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2021年11月

労働事件での遅延損害金 大阪地裁令和元年9月5日

『類型別労働関係訴訟の実務 改定版Ⅱ』青林書院・2021年569頁

賃金等請求事件

大阪地方裁判所判決/平成30年(ワ)第2406号

令和元年9月5日

【判示事項】        被告の従業員であった原告が,未払賃金,解雇予告手当及び付加金の支払を求めた事案。裁判所は,原告の労務の提供がなかったとする被告主張につき,原告の主たる担当業務は営業であり,必ずしも被告事務所に出勤することを要しない上,かかる状況は,同じ業務を行っていた労働契約締結前(取締役在任中)と異ならないから,被告事務所に出勤する回数が少ないからといって,原告が被告の業務を行っていないとはいえず,被告の業務を行っていたことが認められるとし,また,被告主張の原告の横領や暴行の事実も認められず,本件解雇に関し原告の責に帰すべき事由があるとはいえないとし,未払賃料,解雇予告手当(ただし,遅延損害金は民事法定利率の年5分)請求を認容し,解雇予告手当と同額の付加金を命じた事例

【掲載誌】         LLI/DB 判例秘書登載

 

       主   文

 

 1 被告は,原告に対し,69万7446円及びうち69万3548円に対する平成30年3月2日から支払済みまで年14.6%の割合による金員を支払え。

 2 被告は,原告に対し,48万3871円及びこれに対する平成30年1月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 3 被告は,原告に対し,48万3871円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。

 5 訴訟費用は,被告の負担とする。

 6 この判決は,1項及び2項に限り,仮に執行することができる。

 

       事実及び理由

 

第1 請求

 1 主文1項同旨

 2 被告は,原告に対し,50万円並びにこれに対する平成30年1月31日から同年3月1日まで年6分の割合による金員及び同月2日から支払済みまで年14.6%の割合による金員を支払え。

 3 被告は,原告に対し,119万3548円及びこれらに対する本判決確定の日の翌日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要

 1 本件は,不動産の売買,仲介,斡旋,賃貸及び管理等を目的とする被告の従業員であった原告が,労働契約に基づき,平成29年12月19日から平成30年1月30日までの未払賃金計69万3548円及びうち45万1613円に対する支払期日の翌日である同月16日から同年3月1日まで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金3341円,うち24万1935円に対する支払期日の翌日である同年2月16日から同年3月1日まで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金557円並びに69万3548円に対する退職日の翌日以降である平成30年3月2日から支払済みまで賃金の支払の確保等に関する法律所定の年14.6%の割合による遅延損害金の支払,労基法20条1項本文に基づき,解雇予告手当50万円及びこれに対する解雇日の翌日である平成30年1月31日から同年3月1日まで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金,退職日の翌日以降である同月2日から支払済みまで賃金の支払の確保等に関する法律所定の年14.6%の割合による遅延損害金の支払,労基法114条に基づき,上記未払賃金と同額及び解雇予告手当と同額の計119万3548円及びこれらに対する本判決確定の日の翌日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める事案である。

 2 前提事実

  (1) 被告は,不動産の売買,仲介,斡旋,賃貸及び管理等を目的とする株式会社である(争いのない事実)。

  (2) 被告代表者,原告及びA(以下「A」という。)は,平成28年11月1日,それぞれお300万円ずつ出資して,被告を設立し,被告代表者が代表取締役,原告及びAが取締役にそれぞれ就任した(争いのない事実)。

  (3) 原告と被告代表者及びAは,平成29年12月18日,原告の所有する被告の株式を被告代表者及びAに600万円で譲渡する旨の株式譲渡契約を締結した(争いのない事実)。

  (4) 原告は,平成29年12月19日,被告の取締役を辞任した(甲3)。

  (5) 原告は,被告との間で,平成29年12月19日,次の内容の労働契約を締結した(甲4,弁論の全趣旨)。

   ア 契約期間 平成29年12月19日から平成30年12月18日

   イ 就業の場所 本店所在地

   ウ 従事する業務内容 営業,翻訳・通訳業務

   エ 賃金 基本給45万円 通勤手当1万円,こども手当4万円(締日及び支払日 毎月15日)

  (6) 原告の平成29年12月19日から平成30年1月15日の賃金額は45万1613円,同月16日から同月30日の賃金額は24万1935円である(甲4,弁論の全趣旨)。

  (7) 被告は,原告に対し,平成30年1月30日,原告を解雇する旨の意思表示をした(甲6,弁論の全趣旨。以下「本件解雇」という。)。

 3 争点

  (1) 賃金請求

    原告の労務の提供の有無(争点1)

  (2) 解雇予告手当請求

   ア 解雇予告手当の額(争点2)

   イ 原告の責に帰すべき事由の有無(争点3)

 4 争点に対する当事者の主張

  (1) 争点1(原告の労務の提供の有無)について

   ア 原告

     原告は,平成29年12月19日以降も,被告の仲介(不動産賃貸)で来日することになった留学生を関西国際空港まで出迎えてマンションまで案内したり,被告が売買を仲介した収益物件の賃料の振込先変更の案内,鍵の確認等を行ったり,電話で新規の見込み客等に対し,物件の案内や相談等を行うなどし,被告に対し,労務の提供を行った。

   イ 被告

     原告は,平成29年12月19日以降,被告の事務所に出勤せず,被告の業務を行っていない。

  (2) 争点2(解雇予告手当の額)について

   ア 原告

     原告の解雇予告手当の額は,50万円である。

   イ 被告

     争う。

  (3) 争点3(原告の責に帰すべき事由の有無)について

   ア 被告

     本件解雇は,以下のとおり,原告の責に帰すべき事由に基づく。

    (ア) 原告は,平成29年3月31日から同年12月25日にかけて,11回にわたり,客から値引きしていない金額を受領しながら,被告には値引きしたとして値引額を控除した金額を収め,その差額を横領した。また,原告は,同日頃,株式会社B(以下「B」という。)との間の取引に関して被告が受領すべき金員を横領した。

    (イ) 原告は,平成30年1月22日,被告の本社所在地において,被告代表者が原告の使用するパソコンを業者に頼んで点検していたところ,「なにするんだ。パソコンに触るな。」などと言って,被告代表者の胸ぐらを左手で掴んで締め上げ,右平手で2,3回殴打した。

