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カテゴリ: 民事介入暴力

暴力団員へ住宅明渡請求を認める条例の合憲性に関する最高裁平成27年

憲法判例百選 第7版 106事件 建物明渡等請求事件

最高裁判所第2小法廷判決/平成25年(オ)第1655号

              平成27年3月27日

【判示事項】      1 西宮市営住宅条例(平成9年西宮市条例第44号)46条1項柱書き及び同項6号の規定のうち,入居者が暴力団員であることが判明した場合に市営住宅の明渡しを請求することができる旨を定める部分と憲法14条1項

            2 西宮市営住宅条例(平成9年西宮市条例第44号)46条1項柱書き及び同項6号の規定のうち,入居者が暴力団員であることが判明した場合に市営住宅の明渡しを請求することができる旨を定める部分と憲法22条1項

【判決要旨】      1 西宮市営住宅条例(平成9年西宮市条例第44号)46条1項柱書き及び同項6号の規定のうち,入居者が暴力団員であることが判明した場合に市営住宅の明渡しを請求することができる旨を定める部分は,憲法14条1項に違反しない。

            2 西宮市営住宅条例(平成9年西宮市条例第44号)46条1項柱書き及び同項6号の規定のうち,入居者が暴力団員であることが判明した場合に市営住宅の明渡しを請求することができる旨を定める部分は,憲法22条1項に違反しない。

【参照条文】      西宮市営住宅条例(平9西宮市条例44号)46-1

            暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律2

            憲法14-1

            憲法22-1

【掲載誌】       最高裁判所民事判例集69巻2号419頁

            裁判所時報1625号106頁

            判例タイムズ1414号131頁

            判例時報2258号39頁

            金融法務事情2023号110頁

            LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      ジュリスト1486号70頁

            ジュリスト1492号20頁

            ジュリスト1492号36頁

            判例時報2293号147頁

            法学協会雑誌134巻7号1251頁

            法学セミナー60巻8号116頁

            法曹時報69巻4号148頁

            北大法学論集67巻5号1616頁

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人らの負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人榎本祐規の上告理由について

 1 原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。

 (1) 被上告人(兵庫県西宮市)は,平成17年8月,西宮市営住宅条例(平成9年西宮市条例第44号。以下「本件条例」という。)の規定に基づき,市営住宅(被上告人が建設,買取り又は借上げを行い,市民等に賃貸し,又は転貸するための本件条例2条2号から7号までに規定する住宅及びその附帯施設をいう。本件条例2条1号)のうち被上告人が所有する第1審判決別紙物件目録記載1の住宅(以下「本件住宅」という。)の入居者を上告人Y1とする旨決定した。

 (2) 本件条例46条1項柱書は「市長は,入居者が次の各号のいずれかに該当する場合において,当該入居者に対し,当該市営住宅の明渡しを請求することができる。」と規定しているところ,被上告人は,平成19年12月,本件条例を改正し,同項6号として「暴力団員であることが判明したとき(同居者が該当する場合を含む。)。」との規定を設けた(以下,同項柱書及び同項6号の規定のうち,入居者が暴力団員であることが判明した場合に市営住宅の明渡しを請求することができる旨を定める部分を「本件規定」という。)。

 本件条例において,「暴力団員」とは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下「暴力団対策法」という。)2条6号に規定する暴力団員をいうと定義されている(本件条例7条5号。以下,本判決においても同じ意義で用いる。)。そして,暴力団対策法において,「暴力団」とはその団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等(暴力団対策法別表に掲げる罪のうち国家公安委員会規則で定めるもの(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律施行規則1条各号に掲げられているもの)をいう。暴力団対策法2条1号)を行うことを助長するおそれがある団体と定義され(暴力団対策法2条2号。以下,本判決においても同じ意義で用いる。),また,「暴力団員」とは暴力団の構成員と定義されている(同条6号)。

 (3) 被上告人は,平成22年8月,上告人Y1に対し,その両親である上告人Y2及び同Y3を本件住宅に同居させることを承認した。その際,上告人Y1及び同Y2は,「名義人又は同居者が暴力団員であることが判明したときは,ただちに住宅を明け渡します。」との記載のある誓約書を被上告人に提出した。

