[租 法]

第1問,第2問とも,法科大学院における租税法の基本的知識の習得を前提として,具体的事案に即して,その基礎的な理解を問い,併せて,事案を分析し,主張を整理する力を試すものである。

〔第1問〕

本問は,譲渡所得の理解を問うものである。設問1については,個人の居住の用に供される不動産を取得するための借入金の利息が,所得税法第38条第1項の取得費に当たるかどうかの検討を通じて,譲渡所得の課税の本質,法が譲渡所得につき取得費等のみを控除項目としていることの意味の理解を問うとともに,借入金利息の性質から自説を論理一貫して論述することができるかどうかについて試している。設問2については,前段は,租税法律主義の下において,課税庁が,私法上の契約を利用した租税回避行為について,その実質を根拠とする否認をどこまで行うことができるのか,すなわち,事実認定や法解釈として何が可能であるのかを問うものである。後段は,売買と交換の場合の違いを通じて,譲渡所得の算定における収入金額の理解を問うとともに,取得の際の時価について事実をどのように評価するのかを問うものである。

〔第2問〕

本問は,役員賞与の認定について問うものである。税務署長がいかなる法律構成によって本件更正及び本件納税告知をしたかを分析し,それに対応する形で主張を組み立てる能力を試している すなわち 役員賞与であると認定した場合には 役員の給与所得 所得税法第28条として源泉徴収の対象となること(所得税法第183条 ,法人側で損金不算入(法人税法第 )35条)になり,寄附金(法人税法第37条)にはならないことを理解した上で,指示された「本件寄付行為の主体がY社である」との主張を組み立てるために必要な間接事実をいかに事案から抽出できるのか,予想される税務署長の主張を念頭に置いて,当該事実につきどれほど多角的な見地から評価を加え,どのように整合性のある立論ができるのかを問うている。