   イ 原告

     いずれも否認する。

    (ア) 被告が指摘する値引額(中国人の留学希望者にマンション等の賃貸を仲介した際のもの)とされているのは,中国人の顧客からの送金の際の費用(アリペイ等の口座から現金口座に振り替える手数料,海外送金の手数料等)や顧客の紹介者への報酬等を計上したものであって,原告はその差額を受け取っておらず,むしろその費用を一部持ち出して負担している。また,平成29年12月頃のBとの取引の主体は,被告ではなく原告個人であり,さらに,その際に原告によって横領されたと被告が指摘する金員(不動産賃貸の初期費用)は,当該不動産賃貸を仲介したBが受領すべき金員であって現にBが受領している。

    (イ) 原告は,平成30年1月22日,被告代表者から殴打されてそれを手で払いのけようとはしたものの,原告から被告代表者を殴打したことはない。

第3 争点に対する判断

 1 争点1(原告の労務の提供の有無)について

  (1) 証拠(甲25,原告本人,被告代表者本人)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,労働契約締結後(平成29年12月19日以降)も,取締役退任前と同様,月に3,4回は被告の本社所在地に出社していたほか,被告の仲介(不動産賃貸)で来日することになった留学生を関西国際空港まで出迎えてマンションまで案内したり,被告が売買を仲介した収益物件の賃料の振込先変更の案内,鍵の確認等を行ったり,電話で新規の見込み客等に対し,物件の案内や相談等を行うなど被告の業務を行っていたことが認められる。なお,被告の主張や書証(乙2の番号11参照)を前提としても,原告は,労働契約締結後の平成29年12月25日に被告の顧客と仲介料のやりとりも行っている。

  (2) 被告は,原告が労働契約締結後,被告の事務所に出勤していないから,被告の業務を行っていないと主張するが,原告の主たる担当業務は営業であり,その業務を行うに当たり,必ずしも被告の事務所に出勤することを要しない上,そのような状況は,同じ業務を行っていた労働契約締結前(取締役在任中)と異ならない(労働契約締結後,急に出社しなくなったわけではない[原告本人,被告代表者本人])から,原告が被告の事務所に出勤するする回数が少ないからいって,原告が被告の業務を行っていないといえるものではない。この点,被告代表者は,原告が具体的に何をしているのかは把握していなかった旨述べている。さらに,被告は,原告が労働契約締結後,タイムカードに打刻していないと主張するが,同じ業務内容を行っていた取締役在任中にタイムカードを打刻していなかった原告が(原告本人),取締役退任後,労働契約を締結して間もない時期に,そのままタイムカードの打刻を行わなかったとしても不自然とはいえず,また,原告の主たる担当業務が営業であることからすると,タイムカードに打刻がないことから直ちに労務の提供を行っていないといえるものでもない。

  (3) 以上によれば,原告は,被告に対し,労務の提供を行っていたといえ,原告の賃金請求には理由がある。

 2 争点2(解雇予告手当の額)について

   原告は,被告との間で,平成29年12月19日に労働契約を締結し(前提事実(5)),同日から原告が解雇される平成30年1月30日までの43日間の賃金額が計69万3548円となること(前提事実(6),(7))からすると,原告の解雇予告手当の額は,以下の計算式により,48万3871円となる。69万3548円÷43日×30日=48万3871円(円未満四捨五入)

 3 争点3(原告の責に帰すべき事由の有無)について

  (1) 横領の点について

   ア 被告は,原告が平成29年3月31日から同年12月25日にかけて,11回にわたり,客から値引きしていない金額を受領しながら,被告には値引きしたとして値引額を控除した金額を収め,その差額を横領したと主張し,そのうち9件の取引(いずれも中国人の客が日本でマンション等を賃貸するに当たり,被告がその仲介をしたもので,原告が担当者である。)について,顧客が支払った額と被告に入金された額に差があり,決済明細書では,その差額について,値引きをしたわけではないのに値引額として記載されていることが認められる(甲7の1ないし9,乙5の1ないし9)。この点,原告は,値引額とされているのは,中国人の顧客からの送金の際の費用(アリペイ等の口座から現金口座に振り替える手数料,海外送金の手数料等)や顧客の紹介者への報酬等を計上したものであるとして,それぞれの取引にかかった振替や送金の手数料,紹介者への報酬等について具体的に説明し,紹介者への報酬についてはそれを裏付けるための書証(甲9等)も提出しているところ,被告は,これに対して具体的な反論をしていない上,原告がその差額を取得したことについては何ら立証していない。この点,既に述べたとおり,被告代表者は,原告が具体的に何をしているのかは把握していなかった旨供述している。他方で,被告が顧客から日本円しか受け取らないとしていること(被告代表者本人)等からすると,原告が説明するような振替や送金の手数料,紹介者への報酬の支払があったとしても不自然とはいえない。また,残り2件については差額が生じたこと自体立証がない。

   イ 被告は,原告が平成29年12月25日頃,Bとの間の取引に関して被告が受領すべき金員を横領した旨主張するが,Bとの取引に関し,被告が受領すべき金員があったことを認めるに足りる証拠がない。この点,上記取引に係る建物賃貸借契約書(甲19,乙9)上は,原告個人が賃貸人の代理人,仲介業者がBと記載されている。また,重要事項説明書には,当該不動産の管理の委託先として被告が記載されているが(乙9),被告が金員の授受があったと主張する平成29年12月25日頃は,上記取引に係る不動産賃貸借契約締結直後であることからすると,やり取りされた金員(乙2によると社金や広告料等)が当該不動産の管理に係るものであるとは認められない。

   ウ そのほか,原告が横領行為を行ったと認めるに足りる証拠はない。

  (2) 暴行の点について

   ア 被告は,原告が平成30年1月22日,被告の本社所在地において,被告代表者が原告の使用するパソコンを業者に頼んで点検していたところ,「なにするんだ。パソコンに触るな。」などと言って,被告代表者の胸ぐらを左手で掴んで締め上げ,右平手で2,3回殴打したと主張し,これに沿う被告代表者の供述(陳述書の記載を含む。)やAの陳述書(乙15)及びC作成の書面(乙11の1・2)の記載も存する。