 また,本件条例によれば,市営住宅の入居者又は同居者のみが当該市営住宅の駐車場を使用することができ,入居者又は同居者でなくなればこれを明け渡さなければならないところ(本件条例56条2項1号,64条2項,西宮市営住宅条例施行規則(平成9年西宮市規則第1号)53条8号),被上告人は,同年9月,上告人Y2に対し,本件住宅の同居者であることを前提に,本件住宅の駐車場である第1審判決別紙物件目録記載2の土地(以下「本件駐車場」という。)の使用を許可した。

 (4) 上告人Y1は,平成22年10月当時,暴力団である六代目A組三代目B組C會に所属する暴力団員であった。

 被上告人は,同月,兵庫県警察からの連絡によって,上告人Y1が暴力団員である事実を知った。そこで,被上告人は,同月,上告人Y1に対し,本件規定に基づいて同年11月30日までに本件住宅を明け渡すことを請求するとともに,上告人Y2に対しても,本件駐車場の明渡しを請求した。

 (5) 上告人Y1は,従前から別の建物を賃借してそこに居住しており,本件住宅には現実に居住することはなく,上告人Y2及び同Y3のみが本件住宅に居住している。

 2 本件は,被上告人が,上告人Y1が暴力団員であることを理由に,上告人Y1に対しては本件規定に基づく本件住宅の明渡し等を求め,上告人Y2及び同Y3に対しては所有権に基づく本件住宅の明渡し等を求めるとともに,上告人Y2に対して本件条例64条2項に基づく本件駐車場の明渡し等を求める事案である。

 3 所論は,①本件規定は合理的な理由のないまま暴力団員を不利に扱うものであるから,憲法14条1項に違反する,②本件規定は必要な限度を超えて居住の自由を制限するものであるから,憲法22条1項に違反する,③上告人Y1は近隣住民に危険を及ぼす人物ではないし,上告人Y2及び同Y3はそれぞれ身体に障害を有しているから,本件住宅及び本件駐車場の使用の終了に本件規定を適用することは憲法14条1項又は22条1項に違反するというのである。

 4 地方公共団体は,住宅が国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤であることに鑑み,低額所得者,被災者その他住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保が図られることを旨として,住宅の供給その他の住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策を策定し,実施するものであって(住生活基本法1条,6条,7条1項,14条),地方公共団体が住宅を供給する場合において,当該住宅に入居させ又は入居を継続させる者をどのようなものとするのかについては,その性質上,地方公共団体に一定の裁量があるというべきである。

 そして,暴力団員は,前記のとおり,集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体の構成員と定義されているところ,このような暴力団員が市営住宅に入居し続ける場合には,当該市営住宅の他の入居者等の生活の平穏が害されるおそれを否定することはできない。他方において,暴力団員は,自らの意思により暴力団を脱退し,そうすることで暴力団員でなくなることが可能であり,また,暴力団員が市営住宅の明渡しをせざるを得ないとしても,それは,当該市営住宅には居住することができなくなるというにすぎず,当該市営住宅以外における居住についてまで制限を受けるわけではない。

 以上の諸点を考慮すると,本件規定は暴力団員について合理的な理由のない差別をするものということはできない。したがって,本件規定は,憲法14条1項に違反しない。

 また,本件規定により制限される利益は,結局のところ,社会福祉的観点から供給される市営住宅に暴力団員が入居し又は入居し続ける利益にすぎず,上記の諸点に照らすと,本件規定による居住の制限は,公共の福祉による必要かつ合理的なものであることが明らかである。したがって,本件規定は,憲法22条1項に違反しない。

 そして,上記1の事実関係によれば,上告人Y1は他に住宅を賃借して居住しているというのであり,これに,上記1(3)記載の誓約書が提出されていることなども併せ考慮すると,その余の点について判断するまでもなく,本件において,本件住宅及び本件駐車場の使用の終了に本件規定を適用することが憲法14条1項又は22条1項に違反することになるものではない。

 以上は,最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁,最高裁昭和61年(行ツ)第11号平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻5号437頁の趣旨に徴して明らかである。論旨は採用することができない。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 千葉勝美 裁判官 小貫芳信 裁判官 鬼丸かおる 裁判官 山本庸幸)

 

大谷剛彦裁判長名判決 保証債務の免責に関する最高裁平成28年

民法判例百選Ⅰ 第8版 24事件 保証債務請求事件

最高裁判所第3小法廷判決/平成26年(受)第1351号

平成28年1月12日

【判示事項】       1 信用保証協会と金融機関との間で保証契約が締結されて融資が実行された後に主債務者が反社会的勢力であることが判明した場合において,信用保証協会の保証契約の意思表示に要素の錯誤がないとされた事例

