岡本法律事務所のブログ

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ホステスの所得区分を一般的な事業所得ではなく給与所得として札幌高裁平成25年判決

 

原審は札幌地裁平成25年6月20日判決 これがないとわかりにくいのでこちらも添付します。

 

法人税担当と所得税担当が国税のなかでも対立していて法人税担当の場合は所得にしたほうが有利になる関係があります。ただ、この事実認定に説得力があるかというと疑問です。

 

最高裁平成26年8月26日 不受理決定で確定しています。

 

 

法人税更正処分等取消請求控訴事件

 

 

【事件番号】 札幌高等裁判所判決

 

【判決日付】 平成25年12月24日

 

【掲載誌】  税務訴訟資料263号順号12362

 

       主   文

 

  1 本件控訴を棄却する。

  2 訴訟費用は控訴人の負担とする。

 

        事実及び理由

 

 第1 控訴の趣旨

  1 原判決中、控訴人の請求を棄却する部分を取り消す。

  2 処分行政庁が控訴人に対して平成21年4月21日付けでした以下の各処分をいずれも取り消す。

   (1) 控訴人の平成15年3月1日から平成16年2月29日まで、平成17年3月1日から平成18年2月28日まで、同年3月1日から平成19年2月28日まで、同年3月1日から平成20年2月29日までの各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分

   (2) 控訴人の平成16年3月1日から平成17年2月28日までの事業年度の法人税の更正処分(平成22年4月28日付けでされた減額更正処分後のもの)及び過少申告加算税の賦課決定処分(同日付けでされた変更決定処分後のもの)

   (3) 控訴人の平成17年3月1日から平成18年2月28日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分のうち合計税額124万5500円を超える部分、控訴人の同年3月1日から平成19年2月28日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分のうち合計税額253万1100円を超える部分及び控訴人の同年3月1日から平成20年2月29日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分のうち合計税額162万5100円を超える部分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分

   (4) 平成17年1月から同年6月まで、同年7月から同年12月まで、平成18年7月から同年12月まで、平成19年1月から同年6月まで、同年7月から同年12月まで及び平成20年1月から同年6月までの各期間分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分

  3 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。

 第2 事案の概要

  1 本件事案の概要は、原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、以下のとおり補正する。

   (1) 原判決4頁10行目の「(」の次に「以下」を加える。

   (2) 原判決4頁15行目の末尾に「(以下「事前確定届出給与」という。)」を加える。

   (3) 原判決4頁20行目の末尾に「(以下「利益連動給与」という。)」を加える。

   (4) 原判決4頁22行目の「有価証券報告書(」の次に「以下」を加える。

   (5) 原判決7頁9行目の「第一項」を「第1項」と改める。

   (6) 原判決7頁11行目の「所得税法21条」を「所得税法21条1号」と改める。

   (7) 原判決8頁1行目の「適正化」を「適正化等」と改める。

   (8) 原判決10頁18行目の「各期間」の次に「(以下「本件各期間」という。)」を加える。

   (9) 原判決13頁15行目の「旧法人税法57条1項」を「旧法人税法57条1項、同条10項」と改める。

   (10) 原判決13頁17行目の「法人」を「内国法人」と改める。

   (11) 原判決19頁6行目から7行目にかけての「原告の平成20年2月期に係る法人税の確定申告書」を「平成20年2月期法人税確定申告書」と改める。

   (12) 原判決19頁10行目及び23行目の各「各事業年度」をそれぞれ「本件各事業年度」と改める。

   (13) 原判決21頁15行目の「店舗リース契約に係るリース料」を「本件リース契約に基づくリース料」と改める。

   (14) 原判決26頁16行目の「俸給、」から17行目の「という。)」までを「給与等」と改める。

   (15) 原判決26頁21行目の「同法216条」を「平成24年法律第16号による改正前の同法216条」と改める。

   (16) 原判決27頁2行目の「平成17年1月」から5行目の「という。)」までを「本件各期間」と改める。

   (17) 原判決28頁1行目から2行目にかけて、29頁20行目から21行目にかけての各「平成16年2月期ないし平成20年2月期」をそれぞれ「本件各事業年度」と改める。

   (18) 原判決30頁10行目から11行目にかけて、31頁16行目から17行目にかけての各「平成18年2月課税期間ないし平成20年2月課税期間」をそれぞれ「本件各課税期間」と改める。

   (19) 原判決34頁26行目の「取消」を「取消し」と改める。

   (20) 原判決38頁24行目の「意志」を「意思」と改める。

  2 なお、原審は、本件消費税等更正処分のうち確定申告による合計税額を超えない税額部分の取消しを求める訴えを却下し、その余の請求をいずれも棄却したが、控訴人は訴え却下部分について控訴をしなかったため、当該部分に関する争点である本案前の争点は当審における審理の対象とはならない。