     しかしながら,本件訴訟提起前の通知書には「顔面を手拳で殴打」と記載されている(甲5)など,暴行の態様(手拳か平手か)や暴行のきっかけについて,被告の主張自体に変遷が見られる。また,被告が暴行直後(当日)に撮影したとして提出する写真(乙10)によっても殴打の形跡は確認できない(頚部に線状に赤くなっている箇所が見られるが,その形状や箇所からすると,手拳・平手のいずれの態様の殴打の痕としても合致しない)。このように暴行直後に撮影したとする写真で打撲の痕が視認できない以上,翌日(平成30年1月23日)に頭部・頚部打撲と診断されているとしても(乙7),そのことから殴打があったとまではいえない。さらに,当日のやりとりを録音した音声データ(甲20,21)では,被告代表者が暴行を受けたことを裏付けるやりとりが録音されていない上,かえって暴行があったと考えられる時間(パソコンに関するやりとりの後)の直後に原告が「俺を殴ったな」と述べ,また,原告から「警察に電話してくれ」と述べるなど原告が一方的に暴行を行ったこととはそぐわないやり取りも録音されている。以上によれば,被告代表者の上記供述(陳述書の記載を含む。)部分やAの陳述書(乙15)及びC作成の書面(乙11の1・2)の上記各記載部分をいずれも採用することができない。

   イ そのほか,原告が被告代表者に対する暴行行為を行ったと認めるに足りる証拠はない。

  (3) 以上によれば,原告による横領や暴行があったとは認められず,本件解雇に関し,原告の責に帰すべき事由があるとはいえない。なお,仮に原告による何らかの横領や暴行があったからといって直ちに解雇予告手当の支払を受けずに解雇されてもやむを得ないとまでいえるものでもない。

 4 解雇予告手当の遅延損害金について

   解雇予告手当は,労働契約に基づいて発生するものではなく,法律が特に認めたものであり,商行為性があるとはいえず,賃金ともいえないから,遅延損害金の額は,民法所定の年5分の割合となる。

 5 付加金について

   本件に表れた一切の事情を総合考慮すれば,解雇予告手当の額と同額の付加金の支払を命じるのが相当である。なお,本件賃金請求(通常の賃金)は,付加金の対象とならない(労基法114条)。

第4 結論

   以上によれば,原告の請求のうち,被告に対し,労働契約に基づき,平成29年12月19日から平成30年1月30日までの未払賃金計69万3548円及びうち45万1613円に対する支払期日の翌日である同月16日から同年3月1日まで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金3341円,うち24万1935円に対する支払期日の翌日である同年2月16日から同年3月1日まで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金557円並びに69万3548円に対する退職日の翌日以降である平成30年3月2日から支払済みまで賃金の支払の確保等に関する法律所定の年14.6%の割合による遅延損害金の支払,労基法20条1項本文に基づき,解雇予告手当48万3871円及びこれに対する解雇日の翌日である平成30年1月31日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払,労基法114条に基づき,上記解雇予告手当と同額の48万3871円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める限度で理由があるが,その余はいずれも理由がない。よって,主文のとおり判決する(訴訟費用については,原告の請求のうち,訴額に影響しない程度のわずかな減額がされたにすぎないから,民事訴訟法64条ただし書を適用して,被告の負担とする。)。

    大阪地方裁判所第5民事部

           裁判官  松本武人

31

ラジオタイランド 2021年11月28日 日 2200~2215JST

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ジャミングの混信あり

 

首相はタイが年内にワクチン接種で目的達成できると自信を示した。1億回。

 

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小島ひでみ

 

 

2210より音楽

納税者勝訴 重加算税取消広島高裁岡山支部平成22年

谷原誠『税務のわかる弁護士が教える税務調査における重加算税回避ポイント』ぎょうせい・2019年50頁

所得税重加算税賦課決定処分等取消請求控訴事件

広島高等裁判所岡山支部判決

平成22年10月28日

【掲載誌】     税務訴訟資料260号順号11542

 

       主   文

 

 1 本件控訴を棄却する。

 2 原判決主文第2項(1)中「重算税」とあるのを「重加算税」と更正する。

 3 控訴費用は控訴人の負担とする。

 

       事実及び理由

 

第1 控訴の趣旨

 1 原判決中、控訴人敗訴部分をいずれも取り消す。

 2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。

 3 訴訟費用は、第1審、第2審とも被控訴人の負担とする。

第2 事案の概要

 1 本件は、平成12年から平成15年までの各年分(以下「本件各年分」という。)の所得税並びに平成12年1月1日から同年12月31日まで、平成13年1月1日から同年1月31日まで、平成14年1月1日から同年12月31日まで及び平成15年1月1日から同年12月31日までの各課税期間(以下、順次「平成12年課税期間」等といい、平成12年課税期間から平成15年課税期間までの各課税期間を併せて「本件各課税期間」という。)の消費税と地方消費税(以下「消費税等」という。)につき、原告が行った修正申告等につき、岡山東税務署長が原告に対し、国税通則法(平成18年法律第10号による改正前のもの。以下「通則法」という。)68条1項及び2項に基づき、平成16年11月30日付けで、所得税重加算税及び消費税等重加算税を賦課する旨の各処分(以下「本件各処分」という。)をしたのに対し、原告が、本件各処分は違法であると主張して、その取消しを求めた事案である。

 2 本件の前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、次のとおり付加訂正するほかは、原判決の「第2 事案の概要」の「2」ないし「4」(原判決4頁1行目から同21頁11行目まで。ただし、引用の別表部分を含む)に記載のとおりであるので、これを引用する。

  (1) 原判決4頁16行目の「78歳」を「77歳」と改め、同21行目の「8、」の次に「乙24、25、38、」を付加する。

  (2) 原判決5頁8行目の「共有」を「共用」と、同15行目の「平成13年1月19日」を「平成13年12月19日」と各改める。

  (3) 原判決6頁5行目の「原告は」を「被控訴人及びBは」と改める。

  (4) 原判決6頁9行目の「決算料」の次に、「、顧問料その他の収入」を、同12行目の「という。」の次に「また、上記期間分以外の期間分を含め、Bの計算料と被控訴人の決算料等につき入金の都度記帳した大学ノートを単に「本件顧問料ノート」という。」を各付加する。

