贈与税について納税者一部勝訴の令和元年審決

国税不服審判所裁決

令和元年9月24日

相続人名義の口座に入金された金員の合計額の一部は、請求人らの亡父から贈与されたものではなく、贈与により取得した財産には当たらないと判断した事例

【判決要旨】      原処分庁は、被相続人(本件被相続人)名義の口座(本件被相続人口座)に入金された金員の合計額(本件金員)は、請求人らの亡父が本件被相続人に贈与したものであるから、相続税法(平成27年法律第9号による改正前のもの)第2条の2《贈与税の課税財産の範囲》第1項に規定する贈与により取得した財産に当たる旨主張し、請求人らは、請求人らの亡父が本件被相続人に本件金員を贈与する旨の意思表示をしたとする客観的証拠はないことから、本件金員は、同項に規定する贈与により取得した財産に当たらない旨主張する。

            しかしながら、本件金員の一部については、その原資が請求人らの亡父の預貯金から同人の意思に基づき出金された金員であり、本件被相続人口座に当該出金された金員と同額が入金された後に本件被相続人口座から本件被相続人の老人ホームの利用料が支払われていることなどから、同項に規定する贈与により取得した財産に当たるが、本件金員から左記の贈与により取得したと認められる金員を差し引いた残部については、その原資が請求人らの亡父に帰属していたと認めることはできないことから、同項に規定する贈与により取得した財産に当たらない。

【掲載誌】       裁決事例集No.116

 

1 事実

 (1) 事案の概要

   本件は、原処分庁が、被相続人K(以下「本件被相続人」という。)がその配偶者であるJから贈与により金銭を取得しており、Jが本件被相続人の死亡により本件被相続人の贈与税の納税義務を承継したとして、Jに対し贈与税の決定処分等を行ったのに対し、Jの相続人である審査請求人G及び同L(以下「請求人G」及び「請求人L」といい、2名を併せて「請求人ら」という。)が、本件被相続人はJから贈与により金銭を取得していないなどとして、その全部の取消しを求めた事案である。

 (2) 関係法令等

  イ 相続税法等

   (イ) 贈与税の納税義務者等について

    A 相続税法(平成27年法律第9号による改正前のもの。以下同じ。)第1条の4《贈与税の納税義務者》第1号は、贈与により財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有する者には、同法により贈与税を納める義務がある旨規定し、同法第2条の2《贈与税の課税財産の範囲》第1項は、その者が贈与により取得した財産の全部に対し、贈与税を課す旨規定している。

    B 相続税法基本通達1の3・1の4共-8《財産取得の時期の原則》は、贈与による財産取得の時期について、書面によるものについてはその契約の効力の発生した時、書面によらないものについてはその履行の時とする旨それぞれ定めている。

   (ロ) 贈与税の非課税財産について

    A 相続税法第21条の3《贈与税の非課税財産》第1項第2号は、扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるものの価額は、贈与税の課税価格に算入しない旨規定している。

    B 相続税法基本通達21の3-3《「生活費」の意義》は、相続税法第21条の3第1項第2号に規定する「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く。)をいい、治療費、養育費その他これらに準ずるもの(保険金又は損害賠償金により補てんされる部分の金額を除く。)を含むものとして取り扱うものとする旨定めている。

    C 相続税法基本通達21の3-5《生活費及び教育費の取扱い》は、相続税法第21条の3第1項の規定により生活費又は教育費に充てるためのものとして贈与税の課税価格に算入しない財産は、生活費又は教育費として必要な都度直接これらの用に充てるために贈与によって取得した財産をいうものとする旨定めている。

    D 相続税法基本通達21の3-6《生活費等で通常必要と認められるもの》は、相続税法第21条の3第1項第2号に規定する「通常必要と認められるもの」は、被扶養者の需要と扶養者の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産をいうものとする旨定めている。

  ロ 民法

   (イ) 民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)第549条《贈与》は、贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる旨規定している。

   (ロ) 民法第550条《書面によらない贈与の撤回》は、書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができるが、履行の終わった部分については、この限りではない旨規定している。

  ハ 国税通則法

    国税通則法(平成27年法律第9号による改正前のもの。以下「通則法」という。)第5条《相続による国税の納付義務の承継》第1項は、相続があった場合には、相続人は、その被相続人に課されるべき、又はその被相続人が納付し、若しくは徴収されるべき国税を納める義務を承継する旨規定しており、同条第2項は、相続人が二人以上あるときは、各相続人が承継する国税の額は、民法第900条から第902条まで《法定相続分・代襲相続人の相続分・遺言による相続分の指定》の規定によるその相続分によりあん分して計算した額とする旨規定している。

