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カテゴリ:民法 > マンション

契約締結に際しての説明義務 最高裁平成17年

民法判例百選Ⅱ 第6版 4事件

損害賠償請求事件

最高裁判所第2小法廷判決/平成16年(受)第1847号

平成17年9月16日

【判示事項】      売主から委託を受けてマンションの専有部分の販売に関する一切の事務を行っていた宅地建物取引業者に専有部分内に設置された防火戸の操作方法等につき買主に対して説明すべき信義則上の義務があるとされた事例

【判決要旨】      防火設備の一つとして重要な役割を果たし得る防火戸が室内に設置されたマンションの専有部分の販売に際し,防火戸の電源スイッチが一見してそれとは分かりにくい場所に設置され,それが切られた状態で専有部分の引渡しがされた場合において,宅地建物取引業者が,購入希望者に対する勧誘,説明等から引渡しに至るまで販売に関する一切の事務について売主から委託を受け,売主と一体となって同事務を行っていたこと,買主は,上記業者を信頼して売買契約を締結し,上記業者から専有部分の引渡しを受けたことなど判示の事情の下においては,上記業者には,買主に対し,防火戸の電源スイッチの位置,操作方法等について説明すべき信義則上の義務がある。

【参照条文】      民法1-2

            民法555

            民法643

            民法709

【掲載誌】       最高裁判所裁判集民事217号1007頁

            裁判所時報1396号401頁

            判例タイムズ1192号256頁

            金融・商事判例1232号19頁

            判例時報1912号8頁

            LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      ジュリスト1367号124頁

            別冊ジュリスト196号10頁

            別冊ジュリスト259号20頁

            判例時報1928号164頁

            法律時報79巻2号116頁

            民商法雑誌134巻2号275頁

 

       主   文

 

 原判決を破棄する。

 本件を東京高等裁判所に差し戻す。

 

       理   由

 

 上告代理人奥田純司ほかの上告受理申立て理由について

 1 原審が確定した事実関係の概要は,次のとおりである。

 (1)上告人の亡夫A(以下「A」という。)は,平成11年4月30日,被上告人Y1(以下「被上告人Y1」という。)との間で,1審判決別紙物件目録記載1の建物(以下「本件マンション」という。)の一部である同目録記載3の専有部分(以下「802号室」という。)を5億3000万円で購入する旨の契約(以下「本件売買契約」という。)を締結した。

 被上告人Y2(以下「被上告人Y2」という。)は,宅地建物取引業者であり,被上告人Y1から委託を受け,本件売買契約の締結手続をした。

 (2)802号室の中央付近にある室内廊下の北側主寝室寄りには,防火戸(以下「本件防火戸」という。)が設置されていた。本件防火戸は,その電源スイッチが入っていれば,802号室内で火災が発生した場合には自動的に閉じて,床,壁等と共に,上記主寝室を含む北側の区画(以下「本件北側区画」という。)と南側の区画(以下「本件南側区画」という。)に区切り,出火した側の区画から他の区画への延焼等を防止するようになっていた。

 (3)Aは,平成12年4月7日,802号室の引渡しを受け,上告人と共に同年9月28日から居住を開始した。被上告人Y2は,A及び上告人の入居時までに,A又は上告人に対し,重要事項説明書,図面等を交付した。上記重要事項説明書には,802号室の防火設備等として,火災感知器及び火災報知器の場所が示されていたが,本件防火戸の記載はなく,上記図面に本件防火戸の位置が点線で表示されていたのみであった。また,被上告人らは,A又は上告人に対し,本件防火戸の電源スイッチの位置及び操作方法,火災発生時における本件防火戸の作動の仕組み等については,全く説明していなかった。

 なお,本件防火戸の電源スイッチは,802号室の納戸の壁に設置されていたが,ふたがねじで固定された連動制御器の中にあり,上記電源スイッチが同制御器内にあることが一見して明らかとはいえない造りになっていた。

 (4)同年10月4日午前5時15分ころ,802号室の主寝室を出火場所とする火災(以下「本件火災」という。)が発生した。本件火災は,Aが上記主寝室で吸ったたばこ又はその火種がベッドの布団に落下して着火したことにより発生したものと判定された。

 (5)本件防火戸は,本件火災発生当時,電源スイッチが切られて作動しない状態にあり,自動的に閉じなかったため,出火場所である上記主寝室を含む本件北側区画から本件南側区画への延焼等を防止することができなかった。

 (6)本件マンションを巡回していた警備員の通報により,同日午前5時24分ころ,麻布消防署の消防隊が臨場し,消火活動に当たった。本件火災は,同日午前7時55分に鎮火した。

