杉原典彦裁判長名判決 中部電力事件 納税者勝訴 東京地裁平成19年

法人税更正処分等取消請求事件

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東京地方裁判所判決/平成17年(行ウ)第597号

 平成19年1月31日

 

【判示事項】 電気事業者の保有する5基の火力発電設備について,電気事業法等に基づく廃止のための手続を執った上で,各発電設備ごとに一括してその設備全部につき,いわゆる有姿除却に係る除却損を計上し,これを損金の額に算入して確定申告をしたところ,税務署長から損金算入を否定され,増額更正及び過少申告加算税の賦課決定を受けた場合につき,発電設備の除却損の損金算入を認めた事例

 

【判決要旨】 (1) 益金及び損金の算定基準である法人税法22条4項(各事業年度の所得の金額の計算)の「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」とは、一般社会通念に照らして公正で妥当であると評価され得る会計処理の基準を意味し、その中心となるのは、企業会計原則や商法及び証券取引法の計算規定並びにこれらの実施省令である旧計算書類規則、商法施行規則及び財務諸表等規則の規定であるが、確立した会計慣行をも含んでいる。

 (2) 電気事業会計規則が公正処理基準の中心となる旧計算書類規則等の特則として位置付けられていることなどを考慮すると、電気事業者が従うべき公正処理基準とは、電気事業会計規則の諸規定のほか、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準を含むものというべきである。

       (3) 電気事業会計規則は、旧計算書類規則等の特則として位置付けられるから、電気事業者における会計の整理(会計処理)においては、電気事業会計規則の規定が優先して適用されるというべきである。

       (4) 電気事業会計規則は、電気事業法の委任により制定された経済産業省令であることに照らすと、その解釈に当たっては、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準のほか、電気事業の所管官庁等による解説の趣旨を十分に考慮に入れるべきであるから、同規則にいう「電気事業固定資産の除却」とは、「既存の施設場所におけるその電気事業固定資産としての固有の用途を廃止する」ことを意味するものと解するのが相当である。

 

       (5) 電気事業固定資産の除却の場合には、除却時点における除却物品の帳簿価額を電気事業固定資産勘定から減額するとともに、当該除去物品の適正な見積価額をもって貯蔵品勘定その他の勘定へ振り替えることとし、当該帳簿価額と適正な見積価額との差額(物品差損)及び旧工費差損の金額の合計額を除却損として計上すべきである。

 

       (6) 省略

 

       (7) 本件火力発電設備の除却損を損金に算入することの可否を判断するに当たっては、本件火力発電設備を構成する個々の電気事業固定資産について、同規則14条にいう除却の要件が充足されているか否かを検討すべきことになる。

       (8)~(10) 省略

 

【掲載誌】  税務訴訟資料257号順号10623

       LLI/DB 判例秘書登載

 

【評釈論文】 ジュリスト1358号189頁

       Lexis判例速報7号115頁

末永英男 『税務会計と租税判例』中央経済社・2019年・第5章

       主   文

 

  1 名古屋東税務署長が原告に対して平成16年4月27日付けでした原告の同13年4月1日から同14年3月31日までの事業年度の法人税についての更正及び過少申告加算税賦課決定のうち,更正については納付すべき法人税額613億1901万2000円を超える部分,賦課決定については過少申告加算税752万4000円を超える部分をいずれも取り消す。

  2 名古屋東税務署長が原告に対して平成16年4月27日付けでした原告の同14年4月1日から同15年3月31日までの事業年度の法人税についての更正並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定のうち,更正については納付すべき法人税額659億0265万6300円を超える部分,賦課決定については過少申告加算税4036万8000円を超える部分及び重加算税1982万7500円を超える部分をいずれも取り消す。

  3 訴訟費用は,被告の負担とする。

 

        事実及び理由

 

 第1 請求

    主文同旨

 第2 事案の概要

    本件は,電気事業者である原告が,その保有する5基の火力発電設備について,電気事業法等に基づく廃止のための手続を執った上で,各発電設備ごとに一括してその設備全部につき,いわゆる有姿除却(対象となる固定資産が物理的に廃棄されていない状態で税務上除却処理をすること)に係る除却損を計上し,これを損金の額に算入して確定申告をしたところ,処分行政庁である税務署長から,各発電設備を構成する個々の資産のすべてが固定資産としての使用価値を失ったことが客観的に明らかではなく,今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないとは認められないなどとして,上記損金算入を否定され,増額更正及び過少申告加算税の賦課決定を受けたため,これらの更正処分等は有姿除却等に関する法令の解釈を誤った違法なものであると主張して,当該更正処分等のうち上記発電設備の除却損の損金算入に係る部分について,取消しを求める事案である。