 (3) 基礎事実及び審査請求に至る経緯

   当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。

  イ 本件被相続人(昭和○年○月○日生)とJ(昭和○年○月○日生)は、それぞれ前夫・前妻と死別し、平成2年4月7日に婚姻した。

    Jは前妻との間に請求人ら二子がおり、本件被相続人は前夫との間にMがいた。

  ロ 平成26年11月17日から同月26日までの間、N銀行の本件被相続人名義の○○○○口座(○○○○。以下「本件被相続人口座」という。)に合計○○○○円の入金があり(以下、その入金された○○○○円を「本件金員」という。)、他方、P銀行○○支店のJ名義の○○口座(○○○○。以下「本件JP口座」という。)及びN銀行のJ名義の○○口座(○○○○。以下「本件JN口座」といい、本件JP口座と併せて「本件J○○口座」という。)から合計○○○○円の出金があった。上記入出金の状況は、別表1のとおりである。

  ハ 本件被相続人及びJは、平成26年12月1日、Q社との間で、入居者を本件被相続人及びJ、身元引受人をM、入居施設を介護付有料老人ホームR(以下「R」という。)とする入居契約(以下「本件入居契約」という。)を締結し、同日、Rに正式入居した。

  ニ 本件入居契約において、Rの利用料(以下「R費用」という。)は月払方式及び口座振替が選択され、本件被相続人のR費用については本件被相続人口座が、JのR費用については本件JN口座が、それぞれ振替口座として指定された。また、本件入居契約において、Rに入居するための保証金として、入居までに1,200,000円(一人当たり600,000円)を支払うことが定められていた。

  ホ 本件被相続人は、平成27年10月○日に死亡し、その相続(以下「本件相続」という。)が開始した。

    本件被相続人の相続人は、J及びMの2名である。

  へ Jは、平成27年12月21日、後見相当と診断され、平成28年3月18日から、介護サービス費の振込みが開始され、平成28年4月28日、その成年後見開始の裁判が確定し、請求人Gが成年後見人に選任された。

  ト J及びその法定代理人成年後見人である請求人Gは、平成29年7月31日付で、Mに対し、本件金員を含む本件被相続人の遺産の2分の1の支払を求め、不当利得返還請求訴訟(以下「本件訴訟」という。)を提起した。

  チ 原処分庁所属の調査担当職員(以下「本件調査担当職員」という。)は、平成29年8月2日、Jの成年後見人である請求人Gに対し、平成29年8月31日、Mに対し、それぞれ本件相続に係る相続税の実地の調査の事前通知を行った。また、本件調査担当職員は、平成29年9月11日、Mに対し質問調査を行ったところ、Jから本件被相続人に対する贈与の疑義が生じたことから、同日、Mに対し、事前通知事項に加え、贈与税に係る質問調査を行い、平成29年11月21日、請求人Gに対しても、贈与税の調査を行う旨通知した。

  リ 本件調査担当職員は、本件被相続人はJから贈与により本件金員を取得しており、相続人は本件被相続人の国税の納付義務を承継しているとして、平成29年12月5日、Mに対し、平成29年12月18日、Jの成年後見人である請求人Gに対し、それぞれ本件被相続人に係る平成26年分の贈与税の期限後申告を勧奨したが、請求人Gは、平成30年2月5日、本件訴訟において、本件金員の2分の1の返還及び本件被相続人の遺産から本件金員を控除した残額の2分の1の返還を求める請求を主位的請求として追加し、期限後申告書を提出しなかった。

  ヌ 原処分庁は、Jに対し、平成30年2月27日付で、別表2の「本件決定処分等」欄のとおり、本件被相続人に係る平成26年分の贈与税の決定処分(以下「本件決定処分」という。)及び無申告加算税の賦課決定処分(以下、これらの処分を併せて「本件決定処分等」という。)を行った。

  ル Jは、平成30年4月○日に死亡した。Jの相続人は請求人らであり、請求人らは、同日、国税の納付義務を含むJの権利義務を承継した。

  ヲ 請求人らは、平成30年5月23日、本件決定処分等を不服として再調査の請求をしたところ、再調査審理庁は、平成30年9月7日付で、いずれも棄却の再調査決定をした。

  ワ 請求人らは、再調査決定を経た後の本件決定処分等に不服があるとして、平成30年10月3日、それぞれ審査請求をするとともに、請求人Gを総代として選任し、その旨を当審判所に届け出た。

  カ 原処分庁は、平成31年4月24日付で、上記ヌの無申告加算税の賦課決定処分について、無申告加算税の額の計算に誤りがあったとして、別表2の「変更決定処分」欄のとおりとする変更決定処分をした(以下、変更決定処分後の当該賦課決定処分を「本件賦課決定処分」という。)。

 

2 争点

 (1) 本件金員は、相続税法第2条の2第1項に規定する「贈与により取得した財産」に当たるか否か(争点1)。

 (2) 本件金員が贈与により取得した財産に当たる場合、本件金員は、相続税法第21条の3第1項第2号に規定する贈与税の非課税財産に当たるか否か(争点2)。

 

