盗品の同一性に関する最高裁昭和24年判決

自転車が貴重品だった時代です。刑法判例百選2 7版 76事件 8版77事件
民法的に疑問があるから、問題視されるわけで物権法の理解は必要です。

賍物故買被告事件

 

最高裁判所第1小法廷判決/昭和24年(れ)第1269号

昭和24年10月20日

 

【判示事項】 他の自転車の車体に取り付けた賍物たる自転車の車輪等の賍物性

 

【判決要旨】 盗賍たる婦人用自転車の車輪2個(タイヤー・チウブ附)及び「サドル」取り外し、これらを他の男子用自転車の車体に取り付けても、その車輪及び「サドル」の賍物性に変りはない。

 

【参照条文】 刑法256

       民法243

       民法244

       民法246

 

【掲載誌】  最高裁判所刑事判例集3巻10号1660頁

       最高裁判所裁判集刑事14号261頁

 

【評釈論文】 別冊ジュリスト58号216頁

       別冊ジュリスト83号134頁

       別冊ジュリスト117号130頁

 

       主   文

 

  本件上告を棄却する。

 

        理   由

 

  弁護人相沢登喜男上告趣意第一、二点について。

  しかし、原判決は、被告人がAなる当時十六年の少年が窃取して来た中古婦人用二六吋自転車一台の車輪二個(タイヤーチウブ附)及び「サドル」を取外しこれらを同人の持参した男子用自転車の車体に組替え取付けて男子用に変更せしめてこれをBに代金四千円にて売却する斡旋をして賍物の牙保をしたものと認定判示したもので、要するに他人所有の婦人用自転車の車輪二個及び「サドル」を賍物と認めこれを牙保したものと判断したものであること明白である。そして、右原判決の事実認定は、その挙示の証拠により肯認することができる。且つその認定によれば判示のごとく組替え取付けて男子用に変更したからといつて両者は原形のまま容易に分離し得ること明らかであるから、これを以て両者が分離することできない状態において附合したともいえないし、また、もとより所論のように婦人用自転車の車輪及び「サドル」を用いてAの男子用自転車の車体に工作を加えたものともいうことはできない。されば中古婦人用自転車の所有者たる窃盗の被害者は、依然としてその車輪及び「サドル」に対する所有権を失うべき理由はなく、従つて、その賍物性を有するものであること明白であるから、原判決には所論の違法は認められない。論旨はすべて採ることはできない。

  よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。

  この判決は裁判官全員の一致した意見である。

  検察官 小幡勇三郎関与

   昭和二四年一〇月二〇日

      最高裁判所第一小法廷

          裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔

             裁判官    沢   田   竹 治 郎

             裁判官    真   野       毅

             裁判官    岩   松   三   郎