 (7)本件火災により,802号室(床面積約210平方メートル)の主寝室その他の部分98平方メートル及び天井等49平方メートルが焼損した。本件南側区画の損傷状態については,室内廊下のうち,本件防火戸に近い部分は,天井の石膏ボードが落下し,比較的遠い部分の天井や壁は,化粧仕上材が焼失して石膏が露出するなどしたほか,本件南側区画のほぼ全室にわたり,天井及び壁の全体又は一部が変色し又はすすけ,居間やその北側の寝室の空調設備が溶融して垂れ下がるなどというものであった。

 (8)本件火災により,Aは,顔面及び気管の火傷等を負い,同年11月15日死亡した。Aの法定相続人は,Aの妻である上告人並びにAの姉,弟及び妹の合計4名である。

 2 本件は,上告人が,被上告人Y1については,本件防火戸の電源スイッチが切られて作動しない状態で引き渡されたことにつき売買の目的物に隠れた瑕疵があったことなど,被上告人Y2については,上記電源スイッチの位置,操作方法等を説明すべき義務を怠った注意義務違反があったことなどにより,本件南側区画にも本件火災による損傷が及び,その原状回復に要する費用等に係るAの損害賠償請求権を相続により4分の3の割合で取得したなどと主張して,被上告人Y1に対し売主の瑕疵担保等による損害賠償を,被上告人Y2に対し不法行為等による損害賠償をそれぞれ求める事案である。

 3 原審は,前記事実関係等の下において,上告人の請求を棄却すべきものとした。本件防火戸が作動しなかったことによる本件南側区画の損害に関する原審の認定判断は,次のとおりである。

 (1)802号室は,本件防火戸の電源スイッチが切られて作動しない状態で引き渡されたものであり,売買の目的物に隠れた瑕疵があった。したがって,被上告人Y1は,売主の瑕疵担保責任として,本件防火戸が作動しなかったことと相当因果関係のある損害について賠償すべき責任を負う。

 (2)本件防火戸の電源スイッチは,ふたがねじで固定された連動制御器の中に設置されており,居住者がそれを操作することが予定されているとはいえないような造りになっているものであって,売主である被上告人Y1において,上記電源スイッチを入れた状態で引き渡すべきことが当然の前提とされていたと考えられることに照らすと,被上告人Y2には,上記電源スイッチの位置,操作方法等を買主に説明すべき義務があったとはいえない。また,被上告人Y2は,被上告人Y1から委託を受けて本件売買契約の締結手続をした者にすぎず,802号室を引き渡すに際し,本件防火戸の作動状況についての調査,確認義務があったとはいえないから,上記電源スイッチを入れた状態で802号室を引き渡すべき義務があったともいえない。

 (3)本件防火戸が作動していた場合には,本件南側区画の焼損,変色等の範囲及び程度は,本件火災後の状況に比べて軽度に抑えられていたであろうと推認することができる。しかしながら,本件防火戸が作動したとしても,消火活動等に当たり,本件防火戸が開けられ,ばい煙,高熱,水蒸気等が本件南側区画に出ることは避けられず,相当範囲に汚れ等が付着し,特に,ばい煙によるにおいは,広範囲にわたって天井,壁等に染み込んだはずである。本件火災後の原状回復工事については,本件防火戸が作動した場合であっても,802号室を再び居住の用に供するためには,全部屋の天井及び壁の石膏ボード等を交換する作業が必要となることが十分考えられ,空調設備,家具等についても,具体的な焼損が生じなかったとしても,ばい煙によるにおいの吸着のため,新たなものと交換する方が部品交換やクリーニング等よりも安価な対処方法となる場合も考えられる。したがって,本件防火戸が作動しなかったからといって,本件火災により現実に生じた損害の額が,本件防火戸が作動した場合に比べて高額になるとは認められない。

 4 しかしながら,原審の上記認定判断(2),(3)は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

 (1)ア 前記1の事実関係によれば,本件防火戸は,火災に際し,防火設備の一つとして極めて重要な役割を果たし得るものであることが明らかであるところ,被上告人Y1から委託を受けて本件売買契約の締結手続をした被上告人Y2は,本件防火戸の電源スイッチが,一見してそれとは分かりにくい場所に設置されていたにもかかわらず,A又は上告人に対して何らの説明をせず,Aは,上記電源スイッチが切られた状態で802号室の引渡しを受け,そのままの状態で居住を開始したため,本件防火戸は,本件火災時に作動しなかったというのである。

 イ また,記録によれば,(ア)被上告人Y2は,被上告人Y1による各種不動産の販売等に関する代理業務等を行うために,被上告人Y1の全額出資の下に設立された会社であり,被上告人Y1から委託を受け,その販売する不動産について,宅地建物取引業者として取引仲介業務を行うだけでなく,被上告人Y1に代わり,又は被上告人Y1と共に,購入希望者に対する勧誘,説明等から引渡しに至るまで販売に関する一切の事務を行っていること,(イ)被上告人Y2は,802号室についても,売主である被上告人Y1から委託を受け,本件売買契約の締結手続をしたにとどまらず,Aに対する引渡しを含めた一切の販売に関する事務を行ったこと,(ウ)Aは,上記のような被上告人Y2の実績や専門性等を信頼し,被上告人Y2から説明等を受けた上で,802号室を購入したことがうかがわれる。