3 争点についての主張

 (1) 争点1(本件金員は、相続税法第2条の2第1項に規定する「贈与により取得した財産」に当たるか否か。)について

 

   原処分庁

   イ Jと本件被相続人との間において、本件金員を贈与する旨の贈与契約書の存在は認められないものの、Mの申述は、①本件J○○口座から計○○○○円の出金があること、②本件金員が本件被相続人口座に入金されたこと、③①及び②の入出金に係る手続はJ及びMの2名で行われたこと、④本件被相続人口座からR費用が引き落とされていること並びに⑤本件被相続人の年金収入だけではR費用が不足していたことなどの事実関係と矛盾なく整合するから、平成26年8月から同年11月17日までには、Jと本件被相続人との間で本件金員の贈与契約が成立したと認められる。

   ロ 平成26年10月のJ及び本件被相続人には、何らかの○○症は認められるものの、日常生活において自立できる又は自立していると認められているから、意思能力がなかったとはいえない。

   ハ ①本件被相続人口座は本件被相続人の年金入金口座であるところ、本件金員が入金される直前の本件被相続人口座の残高は261,178円であり、ほかの本件被相続人名義の預金口座残高は、平成20年以降、大きな変動はないこと、②J及び本件被相続人がRに入居するに当たり両人の財産を管理することになったMが、本件7,500,000円の原資はJのたんす預金であり、Jは金融機関の倒産を心配し現金を手もとに置いていたが、本件被相続人は多額の現金を手もとに置くことはなかった旨を申述していること並びに③請求人らは、本件7,500,000円の原資のうち、本件被相続人に帰属する金額は特定できない旨を申述していることからすれば、本件7,500,000円の原資は、Jに帰属するものであったと推認される。

   ニ 本件被相続人の年金収入は年間約○○○○円であるところ、本件被相続人名義の預貯金口座の残高の合計額は、当該年金収入とおおむね同額又はそれ以上の金額が増加していることからすれば、少なくとも、平成22年11月16日以降、本件被相続人の収入を原資とする現金が自宅に保管されていたとは認められない。

   ホ 本件JP口座から10,000,000円が平成25年5月16日に出金されているものの、その他の金融機関への預替えはないことからすれば、Jが本件7,500,000円の原資となった現金を自宅において保管していたと認めるのが自然である。

   請求人ら

   イ 本件金員に係る贈与契約書は存しておらず、ほかにJが本件被相続人に本件金員を贈与する旨意思表示をしたとする客観的な証拠はない。

   ロ 平成26年11月17日ないし同月26日頃のJ及び本件被相続人は、日常生活に支障を来たす程度の○○機能の低下があり、Jが本件被相続人に本件金員を贈与する旨の意思表示があったとすることは困難である。

   ハ 本件7,500,000円の原資がJに帰属するものか否かは不明である。

   ニ 本件被相続人名義の預貯金残高の推移に関する原処分庁の主張は、本件被相続人名義の預貯金口座から多額の出金がなかった可能性を示すにすぎず、本件被相続人が多額の現金を所持していなかったことの理由にならない。むしろ、1年の間で約6,300,000円という預貯金の増加は、本件被相続人の年間の年金収入約○○○○円を上回っているから、逆に本件被相続人が現金を所持していた可能性を示唆する事実である。

   ホ 本件JP口座から10,000,000円が平成25年5月16日に出金されたのは、本件被相続人口座に本件7,500,000円が入金された平成26年11月17日の約1年半も前の出来事であって、Jが当該10,000,000円を自宅に保管していたことを示す客観的証拠はない以上、直ちに当該10,000,000円が本件7,500,000円の原資とはいえない。

   ヘ ①本件被相続人は、平成26年11月16日の時点において、総額約28,000,000円の預貯金残高を有していたこと、②本件被相続人のR入居時の要支払額は600,000円であり、預貯金の範囲で支払うことが可能であったこと及び③R費用の支払方法は預貯金口座からの自動振替(毎月)であり、本件被相続人の費用を含めて本件JN口座からの自動振替にすれば、平成26年11月に本件金員を本件被相続人に贈与する必要はなかった。

   ト 贈与税についての知識があったJが、高額の贈与税を本件被相続人に負担させてまで本件金員を本件被相続人に贈与する必要性はなかった。

 

 (2) 争点2(本件金員が贈与により取得した財産に当たる場合、本件金員は、相続税法第21条の3第1項第2号に規定する贈与税の非課税財産に当たるか否か。)について

 

