2018年3月につくったものを2019年1月に法改正を踏まえて改訂しました。


相続した自宅を手放したくてばなしたくない 相続の基礎知識

質問1

 わたしは熟年の独身女性です。父が今月なくなりそうです。母とふたりで母名義の土地・建物でくらしていました。ほかに弟がいます。わたしは父母のおもいでがのこる、この土地・建物を手放したくありません。
 父が2021年になくなった場合とでは違いはありますか。


回答

 おとうさんが存命でいたら遺言をかいてもらってお母さんと相談者が住めるようにしたほうがいいでしょう。
 遺言なしでなくなってやむなく不動産を分割する場合の、分割方法は、現物分割・代償分割・換価分割があります。

 換価分割は希望しないということですね。

現物分割で名義を弟さんと共有にして相談者が居住する方法もあります。これは問題の先送りなのですが、弟さんとよくはなしあって、相談者死亡まで居住させて分割をしない合意ができていればいいことになります。分割禁止の合意なき場合は共有物分割を弟さんがもうしたてると分割せざるをえなくなります。

 代償分割は相続分相当の代金を支払うことです。お金を相談者がもっている場合は、有力な手段です。

 2021年になくなった場合は平成30年改正の相続法が適用されるので配偶者居住権があります。


質問2 質問1の場合で父が存命中に、どうしておけばよかったのでしょうか。

弁護士の仕事としては関係者からの聴きとりをしたうえで、よりよい方法をプランニングします。
できれば弟さんからも聞き取りをしたいものです。それなりの事情があるものです。


岡山市 岡本法律事務所 所長 弁護士 岡本哲