「エロマンガ先生」と後見人の職務

   もともとは2018年4月に書いたものに6月に加筆。

 

                弁護士 岡本 哲

 

『エロマンガ先生』(エロマンガせんせい)は、伏見つかさ先生による日本のライトノベル。イラストは、かんざきひろ先生。電撃文庫(KADOKAWA アスキー・メディアワークス)より201312月から2018年4月段階で9巻まで刊行されていおる。第1巻「妹と開かずの間」の冒頭部分では、高校1年生のライトノベル作家、主人公の和泉正宗には、引きこもりの義理の妹和泉紗霧がいる二人暮らしとなっている。わけあって保護者が滅多に帰ってこない。

1年前に親の再婚で2人は兄妹となったが、親は新婚旅行にいったさきで事故にあって死亡してしまった。その後妹はショックのせいか、まったく部屋から出てこないほど徹底した引きこもりとなった。正宗は紗霧には自発的に部屋から出てきてもらいたいと思っていた。ある日、正宗は書店を訪れたときにその看板娘高砂智恵から教えられた担当イラストレーター「エロマンガ先生」の生放送番組を視聴し、妹とエロマンガ先生が同一人物だと知る。生放送でのハプニングを阻止した後、2人は1年ぶりの再会を果たす。

ここで法律家としては再婚当時に義理の親子となる関係になるほうに養子縁組があったかなかったかとか、相続及び相続税はどうなったのか、生命保険や事故の関係の損害賠償はどうなったのか、住宅ローンに正宗の父は苦労していたという描写があるが、それはどうなったのか(団体生命保険に正宗の父がはいっていれば、補填されていてすでになくなっている)とか疑問はわく。

「エロマンガ先生」特有の問題としては、未成年のライトノベル作家やイラストレーターで両親がいないとなると、著作権の管理等で未成年後見人はどうなっているのか、というのがなかなかわからない。保護者は2巻の最後にほのめかされ、5巻になってようやく登場する。

重度のひきこもりの放置としてネグレクトとする児童虐待の問題が生じないか、年に2回しかあわないのでは後見人の監護義務違反にならないか、(被後見人が面会を拒否している特別な事情が本件では存在するが)、紗霧の実父は存命だがまったくあわさない状況でずってすごすのは後見人としてどうなのか、という後見人特有の問題が生じている。

特に法律関係の考証はライトノベルやアニメーションではしていないだろ8けど、実務家としては気になってしまった。

 小説特有のご都合主義で主人公が知るべき情報を知らないままストーリーが進むことが多いが、伏線があとになって判明したとき、これわからないのは不自然じゃない?と実務家としては思うのはけっこうあったが、小説としてはよくできている。

1巻の表面化した事情だけなら、後見監督人として筆者がついたなら紗霧については精神科の定期的受診(往診や入院)くらいは要求しそうではある。