   請求人ら

   ①本件被相続人口座からR費用が引き落とされていたこと、②本件被相続人はR入居時に○歳と高齢であり要介護状態にあったこと、③Jも要支援状態にあり自宅で本件被相続人と生活できなくなっていたこと、④RにはJ及び本件被相続人が要介護等認定を受け両人で入居することとなったこと並びに⑤Rは介護の目的を超えた華美な施設ではなく、要介護状態にあった本件被相続人が生活するのに必要最小限度のものであったと認められることからすれば、本件金員は、介護を必要とする本件被相続人の生活費に充てられるために通常必要と認められるものであるから、相続税法第21条の3第1項第2号に規定する贈与税の非課税財産に当たる。

   原処分庁

   ①平成26年11月16日における本件被相続人名義の預貯金残高から、Rに入居するために必要な当面の資金を有していたと認められること、②本件金員は、本件被相続人の毎月の生活費約200,000円を基に本件被相続人が○歳までRに入居すると仮定した場合に将来的に不足すると見込まれる本件被相続人の生活費の合計額に相当する金額であること、③本件金員は、平成26年11月17日から同月26日にJから本件被相続人口座に入金されたこと及び④③の入金額に見合ったR費用の支払が直ちになされたとは認められないことを勘案すると、本件金員は、生活費として必要な都度、直接これに充てるために贈与によって取得した財産には該当せず、「通常必要と認められるもの」に当たらないから、相続税法第21条の3第1項第2号に規定する贈与税の非課税財産に当たらない。

 

4 当審判所の判断

 (1) 争点1(本件金員は、相続税法第2条の2第1項に規定する「贈与により取得した財産」に当たるか否か。)について

  イ 法令解釈

    相続税法第1条の4第1号及び同法第2条の2第1項は、贈与により財産を取得した個人が、当該財産を取得した時において国内に住所を有する者である場合には、贈与により取得した財産の全部に対して贈与税を課する旨規定している。

    この場合の贈与の意義については、相続税法上明確な定義はなく、民法第549条に規定する贈与をいうものと解される。そして、同条においては、贈与の効力は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方がそれを受諾することによって生ずる旨規定している。

    そして、双方の意思は、必ずしも書面により表示されることを要さず、他の証拠によってそれらの意思を証明し得れば足りるものと解されているほか、書面によらない贈与は、履行が終わった部分については撤回することができないとされている。

  ロ 認定事実

    請求人ら提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。

   (イ) 本件JP口座から、平成25年5月16日、10,000,000円が出金された。

   (ロ) 別表1の入出金は、いずれも現金で行われている。

   (ハ) 別表1のとおり、本件JP口座からの平成26年11月19日の○○○○円の出金は、同日午後零時10分に、P銀行○○支店の窓口で行われているところ、その際作成された出金伝票には、「○才、チェックシート済、老人ホーム費用、○○へ」と手書きで付記され、担当者の印鑑が押されている。上記チェックシートとは、当時既に高齢者が特殊詐欺の被害に遭うことを防止するため、金融機関において行われていた、使途確認のためのチェックシートのことである。また、P銀行における顧客の窓口での折衝経過を入力するシステムに、当該出金に関して、「夫婦で老人ホームに入居するための引出し」という趣旨の入力があった。

   (ニ) 別表1のとおり、本件被相続人口座への平成26年11月19日の合計○○○○円の入金は、午後零時53分及び午後零時54分に、Sの窓口で行われているところ、P銀行○○支店とSとの間の距離は直線距離で約870メートルである。

   (ホ) R費用は、本件被相続人分とJ分を合わせて月額575,000円(消費税及び地方消費税相当額を除く。)であるところ、平成27年2月27日から同年9月28日までの間、本件被相続人口座から8回にわたり振り替えられた本件被相続人のR費用の総額は2,617,930円であり、これを月額に換算すると約327,240円(≒2,617,930円÷8か月)である。

  ハ 関係人の供述

   (イ) Mの供述について

    A Mは、平成29年9月11日、本件調査担当職員に対し、要旨以下のとおり申述した。

      平成26年11月17日から同月26日の間に、本件被相続人口座に入金した合計○○○○円の原資は、Jのタンス預金○○○○円と本件JP口座から出金した○○○○円であり、その手続は、Jと私の二人で行った。

      私は、R費用として一人につき月300,000円くらいかかると見込んでいた。二人の年金は月○○○○円程ずつだったので、それぞれ○○○○円程足りず、本件被相続人とJがRに○歳まで入居するためには、一人当たり約20,000,000円が必要だと思っていた。

      Jが本件被相続人のR費用として必要となる○○○○円を出したいと言い出した。

    B Mは、平成30年7月20日、再調査審理庁所属の再調査担当職員に対し、要旨以下のとおり申述した。

      本件被相続人とJは、平成26年8月頃から、二人で生活するのが難しくなり、老人ホームへ入居することにした。Rは本件被相続人が特に気に入ったが、年金で利用するには費用が不足することが問題だった。今後のことを考えると、一人○○○○円は準備する必要があるだろうという私の考えを伝えたところ、Jが自分は60,000,000円の資産があると言った。それを聞いた本件被相続人は、そんなに財産があるのになぜ希望をかなえてくれないのだ、希望をかなえてくれないなら離婚すると騒ぎ出し、隣家に駆け込む事態になった。やむを得ず私が請求人Gを呼び、資金繰りについて検討し、Jが本件被相続人に今後の生活費として○○○○円をあげるということになった。

