東京高等裁判所判決 平成25年11月21日 最高裁では上告受理されていないようです。【掲載誌】  税務訴訟資料263号順号12338        主   文  1 本件控訴を棄却する。  2 控訴費用は控訴人の負担とする。        事実及び理由 第1 控訴の趣旨  1 原判決を取り消す。  2 灘税務署長が平成23年3月29日付けでした控訴人の平成21年1月1日から同年12月31日までの課税期間(以下「本件課税期間」という。)分の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の更正処分のうち消費税の還付金の額に相当する消費税額103万0485円を超える部分及び地方消費税の還付金の額に相当する譲渡割額25万7621円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分(ただし、いずれも平成24年4月5日付けでされた国税不服審判所長の裁決によりその一部について取り消された後のもの)を取り消す。 第2 事案の概要  1 本件は、控訴人が、本邦の港に入港した外国の船舶(以下「外国船舶」という。)の乗組員に対し、その船舶内及び当該船舶に近接する陸地において、国内で他の者から譲り受けた土産品等につき対価を得てその譲渡を行ったこと(以下「本件土産品等の販売」という。)について、灘税務署長が消費税法7条(輸出免税等)1項1号の適用がある資産の譲渡に該当しないとして平成23年3月29日付けで本件課税期間分の消費税等の更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」といい、本件更正処分と併せて「本件更正処分等」という。)をしたため、本件土産品等の販売は同号の適用がある資産の譲渡に該当すると主張して、本件更正処分等(国税不服審判所長の裁決により一部取り消された後のもの)の取消しを求める事案である(なお、本件更正処分等がされた時の控訴人の納税地を所轄する税務署長は灘税務署長であったが、本件更正処分等がされた後にその納税地に異動があった。)。    原判決は、本件土産物等の販売につき、本邦からの輸出として行われる資産の譲渡について消費税を免除する旨定める消費税法7条1項1号の適用はないから、本件更正処分等は適法であるとして、控訴人の請求を棄却したところ、控訴人がこれを不服として控訴をした。  2 関係法令の定め、前提となる事実、本件更正処分等の根拠及び適法性に関する被控訴人の主張並びに争点及びこれに関する当事者の主張の要点は、次のとおり当審における控訴人の主張を付加するほか、原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要等」の2ないし5(2頁22行目から4頁20行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。  (当審における控訴人の主張)    消費税法施行規則5条1項1号柱書は、消費税法7条2項に規定する「財務省令で定めるところにより証明がされたもの」につき、①輸出の許可若しくは②積み込みの承認があったことを証する書類又は③輸出の事実を税関長が証明した書類の3つの場合に分けて定めているところ、控訴人は、本件の船内販売品目録(甲2の1、2)が③の輸出の事実を税関長が証明した書類であると主張しているのであって、原判決が前提とするように①の輸出許可書であると主張するものではない。そして、船内販売品目録には必ず船籍の記載があるところ、外国籍船舶が公海に出るのであれば、そこからは当該船籍の旗国の国家管轄権が全面的に及ぶのであるから、当該旗国が消費税法施行規則5条1項1号ニにいう「当該資産の仕向地」に該当するところ、本件の船内販売品目録は、船名の記載があり、これによって「当該資産の仕向地」が示されているということができるから、消費税法7条2項の手続上の要件を全て満たしている。 第3 当裁判所の判断  1 当裁判所も、本件土産物等の販売につき、本邦からの輸出として行われる資産の譲渡について消費税を免除する旨定める消費税法7条1項1号の適用はないとしてされた本件更正処分等は適法であり、これらの処分の取消しを求める控訴人の請求は棄却すべきであると判断する。その理由は、後記2のとおり当審における控訴人の主張に対する判断を付加するほか、原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の1ないし3(4頁22行目から7頁22行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。  2 当審における控訴人の主張について  (1) 控訴人は、本件の船内販売品目録(甲2の1、2)は、消費税法施行規則5条1項1号柱書にいう「当該資産の輸出の事実を当該税関長が証明した書類」に該当するものであり、また、それに記載された船名によって示されている船籍国が、同号ニにいう「当該資産の仕向地」に該当するのであり、消費税法7条2項の手続上の要件を全て満たしている旨主張する。   (2) しかしながら、前記引用に係る原判決が説示するとおり、上記の船内販売品目録は、外国船舶の乗組員による物品の本邦外への持出し手続を簡素化するために、土産品等販売業者に便宜上提出を求めているものにすぎず、消費税法施行規則5条1項1号柱書にいう「当該資産の輸出の事実を当該税関長が証明した書類」ではない。そして、同船内販売品目録には、そもそも同号ニにいう「当該資産の仕向地」の記載がないばかりか、船籍国の記載もないのであって、そのような船内販売品目録に船名の記載があるからといって、同号ニにいう「当該資産の仕向地」の記載がされた書類又は帳簿であるということはできない。この点につき、控訴人は、船内販売品目録に記載される船名によって船籍国が明らかであれば、仕向地の記載として十分であると主張するが、それ自体独自の主張であって直ちに採用しがたいことはもとより、甲2の1の船内販売品目録には船名として「C」及び「D」という記載があり、甲2の2の船内販売品目録には、船名として「E」という記載があるが、これらによっても船籍地は明確にならないのであって、控訴人の上記主張は採用できない。     そして、他に、本件土産品等の販売が消費税法7条1項が消費税を免除する旨定めているものに該当することを、同条2項にいう財務省令である消費税法施行規則5条1項1号が定めるところにより証明されていると認めるべき事情は見いだし難い。  3 以上によれば、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。     東京高等裁判所第19民事部         裁判長裁判官  貝阿彌誠            裁判官  定塚 誠            裁判官  田代雅彦