岡本法律事務所のブログ

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カテゴリ: 投資

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事前確定届出給与 東京地裁平成24年 令和5年予備試験 付随論点 ジュリスト1546号53頁

法人税更正処分取消等請求事件 ケースブック6版 460頁 三和クリエーション株式会社事件

租税法判例百選 6版 58事件 租税判例百選7版 60事件

川神裁判長不当判決 納税者敗訴 高橋貴美子『編集者にもわかる 租税法律主義って?』中央経済社・2023年第4章

三和クリエーション事件 ケースブック租税法 第5版 505頁

38000字あります。

 

東京地方裁判所判決/平成23年(行ウ)第652号

平成24年10月9日

 

【判示事項】 内国法人が事業年度中にその代表取締役及び取締役に対して支給した役員給与のうち冬季賞与は法人税法34条1項2号の事前確定届出給与に該当せず,その額は前記事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入されないとした法人税の更正処分が,適法とされた事例

 

【判決要旨】 内国法人が事業年度中にその代表取締役及び取締役に対して支給した役員給与のうち冬季賞与は法人税法34条1項2号の事前確定届出給与に該当せず,その額は前記事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入されないとした法人税の更正処分につき,同号の規定によれば,内国法人がその役員に対して支給する給与が事前確定届出給与に該当し,その額が当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入されるためには,その役員給与がその役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の事前の定めに基づいて支給する給与であることと,政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長にその事前の定めの内容に関する届出がされていることとを要するところ,その規定の文言の合理的解釈として,役員給与がこれらの要件を満たすためには,当該役員給与の支給が所轄税務署長に届出がされた事前の定めのとおりにされることを要するというべきところ,当該役員給与の支給が所轄税務署長に届出がされた事前の定めのとおりにされたか否かは,特別の事情がない限り,個々の支給ごとに判定すべきものではなく,当該職務執行期間の全期間を一個の単位として判定すべきものであって,当該職務執行期間に係る当初事業年度又は翌事業年度における全ての支給が事前の定めのとおりにされたときに限り,当該役員給与の支給は事前の定めのとおりにされたこととなり,当該職務執行期間に係る当初事業年度又は翌事業年度における支給中に1回でも事前の定めのとおりにされたものではないものがあるときには,当該役員給与の支給は全体として事前の定めのとおりにされなかったこととなると解するのが相当であるとした上,前記役員給与のうち夏季賞与の支給が所轄税務署長に届出がされた事前の定めのとおりにされなかったのであり,前記特別の事情も認められないから,前記冬季賞与を含む前記役員給与は同号の事前確定届出給与に該当しないとして,前記更正処分を適法とした事例

 

【掲載誌】  税務訴訟資料262号順号12060

       LLI/DB 判例秘書登載

 

【評釈論文】 ジュリスト1480号127頁

       税経通信68巻10号183頁

       税務弘報62巻3号136頁

 

       主   文

 

  1 原告の請求をいずれも棄却する。

  2 訴訟費用は原告の負担とする。

 

        事実及び理由

 

 第1 請求

    川崎北税務署長が原告に対して平成22年6月29日付けでした原告の平成20年10月1日から平成21年9月30日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の法人税の更正のうち欠損金額2360万8639円,欠損金の繰戻しによる還付金額473万8116円をそれぞれ下回る部分及び過少申告加算税の賦課決定をいずれも取り消す。

 第2 事案の概要

    本件は,超硬工具の製造及び販売等を業とする内国法人である原告が,本件事業年度中にその代表取締役及び取締役に対して支給した役員給与のうち冬季賞与は法人税法34条1項2号の事前確定届出給与に該当し,その額は原告の本件事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入されるとして,本件事業年度の法人税の確定申告をしたところ,川崎北税務署長(処分行政庁)から,平成22年6月29日付けで,上記冬季賞与は事前確定届出給与に該当せず,その額は原告の本件事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入されないという理由により,法人税の更正(以下「本件更正」という。)及び過少申告加算税の賦課決定(以下「本件賦課決定」といい,本件更正と併せて「本件更正等」という。)を受けたため,本件更正等は法人税法34条1項2号の事前確定届出給与該当性の判断を誤った違法な処分であると主張し,処分行政庁の所属する国を被告として,本件更正のうち上記申告に係る欠損金額等を下回る部分及び本件賦課決定の各取消しを求める事案である。

