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弁護人の同意だけでは刑訴法326条1項の適用ができない場合についての大阪高裁平成8年判決

 

原審判決の証拠の標目のひとつでも違法があれば破棄がねらえ、控訴審での未決勾留日数の法定算入がねらえますから控訴のときにしっておかねばならないテクニックです。

 

刑訴法百選の8版には採用されています。現行のものではどうでしょうか。

刑事訴訟法判例百選 第9版 89事件 第10版 2017年 86事件 11版A41

 

 

覚せい剤取締法違反被告事件

【事件番号】 大阪高等裁判所判決/平成8年(う)第653号

【判決日付】 平成8年11月27日

【判示事項】 被告人が公訴事実を否認している場合には、検察官請求証拠につき弁護人が関係証拠に同意しても、被告人の否認の陳述の趣旨を無意味に帰せしむるような内容の証拠については、弁護人の同意の意見のみにより被告人がこれら証拠に同意したことになるものではないと解されるとして、刑訴法326条1項の適用を誤った違法があることを理由に原判決を破棄した事例

【参照条文】 刑事訴訟法326

       刑事訴訟法379

       刑事訴訟法397

【掲載誌】  判例時報1603号151頁

【評釈論文】 ジュリスト臨時増刊1135号190頁

 

       主   文

 

  原判決を破棄する。

  被告人を懲役一年四月に処する。

  原審における未決勾留日数中二〇日を右刑に算入する。

  押収してある覚せい剤白色結晶一袋(当庁平成八年押第一二七号の1)を没収する。

 

        理   由

  本件控訴の趣意は、弁護人永野彰作成の控訴趣意書に記載のとおりであるから、これを引用するが、論旨は、事実誤認及び量刑不当の主張である。

  論旨に対する判断に先立ち職権をもって案ずるに、記録によると、本件公訴事実は、「第一 法定の除外事由がないのに、平成八年二月二四日ころから同年三月四日ころまでの間、大阪府下若しくはその周辺において、フェニルメチルアミノプロパン又はその塩類を含有する覚せい剤若干量を自己の身体に摂取し、もって、覚せい剤を使用し、第二 みだりに、同月四日午後一〇時八分頃、大阪市西成区萩之茶屋一丁目七番七号路上において、フェニルメチルアミノプロパン塩酸塩を含有する覚せい剤結晶約〇・三一一グラムを所持したものである。」との覚せい剤取締法違反の事実であるところ、

(1)被告人は、原審一回公判期日における被告事件に対する陳述において、公訴事実第一につき、覚せい剤を使用した事実はない、公訴事実第二記つき、覚せい剤を所持していたことは間違いないが、それが覚せい剤であるとの認識はなかった旨陳述し、弁護人は、被告人の述べたところと同じであると述べた。(3)次いで検察官は、冒頭陳述において、公訴事実第二に関する被告人の弁明内容につき、大要、「被告人は、警察官から職務質問され所持品の提示を求められた際、本件覚せい剤が在中するポリ袋を足元に投棄するのを警察官らに現認され、覚せい剤所持で現行犯人逮捕された。被告人は逮捕後の弁解録取や勾留質問の際には本件覚せい剤所持の事実を認めていたが、勾留された後は、付近の公衆電話台の上にあった千円札数枚を拾い上着ポケットに入れていたが、本件覚せい剤はその二つ折れになっていた千円札に挟まっていたもので、警察官に職務質問を受けた際に始めて気付いたと弁解し、覚せい剤所持の犯意を否認している」ものであることを明らかにした。(3)弁護人は各公訴事実についての検察官請求証拠に全部同意し、原審裁判所は検察官請求の全証拠を採用して取調べ、弁護人及び検察官双方から被告人質問がなされ、そして、原判決は、これら証拠に基づいて各公訴事実を認定し、被告人を有罪としたことが明らかである。

ところで、被告人が公訴事実を否認している場合には、検察官請求証拠につき弁護人が関係証拠に同意しても、被告人の否認の陳述の趣旨を無意味に帰せしめるような内容の証拠については、弁護人の同意の意見のみにより被告人がこれら証拠に同意したことになるものではないと解される。

