執行文付与の訴えにおいて請求異議事由を抗弁として出すことは許されない最高裁昭和52年

民亊執行・保全判例百選第3版14事件執行文付与の訴事件

【事件番号】    最高裁判所第1小法廷判決/昭和51年(オ)第1202号

【判決日付】    昭和52年11月24日

【判示事項】    執行文付与の訴において請求に関する異議の事由を抗弁として主張することの拒否

【判決要旨】    執行文付与の訴において請求に関する異議の事由を抗弁として主張することは、許されない。

【参照条文】    民事訴訟法521

          民事訴訟法544

【掲載誌】     最高裁判所民事判例集31巻6号943頁

          最高裁判所裁判集民事122号263頁

          裁判所時報729号1頁

          判例タイムズ357号230頁

          金融・商事判例538号21頁

          判例時報874号42頁

          金融法務事情845号22頁

【評釈論文】    ジュリスト臨時増刊666号130頁

          別冊ジュリスト127号36頁

          別冊ジュリスト247号32頁

          日本法学44巻3号108頁

          判例タイムズ362号110頁

          判例タイムズ367号85頁

          法学研究(慶応大)52巻3号86頁

          法曹時報32巻12号141頁

          民商法雑誌79巻3号116頁

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人らの負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人奥中克治の上告理由について

 民訴法五二一条所定の執行文付与の訴は、債務名義に表示された給付義務の履行が条件にかかるものとされてその条件が成就した場合及び債務名義に表示された当事者に承継があつた場合に、執行債権者において右条件の成就又は承継の事実を同法五一八条二項又は五一九条所定の証明書をもつて証明することができないとき、右訴を提起し、その認容判決をもつて同法五二〇条所定の裁判長の命令に代えようとするものであるから、右訴における審理の対象は条件の成就又は承継の事実の存否のみに限られるものと解するのが相当であり、他方また、同法五四五条は、請求に関する異議の事由を主張するには訴の方法によるべく、数箇の異議の事由はこれを同時に主張すべきものと定めているのである。してみれば、執行文付与の訴において執行債務者が請求に関する異議の事由を反訴としてではなく単に抗弁として主張することは、民訴法が右両訴をそれぞれ認めた趣旨に反するものであつて、許されないと解するのが相当である。

 したがつて、右と同旨の原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

    最高裁判所第一小法廷

        裁判長裁判官  岸上康夫

           裁判官  団藤重光

           裁判官  藤崎萬里

           裁判官  本山 亨