  1 関係法令の定め等

    本件の関係法令の定め等は別紙1(関係法令の定め等)のとおりである。なお,別紙1の中で定めた言葉の意味は,以下の本文中においても同一の意味であるものとする。

  2 前提事実(顕著な事実,争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお,号証番号の枝番は,特に必要がない限り省略する。以下同じ。)

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更正及び加算税賦課決定取消請求控訴事件

租税判例百選7版 87事件 佐藤修二 入門64頁

【事件番号】 東京高等裁判所判決/平成24年(行コ)第124号

【判決日付】 平成25年2月28日

【判示事項】 被控訴人らの相続税の申告に対し,税務署長が,更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分,被控訴人らがその取消しを求め,原審が,請求を認容したのに対し,控訴した事案。「取引相場のない株式」について,類似業種比準方式による評価にするか(原審),株式保有特定会社として純資産方式等の特別の評価方式にするか(本件更正処分)が争点。控訴審は,大会社につき,株式保有割合が25%以上である会社を一律に株式保有特定会社とし,特別な評価方式によるとした判定基準は,本件相続開始時では合理性を有していたとは言えない。その企業の規模,実態等を総合して判断すべきで,本件対象の企業は,上場会社に匹敵し,原則的評価方式である類似業種比準方式を用いるべきであるから,原判決は相当であるとし,控訴を棄却した事例

【掲載誌】  税務訴訟資料263号順号12157

       LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】 税研170号84頁

       税研178号188頁

       税経通信68巻9号38頁

       税務弘報61巻8号115頁

       主   文

  本件控訴をいずれも棄却する。

  控訴費用は,控訴人の負担とする。

        事実及び理由

 第1 控訴の趣旨

  1 原判決を取り消す。

  2 被控訴人らの請求をいずれも棄却する。

  3 訴訟費用は,第1,2審を通じ,被控訴人らの負担とする。

 第2 事案の概要

  1 本件は,被控訴人らが,平成▲年▲月▲日にA(以下「亡A」という。)が死亡したことによって開始した相続(以下「本件相続」という。)に係る相続税を申告したところ,処分行政庁江東東税務署長から,平成19年2月13日付けで原判決別紙A「処分目録」記載1ないし5の各(1)記載の各相続税に係る更正処分及び同各(2)記載の各過少申告加算税賦課決定処分(同別紙記載1ないし5の各括弧書内の一部取消し及び減額の前後を問わず,上記の各相続税に係る更正処分を以下「本件各更正処分」と,上記の各過少申告加算税賦課決定処分を以下「本件各賦課決定処分」といい,こられを併せて以下「本件各処分」という。)を受けたことにつき,①本件各更正処分は,本件相続に係る相続財産中の株式会社B(以下「B」という。)及びC株式会社(以下「C」といい,Bと併せて「本件各会社」という。)の各株式の価額の評価を誤ってされたもので,相続税法22条に違反する,②仮に①が認められなかったとしても,被控訴人らは申告に係る納付すべき相続税額が過少であったことにつき国税通則法65条4項にいう正当な理由があったなどと主張し,本件各更正処分及び本件各賦課決定処分の取消しを求める事案である。