      一部本件JN口座のお金で補填した部分もあるが、Jのタンス預金○○○○円と本件JP口座の○○○○円で本件被相続人の入居資金○○○○円とJの入居資金○○○○円を用意した。Jの資金は○○○○円に足りないが、いずれJの所有する株を売却して資金とする予定だった。

      私は、J及び本件被相続人がRに入居するまでは二人の財産管理はしておらず、二人がRに入居するに当たって二人の預貯金通帳と実印を預かった。二人は、自分の財産は自分で管理するというスタイルで、老人ホームへの入居の話が出るまで、お互いにどのくらい財産を持っているかは秘密だったようである。私は本件被相続人の財産は大体把握していたが、Jの財産は、退職金が30,000,000円だったとか、株購入のために現金出金をしたとか、手もとに現金が10,000,000円とか20,000,000円あるとか聞いていたくらいで、具体的な内容は知らなかった。Jは金融機関の倒産を心配して多額の現金を手もとに置いていたようであるが、どこに保管していたのかは知らない。本件被相続人は多額の現金を手もとに置くことはせず、必要なときに必要な分を出金していた。

    C Mが本件訴訟に提出した平成30年11月13日付陳述書の内容は、要旨以下のとおりである。

      本件被相続人は、平成26年11月頃、Jに対し、R費用の工面を依頼した。Jは当初お金を出すことを渋っていたが、請求人Gや親戚を交えて説得した結果、○○○○円なら贈与するということで決着した。請求人Gは、「親が自分のお金でホームの費用をまかなってくれるのは子としてもありがたいこと」と言っていた。

      その翌日には振込手続を開始した。Jが、私を連れて窓口で振込みの趣旨を話したところ、金額も大きく奥の応接室に通された。銀行の担当者が三人も来てJに何度も目的を確認していた。Jは自分と妻が同時に施設に入居するからその費用として振り込むと説明していた。その際、出金伝票は、銀行員の了解を得て私が記載した。

      平成27年12月9日、請求人Gから電話があり、本件被相続人の葬儀費用がJの口座から支払われていない、本件被相続人の遺産の内容を確認したいと言ってきた。

   (ロ) 請求人Gの供述について

    A 請求人Gが本件訴訟に提出した平成30年9月27日付陳述書の内容は、要旨以下のとおりである。

      平成26年9月30日、実家での夕食後、Jから、本件被相続人と二人でリハビリのできる施設に入る気持ちがある、自分たちのお金で施設に入るので、経済的負担は掛けないと話があった。本件被相続人は、家、土地、相続分など自分の分が欲しい、Mや、実家の隣に住む私の実母の兄に立ち会ってもらってとか、弁護士さんを頼むとか、Jの面前で言い出した。私は、何の目的でこの家に来たのかという思いで本件被相続人の言葉を聞いていた。本件被相続人が、私に、もし自分がダメになったらJをこの家で看てくれるのかと聞くので、私が「少し手を入れて介護できるようにトイレや風呂を直さないと私一人では気持ちはあっても体力的にどうにもならない」と答えたところ、Jは「(亡くなった母の長兄である)おじちゃんの形見の家だからこのままにしておきたいのだ」と言っていた。

      平成26年10月17日午後零時過ぎ頃にMから電話があり、Jと本件被相続人が離婚することになったから、すぐに実家に来てくれとのことだった。実家に着くと、亡くなった私の実母の兄夫婦が「なんだか離婚すると言っているのよ」とオロオロしていた。Mによると、その前日の晩、Jが、入居予定の施設について「高過ぎる、年金で払える範囲のところにしてくれ、この先もお金がかかることもあるだろうし、何があるか分からないから」と言ったとのことだった。すると、本件被相続人が、「話が違う、こんなに話がコロコロ変わる人とはやっていけない」と言い、Mは、「自分たちのこれからにポンとお金を出すなんてかっこいい、親の鏡だと思ったけど、こんなにコロッと変わるなんて私も信じられないので、離婚することになった」、「母一人なら引き取って面倒みる、少し○○ているだけでどこも悪くないが、父があまり歩けなくて母も大変だからお金を出してくれるんだと思ったのに」と言っていた。Jと本件被相続人で施設に入るお金のことで言い争いをし、本件被相続人は、Jに対し、持っているお金を全て出せというようなことを言っていたと思う。Jは、「○○○○までなら出すがそれ以上は出さない」というようなことを言っていた。

      平成27年11月に入り、本件被相続人の葬儀代や入院費を通帳から出費した形跡がなかったことをきっかけに、Mが平成26年11月にJの口座から○○○○円を本件被相続人口座に入金したこと等が分かった。