  1 前提事実

    本件の前提となる事実は,以下のとおりである。いずれも当事者間に争いのない事実又は証拠及び弁論の全趣旨等により容易に認めることのできる事実であるが,括弧内に認定根拠を付記している。

  (1)当事者

     原告は,昭和26年5月1日に設立され,同日付けで事業許可を受けた一般電気事業者である電力会社である。原告は,愛知,岐阜(一部を除く。),三重(一部を除く。),長野及び静岡(富士川以西に限る。)の中部5県を営業区域とし,その発電設備は,平成17年3月31日現在,火力発電所が11箇所(認可最大出力2236万9720キロワット),水力発電所が182箇所(同521万8630キロワット)及び原子力発電所が1箇所(同499万7000キロワット)で構成されている。

     なお,平成13年3月31日当時の発電設備は,火力発電所が13箇所(認可最大出力2294万0720キロワット),水力発電所が180箇所(同521万3210キロワット)及び原子力発電所が1箇所(同361万7000キロワット)で構成されていた。(甲1,2,弁論の全趣旨)

  (2)原告が保有していた火力発電設備原告は,平成13年当時,次の火力発電設備(以下,これらを併せて「本件火力発電設備」という。)を保有していた(甲15,22から25まで)。

    ア α火力発電所第1号発電設備(以下「α1号機」という。)

      所在地 愛知県知多郡β

     運用開始時期 昭和41年8月

      認可出力 22万キロワット

   イ γ火力発電所第5号発電設備(以下「γ5号機」という。)

      所在地 愛知県名古屋市δ

     運用開始時期 昭和39年1月

      認可出力 22万キロワット

   ウ γ火力発電所第6号発電設備(以下「γ6号機」という。)

      所在地 愛知県名古屋市δ

     運用開始時期 昭和39年7月

      認可出力 22万キロワット

   エ εLNG冷熱発電設備(以下「εLNG冷熱」という。)

      所在地 三重県四日市市

      運用開始時期 平成元年12月

      認可出力 7000キロワット

   オ ζ火力発電所第6号発電設備(以下「ζ6号機」という。)

      所在地 愛知県海部郡η

     運用開始時期 昭和50年4月

      認可出力 50万キロワット

 (3)本件火力発電設備の廃止に至る経緯

    ア 原告においては,平成3年度以降,高効率の新規発電設備の運転が順次開始されていたが,他方で,いわゆる平成不況の影響により最大電力の伸び率が鈍化していたため,平成3年から5年にかけて,急速に最大電力需要に比べて供給力が過大となりつつあった。その後も,長引く不況による需要低迷に加えて,同8年度以降,発電効率が極めて高いθ火力発電所3号,4号系列(いずれも出力165万キロワット)などの最新鋭の大規模発電設備が順次運転を開始したため,最大電力需要に比べて供給力が過大となり,同10年ころには,設備余剰の状態が一層顕著となっていた。

      このような状況を受け,原告は,①適切な需給バランスを確保すること,②保守保安費用を低減させること,③発電所運転要員を有効活用することを目的に,平成10年度以降,本件火力発電設備(εLNG冷熱を除く。)を始めとする低効率の既存発電設備について,年間を通じて運用を停止する長期計画停止を行ってきた。(甲16,19から21まで)

    イ 本件火力発電設備のうち,εLNG冷熱を除いた4基の火力発電設備は,原子力,LNG(液化天然ガス),石炭等に比べ価格が高い石油を燃料としており,また,運用開始後26年ないし38年が経過し,法定耐用年数である15年を大幅に超えて運用がされていた。

      これらの発電設備の経済性は,高効率の新規発電設備と比較すると相対的に劣っていた一方で,前記のとおり,原告においては設備余剰が継続していたため,γ5号機については平成11年3月11日以降,γ6号機については同年10月1日以降,α1号機については同年11月24日以降,ζ6号機については同年3月18日以降,いずれも長期計画停止の措置が執られていた。(甲16)