  (5) 原判決6頁14行目の「計算料と」から同23行目の「う。)」までを「決算を修正するためのメモ(乙20ないし23、平成12年分(平成13年1月31日締め)から平成15年分(平成16年1月31日締め)まである。以下、順次「本件決算修正メモ(平成13年1月)」などといい、これらを併せて「本件各決算修正メモ」という。また、上記期間分以外の期間分を含め、被控訴人の決算料に係る項目を抽出したメモを単に「本件決算修正メモ」という。)を作成したが、乙や丙ら従業員は、これに含まれ、計算料と決算料を区別するために本件各顧問料ノートから控訴人の決算料に係る項目を抽出した「決算料外」と題するメモ(甲4、乙20の12枚目、21の6枚目、22の7枚目、23の8枚目、以下、順次「本件決算料メモ(平成13年1月)」などといい、これらを併せて「本件各決算料メモ」という。また、上記期間分以外の期間分を含め、被控訴人の決算料に係る項目を抽出・整理したメモを単に「本件決算料メモ」という。)」と改める。

  (6) 原判決7頁4行目の「計算料」を「収入」と改める。

  (7) 原判決8頁19行目の「本件各顧問料ノートに記載のある収入」を「平成12年については従前どおりであるが、平成13年から平成15年までについては、本件各顧問料ノートに記載のある収入及び本件各決算料メモに記載のある収入から概算申告収入を減額した金額」と改める。

  (8) 原判決12頁20行目の「監督庁」を「監督上」と、同24行目の「基づく処分」を「基づく調査」と、同25行目の「高く」を「高い処分を目的とし」と、同26行目の「処分によって」を「調査によって」と各改める。

  (9) 原判決14頁5行目の「増加しいた」を「増加していた」と改める。

  (10) 原判決14頁10行目の末尾に「また、被控訴人の平成12年分ないし平成15年分の所得の内訳書記載の税理士報酬の合計金額と別表5③記載の申告漏れ金額を合計した額で同申告漏れ金額を除した申告漏れ率は、平成12年分が19.32%、平成13年分が27.96%、平成14年分が31.65%、平成15年分が36.8%と高く、徐々に増加している。」を付加する。

  (11) 原判決14頁15行目の「顧問先ごに」を「顧問先ごとに」と改める。

  (12) 原判決15頁2行目の「場合があり、」の次に「他方で前年度の所得の内訳書や顧問料ノートに決算料収入が記載されている顧問先について、その記載がなくなったり決算料が減額されているところ、その内容が本件各顧問料ノートの記載と一致しない場合もあって、」を付加する。

  (13) 原判決15頁8行目の末尾に、改行して次のとおり付加する。

     「 被控訴人は、本件顧問料ノート(平成14年)に顧問先から受領した決算料を自ら記入していたのであるから、少なくとも当該顧問先からの収入は具体的に認識していた筈であるのに、それを平成14年分の所得の内訳書(乙13)に一切計上しておらず、これは被控訴人が具体的に認識していた決算料収入を殊更除外して申告していたことの裏付けとなる。」

  (14) 原判決16頁6行目の末尾に、改行して次のとおり付加する。

     「 また、上記従業員らは、本件各顧問料ノートから被控訴人の決算料収入をすべて抽出して支払調書を作成しており、被控訴人は個人の確定申告の際にこれを受領し、これに基づき所得の内訳書の報酬金額及び源泉徴収税額を記入していた。しかし、支払調書が作成された顧問先の収入の内例えば平成13年分のQ有限会社からの収入など一部申告漏れが存在しており、これが過誤に基づくものとは考えられない。

     さらに、被控訴人の申告漏れの大半は本件各顧問料ノートに記載されており、その下線が引かれている顧問先からの顧問料等及び決算欄に記載された決算料の金額を合計すれば、収入を容易に集計できる。そして、被控訴人は、確定申告の時期には、記載された顧問先について被控訴人個人に帰属する収入を把握するため、本件各顧問料ノートを2、3日手元に置いて確認していた。」

  (15) 原判決16頁8行目の「原告の」から9行目の「かかわらず」までを「被控訴人には、確定申告の際上記のとおり多額の所得があり、申告漏れの部分があることを認識していたにもかかわらず」と、同10行目の「その旨」から同11行目の「かかわらず」までを「その結果」と各改め、同15行目の「原告には」から同17行目の「行っていないこと」までを「被控訴人は、年度中に自ら本件各顧問料ノートに記入するなどしてその内容を認識し、申告漏れに気付く機会があったにもかかわらず、税務署員に申告漏れの存在を指摘されるまで決算料収入の計上洩れを是正する修正申告を行っておらず、平成12年分の所得税について平成13年12月19日に、平成13年分の所得税について平成14年11月6日にそれぞれ自発的に修正申告を行った際には、修正申告に決算料メモ記載の決算料収入を反映していないこと、」と改め、同20行目の「過少申告が」の次に「、自らの決算料を敢えて申告しない意思であったものであり、」を付加する。

  (16) 原判決17頁9行目の末尾に「仮に本件各決算料メモが被控訴人の確定申告期限後に作成されていたとしても、被控訴人が自己の確定申告期限までに作成するよう従業員に命じることは可能であるから、そのような命令をしないまま、あえてその分の収入を一切申告しなかったことは、被控訴人がその分の収入を意図的に除外しようとしていたことを裏付けるものである。」を付加する。

  (17) 原判決18頁22行目の「進行し」を「申告した」と改める。

  (18) 原判決19頁11行目の「I協同組合」を「I協同組合」と、同12行目の「申告額」を「決算料」と各改める。

  (19) 原判決20頁14行目の「付加要件」を「賦課要件」と改める。

  (20) 原判決21頁11行目末尾に、改行して次のとおり付加する。

     「 支払調書は、源泉徴収義務者からの支払金額及び源泉徴収額が分かるのみで、これのみで被控訴人の所得すべてが把握できるものではない。その点で、支払調書の存否と本件各顧問料ノート記載の収入の把握とは無関係である。支払調書記載の収入の一部申告漏れがあるとしても、それはミスによるものであり、仮装、隠ぺいを行った根拠とはならない。

       本件各顧問料ノート及び本件各決算料メモ等以外の収入について申告漏れがあった事実は、被控訴人が本件各顧問料ノート及び本件各決算料メモの収入を意図的に除外したものではないことを示す。

       本件各処分当時、本件各顧問料ノートの収入が重加算税の対象となっていなかったことからも、処分庁自体上記収入が重加算税の対象となりえないことを自認していたことは明らかである。

