特別受益の法律相談

  1.  父が死亡し、母が父より先に死亡していて、相続人は兄と私のふたりです。遺産は預金2000万円だけです。父は兄の妻の個人事業に対し500万円の援助をしていました。この場合も法定相続分(2分の1)どおりに遺産分割をしなければならないのでしょうか。

  2.  父が死亡し、相続人はわたしと兄です。父が兄に対して40年くらい前にマンション購入のため1000万円の支援をしていた場合、私と兄で父の遺産分割をする場合に法定相続分(2分の1)どおりで遺産分割をしなければならないのでしょうか。

  3. 父が死亡し、相続財産は2000万円の預金だけです。母と兄が父より先に死亡しており、相続人は私と兄の子の2名です。兄の子は、父からマンション購入のため1000万円の支援を受けていました。このような場合でも法定相続分(2分の1)どおりに遺産分割をしなければならないのでしょうか。

 

 

1【相続人の配偶者の受益】

 特別な受益を受けている場合に遺産分割の際に持ち戻しをする制度を特別受益として民法903条が規定しています。ところが、「相続人」間の平等を図るためのタテマエになっています。相続人以外の人が受益を得ている場合には、法のタテマエからは原則・例外が異なってきます。

  1. については、お兄さんと相談者ですから、お兄さんの奥さんは相続人ではありません。したがって民法903条には原則としてあたらないことになります。ただし、例外的に相続人の家族の受益を特別受益とする審判例もあります。妻の事業といっても実質的経営者がお兄さんといおうような場合は特別受益にあたります。

    2 【被代襲者の特別受益・持ち戻しの際の貨幣価値換算】

  2. はお兄さんについては直接民法903条にあてはまります。お金については現在の貨幣価値に換算したものを持ち戻すことになります。

相続が直系で続くのを代襲といいますが、代襲相続の前段階、被代襲者、この場合はお兄さんに特別受益がある場合は代襲相続人も特別受益者として持ち戻しの気味があります。ただし、お兄さんの財産がほとんどなくなっているとか、代償相続人にとって過酷な場合もありうるので、全部又は一部を持ち戻させないとした審判例もあります。

  3【代襲相続人の受益】

  本来民法903条は「相続人」間の平等をはかるものなので、お兄さんのお子さんはお兄さんが存命のときにはお父さんの相続人ではないことになります。ただし、実質的なことを考慮して特別受益とした審判例もあります。相続財産に比して受益分が5割と大きいことから特別受益になりえます。

【関連法規】民法903条第1項

【関連審決例】 大分家審 昭49・5・14 家裁月報27・4・66 鹿児島家審昭44.6・25 家裁月報22・4・64 判タ249・302 徳島家審昭52・3・14 家裁月報30・9・56