             2 金融機関による融資の主債務者が反社会的勢力であったときにおける信用保証協会と金融機関との間の信用保証に関する基本契約に定められた保証債務の免責条項にいう「保証契約に違反したとき」に当たる場合

【判決要旨】       1 信用保証協会と金融機関との間で保証契約が締結され融資が実行された後に主債務者が反社会的勢力であることが判明した場合において,上記保証契約の当事者がそれぞれの業務に照らし,上記の場合が生じ得ることを想定でき,その場合に信用保証協会が保証債務を履行しない旨をあらかじめ定めるなどの対応を採ることも可能であったにもかかわらず,上記当事者間の信用保証に関する基本契約及び上記保証契約等にその場合の取扱いについての定めが置かれていないなど判示の事情の下では,主債務者が反社会的勢力でないことという信用保証協会の動機は,明示又は黙示に表示されていたとしても,当事者の意思解釈上,上記保証契約の内容となっていたとは認められず,信用保証協会の上記保証契約の意思表示に要素の錯誤はない。

             2 金融機関が,主債務者が反社会的勢力であるか否かについて相当な調査をすべきであるという信用保証協会との間の信用保証に関する基本契約上の付随義務に違反して,その結果,反社会的勢力を主債務者とする融資について保証契約が締結された場合には,上記基本契約に定められた保証債務の免責条項にいう金融機関が「保証契約に違反したとき」に当たる。

【参照条文】       民法446

             民法95

             民法91

             信用保証協会法1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集70巻1号1頁

             裁判所時報1643号41頁

             判例タイムズ1423号129頁

             金融・商事判例1489号28頁

             金融・商事判例1483号10頁

             判例時報2293号47頁

             金融法務事情2044号64頁

             金融法務事情2035号6頁

             LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】       金融・商事判例1513号8頁

             金融法務事情2041号34頁

             金融法務事情2049号33頁

             金融法務事情2118号72頁

             ジュリスト1496号72頁

             ジュリスト1505号69頁

             別冊ジュリスト237号50頁

             税務事例49巻11号69頁

             判例時報2314号167頁

             横浜法学25巻3号193頁

             法学(東北大)81巻5号635頁

             法学教室430号134頁

             法学セミナー61巻5号121頁

             法曹時報69巻6号132頁

             民商法雑誌153巻1号79頁

             専修ロージャーナル13号79頁

 

       主   文

 

 原判決を破棄する。

 本件を東京高等裁判所に差し戻す。

 

       理   由

 

 上告代理人上松正明の上告受理申立て理由について

 1 本件は,主債務者から信用保証の委託を受けた上告人と保証契約を締結していた被上告人が,上告人に対し,同契約に基づき,保証債務の履行を求める事案である。被上告人の融資の主債務者は反社会的勢力であり,上告人は,①このような場合には保証契約を締結しないにもかかわらず,そのことを知らずに同契約を締結したものであるから,同契約は要素の錯誤により無効である,②被上告人が保証契約に違反したから,上告人と被上告人との間の信用保証に関する基本契約(以下「本件基本契約」という。)の定める免責事由に該当し,上告人は,上記保証契約に基づく債務の履行を免れる,と主張して争っている。

 2 原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。

 (1) 被上告人と上告人は,昭和41年8月,約定書と題する書面により本件基本契約を締結した。本件基本契約には,被上告人が「保証契約に違反したとき」は,上告人は被上告人に対する保証債務の履行につき,その全部又は一部の責めを免れるものとする旨が定められていたが(以下,この定めを「本件免責条項」という。),保証契約締結後に主債務者が反社会的勢力であることが判明した場合の取扱いについての定めは置かれていなかった。

 (2) 政府は,平成19年6月,企業において暴力団を始めとする反社会的勢力とは取引を含めた一切の関係を遮断することを基本原則とする「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(以下「本件指針」という。)を策定した。これを受けて,金融庁は,平成20年3月,「主要行等向けの総合的な監督指針」を一部改正し,また,同庁及び中小企業庁は,同年6月,「信用保証協会向けの総合的な監督指針」を策定し,本件指針と同旨の反社会的勢力との関係遮断に関する金融機関及び信用保証協会に対する監督の指針を示した。