    本件においては,本件各会社の各株式がいずれも取引相場のない株式であることからその評価方式が問題とされ,相続財産の時価の算定方式等について定めた財産評価基本通達(評価通達)において,取引相場のない大会社(評価通達178)の株式の価額の算定については,原則として類似業種比準方式によって評価することとしているが,株式保有割合が一定以上の会社を「株式保有特定会社」と定義して,その会社の株式の価額につき,いわゆる純資産評価方式又はS1+S2方式という特別の評価方式によって評価するとしていることから,Bが評価通達にいう「株式保有特定会社」に該当するか否かが主要な争点となっている。

    原審は,Bが株式保有特定会社とするものとして特別の方式でその株式を評価するのは相当ではなく,その評価について原則的評価方式である類似業種比準方式によるべきであり,これを特別の方式で評価することを前提とした本件各更正処分における各株式の評価は誤りであるとして,被控訴人らの①の主張を認め,被控訴人らの請求をいずれも認容した。そこで,控訴人がこれを不服として控訴した。

  2 本件における関係法令等の定め,判断の前提となる事実,本件各処分の根拠及び適法性に関する控訴人の主張,相続税額に関する被控訴人らの主張並びに本件の争点及びこれに関する当事者の主張の要点は,当審における当事者の補足主張を3のとおり加えるほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要等」の2ないし6に記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,上記引用部分中,「原告」とあるのを「被控訴人」と,「被告」とあるのを「控訴人」と,「別紙」とあるのを「原判決別紙」とそれぞれ読み替える。以下の引用部分において同じ。)。

  3 当審における当事者の補足主張

   (1) 控訴人の主張

    ア 評価通達189の(2)の定めのうち,大会社につき株式保有割合が25%以上である評価会社を一律に株式保有特定会社とする部分(本件判定基準)が本件相続開始時においても合理性があることについて

    (ア) 評価通達の平成2年改正により株式保有特定会社の株式について特別の評価方式が定められた趣旨は,従前から,資金構成が類似業種比準方式における標本会社に比して著しく株式等に偏っている評価会社の株式の価額は,その保有する株式等の価値に依存する割合が高いものと考えられていたものの,取引相場のない株式の評価に用いられる類似業種比準方式(評価通達180)は,評価会社の保有資産を時価評価することなく株式の価額を評価するもので,比準要素の一つである簿価純資産価額にも株式等の含み益が反映されていないため,評価通達179所定の会社の規模区分に応じた原則的評価方式である類似業種比準方式によっては,それによる評価額と適正な時価との間に看過できない開差が生じ,適正な株式価額の評価が困難であるという問題があったため,課税の公平の観点から,そのような開差の是正及び株式の価額の評価の一層の適正化を図ることを目的としたものである。そして,同改正においては,資産構成が類似業種比準方式における標本会社に比して著しく株式等に偏っている会社を株式保有特定会社と定義し,その株式の価額につき,①当該会社の有する資産の価値を的確に反映できる評価方式である純資産価格方式又は②株式保有特定会社の事業の実態を株式の価額の評価に反映されるために部分的に類似業種比準方式を取り入れた評価方式であるS1+S2方式によるべきこととした。このS1+S2方式は,S2の金額(保有株式等のみを純資産価額方式により評価した金額)の計算において保有株式等の含み益も評価の対象としつつ,S1の金額(保有株式等の影響を排除した上で原則的評価方式により評価した金額)の計算において当該会社の事業の実態を株式の価額の評価に反映させるために,部分的に類似業種比準方式を取り入れるという合理的なものである。

