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カテゴリ: 国際私法

英領香港の判決を承認した最高裁平成10年

民亊執行・保全判例百選第3版 4事件 国際私法判例百選第2版 94事件

執行判決請求事件

最高裁判所第3小法廷判決/平成6年(オ)第1838号

平成10年4月28日

【判示事項】      一 香港高等法院がした訴訟費用の負担を命ずる裁判と民事執行法二四条所定の「外国裁判所の判決」

            二 併合請求の裁判籍が存在することを根拠に香港の裁判所に民訴法一一八条一号所定の「外国裁判所の裁判権」が認められた事例

            三 司法共助に関する条約に定められた方法によらないと送達と民訴法一一八条二号所定の「訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達」

            四 香港在住の当事者から私的に依頼を受けた者が我が国でした直接交付の方法による送達と民訴法一一八条二号

            五 弁護士費用を含む訴訟費用全額の負担を命ずる裁判と民訴法一一八条三号所定の「公の秩序」

            六 中国に返還される前の香港と我が国との間における民訴法一一八条四号所定の「相互の保証」の有無

【判決要旨】      一 香港高等法院がした訴訟費用負担命令並びにこれと一体を成す費用査定書及び費用証明書は、民事執行法24条所定の「外国裁判所の判決」に当たる。

            二 甲及び甲が代表者を務める乙会社とAとの間の起訴契約に基づき、Aが丙に対して香港の裁判所に保証債務の履行を求める第1訴訟を提起したところ、丙が、第1訴訟が認容された場合に備えて、甲に対して根抵当権の代位行使ができることの確認を求める第2訴訟を、甲及び乙会社に対して求償請求が請求できることの確認を求める第3訴訟を提起し、第1訴訟及び第2訴訟については香港に国際裁判管轄が存在するなど判示の事実関係の下においては、第3訴訟については、民訴法7条の規定の趣旨に照らし、第2訴訟との間の併合請求の裁判籍が香港に存在することを肯認して、香港の裁判所のした判決を我が国で承認することが、当事者の公平、裁判の適正・迅速の理念に合致し、条理にかなうものである。

            三 裁判上の文書の送達につき、判決国と我が国との間に司法共助に関する条約が締結されていて、訴訟手続の開始に必要な文書の送達が右条約に定める方法によるべきものとされている場合には、右条約に定められた方法を遵守しない送達は、民訴法118条2号所定の要件を満たさない。

            四 香港在住の当事者から私的に依頼を受けた者が我が国でした直接交付の方法による送達は、民訴法118条2号所定の要件を満たさない。

            五 弁護士費用を含む訴訟費用全額をいずれか一方の当事者に負担させる裁判は、実際に生じた費用の範囲内でその負担を命ずるものである限り、民訴法118条3号所定の「公の秩序」に反するものではない。

            六 中国に返還される前の香港と我が国との間には、金銭の支払を命じた判決に関し、民訴法118条4号所定の「相互の保証」がある。

【参照条文】      民事執行法22

            民事執行法24

            民事訴訟法118

            民事訴訟法7

            民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約

            日本国とグレード・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の領事条約

【掲載誌】       最高裁判所民事判例集52巻3号853頁

            裁判所時報1218号112頁

            判例タイムズ973号95頁

            判例時報1639号19頁

【評釈論文】      ジュリスト臨時増刊1157号297頁

            別冊ジュリスト172号188頁

            判例評論484号39頁

            法学教室218号136頁

            法律時報別冊私法判例リマークス19号158頁

            NBL678号62頁

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人らの負担とする。

 

       理   由

 

 本件は、平成九年(一九九七年)七月一日に中華人民共和国に返還される以前の香港において香港高等法院がした訴訟費用負担の裁判について、被上告人らが民事執行法二四条に基づき執行判決を求めた事案である。民事執行法二四条三項は、本件が当審に係属した後に、平成八年法律第一一〇号によって改正されたので、所論のうち旧民訴法二〇〇条各号の解釈適用の誤りをいう部分は、同条に対応する民訴法一一八条各号の解釈適用の誤りをいうものとして、判断をすることとする(以下、上告人Aを「上告人A」と、上告人サドワニス・ジャパン有限会社を「上告会社」と、被上告人Bを「被上告人B」と、訴外Cを「訴外C」と、訴外バンク・オブ・インディァを「訴外銀行」という。)。

 一 上告代理人山本忠雄の上告理由第一について

 民事執行法二四条所定の「外国裁判所の判決」とは、外国の裁判所が、その裁判の名称、手続、形式のいかんを問わず、私法上の法律関係について当事者双方の手続的保障の下に終局的にした裁判をいうものであり、決定、命令等と称されるものであっても、右の性質を有するものは、同条にいう「外国裁判所の判決」に当たるものと解するのが相当である。

 これを本件について見ると、記録によれば、(1)香港においては、具体的に訴訟費用を負担すべき者、その負担割合等は、本案判決においてではなく、勝訴者から申し立てられる訴訟費用負担命令において定められること、(2)香港高等法院は、上告人ら、被上告人ら及び訴外銀行等の間の後記第一訴訟ないし第四訴訟について、昭和六三年(一九八八年)四月二七日、実質的に被上告人ら勝訴の本案判決を下し、右判決は確定したこと、(3)被上告人らは、同年五月一一日、上告人ら及び訴外銀行に対する訴訟費用負担命令の申立てをしたこと、(4)香港高等法院は、上告人らの代理人の聴聞手続を経た上で、同年八月三一日、上告人ら及び訴外銀行に対する訴訟費用負担命令(以下「本件命令」という。)を発したこと、(5)その後、上告人らの負担すべき訴訟費用額の査定が行われ、本件命令並びにこれと一体を成す平成元年(一九八九年)一〇月三日付け費用査定書及び同年九月一二日付け費用証明書(以下、併せて「本件命令等」という。)により、上告人らは、被上告人らに対して合計一二〇万二五八五・五八香港ドルの訴訟費用額の償還を命じられたことが認められる。右の事実によれば、本件命令等は、前記の「外国裁判所の判決」に当たると認めるのが相当であり、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

 二 同第二について

 判決等によって支払を命じられる金員に付随して利息等が発生する場合に、これを判決等に記載するか、又は判決等には記載せず法令の規定によって執行力を付与するかは、各国の法制度によって異なるところであるが、その相違は多分に技術的な面によるところが大きく、したがって、外国裁判所の判決等に記載がない利息等についても、我が国における承認・執行の対象とすることができないものではない(最高裁平成五年(オ)第一七六一号同九年七月一一日第二小法廷判決・民集五一巻六号二五三〇頁参照)。