 ウ 上記アの事実関係に照らすと,被上告人Y1には,Aに対し,少なくとも,本件売買契約上の付随義務として,上記電源スイッチの位置,操作方法等について説明すべき義務があったと解されるところ,上記イの事実関係が認められるものとすれば,宅地建物取引業者である被上告人Y2は,その業務において密接な関係にある被上告人Y1から委託を受け,被上告人Y1と一体となって,本件売買契約の締結手続のほか,802号室の販売に関し,Aに対する引渡しを含めた一切の事務を行い,Aにおいても,被上告人Y2を上記販売に係る事務を行う者として信頼した上で,本件売買契約を締結して802号室の引渡しを受けたこととなるのであるから,このような事情の下においては,被上告人Y2には,信義則上,被上告人Y1の上記義務と同様の義務があったと解すべきであり,その義務違反によりAが損害を被った場合には,被上告人Y2は,Aに対し,不法行為による損害賠償義務を負うものというべきである。

 そうすると,802号室の販売に関し,被上告人Y2が被上告人Y1から受けた委託の趣旨及び内容,被上告人Y2の具体的な役割等について十分に審理することなく,被上告人Y2の上記義務を否定した原審の判断には,審理不尽の結果,法令の適用を誤った違法があるといわざるを得ない。

 (2)前記1の事実関係によれば,本件防火戸は,本来,802号室内で火災が発生した場合には自動的に閉じて,床,壁等と共に区画を区切り,出火した側の区画から他の区画への延焼等を防止するようになっていたというのであるから,本件南側区画の焼損,変色等による損傷は,本件防火戸が作動していた場合には,消火活動等により本件防火戸が開けられたとしても,本件防火戸が作動しなかった場合に比べ,その範囲が狭く,かつ,程度が軽かったことは明らかというべきである。したがって,前者の場合における原状回復に要する費用の額は,特段の事情がない限り,後者の場合における原状回復に要する費用の額に比べて低額にとどまると推認するのが相当である。これについて,原審は,前者の場合であっても,消火活動等により,ばい煙等が本件南側区画に出ることが避けられなかったなどということから,本件南側区画の天井及び壁の石膏ボード,空調設備,家具等の交換が必要となることが考えられるとして,後者の場合における損害の額が,前者の場合に比べて高額になるとは認められないと認定しているが,上記認定の前提とされた事情は,上記石膏ボード等の交換が必要となる可能性があるとするものにすぎず,上記特段の事情というには不十分であることが明らかである。そうすると,原審の上記認定には,経験則に違反する違法があるというべきである。

 5 以上によれば,原審の前記3の(2)及び(3)の認定判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は,この趣旨をいうものとして理由があり,その余の点について判断するまでもなく,原判決は破棄を免れない。そして,本件について更に審理を尽くさせるため,これを原審に差し戻すこととする。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 津野 修 裁判官 滝井繁男 裁判官 今井 功 裁判官 中川了滋)

 

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マンションの共有部分の賃貸と貸金債権の行使権限 最高裁平成27年

ダットサン2 4版 債権174

不当利得返還請求事件

                 最高裁判所第2小法廷判決/平成25年(受)第843号

平成27年9月18日

【判示事項】        1 一部の区分所有者が共用部分を第三者に賃貸して得た賃料のうち各区分所有者の持分割合に相当する部分につき生ずる不当利得返還請求権を各区分所有者が行使することができない場合

              2 一部の区分所有者が共用部分を第三者に賃貸して得た賃料につき生ずる不当利得返還請求権を他の区分所有者が行使することができないとされた事例

【判決要旨】        1 区分所有者の団体が、一部の区分所有者が共用部分を第三者に賃貸して得た賃料のうち各区分所有者の持分割合に相当する部分につき生ずる不当利得返還請求権を区分所有者の団体のみが行使することができる旨を集会で決議し、または規約で定めた場合には、各区分所有者は、上記請求権を行使することができない。

              2 区分所有建物の管理規約に、管理者が共用部分の管理を行い、共用部分を特定の区分所有者に無償で使用させることができる旨の定めがあるときは、この定めは、一部の区分所有者が共用部分を第三者に賃貸して得た賃料のうち他の区分所有者の持分割合に相当する部分につき生ずる不当利得返還請求権を区分所有者の団体のみが行使することができる旨を含むものと解すべきであり、当該他の区分所有者は上記請求権を行使することができない。