 (3) 被上告人は,C社から,3回にわたり運転資金の融資の申込みを受け,それぞれ審査した結果,これらをいずれも適当と認め,平成20年7月,同年9月及び平成22年8月,上告人に対してそれらの信用保証を依頼した。C社と上告人は,上記各月,それぞれ保証委託契約を締結した。

 (4) 被上告人は,平成20年7月,同年9月及び平成22年8月,C社との間でそれぞれ金銭消費貸借契約を締結し,3000万円,2000万円及び3000万円の各貸付け(以下「本件各貸付け」という。)をした。上告人は,上記各月,被上告人との間で,本件各貸付けに基づくC社の債務を連帯して保証する旨の各契約(以下「本件各保証契約」という。)を締結した。本件各保証契約においても,契約締結後に主債務者が反社会的勢力であることが判明した場合の取扱いについての定めは置かれていなかった。

 (5) 警視庁は,平成22年12月,国土交通省関東地方整備局等に対し,C社について,暴力団員であるDが同社の代表取締役を務めてその経営を実質的に支配している会社であるとして,公共工事の指名業者から排除するよう求めた。これを受けて,国土交通省関東地方整備局は,同月,C社に対し,公共工事について指名を行わないことを通知した。

 (6) C社は,平成23年3月,本件各貸付けについて期限の利益を喪失した。被上告人は,上告人に対し,本件訴状により,本件各保証契約に基づき保証債務の履行を請求した。

 3 原審は,上記事実関係の下において,上告人の抗弁について次のように判断して,被上告人の請求を認容すべきものとした。

 (1) 本件各保証契約が締結された当時,主債務者が反社会的勢力である可能性は当事者間で想定されていて,そのことが後に判明した場合も上告人において保証債務を履行することが本件各保証契約の内容となっていたものであり,仮に上告人の内心がこれと異なるものであったとしても,そのことは明示にも黙示にも被上告人に対して表示されていなかった。したがって,主債務者であるC社が上記当時から反社会的勢力であったからといって,上告人の本件各保証契約の意思表示に要素の錯誤があったとはいえない。

 (2) 本件各貸付けが反社会的勢力に対するものでないことが本件各保証契約における保証条件であったとは認められないから,本件各貸付けは,本件免責条項にいう被上告人が「保証契約に違反したとき」には当たらない。したがって,上告人が本件免責条項により免責されるとはいえない。

 4 しかしながら,原審の上記3(1)における上告人の本件各保証契約の意思表示に要素の錯誤があったとはいえないとの判断は是認することができるが,同(2)の判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

 (1) 信用保証協会において主債務者が反社会的勢力でないことを前提として保証契約を締結し,金融機関において融資を実行したが,その後,主債務者が反社会的勢力であることが判明した場合には,信用保証協会の意思表示に動機の錯誤があるということができる。意思表示における動機の錯誤が法律行為の要素に錯誤があるものとしてその無効を来すためには,その動機が相手方に表示されて法律行為の内容となり,もし錯誤がなかったならば表意者がその意思表示をしなかったであろうと認められる場合であることを要する。そして,動機は,たとえそれが表示されても,当事者の意思解釈上,それが法律行為の内容とされたものと認められない限り,表意者の意思表示に要素の錯誤はないと解するのが相当である(最高裁昭和35年(オ)第507号同37年12月25日第三小法廷判決・裁判集民事63号953頁,最高裁昭和63年(オ)第385号平成元年9月14日第一小法廷判決・裁判集民事157号555頁参照)。

 (2) 本件についてこれをみると,前記事実関係によれば,被上告人及び上告人は,本件各保証契約の締結当時,本件指針等により,反社会的勢力との関係を遮断すべき社会的責任を負っており,本件各保証契約の締結前にC社が反社会的勢力であることが判明していた場合には,これらが締結されることはなかったと考えられる。しかし,保証契約は,主債務者がその債務を履行しない場合に保証人が保証債務を履行することを内容とするものであり,主債務者が誰であるかは同契約の内容である保証債務の一要素となるものであるが,主債務者が反社会的勢力でないことはその主債務者に関する事情の一つであって,これが当然に同契約の内容となっているということはできない。そして,被上告人は融資を,上告人は信用保証を行うことをそれぞれ業とする法人であるから,主債務者が反社会的勢力であることが事後的に判明する場合が生じ得ることを想定でき,その場合に上告人が保証債務を履行しないこととするのであれば,その旨をあらかじめ定めるなどの対応を採ることも可能であった。それにもかかわらず,本件基本契約及び本件各保証契約等にその場合の取扱いについての定めが置かれていないことからすると,主債務者が反社会的勢力でないということについては,この点に誤認があったことが事後的に判明した場合に本件各保証契約の効力を否定することまでを被上告人及び上告人の双方が前提としていたとはいえない。また,保証契約が締結され融資が実行された後に初めて主債務者が反社会的勢力であることが判明した場合には,既に上記主債務者が融資金を取得している以上,上記社会的責任の見地から,債権者と保証人において,できる限り上記融資金相当額の回収に努めて反社会的勢力との関係の解消を図るべきであるとはいえても,両者間の保証契約について,主債務者が反社会的勢力でないということがその契約の前提又は内容になっているとして当然にその効力が否定されるべきものともいえない。