 記録によれば、(1)本件命令等には、上告人らが負担すべきものとされた訴訟費用に関し、遅延利息について何ら記載がないこと、(2)しかし、香港法上、金銭給付判決等については、高等法院の個別の命令がない場合には、法定の遅延利息が当然に発生するものとされており、その利率は、随時、香港最高法院首席裁判官が命令によって定めるものとされていたこと、(3)本件命令等については、高等法院の個別の命令は記載されておらず、香港最高法院首席裁判官の命令により、第一審判決別紙利息計算表に記載のとおり、本件命令が発せられた日の翌日である昭和六三年(一九八八年)九月一日以降の遅延利息の利率が定められたことが認められる。右の事実によれば、本件命令等に記載のない右利息計算表記載の利率による遅延利息についても、我が国における承認・執行の対象とすることができるものとした原審の判断は、正当として是認することができる。

 また、所論は、原審が遅延利息発生の理由及びその利率の正当性について判断していないことの違法をいうが、我が国の裁判所としては、右のような裁判の当否については調査し得ないものというべきである(民事執行法二四条二項)。

 原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

 三 同第三について

 記録によれば、本件命令等の各不服申立期間内に上告人らが所定の不服申立ての手続をとっていないことが明らかであり、本件命令等が確定したものとした原審の判断は、結論において是認することができる。また、民事執行法二四条三項の規定に照らすと、外国裁判所の判決等が確定したことの証明方法は、いわゆる確定証明書の提出に限られないものというべきである。

 論旨は採用することができない。

 四 同第四について

 1 民訴法一一八条一号所定の「法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること」とは、我が国の国際民訴法の原則から見て、当該外国裁判所の属する国(以下「判決国」という。)がその事件につき国際裁判管轄(間接的一般管轄)を有すると積極的に認められることをいうものと解される。そして、どのような場合に判決国が国際裁判管轄を有するかについては、これを直接に規定した法令がなく、よるべき条約や明確な国際法上の原則もいまだ確立されていないことからすれば、当事者間の公平、裁判の適正・迅速を期するという理念により、条理に従って決定するのが相当である。具体的には、基本的に我が国の民訴法の定める土地管轄に関する規定に準拠しつつ、個々の事案における具体的事情に即して、当該外国判決を我が国が承認するのが適当か否かという観点から、条理に照らして判決国に国際裁判管轄が存在するか否かを判断すべきものである。

 2 本件命令等は本案判決の付随的裁判である訴訟費用負担の裁判であるから、本件命令等について香港に国際裁判管轄が認められるか否かは、原則として、その本案判決について検討すべきものであると解される。

 3 これを本件について見ると、原審は、(1)訴外銀行が被上告人らを相手方として保証債務の履行を求めた第一訴訟については、被告とされた被上告人らの住所地の裁判籍(旧民訴法二条一項)が香港に存在するものとして、(2)被上告人らが、第一訴訟の債務を履行することを条件として、訴外銀行と上告人A及びその妻である訴外Cの三名を相手方として、訴外銀行が右上告人らに対して有する根抵当権につき訴外銀行に代位する旨の確認を求めた第二訴訟については、訴外銀行に対する本来の反訴についてのみならず、上告人A及び訴外Cに対する訴えについても、第一訴訟と同一の実体法上の原因に基づく訴訟であって、これと密接な関連があることから、併合請求の裁判籍(旧民訴法二一条)が香港に存在するものとして、(3)上告人ら及び訴外Cの三名が、後記第三訴訟に対抗して、被上告人らを相手方として、被上告人Bのみが保証債務を負担することの確認を求めた第四訴訟については、第三訴訟に対する反訴の性質を有することから、第三訴訟の裁判籍が香港に存在することを前提として、それぞれ、判決国である香港に国際裁判管轄を認めたものであるところ、右の原審の判断は、同趣旨の土地管轄に関する規定を有する現行民訴法の下においても、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はない。

 4 一方、第三訴訟は、被上告人らが、第一訴訟の請求認容を条件として、上告人ら及び訴外Cの三名を相手方として、求償権を有することの確認を求めるものであり、英米法系に固有の訴訟形態である第三当事者訴訟(サード・パーティ・プロシーディング)の性質を有するものである。しかるところ、第三訴訟の被告とされた者のうち上告人A及び訴外Cは、同時に第二訴訟の被告でもある上、第二訴訟と第三訴訟は、いずれも、上告人らと訴外銀行との間で締結された起訴契約に基づき被上告人らに対して提起された第一訴訟が認容された場合に、根抵当権の代位行使ないし求償請求ができることの確認を求めるものであり、同一の実体法上の原因に基づく訴訟であって、相互に密接な関連を有しているから、統一的な判をする必要性が強いということができる。これらの事情にかんがみると、第三訴訟については、民訴法七条の規定の趣旨に照らし、新たに被告とされた上告会社に対する訴えを含め、第二訴訟との間の併合請求の裁判籍が香港に存在することを肯認して香港の裁判所のした判決を我が国で承認するのが、当事者間の公平、裁判の適正・迅速の理念に合致するものであり、条理にかなうものであると考えられる。したがって、第三訴訟について香港に国際裁判管轄を認めた原審の判断は、結論において是認することができる。

 5 以上の次第で、論旨は採用することができない。

 五 同第五について

 1 記録によれば、(1)被上告人らは、昭和六三年(一九八八年)五月一一日、上告人らに対する本件命令の申立てをしたこと、(2)右申立てを受けた香港高等法院は、インド国籍を有する神戸市在住の上告人A及び日本法人である上告会社に対して「ノーティス・オブ・モーション」を送達する許可をしたこと、(3)右ノーティス・オブ・モーションは、同年七月二六日、被上告人らから私的に依頼を受けた日本の弁護士を通じて上告人らに直接交付されたこと、(4)上告人らは、右ノーティス・オブ・モーションの審理について香港在住の弁護士を代理人に選任し、同年八月二五日、同代理人関与の下にその審理が行われたこと、(5)上告人らの代理人は、前記第三訴訟について香港の国際裁判管轄を争っていたことが認められる。

 2 所論は、要するに、右直接交付による送達は、国際司法共助条約の定める方式を履践していないから、上告会社に対する関係では民訴法一一八条二号所定の「送達」の要件を満たしておらず、また、攻撃防御を行うに先立ち香港の国際裁判管轄を争っていたのであるから、同号所定の「応訴」の要件も満たしていない、というものである。なお、上告人Aに対する関係で同号所定の要件を満たしているか否かについては、職権で判断を加える。

 3 ところで、民訴法一一八条二号所定の被告に対する「訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達」は、我が国の民事訴訟手続に関する法令の規定に従ったものであることを要しないが、被告が現実に訴訟手続の開始を了知することができ、かつ、その防御権の行使に支障のないものでなければならない。のみならず、訴訟手続の明確と安定を図る見地からすれば、裁判上の文書の送達につき、判決国と我が国との間に司法共助に関する条約が締結されていて、訴訟手続の開始に必要な文書の送達がその条約の定める方法によるべきものとされている場合には、条約に定められた方法を遵守しない送達は、同号所定の要件を満たす送違に当たるものではないと解するのが相当である。