【参照条文】        建物の区分所有等に関する法律3前段

              建物の区分所有等に関する法律第1章第2節 共用部分等

              建物の区分所有等に関する法律18-1本文

              建物の区分所有等に関する法律18-2

              建物の区分所有等に関する法律第1章第5節 規約及び集会

【掲載誌】         最高裁判所民事判例集69巻6号1711頁

              裁判所時報1636号218頁

              判例タイムズ1418号92頁

              判例時報2278号63頁

              金融法務事情2039号76頁

              LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】        金融・商事判例1504号8頁

              金融法務事情2095号84頁

              ジュリスト1492号73頁

              ジュリスト1493号70頁

              別冊ジュリスト259号52頁

              判例時報2305号167頁

              法学(東北大)82巻1号106頁

              法学セミナー61巻11号126頁

              法学セミナー62巻4号124頁

              法曹時報68巻11号222頁

              民商法雑誌152巻1号62頁

              市民と法98号33頁

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人高橋健一郎,同小平展洋,同櫻井遥二の上告受理申立て理由について

 1 本件は,横浜市所在の区分所有建物(以下「本件マンション」という。)の区分所有者の1人である上告人が,同じく本件マンションの区分所有者である被上告人に対し,不当利得返還請求権に基づき,被上告人が本件マンションの共用部分を第三者に賃貸して得た賃料のうち共用部分に係る上告人の持分割合相当額の金員及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。

 2 原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。

 (1) 被上告人は,平成9年5月,Aとの間で,本件マンションのうち被上告人の専有部分並びに共用部分である塔屋及び外壁等を,賃料を月額28万2000円と定めて賃貸する旨の賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)を締結した。

 本件賃貸借契約はAの携帯電話基地局を設置する目的で締結されたものであり,アンテナを制御するための機器等は被上告人の専有部分に,アンテナの支柱,ケーブルの配管部分等は共用部分にそれぞれ設置された。本件賃貸借契約の賃料のうち共用部分の使用の対価に相当する部分は月額12万2000円である。

 (2) 本件マンションの管理規約には,要旨次のような定めがある。

 ア 各住戸及び事務所に接する共用部分であるバルコニーについては,各バルコニーに接する建物部分の区分所有者に無償で(ウの管理等の費用を除く。)専用させることができる(9条1項)。

 イ 塔屋,外壁及びパイプシャフトの一部については,事務所所有の区分所有者に対し,事務所用冷却塔及び店舗・事務所用袖看板等の設置のため,アと同様に無償で使用させることができる(9条2項本文)。

 ウ 区分所有者が無償で使用するア,イの部分の修理,保守及び管理の費用は,各使用者が負担し,その他の共用部分の修理,保守及び管理は,管理者において行い,その費用負担は他の条項の定めによる(12条1項)。

 (3) 被上告人は上記(2)イの定めにいう事務所所有の区分所有者であるが,上記(1)のアンテナの支柱,ケーブルの配管部分等はこの定めにいう事務所用冷却塔及び店舗・事務所用袖看板等に当たらない。したがって,被上告人は,本件賃貸借契約に基づき共用部分を第三者に賃貸して賃料を得たことにより,法律上の原因なく上告人の持分割合相当額の利益を受け,そのために上告人に損失を及ぼしたことになり,同額について不当利得が成立する。

 3 原審は,区分所有建物の共用部分の管理は団体的規制に服するから,本件マンションの区分所有者であるからといって上告人が上記2(3)の不当利得返還請求権を行使する余地はないなどとして,上告人の請求を棄却すべきものとした。

 4 所論は,一部の区分所有者が共用部分を第三者に賃貸して得た賃料のうち各区分所有者の持分割合に相当する部分につき生ずる不当利得返還請求権については,各区分所有者による行使が許されるというものである。

 5 一部の区分所有者が共用部分を第三者に賃貸して得た賃料のうち各区分所有者の持分割合に相当する部分につき生ずる不当利得返還請求権は各区分所有者に帰属するから,各区分所有者は,原則として,上記請求権を行使することができるものと解するのが相当である。

 他方において,建物の区分所有等に関する法律は,区分所有者が,全員で,建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体(区分所有者の団体)を構成する旨を規定し(3条前段),この団体の意思決定機関としての集会の招集手続並びに決議の方法及び効力等や,この団体の自治的規範としての規約の設定の手続及び効力等を規定している(第1章第5節)。また,同法18条1項本文及び2項は,区分所有者に建物の区分所有という共同の目的があり,この共同目的達成の手段として共用部分が区分所有者全員の共有に属するものとされているという特殊性に鑑みて,共用部分の管理に関する事項は集会の決議で決するか,又は規約で定めをする旨を規定し,共用部分の管理を団体的規制に服させている。そして,共用部分を第三者に賃貸することは共用部分の管理に関する事項に当たるところ,上記請求権は,共用部分の第三者に対する賃貸による収益を得ることができなかったという区分所有者の損失を回復するためのものであるから,共用部分の管理と密接に関連するものであるといえる。そうすると,区分所有者の団体は,区分所有者の団体のみが上記請求権を行使することができる旨を集会で決議し,又は規約で定めることができるものと解される。そして,上記の集会の決議又は規約の定めがある場合には,各区分所有者は,上記請求権を行使することができないものと解するのが相当である。