     (イ) ところで,評価の対象となる会社が保有する株式等に係る含み益を当該会社の発行株式の評価に可能な限り反映させるべきであるとの立場からすれば,株式保有割合の多寡にかかわらず,全ての会社について評価通達189-3所定の方式(純資産価額方式又はS1+S2方式)で評価すべきことになるが,他方,株式等を僅かに保有する会社を含め,全ての評価会社の株式を上記の方式で評価することを要求することは煩瑣であり,画一的で簡便な評価基準を定め納税者の事務負担を軽減するという評価通達に求められる簡便性の要請という観点からは相当ではない。そこで,評価通達189の(2)は,取引相場のない株式について,評価会社の資産構成がよほど株式等に偏った会社でない限り,評価の画一性・簡便性(納税者の便宜)の要請を重視して,その株式の価額を簡便な方法(類似業種比準方式)により評価することを認めるものとした上で,その資産構成が平均的な会社に比べ著しく株式等に偏っていると認められる一部の例外的な会社については,適正評価の要請を重視し,その保有株式等の含み益を反映させた純資産価額方式又はS1+S2方式により評価すべきものとした。また,取引相場のない株式のうち大会社の株式については,平成2年当時の法人企業統計等によれば,資本金10億円以上の会社の株式保有割合が平均約7.88%であったことから,一般的な会社の保有株式割合の数値の3ないし4倍以上の数値となる株式保有割合25%以上の会社の株式を,その資産構成が平均的な会社に比べ著しく偏っている会社の株式として,例外的に純資産価額方式又はS1+S2方式により評価すべきとした。

     (ウ) 法人企業統計(乙第12号証の2,第13号証)に基づき,平成2年度及び平成15年度の全ての業種の営利法人(ただし,金融業及び保険業を除く。)における株式保有割合等を詳細に分析してみると,その結果は,本判決別表1-1及び同1-2のとおりであり,まず,概ね資本金5000万円以上に属する会社が評価通達の指標を満たす大会社に相当する会社とみることができ(同別表1-1及び1-2の「⑦1社当たりの総資産」欄,「⑨1社当たりの従業員数」欄参照。),平成2年度における資本金5000万円以上の法人数5万5402社のうち,資本金5000万円以上10億円未満の法人数5万1597社が占める割合は約93.1%であり,平成15年度における資本金5000万円以上の法人数8万3883社のうち,資本金5000万円以上10億円未満の法人数7万8197社が占める割合は約93.2%であって,いずれの年度においても,資本金5000万円以上10億円未満の法人が,大会社に相当する会社の大部分を占めていることがわかる。そして,そのうち,資本金5000万円以上1億円未満の会社における株式保有割合をみると,平成2年度が4.8%であるのに対し,平成15年度が5.5%となっており,資本金1億円以上10億円未満の会社における株式保有割合も,平成2年度及び平成15年度のいずれも5.8%となっている(同別表1-1及び1-2の各「⑩株式の保有割合(②/③)」欄参照)。すなわち,評価通達上の大会社に相当する会社の大半(約93%)を占める資本金5000万円以上10億円未満の会社の株式保有割合については,いずれの年度においても5%前後となっており,平成2年度と平成15年度との比較において,有意な差異は認められない。さらに,資本金10億円以上の会社を含めてみた場合であっても,平成15年度の資本金5000万円以上の会社に係る株式保有割合は13.1%であり(同別表1-2の「⑩株式の保有割合(②/③)」欄),この数値は,平成2年度の株式保有割合である8.6%(同別表1-1の「⑩株式の保有割合(②/③)」欄)と比較して上昇しているものの,本件判定基準である25%のほぼ半分程度にとどまっている。

     (エ) 評価通達上,大会社の株式に適用される原則的評価方式は類似業種比準方式とされているところ(評価通達179の(1)),類似業種比準価額計算上の類似業種の株価等の計算の基となる標本会社は,金融商品取引所に株式を上場している全ての会社であり,株式会社Dデータベース営業部が上場企業の有価証券報告書に記載される財務情報をとりまとめデータベース化した「E(確報版)」によれば,上場会社の株式保有割合の平均は,それぞれ平成2年度が12.2%,平成15年度が13.6%となっており(本判決別表2-1,2の各「平均」欄),また,株式保有割合の会社数の分布をみると,15%未満の会社の割合は,平成2年度は70.6%であり,平成15年度は69.0%であって,いずれの年度においても上場会社全体の約70%を占めているし,株式保有割合が10%未満の会社の割合も,平成2年度は47.8%であり,平成15年度は52.1%であって,いずれの年度においても上場会社全体の約50%を占めている。これらの結果からしても,本件相続開始時において,大会社で株式保有割合が25%以上であるような評価会社は,類似業種比準方式において標本会社となる通常の上場会社に比べて,資産構成が著しく偏ったものといえる。