 これを本件について見ると、我が国及び当時香港につき主権を有していた英国は、いずれも「民事又は商事に関する裁判上及び裁判外の文書の外国における送達及び告知に関する条約」の締約国であるところ、本件のような被上告人らから私的に依頼を受けた者による直接交付の方法による送達は、右条約上許容されていないのはもとより、我が国及び英国の二国間条約である「日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の領事条約」(いわゆる日英領事条約)にもその根拠を見いだすことができない。そうすると、上告人らに対する前記ノーティス・オブ・モーションの送達は、同号所定の要件を満たさない不適法な送違というべきである。

 4 他方、民訴法一一八条二号所定の被告が「応訴したこと」とは、いわゆる応訴管轄が成立するための応訴とは異なり、被告が、防御の機会を与えられ、かつ、裁判所で防御のための方法をとったことを意味し、管轄違いの抗弁を提出したような場合もこれに含まれると解される。前記の事実によれば、前記ノーティス・オブ・モーションの審理について、上告人らが同号所定の応訴をしたことは明らかである。

 5 そうすると、上告会社に対する関係においては、本件命令等は、民訴法一一八条二号所定の要件を具備しているものというべきである。この点に関する原審の判断は、結論において是認することができ、論旨は採用することができない。また、上告人Aに対する関係においても、本件命令等は、同号所定の要件を具備していることが明らかである。

 六 同第六について

 訴訟費用の負担についてどのように定めるかは、各国の法制度の問題であって、実際に生じた費用の範囲内でその負担を定めるのであれば、弁護士費用を含めてその全額をいずれか一方の当事者に負担させることとしても、民訴法一一八条三号所定の「公の秩序」に反するものではないというべきである。

 記録によれば、本件においては、上告人らに不誠実な行動があったことが考慮されて、いわゆるインデムニティ・ベイシスの基準が適用され、弁護士費用を含む訴訟費用のほぼ全額が上告人らの負担とされたものであるところ、香港の裁判所においてこのインデムニティ・ベイシスの基準が適用されるのは特別の場合であり、懲罰的な評価が含まれていることが認められるが、他方、本件命令等により上告人らに負担が命じられた訴訟費用の額は実際に生じた費用の額を超えるものではないから、本件命令等の内容が我が国の公の秩序に反するということはできない。これと基本的に同趣旨の原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、いわゆる懲罰的損害賠償と対比してインデムニティ・ベィシスの基準による訴訟費用負担の違法をいう論旨は、採用することができない。

 また、所論は、香港高等法院の本案判決は、被上告人らが詐取したものであり、手続的公序に反するというが、その実質は、右本案判決における認定判断が証人の誤導的な証言の結果によるというものであって、証拠の取捨判断の不当をいうものであるところ、我が国の裁判所としては、右のような証拠判断の当否については調査し得ないものであり(民事執行法二四条二項)、論旨は採用することができない。

 七 同第七について

 民訴法一一八条四号所定の「相互の保証があること」とは、当該判決等をした外国裁判所の属する国において、我が国の裁判所がしたこれと同種類の判決等が同条各号所定の要件と重要な点で異ならない要件の下に効力を有するものとされていることをいうと解される(最高裁昭和五七年(オ)第八二六号同五八年六月七日第三小法廷判決・民集三七巻五号六一一頁参照)。

 記録によれば、(1)香港においては、外国判決の承認に関して外国判決(相互執行)法及び同規則が存在し、香港総督の命令により、相互の保証があると認める国を同規則に特定列挙していたこと、(2)我が国は、相互の保証のある国として同規則に列挙されてはいなかったこと、(3)しかし、香港においては、外国判決の承認に関して、制定法に基づくもの以外に英国のコモン・ローの原則が適用されていたこと、(4)コモン・ローの下においては、外国裁判所が金銭の支払を命じた判決は、原判示の要件の下に承認されていたことが認められる。そして、コモン・ローの下における右外国判決承認の要件は、我が国の民訴法一一八条各号所定の要件と重要な点において異ならないものということができ、したがって香港と我が国との間には、外国判決の承認に関して同条四号所定の相互の保証が存在したものと認めるのが相当である。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

    最高裁判所第三小法廷

        裁判長裁判官  千種秀夫

           裁判官  園部逸夫

           裁判官  尾崎行信

           裁判官  元原利文

           裁判官  金谷利廣

LPSの租税法上の地位 安部和彦『事例で解説 法人税の損金経理』清文社・2024年・33頁

租税法判例百選 第6版22事件 7版23事件 谷口・一高・野一色・木山『基礎から学べる租税法 第2版』弘文堂・2019年13頁 中里ほか第4版65頁 渕『租税法講義』42頁297頁

所得税更正処分取消等,所得税通知処分取消請求事件

 

最高裁判所第2小法廷判決/平成25年(行ヒ)第166号

平成27年7月17日

 

【判示事項】 1 外国法に基づいて設立された組織体が所得税法2条1項7号及び法人税法2条4号に定める外国法人に該当するか否かの判断の方法

       2 米国デラウェア州の法律に基づいて設立されたリミテッド・パートナーシップが行う不動産賃貸事業に係る投資事業に出資した者につき,当該賃貸事業に係る損失の金額を同人の所得の金額から控除することができないとされた事例

 

【判決要旨】 1 外国法に基づいて設立された組織体が所得税法2条1項7号及び法人税法2条4号に定める外国法人に該当するか否かは,まず,①当該組織体に係る設立根拠法令の規定の文言や法制の仕組みから,当該組織体が当該外国の法令において日本法上の法人に相当する法的地位を付与されていること又は付与されていないことが疑義のない程度に明白であるか否かを検討して判断し,これができない場合には,②当該組織体が権利義務の帰属主体であると認められるか否かについて,当該組織体の設立根拠法令の規定の内容や趣旨等から,当該組織体が自ら法律行為の当事者となることができ,かつ,その法律効果が当該組織体に帰属すると認められるか否かという点を検討して判断すべきである。

 

       2 米国デラウェア州改正統一リミテッド・パートナーシップ法に基づいて設立されたリミテッド・パートナーシップが所得税法2条1項7号及び法人税法2条4号に定める外国法人に該当し,上記リミテッド・パートナーシップが行う不動産賃貸事業に係る所得が上記リミテッド・パートナーシップに帰属するものと認められるという判示の事情の下においては,当該賃貸事業に係る投資事業に出資した者は,同人の総所得金額を計算するに当たり,当該賃貸事業に係る所得の金額の計算上生じた損失の金額を同人の所得の金額から控除することはできない。

 

【参照条文】 所得税法2-1

       法人税法2

       所得税法26

       所得税法69-1

 