    B 請求人Gは、平成31年2月18日、当審判所に対し、要旨以下のとおり答述した。

      平成26年10月17日、Jと本件被相続人が離婚する話になっていると呼び出されて実家に行った。その場には、隣に住む実母の兄夫婦がいた。本件被相続人がいくらまでなら出せるのかと聞き、Jが「○○○○までなら出せる」と言っていたのを聞いたが、老人ホームに入居するのに必要なお金という話は一切なかったので、何に対して○○○○まで出せると言ったのか分からない。

   (ハ) M及び請求人Gの各供述の検討について

     M及び請求人Gは、上記1の(3)のトのとおり、本件金員がJから本件被相続人に贈与されたものであるかについて裁判で係争中であるから、両者の供述が食い違っている部分については、お互いに自己に有利なバイアスがかかっている可能性がある一方、両者の供述内容が重なっている部分や、相手方の供述に対し特に反論する供述をしていない部分については、基本的に信用性が高いと認められる。

     そうすると、Mと請求人Gの供述内容から、平成26年8月ないし9月頃、本件被相続人とJは自宅で生活することが困難になり、老人ホームに入居することの検討を始めたこと、本件被相続人はRへの入居を望んだが、当初Jは費用の面から反対したこと、これに本件被相続人が激怒し、自分の費用を出してくれないなら離婚すると言い出したこと、平成26年10月ないし11月頃、本件被相続人及びJの自宅において、本件被相続人がJに対し、いくらまで出せると詰め寄ったところ、Jが○○○○までなら出せると言い、○○○○とは○○○○円を意味することが認められる(この点、請求人Gは、上記(ロ)のBのとおり、当審判所に対し、○○○○が何のことか分からないと答述するが、請求人G自身の詳細な供述(上記(ロ)のA)のとおり、平成26年9月以降、Jが、請求人Gに対し、本件被相続人と二人で老人ホームに入居する意向を示し、その費用について本件被相続人がJにいくら出せると詰め寄っている状況を目の当たりにしているという経緯の中で○○○○という数字が出て来ていることからして、何のことか分からなかったという当該答述は信用できない。)。

  ニ 当てはめ

   (イ) Jから本件被相続人への本件○○○○円の贈与の有無について

    A 上記イのとおり、贈与の効力は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方がそれを受諾することによって生じ、双方の意思は、必ずしも書面により表示されることを要さない。そして、書面によらない贈与は、履行の終わった部分について撤回できない。

    B これを本件についてみると、上記1の(3)のハのとおり、本件被相続人及びJは、平成26年12月1日、そろってRに正式入居しているところ、上記ハの(ハ)のとおり、これに先立って、本件被相続人は離婚をちらつかせてまで自己のR費用についてもJに負担させようとし、Jは、本件被相続人に対し、○○○○円までなら出せる旨発言したこと、及び、別表1のとおり、平成26年11月19日から同月26日までの間、本件J○○口座から合計○○○○円が出金され、いずれも出金の当日中に、本件被相続人のR費用の振替口座であった本件被相続人口座へ合計○○○○円が入金されたことが認められる。

    C そして、平成26年11月19日の本件JP口座からの○○○○円の出金について、出金伝票上の記載、上記ロの(ハ)及び上記ハの(イ)のCのMの供述からすると、当該伝票の氏名欄におけるJの署名は、J本人ではなくMによって記載されているものの、当該○○○○円の出金は、P銀行○○支店の窓口で行われ、当時から高齢者の高額引出しには銀行員が立ち会って、使途等についての意思の確認がされていたこと、当該出金伝票には「○才、チェックシート済、老人ホーム費用、○○へ」と銀行員の手書きで付記がなされ、上記本人の意思確認が行われたことは確かであること、銀行のシステム上に夫婦で老人ホームに入居する費用との入力があることからすれば、当該出金はJの意思に基づくものであったと認められる。

      また、上記ロの(ニ)及び別表1のとおり、本件JP口座から平成26年11月19日午後零時10分に○○○○円が出金され、本件被相続人口座に同日午後零時53分から午後零時54分に合計○○○○円が入金されていること及び、P銀行○○支店とSとの間の距離は直線距離で1キロメートルに満たないことからすると、本件○○○○円のうち、本件被相続人口座に平成26年11月19日に入金された○○○○円の原資は、本件JP口座から平成26年11月19日に出金された○○○○円であることは明らかである。