     (オ) 以上のとおりであるから,株式保有割合が25%以上である大会社を一律に株式保有会社とする本件判定基準は,本件相続開始時においてもなお合理性を有するものであり,これを否定した原判決の判断は誤りである。

イ 独占禁止法上の規制は本件相続開始時における本件判定基準の合理性を否定する根拠とならないことについて

    (ア) 独占禁止法は,その1条(目的)において,「私的独占,不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し,事業支配力の過度の集中を防止して,結合,協定等の方法による生産,販売,価格,技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより,公正且つ自由な競争を促進し,事業者の創意を発揮させ,事業活動を盛んにし,雇傭及び国民実所得の水準を高め,以て,一般消費者の利益を確保するとともに,国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする」と規定しているとおり,事業支配力の過度の集中を防止して,公正かつ自由な競争を促進し,国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とするものである。したがって,独占禁止法が子会社株式の保有に関して一定の基準を設け,特別な規制をしているとしても,それは同法の趣旨・目的を実現するためのものであって,その規制の基準や内容をもって,それとは異なる趣旨・目的の下に定められた株式保有割合25%という本件判定基準の合理性の有無を判断することができないことは明らかである。

     (イ) また,独占禁止法9条4項1号における「子会社」とは,同条5項により「会社がその総株主の議決権の過半数を有する他の国内の会社」に限定されており,株式の持合関係のある会社間であっても議決権の有無又は割合によって上記規制の対象にならないものであるのに対し,評価通達における「株式保有特定会社」とは,課税時期において評価会社の有する各資産をこの通達の定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める株式及び出資の価額の合計額の割合が25%である評価会社(評価通達189の(2))であり,その該当性を判断するに当たっては,議決権の有無や割合にかかわらず,全ての株式の保有割合をもって判定するものであるから,独占禁止法において持株会社とされる基準の割合と株式保有特定会社に係る本件判定基準の割合とでは,その判定の対象となる会社が異なっており,これらを同列に並べて比較することに意味はない。

     (ウ) 以上のとおり,独占禁止法上の規制の内容は,本件相続開始時における本件判定基準の合理性を否定する根拠となるものではなく,その合理性を否定する根拠の一つとして,独占禁止法上,子会社の株式の取得価額の合計額の当該会社の総資産の額に対する割合が100分の50を超える会社が持株会社とされ,特別な規制がされていること(同法9条4項1号)を挙げる原判決の判断は誤りである。

    ウ Bが株式保有特定会社に該当するか否かの判断において原判決が掲げる企業規模・事業実態等はその考慮要素とならないことについて

     原判決がBの事業実態等として掲げる諸点のうち枢要なものは,①資本金の額,②総資産価額(帳簿価額),③従業員数,④直前期末以前1年間における取引金額,⑤業界内での市場シェア,及び⑥株式時価総額であるところ,②ないし④については,評価通達178における会社の規模(大・中・小会社)の判定に用いられる基準と同じものであり,これらの基準により大会社と判定された上で株式保有特定会社に該当するか否かが判定されるべきBについて,会社規模を判定する基準である上記各基準をもって重ねて株式保有特定会社の該当性を判定する意義は認められないところ,①については,②及び④と同様に会社規模を量る基準であり,株式保有特定会社該当性を判断するに当たって独自の意義を有するものではない。⑤についても,これが株式保有特定会社該当性の判断,換言すると,類似業種比準方式を用いることが適切か否かの判断について,いかなる意味を有するか不明であり,さらに,⑥についても,原判決は,本件裁決において認定されたB株式の価額及び本件申告に係るB株式の価額と,甲第6号証によって認定した「(類似業種比準価額の計算において用いられる)標本会社たる上場会社(平成16年3月31日時点における)株式の時価総額の大部分」を比較すると,前者が後者を上回っていることから,Bの企業としての規模や事業の実態等は上場会社に匹敵するものであったと結論づけているが,評価通達178所定の基準により大会社と判定されたBが株式保有特定会社に該当するか否かという本件における争点を検討する際には,Bの企業規模や事業実態は,何ら独自の意義を持つものではない。Bは非上場の同族会社であり,同社の発行株式は公開の市場で自由に取引される上場株式とは純然たる相違があるから,事業規模やその実態がいわゆる上場企業と同様であることのみをもって,B株式につき上場株式の取引価額に準じた価額(類似業種比準方式によって評価した価額)で評価されるべきとの結論が導かれるものではない。