【掲載誌】  最高裁判所民事判例集69巻5号1253頁

       裁判所時報1632号193頁

       判例タイムズ1418号77頁

       金融・商事判例1479号10頁

       判例時報2279号9頁

       税務訴訟資料265号順号12700

       LLI/DB 判例秘書登載

 

【評釈論文】 愛媛法学会雑誌42巻2号127頁

       大阪経大論集66巻6号227頁

       ジュリスト1486号10頁

       ジュリスト1493号65頁

       ジュリスト1496号111頁

       税研185号98頁

       税務弘報63巻10号42頁

       税務弘報63巻12号100頁

       税務弘報64巻2号173頁

       税務事例48巻10号63頁

       税理58巻15号70頁

       判例時報2314号153頁

       法学協会雑誌133巻10号1685頁

       法曹時報68巻6号156頁

 

       主   文

  1 原判決中,上告人敗訴部分を破棄する。

  2 第1審判決中,各更正処分及び更正をすべき理由がない旨の各通知処分の取消請求を認容した部分をいずれも取り消し,同部分に関する被上告人らの請求をいずれも棄却する。

  3 第1項の部分のうち,各過少申告加算税賦課決定処分の取消請求に係る部分につき,本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。

  4 第2項に関する訴訟の総費用は被上告人らの負担とする。

 

        理   由

 

  上告代理人青野洋士ほかの上告受理申立て理由(ただし,排除されたものを除く。)について

 1 本件は,アメリカ合衆国(以下「米国」という。)デラウェア州の法律に基づいて設立されたリミテッド・パートナーシップが行う米国所在の中古集合住宅の賃貸事業に係る投資事業に出資した亡A(以下「A」という。),亡B(以下「B」といい,Aと併せて「Aら」という。)及び被上告人X1が,当該賃貸事業により生じた所得が同人らの不動産所得(所得税法26条1項)に該当するとして,その所得の金額の計算上生じた損失の金額を同人らの他の所得の金額から控除して所得税の申告又は更正の請求をしたところ,所轄税務署長から,当該賃貸事業により生じた所得は同人らの不動産所得に該当せず,上記のような損益通算(同法69条1項)をすることはできないとして,それぞれ所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分又は更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたことから,被上告人らが上告人を相手に上記各処分(ただし,後記2(2)イの減額更正後のもの)の取消しを求める事案である。なお,Bが第1審係属中の平成20年4月13日に死亡したため,被上告人X2がその地位を承継し,また,Aが原審口頭弁論終結後の同25年11月10日に死亡したため,被上告人X3がその地位を承継した。

  2 原審の確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。

  (1)ア Aら及び被上告人X1は,後記の各信託契約の締結に先立ち,C証券との間で,ファイナンシャル・アドバイザリー契約を締結するとともに,Aらが米国カリフォルニア州に所在する中古集合住宅(以下「本件建物1」という。)を,被上告人X1が米国フロリダ州に所在する中古集合住宅(以下「本件建物2」という。)をそれぞれ対象として,投資金額を1口20万ドルとする海外不動産投資事業への参加を申し込んだ。

  Aらは,本件建物1に係る投資事業に投資するため,平成12年12月頃,D銀行との間で,Aらを委託者兼受益者,同銀行を受託者とする信託契約をそれぞれ締結し,当該各信託契約に基づいて,同銀行に開設された口座に現金資産を拠出した。また,被上告人X1は,本件建物2に係る投資事業に投資するため,平成14年3月頃,D銀行との間で,被上告人X1を委託者兼受益者,同銀行を受託者とする信託契約を締結し,当該信託契約に基づいて,同銀行に開設された口座に現金資産を拠出した。

  イ D銀行は,ケイマン諸島の法令に基づいて設立された法人(E)とともに,米国デラウェア州の法令に基づいて設立された有限責任会社(F)との間で,平成12年12月19日付けで,デラウェア州改正統一リミテッド・パートナーシップ法(Delaware Revised Uniform Limited Partnership Act)(以下「州LPS法」という。)に基づいて,同有限責任会社をジェネラル・パートナー,D銀行及び上記ケイマン諸島の法令に基づく法人をリミテッド・パートナーとするパートナーシップ契約(以下「本件LPS契約1」という。)を締結し,リミテッド・パートナーシップ(G)を設立した。また,D銀行は,米国デラウェア州の法令に基づいて設立された有限責任会社(H)との間で,平成14年3月28日付けで,州LPS法に基づいて,同有限責任会社をジェネラル・パートナー,D銀行をリミテッド・パートナーとするパートナーシップ契約(以下「本件LPS契約2」といい,本件LPS契約1と併せて「本件各LPS契約」という。)を締結し,リミテッド・パートナーシップ(I)を設立した(以下,本件各LPS契約により設立された各リミテッド・パートナーシップを「本件各LPS」と総称する。)。そして,D銀行は,本件各LPS契約に基づき,Aら及び被上告人X1が拠出した現金資産を本件各LPSに拠出し,これにより本件各LPSに係るパートナーシップ持分(partnership interest)を取得した。

  なお,米国におけるパートナーシップとは,米国各州の法律において認められている2名以上の者により設立される事業活動や投資活動を営むための組織体であり,そのうち,パートナーシップの債務に対して無限責任を負う1名以上のジェネラル・パートナーと,パートナーシップの債務に対して原則として出資額を限度とする有限責任を負うとともに当該事業活動に対する限定的な経営参加権を有する1名以上のリミテッド・パートナーとによって構成されるものが,リミテッド・パートナーシップとされている。

  ウ 本件各LPSは,それぞれ本件建物1又は本件建物2(以下,併せて「本件各建物」という。)を購入するとともにその敷地を賃借するなどした上で,平成17年頃までの間,当該建物を第三者に賃貸する事業を行っていた(以下,本件各LPSによるこれらの事業を「本件各不動産賃貸事業」という。)。

  エ 上記アの各信託契約は,C証券が企画した投資事業プログラムに基づく複合的な契約の一部であり,本件建物1の賃貸事業に係る上記プログラムにおいては,出資金2000万円(1口)につき,7年間における同建物の賃貸事業による現金収入が360万3000円,7年後の同建物の売却による現金収入が541万8000円である一方,同建物に係る減価償却費を必要経費として計上することなどにより不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額を他の所得の金額から控除することにより,上記プログラムに基づく投資事業に投資した者が本来負担すべき所得税額及び住民税額が合計2350万5000円軽減されるものと想定されている。本件建物2の賃貸事業に係る上記プログラムについても,その仕組みは基本的に同一である。