 そして,共用部分の管理を団体的規制に服させている上記のような建物の区分所有等に関する法律の趣旨に照らすと,区分所有者の団体の執行機関である管理者が共用部分の管理を行い,共用部分を使用させることができる旨の集会の決議又は規約の定めがある場合には,上記の集会の決議又は規約の定めは,区分所有者の団体のみが上記請求権を行使することができる旨を含むものと解される。

 これを本件についてみると,本件マンションの管理規約には,管理者が共用部分の管理を行い,共用部分を特定の区分所有者に無償で使用させることができる旨の定めがあり,この定めは,区分所有者の団体のみが上記請求権を行使することができる旨を含むものと解すべきであるから,上告人は,前記2(3)の不当利得返還請求権を行使することができない。

 6 以上によれば,上告人の請求を棄却すべきものとした原審の判断は,結論において是認することができる。論旨は採用することができない。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 千葉勝美 裁判官 小貫芳信 裁判官 鬼丸かおる 裁判官 山本庸幸)

【新築マンションに「G」412匹 責任めぐり住民側と販売会社が対立(朝日新聞) - Yahoo!ニュース】

転々譲渡中間者の管理費支払義務 大阪地裁平成21年

マンション判例百選 72事件        管理費等請求事件(甲事件、乙事件)

                 大阪地方裁判所判決/平成20年(ワ)第10021号、平成20年(ワ)第16059号

平成21年7月24日

【判示事項】        1 マンションの管理組合が元の区分所有者に対して有していた管理費等の債権について,その区分所有者の特定承継人として建物の区分所有等に関する法律8条により債務の履行責任を負うことになった者は,その区分所有権を第三者に譲渡した後であっても,その管理費等の支払義務を負う

              2 建物の区分所有等に関する法律8条により元の区分所有者の管理費等の債務の履行責任を負うことになった専有部分の所有権の特定承継人は,民法148条により時効の中断の効力が及ぶ「承継人」にあたる

【参照条文】        建物の区分所有等に関する法律8

              民法148

【掲載誌】         判例タイムズ1328号120頁

【評釈論文】        別冊ジュリスト259号146頁

 

       主   文

 

 1 甲事件被告及び乙事件被告は,各自,原告に対し,617万2500円並びにうち135万3801円に対する平成20年12月6日から支払済みまで年1割8分の割合による金員及びうち115万9715円に対する平成20年12月6日から支払済みまで年1割4分の割合による金員を支払え。

 2 訴訟費用は,甲事件については甲事件被告の負担とし,乙事件については乙事件被告の負担とする。

 3 この判決は,仮に執行することができる。

 

       事実及び理由

 

第1 請求

 主文同旨

第2 事案の概要

 1 原告の請求及び請求原因の要旨

 本件は,区分所有建物(Xマンション。以下「本件マンション」という。)について建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)3条に基づき構成された団体(法人格のない社団)である原告が,本件マンション1005号室(以下「本件専有部分」という。)の元の区分所有者に対して有していた規約に基づく管理費等の債権について,債務者たる区分所有者の特定承継人となった被告らに対し,区分所有法8条に基づき,区分所有者全員のために支払を求めた事案である。

 甲事件被告が,平成19年1月11日,平成4年以前から本件専有部分を共有していた元の区分所有者である甲野花子と乙山太郎からの担保不動産競売による売却により,乙事件被告が,平成20年2月27日,甲事件被告からの売買により,それぞれ本件専有部分の所有権を取得したことは,当事者間に争いがない。

 原告は,被告らがいずれも元の区分所有者(甲野花子と乙山太郎)からの区分所有法8条にいう特定承継人にあたるとして,被告ら各自に対し,以下の管理費等の支払を求めた。

 ① 平成4年1月分から平成13年9月分までの管理費合計128万9451円(別紙「元金明細および遅延損害金計算表」(以下「別表」という。)のとおり。月額1万1040円,ただし平成4年1月分は未払額8811円)

 ② ①に対する規約に基づく各月分の支払期日(別表のとおり)の翌日から平成20年12月5日までの規約に基づく約定の年18%の割合による遅延損害金合計280万5207円

 ③ ①と同期間の積立金合計6万4350円(月額550円)