      以上のとおり,Bが株式保有特定会社に該当するか否かを判断するに当たり,本件判定基準に加えて,上記①ないし⑥のような評価会社の事業実態等を考慮要素とすることには意味がなく,このような考慮要素を判断基準に取り込むことは,かえって,いたずらに判断基準を複雑にし,課税処分を迅速に行うことを困難にさせることになり,相当ではない。

    エ 租税回避行為の弊害の有無を主たる考慮要素として株式保有特定会社に該当するか否かを個別的に判断することが誤りであることについて

     原判決は,租税回避行為の弊害を考慮要素として挙げた上で,B株式の価額の評価に関して,原則的評価方式による評価額と適正な時価との間の開差を利用したいわゆる租税回避行為の弊害を危惧しなければならないものとはいい難いとして,Bの事業実態等を踏まえ,同社はその株式の価額の評価において株式保有特定会社に該当するものとは認めるに足りないと結論づけているが,評価通達の平成2年改正の趣旨は,あくまで株式取引等の実態に照らし,株式及び出資の評価の適正化を図ったものであって,租税回避を封じることを主たる目的としたものではなく,このことは,国税庁が定める平成2年12月27日付け直評23ほか「取引相場のない株式(出資)の評価明細書の記載方法等」通達(平成18年12月22日課評2-31ほかによる改正前のもの)の「第5表 1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算明細書」の2(1)ヘ(イ)において,株式保有特定会社該当性の判断に係る同評価明細書第5表「株式及び出資の価額の合計額」欄の(〈イ〉)の金額に記載する株式等の相続税評価額の合計額について,「所有目的又は所有期間のいかんにかかわらず,すべての株式等の相続税評価額を合計します。」(乙第4号証)と記載され,本件判定基準において保有株式に係る所有目的や所有期間は考慮されていないことからも明らかである。確かに,評価通達の平成2年改正時において,上場株式等をいわゆる持株会社に移転させて,類似業種比準方式の適用によって評価額の引き下げを図るという手法が問題化していたという背景はあったものの,そのことは評価通達改正のきっかけにすぎず,株式保有特定会社に該当するか否かを判断するに当たって租税回避行為の弊害を考慮要素として重視することは,上記評価通達改正の趣旨を離れて新たに独自の要件を付加することになり,相当ではない。

      また,原判決の判断を前提とすれば,相続財産である取引相場のない株式については,評価通達が定める会社の規模区分や株式保有割合等の客観的な基準によって財産の評価方式を定めることができず,当該会社の企業としての規模,事業実態等を踏まえ,原則的評価方式と適正時価との開差を利用した租税回避行為の弊害を危惧しなければならない事案であるか否かを個別事案ごとに判定し,原則的評価方式によるべきか評価通達189-3が定める評価方式によるべきかを決することが必要となるが,その考慮要素は,基準として曖昧であり,その基準に従った場合は,客観的交換価値の把握がそもそも困難な取引相場のない株式について,公正で適切な評価を迅速に行うことが困難となる事態を招きかねない。

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