岡本法律事務所のブログ

カテゴリ: 民事訴訟法

会社法判例百選第3版 3 法人格の否認 最高裁昭和44年2月27日第一小法廷判決です。民集判例です。重要判例の地位を45年間しめています。解説は後藤専修大学教授です。法人格否認の法理は、いまは名誉教授となった江頭東京大学名誉教授・森本京都大学名誉教授が助手時代の研究テーマです。学会の通説と判例がずれているところです。法理の類型や手続法への影響までありますが、民法の法人のところと民事訴訟法の手続保障について学んでから読みましょう。

 訴訟書類・特別送達と郵便史

 

                   弁護士 岡本 哲

1 総説

 訴訟書類・特別送達

 訴訟書類郵便とは、主として司法機関の差出により民事訴訟法・刑事訴訟法・行政裁判法等による訴訟書類等を郵便によって送達し、その送達の事実を差出人に証明する制度である。実際は「訴訟」書類でないものも送達されていた。特別送達は、主として司法機関の差出により民事訴訟法・刑事訴訟法等よる方法によって送達し、その送達の事実を差出人に証明する制度である。

訴訟書類は1891(明治24)年からはじまる。1891(明治24)年11日に民事訴訟法が施行され、同法136条により「裁判所書記は、訴訟書類の送達を執達吏に委託すると共に、郵便によっても送達できる」旨が定められた。そして、公達第237号による「訴訟書類郵便送達手続」が1991(明治24)年7月1日に施行され、訴訟書類郵便制度が設立された。1897(明治30)年6月には、海員審判所の審判用書類についても訴訟書類郵便送達手続によって送達できるようになった。

1909(明治42)年11月1日には「特許審判書類特別取扱郵便規則」が施行され、特許法・意匠法・商標法・実用新案法に基づき特許局から送達される審判、抗告審判又は権利確認の査定に関する書類等についても郵便による送達の取扱いが開始された。

1923(大正11)年1月11日に「特許審判及び審査書類特別取扱郵便規則」が施行され、第1号審判書類と審査書類に名称変更された。

1929(昭和4)年10月1日には新たに「訴訟、審判及び審査書類郵便規則」及び同郵便取扱規程が施行され、訴訟書類と審判・審査書類の郵便送達に関する規則が統合された。この規則を規定している法律は民事訴訟法、刑事訴訟法、陸軍軍法会議法、海軍軍法会議法、行政裁判法、海員懲戒法、特許法、実用新案法、意匠法、商標法である。

1938(昭和13)年5月1日に郵便規則が改正され、10種に分かれていた郵便関係規則が統合された。訴訟、審判及び審査書類の根拠省令も郵便規則にまとめられた。新たに、破産法や和議法の書類も郵便送達の対象となった。

1947(昭和22)年5月3日に昭和憲法が施行され、司法改革がなされた。法域が6カ所あったのが内地1つとなり、外地の司法機能は廃止され、大審院は最高裁判所となった。家庭審判所・家庭裁判所制度が新設された。

1948(昭和23)年1月1日には「郵便法」が施行され、「訴訟、審判及び審査書類郵便」が「特別送達」と改称された。従来、省令で定められていたものが法律として明定された。

特別送達の根拠となる法律は、民事訴訟法、刑事訴訟法、破産法、民事再生法、特許法、実用新案法、意匠法、商標法、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、公証人法、土地収用法施行令等である。

 憲法と裁判所に関する法律との関連でいえば、訴訟書類は1891(明治24)年から開始された制度であり、1889年(明治22年)の大日本帝国憲法・1890年(明治23年)の裁判所構成法をうけたものである。訴訟書類郵便は1948(昭和23)年に特別送達に受け継がれかたちで終了した。明治憲法・裁判所構成法とほぼ運命をともにした制度である。特別送達は現在もつかわれている。特別送達は昭和憲法・裁判所法とともにあるといえる。

 

 

2 郵便史

郵便史としては切手・消印の組み合わせだけでも楽しむことができるが、法域・差出人のバラエティを日本法制史の知識をもとにみるとより興味がわくものと思われる。

2-2 郵便史として  下級官吏による公証をささえた背景

訴訟書類・特別送達は、内容について裁判所書記官が公証し、訴訟書類・特別送達・内容証明・配達証明は送達について郵便局職員が公証する制度であり、日本及びその関連地独特の制度である。

 

このような下級官吏がなぜ公証できたのか。(かえりみるに、外国も含め、一般的に公証人は法曹のエリート層がなっている) それをささえた社会的条件とはなにか。

まず、郵便局員が公証可能であった理由は何であろうか。

その下部構造として江戸時代以降、内地では郵便でも運輸でも事故がすくなく信頼して使われていた。現在でも現金書留がある国は世界でも珍しい。

内地では1871年の時点で1000年のあいだメンバー固定制の安定した農耕社会が築かれ、17世紀半ば以降戦争もなくなり、他民族による征服もなく犯罪の少ない持続可能な生活が続いていた。

外地については、内地のような1000年のメンバー固定の安定した社会はない。植民地の発展にともない日本の官吏による郵便局の制度が整うと訴訟書類も利用されるようになっていく。植民地発展段階では試験登用型給与国家支給型長期安定雇用の近代的官吏が実権をにぎるようになっており、メリットクラシーを全面的のおしだしたうえでの汚職のすくない官僚制度が機能していた。

