に違反するものでないことは、当裁判所の判例(昭和三六年(ク)第四一九号同四〇年六月三〇日大法廷決定・民集一九巻四号一〇八九頁、昭和三九年(ク)第一一四号同四一年三月二日大法廷決定・民集二〇巻三号三六〇頁、昭和四一年(ク)第四〇二号同四五年六月二四日大法廷決定・民集二四巻六号六一〇頁)の趣旨に照らして明らかである。

 右論旨は理由がなく、その余の抗告理由は、実質は原決定の単なる法令違背を主張するものにすぎないから、いずれも民訴法四一九条ノニ所定の場合に当たらない。

 よつて、本件抗告を不適法として却下(裁判長裁判官 貞家克己 裁判官坂上壽夫・園部逸夫・佐藤庄市郎・可部恒雄)

最高裁判所第3小法廷 平成2年(ク)第127号 免責決定に対する抗告事件 平成3年2月21日

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