    D さらに、別表1のとおり、本件JN口座からの平成26年11月25日及び同月26日の各○○○○円の出金は、同月25日はTのATMにおいて、同月26日はUのATMにおいて、それぞれ行われているところ、Jが設定・管理している暗証番号をATMに入力しなければ本件JN口座からの出金はできないことから、J本人又はJから暗証番号と通帳又はキャッシュカードを託された者が各○○○○円を出金したことになり、これらの出金もJの意思に基づくものであると認められ、両日とも同じ郵便局で本件被相続人口座で同額の入金が行われていることからすれば、本件○○○○円のうち、本件被相続人口座に同月25日及び同月26日に入金された各○○○○円の原資は、本件JN口座から同月25日及び同月26日に出金された各○○○○円であるものと認められる。

    E 加えて、上記ロの(ホ)のとおり、本件被相続人口座に本件○○○○円の入金がされた直後から、本件被相続人口座から本件被相続人のR費用が振り替えられている反面、本件被相続人が当該○○○○円をJに返還したと認められる証拠も、Jと本件被相続人との間で当該○○○○円を返還する合意があったと認められる証拠もない。

    F 以上のとおり、Jは、R費用の負担に係る本件被相続人の求めに応じて自己の財産を無償で与える旨の発言を行い、それにのっとって、自らの意思に基づいて合計○○○○円を本件J○○口座から出金し、当該出金された金員は直ちに本件被相続人口座に入金されたのであって、同金額の部分については贈与の履行が終わったことが認められるのであるから、本件○○○○円は、本件被相続人がJから贈与により取得したものと認められる。

   (ロ) Jから本件被相続人への本件7,500,000円の贈与の有無について

     他方、本件被相続人が本件7,500,000円をJから贈与により取得したというためには、まず、本件7,500,000円がJに帰属する財産を原資として入金されたものであったことが必要となるが、上記(イ)のとおり、本件J○○口座から本件被相続人口座への資金移動が明らかに紐づいている本件○○○○円と異なり、本件7,500,000円は現金で入金されており、かつ当日中のJの預貯金口座からの出金事実が見当たらない。

     この点、上記ロの(イ)のとおり、平成25年5月16日に本件JP口座から10,000,000円が出金されているものの、M及び請求人Gの各供述をもってしてもその保管状況は明らかではなく、ほかに本件7,500,000円の原資がJに帰属する財産であると認めるに足りる証拠はないから、本件被相続人が本件7,500,000円をJから贈与により取得したということはできない。

     したがって、本件7,500,000円は、相続税法第2条の2第1項に規定する「贈与により取得した財産」に当たらない。

   (ハ) 小括

     上記のとおり、本件金員のうち、本件○○○○円は相続税法第2条の2第1項に規定する「贈与により取得した財産」に当たり、本件7,500,000円は同項に規定する「贈与により取得した財産」に当たらない。

   (ニ) 原処分庁の主張について

     原処分庁は、上記3の(1)の「原処分庁」欄のイのとおり、本件金員はその全額につき贈与契約が成立したと認められる旨主張し、上記3の(1)の「原処分庁」欄のハないしホのとおり、本件7,500,000円の原資は、Jに帰属するものであったと推認される旨主張する。

     しかしながら、本件JP口座から平成25年5月16日に10,000,000円が出金されてから本件被相続人口座に本件7,500,000円が入金される平成26年11月17日までの間に約1年半が経過しており、他の金融機関への預替えがないというだけで 、他に当該10,000,000円が本件7,500,000円の原資となった証拠はないこと、平成25年5月頃において、J及び本件被相続人に老人ホームの入居を考えていたような事情や、近々に大金の費消があると考えこれを事前に引き出さなければならなかったような事情がいずれもうかがわれないことからすれば、原処分庁の主張は採用できない。

   (ホ) 請求人らの主張について

    A 請求人らは、上記3の(1)の「請求人ら」欄のイ及びロのとおり、Jが本件被相続人に本件金員を贈与する旨意思表示をしたとする客観的証拠はなく、また、○○機能の低下によりJが本件被相続人に本件金員を贈与する旨の意思表示があったとすることは困難であるから、本件金員は、「贈与により取得した財産」に当たらない旨主張する。

      しかしながら、本件○○○○円が、本件被相続人がJから贈与により取得したものと認められることは上記(イ)のとおりであり、また、Jの後見が開始されたのは上記1の(3)のへのとおり平成28年4月28日であって、平成26年11月頃においてJに意思能力がなかったことが明らかとはいえない。

    B 請求人らは、上記3の(1)の「請求人ら」欄のヘ及びトのとおり、贈与税についての知識があったJが本件被相続人に贈与税の負担を掛けてまで金銭を贈与するはずがなかったし、本件被相続人には十分な財産があり、本件金員を贈与する必要がなかった旨主張する。

      しかしながら、本件○○○○円は、本件被相続人がJから贈与により取得したものと認められることは上記(イ)のとおりである上、請求人Gの供述によっても、本件○○○○円の出入金前にJが贈与税の負担のことまで考えて行動していたことがうかがわれる的確な証拠も、Jが本件被相続人の多額の預貯金額を知っており、そのこととの関係で本件○○○○円を出入金するか否かを検討した証拠も見当たらない。