    ウ 原告の保有するεLNGセンターでは,液体状態のLNGを気化し,これを近隣のLNG火力発電所に発電用燃料として送り出している。冷熱発電設備とは,液体LNGが気化する際の膨張力を利用して発電するものであり,εLNG冷熱により発電された電力は,同LNGセンターの所内用消費電力として利用されるほか,一般使用者にも供給されていた。

      しかし,平成8年から同9年にかけて,同LNGセンターの気化設備及び冷熱発電設備を利用しない高効率ガスタービンコンバインドユニットであるθ火力発電所3号,4号系列の運用が開始されたことに伴い,同LNGセンター近隣のLNG火力発電所の稼働率が低下することとなり,εLNG冷熱の設備稼働率も必然的に低下した。このため,εLNG冷熱については,発電メリットが保守費用を下回る状況が続くと見込まれていた。(甲16,21,22)

    エ 原告においては,平成12年3月の電力小売部分自由化の実施等の経営環境の変化を受け,経年火力発電設備対策が重要な経営課題とされており,同年10月には関係部署から構成される経年火力対策検討会が立ち上げられ,非効率な経年火力発電設備の取扱いが検討された。そして,経年火力発電設備について,変動費,運用性,系統制約,年間の維持費等が総合的に比較検討され,廃止ユニット候補として本件火力発電設備が選定された。

      こうして,平成14年1月28日の常務会において本件火力発電設備の廃止を取締役会に提案することが承認され,同年2月26日の取締役会において本件火力発電設備の廃止が承認された。同年3月4日には,本件火力発電設備の廃止を盛り込んだ平成14年度電力供給計画(長期)が常務会で承認され,同計画は,同月26日,取締役会に付議され,承認された。(甲26から29まで)

    オ 原告は,平成14年3月29日に,γ5号機,γ6号機,α1号機及びεLNG冷熱について,電気事業法9条1項に基づき,同月31日を廃止の年月日とする電気工作物変更届出書を中部経済産業局長(当時の名称。以下同じ。)に提出し,同日までに,これらの発電設備の遮断器の投入・遮断回路の配線を切断した。また,同年12月20日には,ζ6号機についても,同項に基づき,同月31日を廃止の年月日とする電気工作物変更届出書を同経済産業局長に提出し,同日までに,その発電設備の遮断器の投入・遮断回路の配線を切断した。(甲22から25まで,32から36まで)

  (4)課税処分等の経緯

    ア 原告は,平成14年6月27日,本件火力発電設備(ζ6号機を除く。)の有姿除却により43億5712万6591円が同13年4月1日から同14年3月31日までの事業年度(以下「平成14年3月期」という。)において損金算入が認められるとして,別表の「平成14年3月期」のとおり,平成14年3月期に係る法人税の確定申告をした(甲38)。

    イ 原告は,平成15年6月27日,ζ6号機(γ5号機及びγ6号機の一部を含む。以下「ζ6号機等」という。)の有姿除却により20億4773万1952円が同14年4月1日から同15年3月31日までの事業年度(以下「平成15年3月期」といい,平成14年3月期と併せて「本件各事業年度」という。)において損金算入が認められるとして,別表の「平成15年3月期」のとおり,平成15年3月期に係る法人税の確定申告をした(甲39)。

    ウ これに対し,名古屋東税務署長は,本件火力発電設備の有姿除却による損金算入は,実際に解体済みと認められる部分を除きいずれも認められないなどとして,平成14年3月期については35億7578万1777円を,平成15年3月期については18億6465万6058円をそれぞれ損金に算入されないものとし,本件各事業年度に係る法人税について,平成16年4月27日付けで,別表のとおり,各更正処分(以下,これらを併せて「本件各更正処分」という。)並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分(以下,過少申告加算税に係る各賦課決定処分を「本件各賦課決定処分」という。)をした(甲38,39)。

    エ 原告は,本件火力発電設備の有姿除却による損金算入はいずれも認められるべきであり,本件各更正処分及び本件各賦課決定処分には不服があるとして,平成16年6月16日,別表のとおり,審査請求をした。これに対して,国税不服審判所長は,同17年6月14日付けで,上記審査請求を棄却する旨の裁決をした。(甲44)