       本件各決算料メモは、被控訴人の確定申告以降に作成されたから、確定申告の際存在しない本件各決算料メモの収入を基礎として、仮装、隠ぺいすることは考えられない。」

  (21) 原判決39頁「別表1」のNo.⑤「修正申告(平成16年11月11日)」の平成12年分の総所得金額欄の「24,455,733」を「25,455,733」と改める。

第3 当裁判所の判断

  当裁判所も被控訴人の請求は原判決主文1、2項記載の限度で理由があるから認容するべきであると判断する。その理由は、次のとおり加除訂正するほかは、原判決の「第3 当裁判所の判断」の「1」ないし「5」及び「第4 結論」(原判決21頁13行目から同38頁8行目まで。ただし、引用の別表、別紙部分を含む)に記載のとおりであるので、これを引用する。

 1 原判決23頁22行目「甲」の次に「1の1ないし4、」を、「乙」の次に「1ないし14、19、」を、同行目の「25」の次に「、26ないし33」を、「38」の次に「、51、52、56」を各付加する。

 2 原判決23頁24行目の「78歳」を「77歳」と、同24頁5行目の「3月には」を「2月から3月にかけては」と各改める。

 3 原判決24頁10行目の「そのため、」から同25頁17行目までを、次のとおり改める。

  「 被控訴人及びBは、Bの業務に係る報酬である計算料のほか、被控訴人の税理士業務に係る報酬である決算料を収受しており、決算料の大部分は、計算料とともにBの預金口座に入金されていたが、被控訴人は、計算料と決算料を区別せず、すべてBの収入に計上した上で、被控訴人個人及びBの各確定申告を行っていた。

   ウ 被控訴人及びBは上記のような申告を行っていたが、早ければ平成3年頃、遅くとも平成9年以前頃になって、被控訴人は従業員の1人から、Bの預金口座に振り込まれている決算料は被控訴人個人の収入ではないかとの指摘を受け、さらにその従業員から決算料をまとめて抽出しておくと言われたことから、その指摘を妥当と認め、決算料の抽出を指示した。そこで、その従業員は、顧問料等の入金管理のために作成されていたBの本件顧問料ノートから決算料に係る項目を抽出するなどして本件決算料メモを作成した上、本件決算修正メモに綴り込んだ。そして、その従業員は、補助元帳と題する伝票に「決算料外甲個人収入分」を記載した(ただし、現存しているのは平成15年分に係る乙19だけのようである。)。上記のような処理が行われるようになって以降は、Bの確定申告については、その計算料収入から被控訴人個人の決算料が除外された申告書を作成し、岡山東税務署長に提出するようになった。

     その後毎年、前記従業員から申し送りを受けた他の従業員が上記同様の作業を行っていたが、本件決算修正メモや本件決算料メモの作成を引き継いだ従業員の間においては本件決算料メモ等はBの法人税の確定申告に当たり、Bの預金口座に振り込まれた報酬から被控訴人個人の決算料を控除するために作成するものと認識され、被控訴人を含めた個人の確定申告期限である毎年3月15日より後に作成されるようになっていた。ちなみに、Bの決算期は1月末日であり、申告期限は本来3月末日であるが、法人税申告に関しては業務多忙のため、4月末日に延長してもらっていた。そのため被控訴人も、被控訴人個人の確定申告に当たり本件決算料メモの存在自体は認識しつつ、その内容は知らず、これを一切参照することなく個人の確定申告を行っていた。被控訴人は、平成12年分の申告以前から、申告書作成に先立ち、顧客毎の収入額を書き出した所得の内訳書を先ず作成し、これをもとに申告することを常としていた。なお、被控訴人は、個人の確定申告等作成報酬については、小口で多数であるため、自ら集計することなく、前年との比較などを従業員から聞き、概算の合計数字を上記内訳書に記載し、これをも併せて申告していた。

   エ 上記ア、ウの事情から、被控訴人は、被控訴人個人の所得税の確定申告については、遅くとも平成12年分の申告以前から、前年の所得の内訳書を基本として、顧客や従業員の作成した支払調書を参照し、顧問先の異動(顧問関係の発生や終了、顧問料の増減等)の有無について従業員に確認し、さらに確認を要するものについては個別的に本件各顧問料ノートを確認したものの、その他はほとんど本件各顧問料ノートによって点検、確認、照合をすることなく、本件各決算料メモについては、そもそも当該年分につき個人の確定申告期限までに作成されていないこともあり、一切点検、確認、照合することなく、確定申告書を作成し、毎年3月15日ころまでに、これを岡山東税務署長に提出した。他方、Bの法人税の確定申告については、上記個人の確定申告終了後、主として乙、場合により他の従業員も加わって決算修正メモの本文を作成し、計算料収入については、その中から、被控訴人個人の収入に属すると判断した決算料外を抽出した決算料メモを作成し(ただし、決算料メモの作成者は乙に限らないほかの従業員の場合もある。)て、これを決算修正メモに添付し、同メモ本文には、抽出した決算料外の合計額と「決算料外甲個人収入分」、あるいは「某外、決算料(外)」とのみ記載し、これをもとに被控訴人個人の決算料外相当額を被控訴人からの短期借入金として修正した決算書を作成し、法人税、県市民税、消費税額を被控訴人に報告した後、乙が申告書(決算報告書を添付)を作成し、被控訴人がこれに目を通して署名押印した上で岡山東税務署長に提出していた。

 4 原判決25頁22行目の「前記従業員」から25行目の「あったため」を「被控訴人は、Bの申告には決算書の作成以上に関わらないことなどから、Bの申告のみならず、自己個人の確定申告に関しても、上記決算修正メモや決算料メモを見ることはなかったため、その内容を知ることなく」と改める。

 5 原判決26頁3行目末尾に、改行して次のとおり付加する。

  「 そして、被控訴人個人のした確定申告及び平成14年11月6日修正申告における事業所得の収入は、そのほとんどが被控訴人の税理士報酬、残りは保険外交報酬であるが、その総額は、原判決別表5の①修正前の額欄のとおりであった。また、平成16年11月11日修正申告における事業収入の額は、同表の②修正後の額欄のとおりであった。」

 6 原判決28頁17行目、同21行目、同25行目、同29頁3行目の各「精査後の金額」を「精査後の事業所得中隠ぺい仮装事由の部分の額(通則法68条1項)」と、同1行目の「平成12年分」を「平成15年分」と各改める。