 ④ ③に対する②と同様の遅延損害金14万0030円

 ⑤ ①と③の合計135万3801円に対する平成20年12月6日から支払済みまで②と同じ割合による遅延損害金

 ⑥ 平成13年10月分から平成18年12月分までの管理費合計70万1040円(平成17年1月分までは月額1万1040円,平成17年2月分からは月額1万1280円)

 ⑦ ⑥に対する規約所定の各月分の支払期限(別表のとおり)の翌日から平成20年12月5日までの規約所定の年14%の割合による遅延損害金合計44万7532円

 ⑧ ⑥と同期間の積立金合計21万6490円(平成13年12月分までは月額550円,平成14年1月分から平成17年1月分までは月額3320円,平成17年2月分からは月額4000円)

 ⑨ ⑧に対する⑦と同様の遅延損害金13万2018円

 ⑩ ⑥と同期間の上下水道料金合計10万6399円(別表のとおり。原告と市水道局の一括契約により水道水の供給を受け,親メーターで計測された使用量から算出された全戸の使用料金を原告が一括して立替払した後,各戸設置の子メーターで計測された使用量から使用料金を算出したもの)

 ⑪ ⑩に対する⑦と同様の遅延損害金6万5167円

 ⑫ ⑥と同期間の温水料金合計13万5786円(別表のとおり。共用部分にボイラー(給湯設備)を設け一括して各住居に給湯し,この給湯に関わるガス料金・水道料金(温水分)を各親メーターで計測された使用量を基に算出された各戸のガス・水道使用料金を原告が一括して立替払した後,各戸(住戸部分)に設置された温水メーターで計測した使用量を基に使用料金を算出したもの)

 ⑬ ⑫に対する⑦と同様の遅延損害金6万9030円

 ⑭ ⑥⑧⑩⑫の合計115万9715円に対する平成20年12月6日から支払済みまで⑦と同じ割合による遅延損害金

 2 被告らの主張の要旨及び主な争点

 被告らは,要旨次のとおり主張して,原告の請求を争った。

  (1) 上下水道料金・温水料金について

 上下水道料金・温水料金について管理組合が区分所有者に対して有する債権は,専有部分に関する立替金の求償権であり,共用部分の管理とは直接関係がなく,区分所有法30条1項の規約事項(建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項)にあたらない。したがって,その債権は,区分所有法8条により特定承継人に対して請求することができる「規約に基づき他の区分所有者に対して有する債権」(区分所有法7条1項)にあたらない。

  (2) 甲事件被告の所有権喪失

 区分所有法8条が,区分所有者の特定承継人が前区分所有者の未払管理費等を負担する旨の特別の規定を定めている趣旨は,右負担につき区分所有権を引き当てにするというものであり,もはや引き当てとすベき区分所有権を有しない者は,その負担を負わない(大阪地判昭和62年6月23日,判時1258号102頁)。甲事件被告は,乙事件被告に対し本件専有部分の区分所有権を売買によって移転させ,区分所有者ではなくなっているのであるから,区分所有法8条の特定承継人にあたらず,前所有者の滞納した管理費等の債務について負担を負わない。

  (3) 消滅時効の抗弁

 判例(最判平成16年4月23日,民集58巻4号959頁)によれば,マンション管理において区分所有者が負担する管理費等の債権は,基本権たる定期金債権から発生する支分権として,民法169条所定の債権にあたるとされている。そのため,管理費等のうち訴え提起時(平成20年12月5日)において支払期限から5年を経過しているもの(平成4年1月分から平成15年11月分まで)及びこれらに対する遅延損害金の債務については,民法169条の定期給付債権の短期消滅時効により,支払期限から5年の経過により消滅時効が完成している。したがって,被告は,消滅時効を援用する。

 3 前提事実(請求原因)

 以下の請求原因事実は,当事者間に争いのない事実又は後記の証拠及び弁論の全趣旨により認められる。

 原告は,大阪市中央区西心斎橋2丁目に所在する区分所有建物「Xマンション」(本件マンション,甲1)の区分所有者全員で構成する平成13年9月16日に設立された管理組合である(甲3~5,甲3のうちの管理規約6条)。以下この管理規約(同規約70条により平成13年9月16日発効)を「新規約」といい,本件マンション分譲当初の管理規約(甲2の9~18頁)を旧規約という。

 原告は,新規約30条10号に基づき管理費等(新規約23条に規定する管理費,積立金,上下水道料及び温水料をいう。)の徴収業務を行っている。原告が設立される前は,旧規約26条1項により日本ビルサービス株式会社(以下「日本ビルサービス」という。)が管理者として指定され,各区分所有者と日本ビルサービスとの間で締結された管理業務委託契約書(以下「旧委託契約書」という。甲2の19~22頁)2条2号に基づき,日本ビルサービスが管理費及び積立金(旧委託契約書4条)の徴収業務を行っていた。