  (2)ア Aらは,本件建物1の賃貸事業により生じた所得が同人らの不動産所得に該当するとして,その所得の金額の計算上生じた損失の金額を同人らの他の所得の金額から控除して税額を算定した上で,所得税の申告又は更正の請求をしたが,所轄税務署長は,当該賃貸事業により生じた所得が不動産所得に該当せず,上記のような損益通算をすることはできないとして,同人ら各自につき,それぞれ,平成13年分から同15年分までの所得税につき更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をするとともに,同16年分及び同17年分の所得税に係る更正をすべき理由がない旨の通知処分をした。

  被上告人X1は,本件建物2の賃貸事業により生じた所得が同人の不動産所得に該当するとして,上記と同様の損益通算をした上で,所得税の申告又は更正の請求をしたが,所轄税務署長は,上記と同様の理由により,そのような損益通算をすることはできないとして,平成14年分の所得税に係る更正をすべき理由がない旨の通知処分及び更正処分,同15年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分並びに同16年分及び同17年分の所得税に係る更正をすべき理由がない旨の通知処分をした。

  イ 上記アの各処分については,Aの平成13年分から同15年分までの所得税及び過少申告加算税の額を減額する更正及び賦課決定,Bの同16年分及び同17年分の所得税の額を減額する更正,被上告人X1の同14年分の所得税及び過少申告加算税の額を減額する更正及び賦課決定がそれぞれされている(以下,上記アの各処分のうち,上記各減額後の各更正処分を「本件各更正処分」,更正をすべき理由がない旨の各通知処分(ただし,原審においてその取消しを求める訴えが却下すべきものとされた被上告人X1の同14年分の所得税に係る更正をすべき理由がない旨の通知処分を除く。)を「本件各通知処分」,上記各減額後の各過少申告加算税賦課決定処分を「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分,本件各通知処分及び本件各賦課決定処分を併せて「本件各処分」という。)。

  (3) Aらの平成13年分から同17年分まで及び被上告人X1の同14年分から同17年分までの総所得金額,納付すべき税額,過少申告加算税の額等については,前記(2)アの損益通算の可否及びその範囲を除き,計算の基礎となる金額及び計算方法につき当事者間に争いがない。

  3 原審は,本件各LPSが我が国の租税法上の法人には該当せず,我が国の租税法上の人格のない社団等にも該当しないとした上で,本件各LPSが行う本件各不動産賃貸事業により生じた所得は当該賃貸事業に係る投資事業に出資したAら及び被上告人X1(以下「本件出資者ら」という。)の不動産所得に該当するものであるから,本件各建物の減価償却費等を必要経費として不動産所得の金額を計算し,その不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは損益通算をした上で総所得金額及び納付すべき税額を算定すべきところ,上記のような損益通算をすることはできないとしてされた本件各処分は違法であるとして,これらを取り消すべきものとした。

  4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

  (1)ア 本件においては,本件各LPSが行う本件各不動産賃貸事業により生じた所得が本件各LPS又は本件出資者らのいずれに帰属するかが争われているところ,複数の者が出資をすることにより構成された組織体が事業を行う場合において,その事業により生じた利益又は損失は,別異に解すべき特段の事情がない限り,当該組織体が我が国の租税法上の法人に該当するときは当該組織体に帰属するものとして課税上取り扱われる一方で,当該組織体が我が国の租税法上の法人に該当しないときはその構成員に帰属するものとして課税上取り扱われることになるから,本件における上記の所得の帰属を判断するに当たっては,本件各LPSが所得税法2条1項7号及び法人税法2条4号(以下「所得税法2条1項7号等」という。)に共通の概念として定められている外国法人として我が国の租税法上の法人に該当するか否かが問題となる。

  イ 我が国の租税法は組織体のうちその構成員とは別個に租税債務を負担させることが相当であると認められるものを納税義務者としてその所得に課税するものとしているところ,ある組織体が法人として納税義務者に該当するか否かの問題は我が国の課税権が及ぶ範囲を決する問題であることや,所得税法2条1項7号等が法人に係る諸外国の立法政策の相違を踏まえた上で外国法人につき「内国法人以外の法人」とのみ定義するにとどめていることなどを併せ考慮すると,我が国の租税法は,外国法に基づいて設立された組織体のうち内国法人に相当するものとしてその構成員とは別個に租税債務を負担させることが相当であると認められるものを外国法人と定め,これを内国法人等とともに自然人以外の納税義務者の一類型としているものと解される。このような組織体の納税義務に係る制度の仕組みに照らすと,外国法に基づいて設立された組織体が所得税法2条1項7号等に定める外国法人に該当するか否かは,当該組織体が日本法上の法人との対比において我が国の租税法上の納税義務者としての適格性を基礎付ける属性を備えているか否かとの観点から判断することが予定されているものということができる。そして,我が国においては,ある組織体が権利義務の帰属主体とされることが法人の最も本質的な属性であり,そのような属性を有することは我が国の租税法において法人が独立して事業を行い得るものとしてその構成員とは別個に納税義務者とされていることの主たる根拠であると考えられる上,納税義務者とされる者の範囲は客観的に明確な基準により決せられるべきであること等を考慮すると,外国法に基づいて設立された組織体が所得税法2条1項7号等に定める外国法人に該当するか否かについては,上記の属性の有無に即して,当該組織体が権利義務の帰属主体とされているか否かを基準として判断することが相当であると解される。

  その一方で,諸外国の多くにおいても,その制度の内容の詳細には相違があるにせよ,一定の範囲の組織体にその構成員とは別個の人格を承認し,これを権利義務の帰属主体とするという我が国の法人制度と同様の機能を有する制度が存在することや,国際的な法制の調和の要請等を踏まえると,外国法に基づいて設立された組織体につき,設立根拠法令の規定の文言や法制の仕組みから,日本法上の法人に相当する法的地位が付与されていること又は付与されていないことが疑義のない程度に明白である場合には,そのことをもって当該組織体が所得税法2条1項7号等に定める外国法人に該当する旨又は該当しない旨の判断をすることが相当であると解される。

  以上に鑑みると,外国法に基づいて設立された組織体が所得税法2条1項7号等に定める外国法人に該当するか否かを判断するに当たっては,まず,より客観的かつ一義的な判定が可能である後者の観点として,①当該組織体に係る設立根拠法令の規定の文言や法制の仕組みから,当該組織体が当該外国の法令において日本法上の法人に相当する法的地位を付与されていること又は付与されていないことが疑義のない程度に明白であるか否かを検討することとなり,これができない場合には,次に,当該組織体の属性に係る前者の観点として,②当該組織体が権利義務の帰属主体であると認められるか否かを検討して判断すべきものであり,具体的には,当該組織体の設立根拠法令の規定の内容や趣旨等から,当該組織体が自ら法律行為の当事者となることができ,かつ,その法律効果が当該組織体に帰属すると認められるか否かという点を検討することとなるものと解される。