 7 原判決29頁4行目の末尾に、改行して次のとおり付加する。

  「(キ) 被控訴人の本件各年の所得税に関し、平成16年11月11日修正申告後の総所得金額が、その前に比べ、原判決別表1のとおり、957万5040円ないし2229万0517円大きく、同別表5のとおり、その差のほとんどは事業所得の収入すなわち被控訴人の決算料等の税理士報酬金額の差によるものであり、被控訴人は上記税理士報酬について、上記修正申告前は申告していなかったのであるが、その不申告報酬のほとんどは、本件各顧問料ノートに記載されていた。また、本件各決算料メモに記載のある収入については、少なくとも平成13年分ないし平成15年分に関してそのほとんどが本件各顧問料ノートに記載されており、本件各決算料メモのみに記載のあるものは、原判決別表15の平成13年ないし平成15年欄に記載のとおり45万円ないし96万4500円にすぎなかった。」

 8 原判決29頁11行目の「本件各決算メモ」を「本件各決算料メモ」と改める。

 9 原判決30頁8行目末尾に、改行して次のとおり付加する。

  「 なお、前記(1)認定に照らせば、本件各決算料メモは、被控訴人自身の個人確定申告に備えて上記メモ記載の収入のあることを隠ぺいするために作成されたものではなく、Bの確定申告に際し、決算の修正の一環として作成されたものにすぎないというべきであり、したがって、上記メモの作成自体、被控訴人の課税に関し、隠ぺい、仮装を工作したものとはいえない。」

 10 原判決30頁9・10行目の「本件各顧問料ノートないし」を「本件各顧問料ノートをほとんど確認せず、」と、同11・12行目の「乙24、25、34の2、38」を「乙20ないし25、34の2、乙35ないし38、52」と各改め、同13行目の「242項以下」の次に「他」を付加し、同16行目の「記載していたこと」の次に「、その記載内容は、顧問先ないし顧客名毎に、決算月、未収、月額、中間、決算(額)、1ないし12(月)、備考の各欄をもうけ、月額欄に報酬額が書き込まれる顧問先等については、それに対応して各月欄に入金のあった金額を書き込むものであり、決算欄に金額等が書き込まれる顧問先等については、それに対応する入金は各月欄のうち決算月のみに入金の書き込みがなされる(ただし、同じ顧問先等で月額欄にも書き込みがなされる場合には、それに対応して各月毎に入金の書き込みもある。また、決算欄には金額のみでなく月日の記載のある場合もあり、これは入金をも示すものである。)こと、もっとも、月額を定められたものについても、毎月入金のあるもの以外に、半年、1年ごとなどまとめて入金記帳がされているものもあること、月額や決算の各欄への記載の有無のほかには計算料や決算料の区分を明示する記載は基本的にないが、決算欄又は備考欄に決算料と記載されているものがまれにあること、本件各顧問料ノートには、顧客名のうち、被控訴人個人の収入となるべき入金を示すものと判断されたものには、下線が付され、下線の付されないものはBの収入との区分けがなされていたこと、下線の引かれた顧問先等については、決算額及び決算月の入金、又は決算月ないしどの月か特定せず年1度のみの入金のみの記載があり、月額、月々の入金の記載がないものが多いが、これらのあるもの、さらに決算額の記載のないものもかなりあり、下線の引かれていない顧問先等についても、月額、月々の入金のみの記載があるものが多いが、月額、月々の入金及び決算額、決算月又は決算額双方の記載のあるものもかなり多く、月額、月々の入金の記載がなく、決算額及び決算月のみの記載のあるものもあること、個人顧客からの確定申告書作成等報酬については、顧問先からの計算料、決算料等の収入記帳とは別の頁に、入金年月日、氏名、金額、備考欄に業務の種類(確定申告その他)が記入されたこと、本件各顧問料ノートは控訴人事務所の入口カウンター近くの鍵のかからないロッカー内に備え付けられていたこと、被控訴人は、Bに帰属するか被控訴人に帰属するかの判断基準としては、記帳代行的な業務のないものを被控訴人個人に帰属し、記帳代行的な業務があり、財務計算まで行う顧問先をBに属するものとの認識を有していたが、下線の付されないものの中にも、被控訴人個人の収入とも考えられる決算料等の収入が含まれていたこと、他方、いったん下線付きで被控訴人個人の収入と判断されたものの中にも、月々の会計試算をBですることになったため、Bの計算料収入と見るべきものも生じていた(被控訴人本人305・306項)こと、そして、決算料メモに記載された収入については、ほとんどが顧問料ノートに記載されていたが、それらのほとんどは下線が付されていなかったこと、これらについては、毎年1月末段階で被控訴人個人の収入について支払調書を作成する際、その対象とされなかったこと、被控訴人としては、決算料メモに記載された収入は、Bの収入として申告されるものと思っていた(被控訴人本人211ないし213項)し、従業員Pにおいても、本件各顧問料ノートに下線のない収入については、Bの収入として計上されていると認識し、被控訴人個人への支払調書を作成していなかった(乙52)こと」を付加する。

 11 原判決31頁2行目の「詳細」から「認められる。」までを「詳細や収入額の合計についてまで把握していたとは認められない。」と改める。

 12 原判決31頁5・6行目の「あることを指摘し」を「あること、前年度の所得の内訳書の記載が本件各顧問料ノートの記載と一致しない異動を記載している場合があることを指摘し」と改め、同7行目の「主張するが、」から同9行目までを「主張する。そして、証拠(乙12ないし14、35ないし37)によれば、J会、有限会社K、有限会社Lについては本件各顧問料ノートの記載上異動は認められないが、平成14年分の所得の内訳書には上記3者が記載されていないのに、平成15年の所得の内訳書にはいずれも記載されていること、株式会社M及び株式会社N、O株式会社については、いずれも本件各顧問料ノートに記載があり、株式会社Mについては平成13年4月に月額収入15万円(ただし△1万3500円の記載がある。)が5万円に減額されたところ、平成13年分の所得の内訳書には収入年額140万円、平成14年分の所得の内訳書には収入年額10万円、平成15年分の所得の内訳書には収入年額60万円の記載があり、株式会社N及びO株式会社については、本件各顧問料ノートの記載は一貫して収入年額が30万円及び15万円(ただし△1万5000円の記載がある。)であるところ、平成13年及び平成15年の所得の内訳書にはその旨記載があるが、平成14年のそれには両者が計上されていないことが認められる。上記J会、有限会社K、有限会社Lが平成15年分の所得の内訳書から記載されるようになった事情は証拠上明らかではないが、従前意図的に除外していたこれら各顧問先を突然記載し始めるべき事情もうかがえず、何らかの事情で申告漏れに気付いた可能性がないとまでは断定できないから、被控訴人が過少申告のために上記各取引先を除外していたとまでは認められない。また、株式会社Mについては、平成15年分の収入額合計は60万円で当該年分の所得の内訳書記載の収入額合計と一致するから、一概に収入を除外したものとは断定できないし、株式会社N及びO株式会社については、平成13年及び平成15年の所得の内訳書には両者について記載があるから、被控訴人が、過少申告のためにあえて平成14年分のみ上記両者を除外したとまでは認められない。また、仮に、上記決算料収入の一部を除外して申告していたとしても、直ちに過少申告行為とは別に隠ぺい、仮装と評価すべき行為があったとはいえないことは後記説示のとおりである。」と改める。