 本件の場合、被告人は原判示第二の覚せい剤所持の事実につき、覚せい剤であることの認識はなかった旨具体的に争っており、前記の弁解内容に照らし、被告人の否認の陳述の趣旨を無意味に帰せしめるような内容の証拠、すなわち、公訴事実第二の覚せい剤所持の事実に関する証拠の中、被告人に覚せい剤であるとの認識があった旨の立証に資する司法巡査作成の現行犯人逮捕手続書(原審検察官請求証拠番号1)、被告人を現行犯逮捕した警察官であるA及びBの各検察官調書(同番号8、9、10)については、右弁護人の同意の意見によって被告人の同意があったとすることはできず、従って、被告人の意思に沿うものか否か確認することなく、直ちにこれら証拠を同意証書として取調べ事実認定の資料とした原判決には、刑訴法三二六条一項の適用を誤った違法があるものと言うべきである。そして、これら証拠を除いては原判示第二事実は認定することができず、且つ、原判決は原判示第一及び第二の各事実を併合罪の関係にあるものとして一個の刑を科しているから、原判決は全部破棄を免れない(なお、被告人は原判示第一の覚せい剤自己使用の事実についても、前記のように否認しているが、具体的主張のないその否認態様等にかんがみ、弁護人が、同意した被告人の尿に関する鑑定書(同番号18)を含む関係証拠は、右否認の陳述の趣旨を無意味に帰せしめるような内容の証拠ではないから、弁護人の同意の意見のみで、被告人の同意があったものとしたことに違法・不当はない。)。

 よって、刑訴法三九七条一項、三七九条により原判決を破棄し、当審における事実取調べの結果をも総合して同法四〇〇条但書により更に次のとおり判決する。

 一 (罪となるべき事実)

  第一の事実は、原判決が認定した第一の事実と同一であるから、これを引用し、第二として、

  みだりに、同月四日午後一〇時過ぎ頃、大阪市西成区萩之茶屋一丁目七番七号先路上において、フェニルメチルアミノプロパン塩酸塩を含有する覚せい剤結晶約〇・三一一グラム(当庁平成八年押第一二七号の1はその鑑定残量)を所持したものである。

 二 (証拠の標目)《略》

 三 (弁護人の主張について)

  弁護人の控訴趣意にかんがみ、当裁判所の事実認定について、若干の補足説明をする。

  被告人は、判示第一の覚せい剤自己使用の事実につき、覚せい剤を使用したことはないというが、関係証拠によると、原判決が補足説明一において説示するところと同一の理由により、右事実はこれを認定するに十分である。

  更に、被告人は、判示第二の覚せい剤所持の事実につき、前記のように、覚せい剤所持の事実は認めながら、その所持の認識がなかった旨弁解する。しかし、右覚せい剤所持の事実は、西成警察署の警察官である当審証人A及び同Bの各証言など関係証拠により認められる、被告人が本件覚せい剤所持の事実により現行犯逮捕されるに至った経過・状況など、ことに、被告人がAら警察官らにより職務質問され所持品の提示を求められた際、それまで被告人の上着右ポケットに入れて所持していた本件覚せい剤(ポリ袋に在中のもの)を密かに取り出して足元に投棄し、これを警察官らにより現認されている事実などに照らし、明らかであるというべきである。被告人は、前記のように、本件覚せい剤は付近の公衆電話台で数枚の千円札などと共に拾ったが、職務質問を受けるまで知らなかったというが、右弁解は、右電話の設置状況などとも矛盾し、それ自体不自然、不合理であり、信用できない。

  右のとおりであって、前掲各証拠によれば、判示各事実を認めるに十分である。

 四 (法令の適用)

  被告人の判示第一の所為は覚せい剤取締法四一条の三第一項一号、一九条に、判示第二の所為は同法四一条の二第一項にそれぞれ該当するところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人を懲役一年四月に処し、同法二一条を適用して原審の未決勾留日数中二〇日を右刑に算入し、押収してあるポリ袋入り覚せい剤白色結晶一袋(当庁平成八年押第一二七号の1)は、判示第二の罪にかかる覚せい剤で犯人の所持するものであるから、覚せい剤取締法四一条の八第一項本文によりこれを没収し、原審及び当審の訴訟費用については、刑訴法一八一条一項但書を適用して被告人に負担させないこととし、主文のとおり判決する。

 (裁判長裁判官 田崎文夫 裁判官 久米喜三郎)

  裁判官小倉正三は、長期出張のため、署名押印できない。

 (裁判長裁判官 田崎文夫)

 

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