  (2)ア これを本件についてみるに,州LPS法は,同法に基づいて設立されるリミテッド・パートナーシップがその設立により「separate legal entity」となるものと定めているところ(201条(b)項),デラウェア州法を含む米国の法令において「legal entity」が日本法上の法人に相当する法的地位を指すものであるか否かは明確でなく,また,「separate legal entity」であるとされる組織体が日本法上の法人に相当する法的地位を有すると評価することができるか否かについても明確ではないといわざるを得ない。そして,デラウェア州一般会社法(General Corporation Law of the State of Delaware)における株式会社(corporation)については,「a body corporate」という文言が用いられ(同法106条),「separate legal entity」との文言は用いられていないことなども併せ考慮すると,上記のとおり州LPS法において同法に基づいて設立されるリミテッド・パートナーシップが「separate legal entity」となるものと定められていることをもって,本件各LPSに日本法上の法人に相当する法的地位が付与されているか否かを疑義のない程度に明白であるとすることは困難であり,州LPS法や関連法令の他の規定の文言等を参照しても本件各LPSがデラウェア州法において日本法上の法人に相当する法的地位を付与されていること又は付与されていないことが疑義のない程度に明白であるとはいい難い。

  イ そこで,本件各LPSが法人該当性の実質的根拠となる権利義務の帰属主体とされているか否かについて検討するに,州LPS法は,リミテッド・パートナーシップにつき,営利目的か否かを問わず,一定の例外を除き,いかなる合法的な事業,目的又は活動をも実施することができる旨を定めるとともに(106条(a)項),同法若しくはその他の法律又は当該リミテッド・パートナーシップのパートナーシップ契約により付与された全ての権限及び特権並びにこれらに付随するあらゆる権限を保有し,それを行使することができる旨を定めている(同条(b)項)。このような州LPS法の定めに照らせば,同法は,リミテッド・パートナーシップにその名義で法律行為をする権利又は権限を付与するとともに,リミテッド・パートナーシップ名義でされた法律行為の効果がリミテッド・パートナーシップ自身に帰属することを前提とするものと解され,このことは,同法において,パートナーシップ持分(partnership interest)がそれ自体として人的財産(personal property)と称される財産権の一類型であるとされ,かつ,構成員であるパートナーが特定のリミテッド・パートナーシップ財産(以下「LPS財産」という。)について持分を有しない(A partner has no interest in specific limited partnership property.)とされていること(701条)とも整合するものと解される。なお,本件各LPS契約において,本件各LPSが本件各建物及びその敷地の購入,取得,開発,保有,賃貸,管理,売却その他の処分の目的のみのために設立され,当該目的を実施するために必要又は有益な範囲で上記の処分の権限を有すると定められていること(1.3条)は,上記のような州LPS法の規律に沿うものということができ,構成員である各パートナーが本件各LPSのLPS財産につき各自の出資割合に相当する不可分の持分を有すると定められていること(4.5条)についても,LPS財産の全体に係る抽象的な権利を有する旨をいうものにとどまり,本件各LPSのLPS財産を構成する個々の物や権利について具体的な持分を有する旨を定めたものとは解されず,パートナーが特定のLPS財産について持分を有しないとする州LPS法の上記規定の定めとそごするものではないということができる。

  上記のような州LPS法の定め等に鑑みると,本件各LPSは,自ら法律行為の当事者となることができ,かつ,その法律効果が本件各LPSに帰属するものということができるから,権利義務の帰属主体であると認められる。

  (3) そうすると,本件各LPSは,上記のとおり権利義務の帰属主体であると認められるのであるから,所得税法2条1項7号等に定める外国法人に該当するものというべきであり,前記2(1)のとおり,本件各不動産賃貸事業は本件各LPSが行うものであり,前記(1)アの特段の事情の存在もうかがわれないことなどからすると,本件各不動産賃貸事業により生じた所得は,本件各LPSに帰属するものと認められ,本件出資者らの課税所得の範囲には含まれないものと解するのが相当である。

  したがって,本件出資者らは,本件各不動産賃貸事業による所得の金額の計算上生じた損失の金額を各自の所得の金額から控除することはできないというべきである。

  5 以上と異なる原審の前記判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨はこれと同旨をいうものとして理由があり,原判決中,上告人敗訴部分は破棄を免れない。そして,以上に説示したところによれば,被上告人らの請求のうち,本件各更正処分及び本件各通知処分の取消請求は理由がないから,第1審判決のうちこれらの請求を認容した部分をいずれも取り消し,これらの請求をいずれも棄却すべきである。また,被上告人らの請求のうち,本件各賦課決定処分の取消請求については,本件が例外的に過少申告加算税の課されない場合として国税通則法65条4項に定める「正当な理由があると認められる」場合に当たるか否かが問題となるところ,この関係の諸事情につき更に審理を尽くさせるため,上記破棄部分のうち上記請求に係る部分につき,本件を原審に差し戻すこととする。

  よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

 (裁判長裁判官 千葉勝美 裁判官 小貫芳信 裁判官 鬼丸かおる 裁判官 山本庸幸)

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 2013年に作成したものです。

渉外的要素(外国的要素)のある法律関係では国際私法(法適用通則法)に基づきどの法律を適用するかを決めてその法律に従って処理をすることになる。
日本の法適用通則法では離婚に際しては①共通本国法、②共通常所地法、③密接関連地法の順番で適用される。④夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは日本法が適用される。
 中国では裁判所所在地の法律が適用される。
 つまり日本人と中国人の夫婦の場合中国で裁判をおこすと中国法、日本で裁判をおこすと日本法ということになりがちである。

 離婚原因については民法上1項5号「その他婚姻を継続し難い重大な事由にあるとき」について夫婦関係を破綻させた責任のある配偶者(有責配偶者)からの離婚請求が認められるかという点について判例の変遷があった。
以前は認めなかったが1987年9月2日の最高裁大法廷判決で有責配偶者からされた離婚請求であっても、夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、その間に未成熟の子の存在しない場合には、相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会的正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り、当該請求は「有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできないものとするのが相当である」とした。
中国婚姻法は32条2項で感情がすでに破綻していることが確かで調停の効果がないときは離婚を認めなければならない」としており、より破綻主義的である。

離婚判決については日中相互で承認される可能性が高いので、より有利な法廷でおこなうかは場合によってはシビアな問題となる。

反致 最高裁平成6年

国際私法判例百選 第2版 5事件 3版6事件

建物収去土地明渡等請求本訴、所有権移転登記請求反訴、建物収去土地明渡請求事件

 

【事件番号】       最高裁判所第3小法廷判決/平成2年(オ)第1454号

【判決日付】       平成6年3月8日

【判示事項】       日本にある不動産の所有者である中華人民共和国の国籍を有する者の相続につき同国の法律がさかのぼって適用されて反致されることにより日本法が準拠法となるものとされた事例