 13 原判決31頁9行目末尾に、改行して次のとおり付加する。

  「 被控訴人が本件各顧問料ノートに自ら記入することがあることは既に認定したとおりであるが、それは既に認定したとおり偶発的もしくは個別的な事情によるものであり、その時に直ちに納税申告と結びつけて考えることがなかったり、その後の申告書作成の際に記入時のことに想到しなかったことがおよそ不自然とまではいえない。また、被控訴人が上記記入に係る収入額を申告時に認識していたとしても、直ちに過少申告行為とは別に隠ぺい、仮装と評価すべき行為があったとはいえないことは後記説示のとおりである。

    被控訴人が平成13年12月19日及び平成14年11月6日に修正申告を行った事情について、これが税理士報酬の申告と関連あるものとは認められず(修正申告書によれば、給与や配当に係る所得について修正がされたのみである。乙9、10)、これをもって被控訴人に決算料収入を見直す機会があったとまでは認められない。

    控訴人は、確定申告の時期には、被控訴人がその個人収入を把握するため本件各顧問料ノートを2、3日手元に置いて確認していた旨主張し、証拠(Pの質問応答書。乙52)はこれに沿う。しかし、仮にそのような事実があったとしても、Pは平成3年10月から平成14年3月までBに勤務していたものである(乙52)が、同人は被控訴人が本件各顧問料ノートを手元に置いていたのが平成何年頃のことかを特定しておらず、多忙さの増した平成12年以降にはそのようなことがなかった可能性もあるし(乙24に同趣旨の供述がある。)、多忙な中本件各顧問料ノートを一時預かったとしても、十分に検討できなかった可能性もある。また、証拠(乙52)には、被控訴人が本件各顧問料ノートの備考欄等の書き込みを行っていたとのPの供述があり、特にその添付の本件顧問料ノート(平成14年)には、かなり広い範囲で書き込みがなされているが、上記書き込みの筆跡は必ずしも同一人のものとはみられず、Pは上記書き込みがなされた時期には退職していたとみられるから、上記Pの供述により、被控訴人が上記書き込みをすべて行い、本件各顧問料ノートを詳細に点検等していたと認めることはできない。しかも、上記備考欄の書き込みは顧問先等毎に下線のあるなしにかかわらず網羅的なものであり、被控訴人個人の確定申告に備えてのものと認めることもできない。そして、上記Pの供述等から、直ちに、被控訴人が本件各顧問料ノート記載の被控訴人の収入額の詳細を把握し、そこから意識的に自己に帰属する収入を除外して申告をしていたとまでは認められない。」

 14 原判決31頁17行目の「決算修正メモは」の次に「業績がどうかを見るために見る程度でほとんど」を付加する。

 15 原判決31頁23行目の「ともかく」から「認められる。」までを「認識していたが、少なくとも本件各決算料メモについては、従業員の間においてBの確定申告のためのものと認識されており、被控訴人も個人の申告においてこれを活用しようとはしていなかったし、Bの確定申告に当たっても、その収入額を把握するためこれを確認することはしていなかったと考えられ、被控訴人がその作成を指示したのは本件の対象である平成12年から平成15年よりも相当前のことであるものとみられることも併せれば、その内容を認識していなかったと認められる。」と改め、同25行目の「異動のあった場合」の次に「及び従来の特定の顧問先からの収入について疑問を生じたような場合」を、同26行目の「その内容については」の次に「詳細を」を各付加する。

 16 原判決32頁2行目の末尾に、改行して次のとおり付加する。

  「 なお、被控訴人は、本件各決算料メモの存在を失念していた旨主張し、証拠(甲8、被控訴人本人)はこれに沿う。しかし、被控訴人は、個人の確定申告の際にBの預金口座に入金された決算料を被控訴人個人の収入として所得の内訳書を作成しているのであり、上記認定の本件決算料メモ作成に至った経過に照らし、これを失念するとは考え難いし、被控訴人の供述は、当初本件決算料メモの作成を指示したことを失念していたが、税務調査のときにそれが出てきたので、収入を修正申告することを忘れていたことに気が付いた旨述べ(甲8)、他方で被控訴人は本件決算料メモの作成を指示はしておらず、税務調査の際これが出てきたので驚いたと述べるなど(被控訴人本人107、113項)供述が変遷しており信用できない。もっとも、本件各決算料メモの存在を知っていたとしても、平成12年から平成15年当時の内容を知らなければ、記載された収入がどの程度の件数金額のもので、自らの確定申告に洩れがあるか、どの程度洩れているか具体的な判断ができたとはいえない。」

 17 原判決32頁6行目の末尾に「また、被控訴人は、従業員らから本件各顧問料ノートから被控訴人の決算料収入(名称の下に赤線を引いた顧問先に係る決算料)について支払調書を受け取っていたことが認められるが(乙52、56)、既に説示したとおり被控訴人の態度が収入を除外して申告する者として不用意であることに照らせば、後記のとおり、被控訴人には正確な申告をしようという意識に欠けていたことから、これを使用せずに従前通りの方法で申告をした可能性も否定できず、ただちに収入を除外したとまでは認められない。また、仮に、支払調書記載の収入の一部を除外して申告していたとしても、直ちに過少申告行為とは別に隠ぺい、仮装と評価すべき行為があったとはいえないことは後記説示のとおりである。」を付加する。