 平成4年以前から本件専有部分を共有していた甲野花子と乙山太郎は,管理者である日本ビルサービスに対し,旧委託契約書4条1項に基づき,平成13年9月分までの管理費月額1万1040円及び積立金月額550円を支払う義務を負い,その支払期日は,同契約書4条2項により,毎月末日までに翌月分を支払うものとし,かつ,同契約書5条により,その支払を怠ったときは,支払期日の翌日から完済に至るまでの間,年18%の割合による遅延損害金を支払うものとそれぞれ定められていた。平成4年1月分から平成13年9月分までの管理費及び積立金の未払額及びその支払期日は,別表のとおりである(甲10,13,14,23,26,27)。

 平成13年10月分からは,甲野花子と乙山太郎は,原告に対し,新規約23条1項に基づき,管理費(新規約25条),積立金(新規約26条),上下水道料,温水料を納入する義務を負うものとされ,管理費及び積立金の月額は,当初は従前と同額であったが,新規約23条2項に基づき,平成14年1月分から積立金月額3320円に(甲6,7),平成17年2月分から管理費月額1万1280円,積立金月額4000円にそれぞれ引き上げられた(甲8,9)。

 上下水道料金は,原告と市水道局との一括契約により水道水の供給を受け,親メーターで計測された共用部分及び全専用部分の使用量合計を基に算出された料金を2か月に1度,2か月分について原告が水道局に支払った上,各専有部分に設置した子メーターにより計測した使用量を基に各専有部分の2か月分の使用料金を算出し,2か月に1度,2か月分を各区分所有者から徴収することとされている。

 温水料金は,共用部分にボイラー(給湯設備)を設け一括して各住戸に給湯を行い,この給湯に関わるガス料金・水道料金(温水分)は,各親メーターで計測された使用量を基に算出された全戸のガス・水道の使用料金を原告が一括して支払った後,各戸(住戸部分)に設置された温水メーターの使用量を基に使用料金を算出し,毎月1か月分を各区分所有者から徴収することとされている(甲3の11~12頁)。

 管理費,積立金,上下水道料,温水料は,新規約56条1項により,自動振替により遅くとも毎月8日までに当月分を支払うものと定められ,遅延損害金については,同条3項により年14%の割合と定められている。平成13年10月分から平成18年12月分までの管理費,積立金,上下水道料金,温水料金及びその支払期日は,別表のとおりである(甲10,13,14,23,26,27)。

 甲事件被告は,平成19年1月11日,甲野花子と乙山太郎からの担保不動産競売による売却により,乙事件被告は,平成20年2月27日,甲事件被告からの売買により,それぞれ本件専有部分の所有権を取得した。

第3 裁判所の判断

 1 要約

 当裁判所は,被告らは,本件専有部分の元の区分所有者の特定承継人として,所有権を第三者に譲渡したか否かに関わりなく,区分所有法8条に基づき,各自原告に対し,上下水道料金・温水料金を含む管理費等を支払うべき義務があり,元の区分所有者との間で消滅時効が中断し又は時効援用権が失われているから,その承継人にあたる被告らが消滅時効を援用することは許されないものと判断する。

 2 上下水道料金・温水料金について

 区分所有法30条は,規約事項について「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項」と規定し,規約事項の対象となる「建物」を共用部分に限定していない。また,給排水設備及び給湯設備は,新規約20条1項本文及び別表第2に基づき,管理組合である原告がその責任と負担において管理すべき区分所有建物の附属設備でもある(甲3)。したがって,上下水や温水が専有部分で使用されることから専有部分の使用に関する事項という面があるとしても,管理組合が区分所有建物全体の使用料を立て替えて支払った上で各区分所有者にその使用量に応じた支払を請求することを規約で定めることは,建物又はその附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項を定めるものとして,規約で有効に定めることができると解すべきである。大阪市の水道事業において集合住宅の使用者が申請すれば各戸計量・各戸収納制度を実施することができるとしても(甲17,24,25,28。枝番を含む。),そのことは,現に管理組合が規約に基づき全体の使用量を支払っている場合に,これを規約に基づき各区分所有者に対して請求することを妨げる理由にはならない。

 したがって,上下水道料金及び温水料金は,区分所有者の全員で構成された管理組合が,区分所有者全員のために,区分所有法8条により,債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる「規約に基づき他の区分所有者に対して有する債権」(区分所有法7条1項)にあたる。