【判決要旨】       中華人民共和国継承法三六条(昭和六〇年制定、同年一〇月一日施行)は国外にある不動産の相続の準拠法をその所在地法と定め、右規定は同法施行前に開始したが施行時に未処理の相続にも適用されるものとされているところ、同国の国籍を有し、昭和五一年に死亡した被相続人の日本にある不動産の相続につき、被相続人の夫及び四人の子の間において遺産分割協議が成立したとしても、同国法によれば、被相続人の父母もまた第一順位の法定相続人となるべきものであって、当時生存していた被相続人の父を除外してされた右遺産分割協議に直ちにその効力を認めることはできず、前記法律の施行時に未処理であったというべき右相続については、同法の規定がさかのぼって適用され、同法三六条及び法例二九条(平成元年法律第二七号による改正前のもの)の規定により、反致される結果、不動産の所在地法である日本法が準拠法となる。

【参照条文】       法例(平1法27号改正前)25

             法例29

【掲載誌】        家庭裁判月報46巻8号59頁

             最高裁判所裁判集民事172号1頁

             裁判所時報1118号39頁

             判例タイムズ846号167頁

             金融・商事判例947号3頁

             判例時報1493号71頁

             金融法務事情1394号97頁

【評釈論文】       ジュリスト臨時増刊1068号261頁

             ジュリスト1076号158頁

             判例タイムズ臨時増刊882号194頁

             法政論集(名古屋大)163号383頁

             民商法雑誌113巻2号148頁

 

       主   文

 

 上告人高野静枝の本件上告を却下する。

 その余の上告人らの本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人らの負担とする。

 

       理   由

 

 一 上告人高野静枝の上告について

 右上告人は上告理由書を提出しないので、その上告は不適法であって却下を免れない。

 二 上告人呉哲男、同山口華恵、同諏訪□志、同葛岡時恵、同北野美恵、同古賀珠恵、同本間幸吉、同本間豊吉、同土屋桂香、同小日向清香の代理人斉藤尚志、同浅野晋の上告理由第一について

 原審の適法に確定したところによれば、原判決別紙物件目録一記載の土地(以下「本件土地」という。)は昭和二二年ころ呉京香が売買によって取得し、また、本件土地上の建物(以下「本件建物」という。)はそのころ呉京香の父である呉場が売買によって取得したものであるところ(なお、被上告人は昭和二四年に呉京香と婚姻した。)、呉京香は中華人民共和国の国民であり、昭和五一年一一月三日上海市で死亡し、呉場(台湾出身)は昭和五三年五月三一日東京で死亡した、というのである。

 被上告人の本訴請求は、被上告人が、呉京香の相続人は夫である被上告人と四人の子であり、右相続人らの遺産分割協議により、本件土地は被上告人の単独所有になったと主張して、本件建物の共有者(呉場の相続人)らに対し本件土地の明渡し等を請求するものであるが、上告人らは、呉京香の相続に適用されるべき法律は、法例(平成元年法律第二七号による改正前のもの。以下、同じ。)二五条により、呉京香の本国法である中華人民共和国法であると主張し、論旨は、この点に関する原審判断につき法令違背をいうものである。

 そこで検討すると、呉京香の相続に適用されるべき法律は、法例二五条により、同人の本国法である中華人民共和国法となるべきところ、中華人民共和国においては、一九八五年(昭和六〇年)に中華人民共和国継承法(以下「継承法」という。)が制定されて同年一〇月一日から施行され、同法三六条は、中国公民が中華人民共和国外にある遺産を相続するときは、不動産については不動産所在地の法律を適用する旨規定している。そして、原審の確定したところによれば、(1)継承法を制定した人民議会において、「同法施行前に開始した相続については、施行前に既に遺産が処理されている場合は改めて処理しないが、施行時に未処理の場合は同法を適用する」旨説明されている、(2)中華人民共和国最高人民法院は、同法の運用について見解を示し、「人民法院は、同法が発効する以前に既に受理し、発効時にまだ審結していない継承案件に対して同法を適用する」としている、(3)これは、同法発効前の継承案件に対する法律適用問題についての基本原則と精神は同法の内容と一致しているとの考えに基づくものである、というのである。

 したがって、右によれば、呉京香(昭和五一年一一月三日死亡)の相続問題が継承法の発効した時点で未処理であったとすれば、同法の規定がさかのぼって適用されることとなる。

 ところで、原審の確定したところによれば、被上告人は呉京香の死亡後、中華人民共和国上海市高級人民法院に対して相続関係の証明を求めたところ、同法院の公証員は、昭和五一年一二月二九日付けて継承権証明書を発行し、日本にある呉京香の相続財産(本件土地)については、呉京香の夫である被上告人及びその子四名が継承すべき旨を証明した、というのである。しかしながら、継承法一〇条は、法定相続の第一順位者として配偶者、子、父母を規定しているところ、関係資料によれば、中華人民共和国においては、相続人の範囲及び相続の順位などについては、継承法の制定以前から同法の規定するところと同一の慣行ないし法原則が存在したとされるのであって、そうだとすれば、呉京香の相続については、その父母もまた第一順位の法定相続人となるべきものである。前記継承権証明書は、当時生存していた呉京香の父である呉場については何ら触れるところがないが、同人が相続人とならないことまでを証明しているとするには疑問があるといわなければならない。

 被上告人は、前記継承権証明書により、呉京香の相続人は被上告人とその子四名であり、右五名の遺産分割協議により、被上告人が本件土地を相続したと主張するが、前示のとおり、右証明書の内容に疑問があるのであって、これに基づく遺産分割協議の効力もまた直ちには認め難いといわなければならない。そうだとすれば、呉京香の相続問題は、継承法が発効した時点において未処理であったというを妨げない。

 以上によれば、呉京香の国外財産(本件土地)の相続については、継承法の規定がさかのぼって適用され、同法三六条及び法例二九条の規定により、反致される結果、結局、不動産所在地法である日本法が適用されるべきこととなる。原判決はこの趣旨をもいうものとして是認することができる。論旨は採用することができない。

 同第二について

 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものであって、採用することができない。

 よって、民訴法四〇一条、三九九条ノ三、三九九条一項二号、三九八条一項、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官大野正男 裁判官園部逸夫 裁判官可部恒雄 裁判官千種秀夫)

 

外国判決の承認要件 最高裁平成31年1月18日

伊藤眞「民事訴訟法7版」有斐閣・2020年・はしがき・254頁・552頁 松岡博編『国際関係私法入門』第4版317頁 国際私法判例百選第3版 97事件

執行判決請求事件

最高裁判所第2小法廷判決/平成29年(受)第2177号

平成31年1月18日

【判示事項】    訴訟当事者に判決の内容が了知されず又は了知する機会も実質的に与えられなかったことにより不服申立ての機会が与えられないまま確定した外国裁判所の判決に係る訴訟手続と民訴法118条3号にいう公の秩序