    C 以上のとおり、請求人らの主張もいずれも採用できない。

 (2) 争点2(本件金員が贈与により取得した財産に当たる場合、本件金員は、相続税法第21条の3第1項第2号に規定する贈与税の非課税財産に当たるか否か。)について

  イ 法令解釈

    相続税法第21条の3第1項第2号は、扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるものの価額は、贈与税の課税価格に算入しない旨規定している。そして、相続税法基本通達21の3-3は、相続税法第21条の3第1項第2号に規定する「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く。)をいい、治療費、養育費その他これらに準ずるもの(保険金又は損害賠償金により補てんされる部分の金額を除く。)を含むものとして取り扱う旨を定め、相続税法基本通達21の3-5は、相続税法第21条の3第1項の規定により生活費又は教育費に充てるためのものとして贈与税の課税価格に算入しない財産は、生活費又は教育費として必要な都度直接これらの用に充てるために贈与によって取得した財産をいう旨を定め、相続税法基本通達21の3-6は、相続税法第21条の3第1項第2号に規定する「通常必要と認められるもの」は、被扶養者の需要と扶養者の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産をいう旨定めている。

    相続税法第21条の3第1項第2号の立法趣旨が、扶養義務者相互間における生活費又は教育費は、日常生活に必要な費用であり、それらの費用に充てるための財産を贈与により取得してもそれにより担税力が生じないことはもちろん、その贈与の当事者の人間関係などの面からみてもこれを課税することは適当でないという点にあることに鑑みれば、当審判所においても、上記通達の取扱いはいずれも相当であると認める。

  ロ 当てはめ

    本件○○○○円が本件被相続人口座に入金されたのは、別表1のとおり、平成26年11月19日、同月25日及び同月26日であるところ、上記1の(3)のニ及び上記(1)のロの(ホ)のとおり、本件被相続人に係るR費用は、入居時に600,000円、その後1か月当たり約327,240円が必要とされたにとどまり、R入居前に本件○○○○円をまとめて贈与する必要まではない。

    そうすると、本件○○○○円は、本件被相続人のR費用の支払のために必要な都度取得されたとはいえず、本件○○○○円は、相続税法第21条の3第1項第2号に規定する贈与税の非課税財産に当たらない。

  ハ 請求人らの主張について

    請求人らは、上記3の(2)の「請求人ら」欄のとおり、本件金員は、介護を必要とする本件被相続人の生活費に充てられるために通常必要と認められるものであるから、相続税法第21条の3第1項第2号に規定する贈与税の非課税財産に当たる旨主張する。

    しかしながら、本件○○○○円は相続税法第21条の3第1項第2号に規定する贈与税の非課税財産に当たらないことは上記ロのとおりであり、請求人らの主張は理由がない。

 (3) 本件決定処分の適法性について

   上記(1)のニの(ハ)のとおり、本件金員のうち、本件○○○○円は相続税法第2条の2第1項に規定する「贈与により取得した財産」に当たり、本件7,500,000円は同項に規定する「贈与により取得した財産」に当たらない。

   また、上記(2)のロのとおり、本件○○○○円は、相続税法第21条の3第1項第2号に規定する贈与税の非課税財産に当たらない。

   以上に基づいて、本件被相続人の課税価格及び納付すべき税額並びにJが承継する納付すべき税額を計算すると、別表3の「審判所認定額」欄の「課税価格」欄ないし「Jが承継する納付すべき税額」欄のとおりとなり、それらの金額は、いずれも本件決定処分の金額を下回るから、本件決定処分は、その一部を別紙2及び別紙3の「取消額等計算書」のとおり取り消すべきである。

   なお、本件決定処分のその他の部分については、請求人らは争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

 (4) 本件賦課決定処分について

   上記(3)のとおり、本件決定処分はその一部を取り消すべきであるから、無申告加算税の賦課決定処分の基礎となる税額は、別表3の「審判所認定額」欄の「無申告加算税の基礎となる税額」欄のとおりとなる。

   また、期限内申告書の提出がなかったことについて、通則法第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する正当な理由があるとは認められない。

   以上に基づいて、当審判所において無申告加算税の額を計算すると、別表3の「審判所認定額」欄の「無申告加算税の額」欄のとおりとなり、本件賦課決定処分の金額を下回ることから、本件賦課決定処分は、その一部を別紙2及び別紙3の「取消額等計算書」のとおり取り消すべきである。

 (5) 結論

   よって、審査請求には理由があるから、原処分の一部を取り消すこととする。

 

別表1 本件J○○口座及び本件被相続人口座の入出金状況(省略)

別表2 審査請求に至る経緯(省略)

別表3 課税価格及び納付すべき税額等(省略)

別紙1 共同審査請求人明細(省略)

別紙2 取消額等計算書(省略)

別紙3 取消額等計算書(省略)