 3 甲事件被告の所有権喪失について

 区分所有法8条は,「規約に基づき他の区分所有者に対して有する債権」(区分所有法7条1項)については,債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができると定めている。甲事件被告は,債務者たる区分所有者の特定承継人として,区分所有法8条に基づき元の区分所有者の管理費等の債務をいったん負うことになった以上,その後その区分所有権を他に譲渡しても,その債務の支払を免れることはできないと解すべきである。すなわち,区分所有法8条は,その債務の履行を確実にするために特定承継人に特に債務の履行責任を負わせることを法定して債務履行の確実性を担保することに立法趣旨があり,いったん特定承継人となって債務を負うことになった者が所有権を他に譲渡して債務を免れるなどという責任軽減は,規定もなく,全く想定していないと考えられるからである。区分所有法7条1項による先取特権があることも,同様に債務履行の確実性を担保する立法趣旨にすぎないから,先取特権があるからといって現に区分所有権を有する者にしか請求できないというような責任限定の解釈をすべき根拠はない。

 4 消滅時効の抗弁について

 原告は,平成14年4月26日,本件専有部分の元の区分所有者(共有者の1人)である甲野花子に対し,平成4年1月分から平成13年12月分までの未払管理費等(管理費,積立金,上下水道料金,温水料金)とこれに対する約定利率による遅延損害金の支払を命ずる判決(大阪地方裁判所平成14年(ワ)第1003号。甲10)を得て,この判決が平成14年5月17日の経過により確定している(甲26)。したがって,平成14年の訴え提起から5年前までの支払期日の管理費等については,民法169条による定期給付債権の5年の短期消滅時効につき,不可分債務者の1人に対する請求により時効が中断し(民法147条1号,430条,434条),5年以上前の支払期日の管理費等についても,元の区分所有者の甲野が消滅時効の援用をすることは,判決の既判力により許されないこととなった。

 元の区分所有者の特定承継人として,区分所有法8条により,元の区分所有者の債務を履行する義務を負うことになった被告らは,債務の履行を確保するために同じ債務について履行責任を負う者を広げようとする同条の立法趣旨に照らし,民法148条により時効中断の効力が及ぶ承継人にあたると解すべきであり,かつ,民事訴訟法115条1項3号により確定判決の効力が及ぶ口頭弁論終結後の承継人にあたると解すべきである。そして,本件訴訟のうち後で提起された乙事件の訴え提起の日である平成20年12月5日までには,前記判決確定の日である平成14年5月18日から10年経っていないから(民法174条の2第1項),元の区分所有者の口頭弁論終結後の承継人である被告らは,判決で確定した平成4年1月分から平成13年12月分までの未払管理費等(管理費,積立金,上下水道料金,温水料金)とこれに対する約定利率による遅延損害金について,消滅時効を援用することができない。

 その後,平成16年6月16日,原告から本件マンションの管理業務の委託を受けている日本ビルサービスが,元の区分所有者(共有者の1人)である乙山太郎に対し,平成4年1月分から平成16年6月分までの未払管理費等を請求したのに対し(甲11),乙山は,債務の存在を争わず(甲12),かえって平成18年2月17日,乙山の破産申立代理人である岩崎博之弁護士が,原告に対し,本件専有部分の管理費滞納分があることを認め債権調査票の作成を依頼している(甲13)。

 この事実によれば,債権調査票の作成依頼にあたって管理費滞納分の内容を特定していないが,それ以前からの請求の経緯等も勘案すれば,その依頼をした平成18年2月17日には,乙山は,包括的にその時点における一切の未払管理費等の債務を承認したものと認めるのが相当である。したがって,この債務承認により,上記確定判決によっても被告らが消滅時効を援用することができない平成13年12月分以前の管理費等について乙山は改めて消滅時効の援用権を失うほか,平成14年1月分以降の管理費等及びこれに対する約定の遅延損害金についても,不可分債務者である乙山による債務の承認により(民法147条3号),民法169条の5年の短期消滅時効が中断し,その承継人である被告らについても,時効中断の効力が及び,時効を援用することができないことになる。

 5 結論

 以上によれば,被告らは,本件専有部分の特定承継人として,区分所有法8条に基づき,各自原告に対し,元の区分所有者である甲野と乙山が旧規約及び旧委託契約書に基づく債務ないし新規約に基づく債務として原告に対して支払義務を負っていた平成4年1月分から平成18年12月分までの未払管理費等(第2の1①③⑥⑧⑩⑫)を支払うベき義務を負うとともに,そのうち平成13年9月分までの管理費等に対する各支払期限の翌日から支払済みまでの旧委託契約書所定の年18%の割合による遅延損害金(第2の1②④⑤),及び,平成13年10月分以降の管理費等に対する各支払期限の翌日から支払済みまでの新規約所定の年14%の割合による遅延損害金(第2の1⑦⑨⑪⑬⑭)をそれぞれ支払うべき義務がある。

 よって,原告の甲事件及び乙事件の請求は,いずれも理由があるから認容することとし,主文のとおり判決する。

              (裁判官・小林久起)

 

 別紙 元金明細および遅延損害金計算表〈省略〉点々

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