【判決要旨】    外国裁判所の判決に係る訴訟手続において、当該判決の内容を了知させることが可能であったにもかかわらず、実際には訴訟当事者にこれが了知されずまたは了知する機会も実質的に与えられなかったことにより、不服申立ての機会が与えられないまま確定した当該判決に係る訴訟手続は、民事訴訟法118条3号にいう公の秩序に反する。

【参照条文】    民事訴訟法118

          民事執行法22

          民事執行法24

【掲載誌】     最高裁判所民事判例集73巻1号1頁

          裁判所時報1716号1頁

          判例タイムズ1459号36頁

          金融・商事判例1625号14頁

          判例時報2409号31頁

          金融法務事情2120号70頁

          LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】    判例秘書ジャーナルHJ100060

          銀行法務21 849号67頁

          金融・商事判例1587号8頁

          ジュリスト1538号135頁

          ジュリスト1541号85頁

          ジュリスト1544号126頁

          ジュリスト1544号292頁

          判例時報2436号141頁

          法学教室464号121頁

          民商法雑誌156巻1号227頁

          JCAジャーナル66巻4号10頁

          法学セミナー64巻12号118頁

          金沢法学62巻2号1頁

          法曹時報72巻11号2243頁

 

       主   文

 

 原判決を破棄する。

 本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

 

       理   由

 

 上告代理人金子憲康の上告受理申立て理由第2について

 1 本件は,上告人らが,被上告人に対して損害賠償を命じた米国カリフォルニア州の裁判所の判決について,民事執行法24条に基づいて提起した執行判決を求める訴えである。

 2 原審の確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。

 (1) カリフォルニア州の民事訴訟制度の下においては,判決は裁判所において登録され,原則として当事者の一方が他方に対し判決登録通知を送達することとされ,判決に対する控訴期間は遅くとも判決登録の日から180日を経過することにより満了するものとされている。

 (2) 上告人らは,平成25年(2013年)3月,米国カリフォルニア州オレンジ郡上位裁判所(以下「本件外国裁判所」という。)に対し,被上告人外数名を被告として損害賠償を求める訴えを提起した。

 (3) 被上告人は,弁護士を代理人に選任して応訴したが,訴訟手続の途中で同弁護士が本件外国裁判所の許可を得て辞任した。被上告人がその後の期日に出頭しなかったため,上告人らの申立てにより,手続の進行を怠ったことを理由とする欠席(デフォルト)の登録がされた。

 (4) 本件外国裁判所は,上告人らの申立てにより,平成27年(2015年)3月,被上告人に対し,約27万5500米国ドルの支払を命ずる,カリフォルニア州民事訴訟法上の欠席判決(デフォルト・ジャッジメント。以下「本件外国判決」という。)を言い渡し,本件外国判決は,同月,本件外国裁判所において登録された。

 (5) 上告人らの代理人弁護士は,平成27年(2015年)3月,被上告人に対し,本件外国判決に関し,判決書の写しを添付した判決登録通知を,誤った住所を宛先として普通郵便で発送した。上記通知が被上告人に届いたとはいえない。

 (6) 被上告人は,本件外国判決の登録の日から180日の控訴期間内に控訴せず,その他の不服申立ても所定期間内にしなかったことから,本件外国判決は確定した。

 3 原審は,要旨次のとおり判断し,上告人らの請求を棄却すべきものとした。

 敗訴当事者に対する判決の送達は,裁判所の判断に対して不服を申し立てる権利を手続的に保障するものとして,我が国の裁判制度を規律する法規範の内容となっており,民訴法118条3号にいう公の秩序の内容を成している。本件外国判決は被上告人に対する判決の送達がされないまま確定したから,その訴訟手続は同号にいう公の秩序に反する。

 4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

 (1) 外国裁判所の判決(以下「外国判決」という。)が民訴法118条により我が国においてその効力を認められるためには、判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないことが要件とされているところ,外国判決に係る訴訟手続が我が国の採用していない制度に基づくものを含むからといって,その一事をもって直ちに上記要件を満たさないということはできないが,それが我が国の法秩序の基本原則ないし基本理念と相いれないものと認められる場合には,その外国判決に係る訴訟手続は,同条3号にいう公の秩序に反するというべきである(最高裁平成5年(オ)第1762号同9年7月11日第二小法廷判決・民集51巻6号2573頁参照)。

 (2) 我が国の民訴法においては,判決書は当事者に送達しなければならないこととされ(255条),判決に対する不服申立ては判決書の送達を受けた日から所定の不変期間内に提起しなければならず,判決は上記期間の満了前には確定しないこととされている(116条,285条,313条)。そして,送達は,裁判所の職権によって,送達すべき書類を受送達者に交付するか,少なくとも所定の同居者等に交付し又は送達すべき場所に差し置くことが原則とされ、当事者の住所,居所その他送達をすべき場所が知れないなど上記の送達方法によることのできない事情のある場合に限り,公示送達等が例外的に許容されている(98条,101条,106条,107条,110条)。他方,外国判決が同法118条により我が国においてその効力を認められる要件としては,「訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達」を受けたことが掲げられている(同条2号)のに対し,判決の送達についてはそのような明示的な規定が置かれていない。

 さらに,以上のような判決書の送達に関する手続規範は国ないし法域ごとに異なることが明らかであることを考え合わせると,外国判決に係る訴訟手続において、判決書の送達がされていないことの一事をもって直ちに民訴法118条3号にいう公の秩序に反するものと解することはできない。

 もっとも,我が国の民訴法は,上記の原則的な送達方法によることのできない事情のある場合を除き,訴訟当事者に判決の内容を了知させ又は了知する機会を実質的に与えることにより,当該判決に対する不服申立ての機会を与えることを訴訟法秩序の根幹を成す重要な手続として保障しているものと解される。

 したがって,外国判決に係る訴訟手続において,当該外国判決の内容を了知させることが可能であったにもかかわらず,実際には訴訟当事者にこれが了知されず又は了知する機会も実質的に与えられなかったことにより,不服申立ての機会が与えられないまま当該外国判決が確定した場合,その訴訟手続は,我が国の法秩序の基本原則ないし基本理念と相いれないものとして,民訴法118条3号にいう公の秩序に反するということができる。

 5 以上と異なる見解の下,本件外国判決の内容を被上告人に了知させることが可能であったことがうかがわれる事情の下で,被上告人がその内容を了知し又は了知する機会が実質的に与えられることにより不服申立ての機会を与えられていたか否かについて検討することなく,その訴訟手続が民訴法118条3号にいう公の秩序に反するとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな違法がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,原判決は破棄を免れない。

 そして,上記4に説示したところにより更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 鬼丸かおる 裁判官 山本庸幸 裁判官 菅野博之 裁判官 三浦 守)

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