会社法判例百選第3版 11 共有株式の権利行使者の指定方法 最高裁平成9年1月28日 民集判例ではありません。解説は柴田和志法政大学教授です。
判例の結論だけおぼえておいてもたりるところでしょう。神田秀樹「会社法 第十八版」弘文堂・2016年・67頁・68頁。神田23版70頁
会社法判例百選4版 2021年 9
社員総会決議不存在確認請求事件
最高裁判所第3小法廷判決/平成5年(オ)第1939号
平成9年1月28日
【判示事項】 有限会社法二二条、商法二〇三条二項にいう社員の権利を行使すべき者の指定方法
【判決要旨】 有限会社の持分が数人の共有に属する場合、有限会社法二二条、商法二〇三条二項にいう社員の権利を行使すべき者は、その共有持分の価格に従い過半数をもって定める。
【参照条文】 有限会社法22
商法203-2
民法252
民法264
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事181号83頁
裁判所時報1188号56頁
判例タイムズ936号212頁
金融・商事判例1019号20頁
判例時報1599号139頁
金融法務事情1489号29頁
【評釈論文】 ジュリスト臨時増刊1135号101頁
ジュリスト1164号147頁
別冊ジュリスト149号190頁
判例タイムズ937号72頁
判例タイムズ臨時増刊975号33頁
判例タイムズ臨時増刊978号170頁
判例評論466号60頁
法律時報別冊私法判例リマークス17号104頁
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理 由
上告代理人田中俊充、同圓山司の上告理由について
有限会社の持分を相続により準共有するに至った共同相続人が、準共有社員としての地位に基づいて社員総会の決議不存在確認の訴えを提起するには、有限会社法二二条、商法二〇三条二項により、社員の権利を行使すべき者(以下「権利行使者」という)としての指定を受け、その旨を会社に通知することを要するのであり、この権利行使者の指定及び通知を欠くときは、特段の事情がない限り、右の訴えについて原告適格を有しないものというべきである(最高裁平成元年(オ)第五七三号同二年一二月四日第三小法廷判決・民集四四巻九号一一六五頁参照)。そして、この場合に、持分の準共有者間において権利行使者を定めるに当たっては、持分の価格に従いその過半数をもってこれを決することができるものと解するのが相当である。けだし、準共有者の全員が一致しなければ権利行使者を指定することができないとすると、準共有者のうちの一人でも反対すれば全員の社員権の行使が不可能となるのみならず、会社の運営にも支障を来すおそれがあり、会社の事務処理の便宜を考慮して設けられた右規定の趣旨にも反する結果となるからである。
記録によれば、亡新井重行は、被上告会社らの持分をすべて所有していたものであり、その法定相続人は、妻である上告人新井とよ子(法定相続分二分の一)と子である上告人新井久美子及び同新井千恵子(同各五分の一)の外、亡新井重行と新井幸子との間に生まれた新井吾一(同一〇分の一)の四名であるところ、上告人らは、新井吾一の法定代理人であった新井幸子が権利行使者を指定するための協議に応じないとして、権利行使者の指定及び通知をすることなく、被上告会社らの準共有社員としての地位に基づき、本件各社員総会決議不存在確認の訴えを提起するに至ったことが明らかである。
しかしながら、さきに説示したところからすれば、新井幸子ないし新井吾一が協議に応じないとしても、亡新井重行の相続人間において権利行使者を指定することが不可能ではないし、権利行使者を指定して届け出た場合に被上告会社らがその受理を拒絶したとしても、このことにより会社に対する権利行使は妨げられないものというべきであって、そもそも、有限会社法二二条、商法二〇三条二項による権利行使者の指定及び通知の手続を履践していない以上、上告人らに本件各訴えについて原告適格を認める余地はない。その他、本件において、右の権利行使者の指定及び通知を不要とすべき特段の事情を認めることもできない。
本件各訴えを却下すべきものとした原審の判断は、以上と同旨をいうものとして是認することができる。原判決に所論の違法は認められず、論旨は、独自の見解に立って原判決を論難するものであって、採用することができない。
よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官可部恒雄 裁判官園部逸夫 裁判官大野正男 裁判官千種秀夫 裁判官尾崎行信)
最高裁判所第3小法廷 平成5年(オ)第1939号 社員総会決議不存在確認請求事件 平成9年1月28日