    オ 原告は,平成17年12月12日,本件訴訟を提起した(当裁判所に顕著な事実)。

  2 被告が主張する原告の法人税額等

    被告が本件訴訟において主張する原告の本件各事業年度の所得金額並びに納付すべき法人税,過少申告加算税及び重加算税の額は,別表の「更正及び賦課決定」の欄に記載したとおりであり,その算出過程及び算出根拠は,以下のとおりである。原告は,このうち,本件火力発電設備の廃止による除却損の損金算入に係る部分について争うものであり,その余の算出根拠となる数額及び計算関係については争っていない。

  (1)平成14年3月期分の法人税

    ア 所得金額            2089億6262万6709円

      上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)から(カ)までの各金額を加算し,(キ)の金額を控除した金額である。

    (ア)申告所得金額         2049億1591万4621円

       上記金額は,原告が提出した平成14年3月期の法人税の確定申告書(以下「平成14年3月期確定申告書」という。)に記載された所得金額である。

    (イ)交際費等の損金不算入額       1億4552万9891円

       上記金額は,次のa及びbの各金額を加算した金額である。

      a 交際費等の損金不算入額      1億4423万1721円

        原告が送電線建設に伴い各種補償費等として支出し,建設仮勘定に計上した上記金額は,あたかも正当な補償額等であるかのように仮装して支出されたものであり,送電線通過地域の地元住民等の協力を得るためのいわゆる「地元対策費」であることから,交際費等に該当し,損金の額に算入されない。

      b 交際費等の損金不算入額         129万8170円

        原告が送電線新設工事に伴う立木補償として支出し,建設仮勘定に計上した上記金額は,送電線新設工事に対して協力的であったことに対する謝礼金を立木補償に仮装して支払ったものであるから,交際費等に該当し,損金の額に算入されない。

    (ウ)雑損失のうち損金の額に算入されない金額

                         2億4820万4626円

       上記金額は,次のaからcまでの各金額を加算した金額である。

      a 雑損失のうち損金の額に算入されない金額

                           6952万6050円

        原告が平成14年2月にι線新設の廃案を決定し,建設仮勘定に計上していた当該案件に係る補償費の額を同月に雑損失として損金の額に算入した金額のうち,上記金額は,当該案件に係る地権者からの土地買収金額の上積み要求額を立木補償に仮装して支払ったものであり,土地の取得価額に算入すべきものであるから,損金の額に算入されない。

      b 雑損失のうち損金の額に算入されない金額

                            504万8720円

        原告が上記aの案件に係る補償費の額を雑損失として損金の額に算入した金額のうち,上記金額は,当該案件に係る地役権の設定に際し,地権者からの当該設定価額の上積み要求額を実害補償に仮装して支払ったものであり,地役権の取得価額に算入すべきものであるから,損金の額に算入されない。

      c 雑損失のうち損金の額に算入されない金額

                         1億7362万9856円

        原告が上記aの案件に係る工事用短期借地料について雑損失として損金の額に算入した金額のうち,上記金額は,地権者との賃貸借契約が解除されていないため,地権者との間で合意した借地期間の未経過部分の借地料であり,前払費用に該当するから,損金の額に算入されない。

    (エ)除却損のうち損金の額に算入されない金額

                        35億7578万1777円

       原告は,α1号機,γ5号機,γ6号機及びεLNG冷熱について有姿除却に係る除却損43億5712万6591円を計上し,損金の額に算入しているが,これらの発電設備を構成する個々の資産のすべてが固定資産としての命数や使用価値を失ったことが客観的に明らかではなく,今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないとは認められないため,当該除却損の金額から実際に解体済みと認められる部分の金額及び通常のメンテナンスを行っていたと認められる平成14年3月までの減価償却費の金額を控除した後の金額である35億7578万1777円は,損金の額に算入されない。

    (オ)減価償却超過額             3523万1524円

    (カ)雑収益計上漏れ             4219万6349円

    (キ)一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度超過額の過大額

                             23万2079円

    イ 所得金額に対する法人税額     626億8878万7800円

      上記金額は,上記アの所得金額(国税通則法(以下「通則法」という。)118条1項の規定に基づき1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下同じ。)に法人税法66条1項に規定する税率を乗じて計算した金額である。

    ウ 法人税額から控除される所得税額等   2億9704万1105円

      上記金額は,法人税法68条に規定する法人税額から控除される所得税等の金額であり,平成14年3月期確定申告書に記載された金額と同額である。

    エ 納付すべき税額          623億9174万6600円

      上記金額は,上記イの金額から上記ウの金額を控除した金額(通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下同じ。)である。