 そうすると,C社が反社会的勢力でないことという上告人の動機は,それが明示又は黙示に表示されていたとしても,当事者の意思解釈上,これが本件各保証契約の内容となっていたとは認められず,上告人の本件各保証契約の意思表示に要素の錯誤はないというべきである。

 (3) 信用保証協会は,中小企業者等に対する金融の円滑化を図ることを目的として,中小企業者等が銀行その他の金融機関から貸付け等を受けるにつき,その貸付金等の債務を保証することを主たる業務とする公共的機関であり(信用保証協会法1条参照),信用保証制度を維持するために公的資金も投入されている。また,本件指針等により,金融機関及び信用保証協会は共に反社会的勢力との関係を遮断する社会的責任を負っており,その重要性は,金融機関及び信用保証協会の共通認識であったと考えられる。他方で,信用保証制度を利用して融資を受けようとする者が反社会的勢力であるか否かを調査する有効な方法は,実際上限られている。

 以上のような点に鑑みれば,主債務者が反社会的勢力でないことそれ自体が金融機関と信用保証協会との間の保証契約の内容にならないとしても,被上告人及び上告人は,本件基本契約上の付随義務として,個々の保証契約を締結して融資を実行するのに先立ち,相互に主債務者が反社会的勢力であるか否かについてその時点において一般的に行われている調査方法等に鑑みて相当と認められる調査をすべき義務を負うというべきである。そして,被上告人がこの義務に違反して,その結果,反社会的勢力を主債務者とする融資について保証契約が締結された場合には,本件免責条項にいう被上告人が「保証契約に違反したとき」に当たると解するのが相当である。

 (4) 本件についてこれをみると,本件各貸付けの主債務者は反社会的勢力であるところ,被上告人が上記の調査義務に違反して,その結果,本件各保証契約が締結されたといえる場合には,上告人は,本件免責条項により本件各保証契約に基づく保証債務の履行の責めを免れるというべきである。そして,その免責の範囲は,上記の点についての上告人の調査状況等も勘案して定められるのが相当である。

 5 以上によれば,原審の上記3(1)における上告人の本件各保証契約の意思表示に要素の錯誤があったとはいえないとの判断は是認することができ,この点に関する論旨は採用することができない。他方,上記4(4)の点を審理判断することなく,本件各貸付けについて,本件免責条項にいう被上告人が「保証契約に違反したとき」に当たらないとした原審の上記3(2)の判断には,法令の解釈適用を誤った違法があり,この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,上告人の保証債務の免責の抗弁について更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大谷剛彦 裁判官 岡部喜代子 裁判官 大橋正春 裁判官 木内道祥 裁判官 山崎敏充)

 

https://www.honzuki.jp/book/285221/review/239576/

三井義廣弁護士のお別れの会

 

2019年9月21日13時に静岡県の浜松グランドホテルでおこなわれた8月7日になくなられた三井義廣弁護士のおわかれの会にいってきました。大広間で1000人規模の参加でしょうか。

 日本弁護士連合会副会長・日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会委員長などを歴任されました。昭和62年の浜松市海老塚地区での暴力団組事務所設置での住民側の弁護団長を引き受けた際に暴力団員に刺されて肺に届く大けがを負いました。2代目の弁護団長は宮崎乾朗が引き受けました。わたしのさいしょにはいった事務所のボス弁です。

 体重が130キロあるから助かったので、わたしも130キロをめざすべきかと当時はおもっておりました。

 ご冥福をお祈りします。

 

 むかしは委員長でしたがいまはヒラの委員です。
 26日の1200に委員会が広島であったので出席してきました。

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