 18 原判決32頁12行目の「欠け、」の次に「時として過少申告が生じるおそれのあることも感じながら、」を付加し、同15・16行目の「本件各決算料メモによる収入除外も」を「本件各顧問料ノートを詳細に確認しなかったり、本件決算料メモを確認しなかったことなどのために申告漏れが生じたことも」と改める。

 19 原判決32頁20行目から同23行目までを次のとおり改める。

  「オ したがって、本件の過少申告等は、正確な申告をしようという意識に欠ける被控訴人が、多忙さと体調不良にまぎれ、必要な帳簿類を確認することなく、上記ずさんな態度で自らの所得税の確定申告をし続けたものに過ぎないとみる余地が多分にある。また、本件各年分の申告漏れ事業収入は年々相当多額に上っているが、その原因としては、上記被控訴人の態度のほか、本件各顧問料ノートの顧問先等のうち、下線が付されていないところについては、被控訴人において、決算料を含め、決算料メモを作成した経過のあるにもかかわらず、Bにおいて申告すべきものとの考えがあり、従業員においても同様の考えで、支払調書の作成もされず、そのような顧問先があること自体は知っていながら、自らの収入であることを明瞭に意識することなく、申告に当たりこれを取り上げようとしなかったことにもあり、さらに、下線のあるなしにかかわらず、被控訴人がBに帰属すべきかどうかについて、月々記帳代行をしているかどうかを判断基準としており、これによれば、下線のないものはもちろん、下線のあるものについても、決算料であっても、Bに帰属すべきものと考えていたふしがあり、これらについては、従来の本件決算修正メモ及び本件決算料メモに当たり、Bの確定申告事務に当たる従業員らと協議すれば、正しい認識に至り得たと考えられるが、多忙な時期にあって、そのような点検や協議を行わなかった結果、多額の申告漏れに至った可能性もある。なお、多額の申告漏れについて、その率も年々異なっており、規則性、計画性は窺えない。

     そうすると、多額の申告漏れが続いたことを含めて考えても、被控訴人において、自己個人に帰属する収入がより多いことを認識していながら、あえてこれを申告しなかったとまで認めることはできず、まして自己の個人収入の詳細を認識した上、作為的に一定の収入を除外して申告をしたものとまでは認められない。」

 20 原判決33頁9行目の「原告が」から同13行目の「できない。」までを「控訴人が、申告に当たり本件各顧問料ノートや支払調書、各種帳簿類を確認・精査するなど収入額について十分検討することなく申告書を作成したため、所得税の課税標準等や消費税等の税額等の計算の基礎になるべき事実について、当初の確定申告書の所得の内訳書中の収入金額が本件各顧問料ノートや本件各決算料メモに記載された収入金額より少額であったとしても、直ちに、その収入の差額を隠ぺいし、又は仮装し、これに基づいて、過少に申告し、又は申告しなかったと認めることはできないのであり、前記説示に照らせば、被控訴人は、上記各資料の確認・精査を怠ったため、自己の収入に関する事実を十分に把握していなかった上、Bに帰属するのか自己に帰属するのかについても適正明瞭な判断ができていなかったために、多額の申告漏れを生じさせたのであって、正しい収入額と申告収入額との差額について、過少申告の意図自体を認めることはできず、過少申告の意図を外部から窺いうる特段の行動をしたものと認めることもできないのであるから、控訴人に隠ぺい、仮装と評価すべき行為があったとはいえない。」と改める。

 21 原判決33頁25行目の「過少申告」から同26行目の「しても」までを「被控訴人が過少申告となることを予見・認容した上で申告を行った結果過少申告が発生したというものであり、それだけでは過少申告行為そのものが隠ぺい、仮装に当たるという趣旨の主張と異ならず、ほかに隠ぺい、仮装と評価すべき行為を挙げることなく」と改める。

 22 原判決34頁1行目の末尾に、改行して次のとおり付加する。

  「 控訴人は、種々の根拠を挙げて、被控訴人が申告をしていない決算料収入の中に、被控訴人がこれを認識しつつ除外したものがあると主張する。しかし、仮に上記控訴人主張の事実が認められるとしても、上記認識を持つことや実際の収入を記録する行為は所得を過少申告する意図を外部からうかがい得る特段の行為とはいえず、それだけでは、課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺい又は仮装し、隠ぺい又は仮装したところに基づき納税申告書を提出したとはいえないから、重加算税の賦課要件は満たされないというべきである。

    また、本件各決算料メモが控訴人の確定申告期限までに作成されていない理由は既に認定したとおりであり、被控訴人が本件各決算料メモを被控訴人の確定申告期限までに作成することを従業員に命じなかったとしても、そのことをもって、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からうかがい得る行為をしたなど過少申告行為とは別の隠ぺい、仮装と評価すべき行為に当たるとはいえない。」

 23 原判決34頁21・22行目の「過少申告加算税については、本件各年分の所得税につき、」を「本件各年分の所得税についての過少申告加算税については、」と改める。

 24 原判決34頁24行目の「⑥」を「⑦」と改める。

 25 原判決35頁1行目の「各税額と」を「各税額が」と改める。

 26 原判決36頁8・9行目及び同13行目の各「、25-2、26-2、27-2、28-2」を削除し、同16行目の「このうな」を「このような」と改める。

 27 原判決36頁21行目の「同所分」を「同処分」と改める。

 28 原判決54頁「別紙3」の①「加算税の対象となる税額」欄の「別表番号及び法令」欄の「〈22〉」を「⑲」と、同②「申告納税額」欄の「別表番号及び法令」欄の「⑲」を「⑯」と、③「源泉徴収税額」欄の「別表番号及び法令」欄の「⑱」を「⑮」と各改める。

 29 原判決55頁「別紙4」の①「加算税の対象となる税額」欄の「別表番号及び法令」欄の「⑲」を「〈22〉」と、同②「申告納税額」欄の「別表番号及び法令」欄の「⑯」を「⑲」と、③「源泉徴収税額」欄の「別表番号及び法令」欄の「⑮」を「⑱」と各改める。

第4 結論

  以上によれば、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないのでこれを棄却することとする。なお、原判決主文第2項(1)に「重算税」とあるのは「重加算税」の誤りであることは明白であるから、民訴法257条、297条により「重算税」を「重加算税」と更正し、その旨を明らかにすることとする。

  よって、主文のとおり判決する。

    広島高等裁判所岡山支部第2部

        裁判長裁判官  高田泰治

           裁判官  檜皮高弘

           裁判官  金光秀明

 

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