司法の郵便利用であるが、日本の場合は司法の独立のさいに近代的郵便制度が信頼できるかたちで存在した歴史的経緯もある。大航海時代・産業革命による取引の高度化・司法の発展が郵便制度より先行した英国では当事者主義による送達が用いられ、ドイツでは弁護士強制により弁護士の事務所への送達でまかなえるようにしていた。日本では弁護士制度の未発達もあり、当事者本人へ送達する必要があるため、職権送達のうえで郵便による送達が主流になった。執行官送達の10分の1程度のコストであったと推測される。

 

明治に先立つ江戸期の社会について

江戸期・明治期を通じて戦乱のない生産性の高い密集型農耕社会であり。定住性が強く個人は人別帳として寺社等で管理され、相互監視もつよく、犯罪の少ない社会が築かれていた。

 通信については、250年間の平和、手紙のやりとりによる年貢米の管理のため書類のやりとりに関して控えをとる慣習が成立し、各宿ごとに信頼できる飛脚の通信網ができていた。市民の移動は原則として自由ではなく民衆の9割ちかくが土地に定着した農民であったため民衆による自治が機能しており治安はまもられていた。識字率も高く、犯罪者などだした場合一族の恥として子子孫孫まで伝えられるとおそれられていた。

 明治期には地方名望家を郵便局長にしたうで搬送ルートが確立したため、郵便事故は家の恥とされ、不祥事はすくなかった。

 また識字率が高く郵便局の下級職員でも字をよむことができたこと、試験採用のため仕事に対するほこりがあったこと、そのため公証業務等の分掌も可能となった。このため配達証明・引受時刻証明・訴訟書類・特別送達の送達に関する公証機能をなしうるマンパワーがあったわけである。

農耕国家で密集したなかで、ひとびとの移動がすくなく、犯罪者がでると一族郎党の恥とする考えかたは江戸期以降いまでもいきている。郵便官僚は一種の世襲的なグループである。そして、つとめあげたひとびとは褒章などの栄誉がまっていた。

 岡山県岡山市には逓信博物館分館の坂野記念館がある。これは100年以上前の岡山県出身の郵政官僚である。一族で栄誉をたたえられることも立派な仕事をするインセンティヴになっていたと思われる。

 

3 日本法制史の観点からの解説

3-1 日本の司法

日本及びその植民地独特の制度である訴訟書類・特別送達はなぜ生じ、なぜ現在におけるまで支持され続いているのであろうか。

いずれも諸外国にくらべて安価な公証システムであり。不祥事がほとんどない、日本や韓国・台湾の鉄道の精密な運航にも比肩しうるものである。

これを可能にした社会的背景については既に述べたとおり構成員のいれかわりのすくない安定した社会と汚職のすくない官僚機構の存在がある。また郵便制度が司法権に先行した偶然もあった。

3-2 日本の司法

1873(明治6)年から岡本コレクションがはじまっているのは、司法あるいは裁判所という名称が郵便物にでてくるはじめのものだからである。

司法省・裁判所の名称は1971(明治4)年からあるが、このアイテムが2012(平成24)年現在最古である。明治維新前まで行政から独立した裁判所というものはなかったからであり、裁判所差出郵便を訴訟書類のフォラランナーとみている。

 

質問 破産手続開始決定があった場合、財産はどのような取扱を受けるのでしょうか。

回答 長谷さん手続き開始決定があった場合には、破産者は破産財団に属する財産の管理処分権を失い、この権限は管財人に専属することになります(破産法78条1項)。個人破産の場合には、破産財団に属さない財産(破産法34条3項4項)および開始決定後の新たな経済活動により得た財産(新得財産)は、自由財産として破産者個人の管理処分権に服することになります。


 

質問 負債がおおきくなってしまい、稼ぎもおいつかないので、破産することを考えています。破産した場合、身上(一身に関する事柄)はどう変化するのでしょうか。

回答 ①居住制限、引致の危険、②通信の秘密の制限、③資格制限を受けます。

    居住制限というのは、裁判所の許可をえなければその居住地を離れることができない(破産法37条1項)。破産者の説明義務をつくさせるためには破産者の身柄確保が必要になることがあるからです。

引致とは、刑事訴訟法上の勾引に準ずる手続で強制的につれてくることです(破産法38条5項)。

    通信の秘密の制限は、管財人がある場合に生じます。

裁判所は管財人の職務の遂行のため必要と認めるときは、郵便物等を管財人に配達すべき旨を嘱託することができます(破産法81条1項)。

実際はほとんどの場合嘱託がなされます。破産者は、管財人に対して郵便物等の閲覧をもとめ、財団に属しない郵便物等の交付を求めることができます(破産法82条2項)。裁判所は破産者の申立または職権により、管財人の意見をきいたうえで、この嘱託を取り消すこともできます(破産法81条2項)。破産手続が修了したときは、裁判所はこの嘱託を取り消す必要があります(破産法81条3項)。

    資格制限

破産者の資格制限については破産法に規定がなく、それぞれの資格を定めた法律によって規定されます。生命保険外務員・証券取引外務員・宅地建物取引業などの他人の財産を扱う職業が欠格事由となっています。

 インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制に関する法律施行規則3条等の規則による例もありますので、法律の条文だけをみて素人が判断されては危険です。くわしくは弁護士に相談ください。

 また、信用情報機関に破産情報が登録されます。消費者金融系・信販・クレジット系・銀行系・交流系の4系統があります。

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