    オ 確定申告に係る税額        611億7773万3000円

      上記金額は,平成14年3月期確定申告書に記載された法人税額である。

    カ 差引納付すべき税額         12億1401万3600円

      上記金額は,上記エの金額から上記オの金額を差し引いた金額であり,平成14年3月期に係る更正処分により原告が新たに納付することとなる法人税額である。

  (2)平成15年3月期分の法人税

    ア 所得金額            2229億5115万4004円

      上記金額は,次の(ア)の金額に(イ)から(コ)までの各金額を加算し,(サ)から(ソ)までの各金額を控除した金額である。

    (ア)申告所得金額         2195億5178万6706円

       上記金額は,原告が提出した平成15年3月期の法人税の確定申告書(以下「平成15年3月期確定申告書」という。)に記載された所得金額である。

    (イ)交際費等の損金不算入額       3億6289万6449円

       上記金額は,次のaからcまでの各金額を加算した金額である。

      a 交際費等の損金不算入額      1億8856万6054円

        原告が送電線建設に伴い各種補償費等として支出し,建設仮勘定に計上した上記金額は,あたかも正当な補償額等であるかのように仮装して支出されたものであり,送電線通過地域の地元住民等の協力を得るためのいわゆる「地元対策費」であることから,交際費等に該当し,損金の額に算入されない。

      b 交際費等の損金不算入額          30万0360円

        原告が送電線新設工事に伴う立木補償として支出し,建設仮勘定に計上した上記金額は,送電線新設工事に対して協力的であったことに対する謝礼金を立木補償に仮装して支払ったものであるから,交際費等に該当し,損金の額に算入されない。

      c 交際費等の損金不算入額      1億7403万0035円

        原告が自治会等に支出した寄付金のうち上記金額は,原告の送電線工事に伴い支出されたものであり,当該工事に係る地元住民の同意を得るためのいわゆる「地元対策費」であることから,交際費等に該当し,損金の額に算入されない。

    (ウ)寄附金のうち損金に算入されない金額 2億1071万1500円

    (エ)雑損失のうち損金の額に算入されない金額  950万6523円

    (オ)除却損のうち損金の額に算入されない金額

                        19億9786万3485円

       上記金額は,次のaからcまでの各金額を加算した金額である。

      a 除却損のうち損金の額に算入されない金額

                        18億6465万6058円

        原告は,ζ6号機等について有姿除却に係る除却損20億4773万1952円を計上し,損金の額に算入しているが,これらの発電設備を構成する個々の資産のすべてが固定資産としての命数や使用価値を失ったことが客観的に明らかではなく,今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないとは認められないため,当該除却損の金額から実際に解体済みと認められる部分の金額及び通常のメンテナンスを行っていたと認められる平成14年12月までの減価償却費の金額を控除した後の金額である18億6465万6058円は,損金の額に算入されない。

      b 除却損のうち損金の額に算入されない金額

                           8276万0803円

        原告は,平成15年3月の火力発電所定期点検時に8778万1062円の除却損を計上しているが,平成15年3月期末までには除却の事実がなく,かつ,除却損計上の直前まで稼働しており,処分見込価額の算定や使用可能性の判断もできない状況にあることから有姿除却が認められる合理的理由がなく,翌事業年度の除却損の引当て計上をしたにすぎないことから,当該除却損の金額から平成15年3月期の減価償却費の金額を控除した後の金額である8276万0803円は,損金の額に算入されない。

      c 除却損のうち損金の額に算入されない金額

                           5044万6624円

        原告は,火力発電所の資産の帳簿価額のうち工費に対応する部分の額1億4929万8256円のみを除却損として計上しているが,当該資産は,平成15年3月期末までには除却の事実がなく,かつ,除却損計上の直前まで稼働しており,有姿除却や評価損が認められる合理的理由がないことから,当該除却損の金額から平成15年3月期の減価償却費の金額を控除した後の金額である5044万6624円は,損金の額に算入されない。

    (カ)修繕費のうち損金の額に算入されない金額

                         6億8143万2675円

    (キ)減価償却超過額           1億6812万9110円

    (ク)雑収益の計上漏れ            3164万5305円

    (ケ)収用等に伴い計上した特別勘定の益金算入漏れ

                          1780万0100円

    (コ)前事業年度で損金の額に算入した貸倒引当金繰入限度超過額の戻入益の益金算入額