刑法65条1項と共同正犯 強姦への女性の加功について共同正犯を認めた最高裁平成40年

刑法判例百選登載 強姦等被告事件

最高裁判所第3小法廷決定/昭和37年(あ)第2476号

昭和40年3月30日

【判示事項】       強姦罪と身分のない者の加功

【判決要旨】       女性が男性と共謀して、強姦の犯罪行為に加功した場合には、強姦罪の共同正犯が成立する。

【参照条文】       刑法177

             刑法60

             刑法65-1

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集19巻2号125頁

             最高裁判所裁判集刑事155号299頁

             判例タイムズ175号152頁

             判例時報408号48頁

【評釈論文】       警察研究37巻11号119頁

             警察時報20巻9号75頁

             研修205号57頁

             研修206号59頁

             別冊ジュリスト27号100頁

             別冊ジュリスト57号196頁

             別冊ジュリスト82号180頁

             別冊ジュリスト111号186頁

             上智法学論集9巻1号181頁

             阪大法学58号134頁

             判例評論83号23頁

             法政研究(九州大)32巻1号91頁

             法曹時報17巻5号153頁

             法律のひろば18巻9号23頁

 

       主   文

 

 本件各上告を棄却する。

 

       理   由

 

 被告人Aの弁護人田中幾三郎、同伊達秋雄、同天野憲治の上告趣意第一点は、単なる訴訟法違反の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告由に当らない。

 同第二点は、判例違反をいうけれども、原判決は、第一審判示の事実に照らせば、被告人Aの本件所為が刑法一七七条前段、六〇条、六五条の適用を受けることは勿論である旨判示しているにとどまり、何ら所論摘示の判例と相反する判断を示していないから、所論は、前提を欠き、結局、事実誤認、単なる法令違反の主張に帰し、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない(なお、強姦罪は、その行為の主体が男性に限られるから、刑法六五条一項にいわゆる犯人の身分に因り構成すべき犯罪に該当するものであるが、身分のない者も、身分のある者の行為を利用することによつて、強姦罪の保護法益を侵害することができるから、身分のない者が、身分のある者と共謀して、その犯罪行為に加功すれば、同法六五条一項により、強姦罪の共同正犯が成立すると解すべきである。従つて、原判決が、被告人Aの原判示所為に対し、同法一七七条前段、六〇条、六五条一項を適用したことは、正当である)。

 同第三点は、量刑不当の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない。

 被告人Bの弁護人山本晃夫の上告趣意第一は、違憲をいう点もあるが、その実質は量刑不当の主張であり、同第二は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも同四〇五条の上告理由に当らない。

 また、記録を調べても、同四一一条を適用すべきものとは認められない。

 よつて、同四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

  昭和四〇年三月三〇日

     最高裁判所第三小法廷

         裁判長裁判官    五 鬼 上   堅   磐

            裁判官    石   坂   修   一

            裁判官    横   田   正   俊

            裁判官    柏   原   語   六

            裁判官    田   中   二   郎