 第3 当裁判所の判断

  1 当裁判所も、本件各金員が乙の代表取締役としての職務執行の対価(給与又は賞与)であり、控訴人が本件契約書を消費税法30条7項所定の態様では保存していなかったと認められるから、本件各更正処分等は適法であったと判断する。その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」2項及び3項に各記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、以下のとおり補正する。

   (1) 原判決45頁8行目の「甲6」を「甲6の2、原審における控訴人代表者7頁」と改める。

   (2) 原判決49頁18行目の末尾に以下のとおり加える。

    「なお、平成17年2月期に限ってみれば、同年2月を除いて、おおむね毎月15日前後に、125万2020円から174万5000円の範囲の金員が規則的に支給されているが、本件クラブの店舗全体の売上げの5パーセント程度との当初定められた目安に基づくものであることに変わりはないのであるから、これらの事業年度を通じて賞与かどうか判断すべきであり、たまたま平成17年2月期には規則的に支給される結果になっているからといって、当該年度に限って損金算入の対象となる役員報酬であると認めることはできない。」

   (3) 原判決53頁3行目の「証人丙」を「原審における証人丙27ないし29頁」と改める。

   (4) 原判決54頁8行目から9行目にかけての「丁上席調査官」を「丁」と改める。

  2 控訴人は、乙は本件クラブでホステスとして稼働していたのであるから、ホステスとしての稼働部分についてまで乙の代表取締役としての職務執行の対価とみるのは相当ではない、消費税法30条7項所定の「保存しない場合」とは現実に帳簿等を保存しない場合と解すべきであるし、そのように解されないのであっても、丙は平成20年10月3日に札幌中税務署で丁に対して本件契約書を提示しているなどとるる主張するが、前記のとおり補正を加えた前記引用に係る原判決の認定判断は正当であり、控訴人の上記主張は採用することができない。

 第4 結論

   以上によれば、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。

     札幌高等裁判所第3民事部

         裁判長裁判官  岡本 岳

            裁判官  近藤幸康

            裁判官  石川真紀子

大学病院無給医問題はけっこうなパンドラの匣(はこ)ではないか
     弁護士 岡本 哲
無給医師の大学病院に対する損害賠償請求の時効
 最低基準レベルの賃金とそれに対する遅延損害金は認められるべきであろう。賃金水準については判例の集積あるいは立法による解決がのぞましい。
 賃金については労働法上は時効2年というのがあるが、これが形式的に適用されるべきであろうか。不法行為で継続的関係がある場合と準じて考えるべきであろう※。
過払時効基準からすると医師としての門閥関係をぬけるまで無給関係の精算請求をなしえない圧迫状況にあるので、医師をやめてからはじめて時効がはじまるという構成が妥当と思われる。となると場合によっては50年程度までさかのぼることも考えられる。

※最高裁は残業代割増賃金については平成30年6月判決だと不法行為構成を残業代未払について認めている。

大学病院で税金を納めている場合は膨大な訴訟引当金を充てる必要があり、黒字のところでもほとんど赤字になるのではなかろうか。

また、関係者には労働基準法違反による刑事罰・行政罰及び民事上の責任が考えられる。
院長・もと院長が叙勲をうけている場合ははく奪されるべきであろう。

読売新聞 2019/07/05 05:00
 診療に携わりながら、働きに見合う給与を支給されない。不適切な「無給医」の慣行を改める必要がある。
 文部科学省が全国108の大学病院を調査したところ、2191人の無給医が確認された。大学教員らを除いた約3万人の勤務医の約7%に当たる。
 「精査中」と回答した大学病院もあり、最終的な無給医の人数はさらに増える可能性がある。
以下略

扶養義務・扶養手当・扶養控除 もとは2017年11月の記事です。

                            弁護士 岡本 哲

1 扶養義務とはなにか
 扶養は、老幼、心身の障害、疾病、貧困、失業などの理由により自己の労働が困難でかつ資産が十分でないために独立して生計を営めない者(要扶助者)の生活を他者が援助することである。日本民法では725条により6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族が親族とされ、直系血族・兄弟姉妹、特別な場合に3親等内の親族は扶養義務を負うことになっている(8771項)。親等の計算は戸籍を基準としておこなわれる。
 社会保障の普及で一般の扶養義務自体を問題にすることは少なくなっており、親子・夫婦といった2親等の婚姻費用分担・離婚給付や離縁給付などの問題が法律家の手掛ける扶養問題のほとんどである。
 このほかに戸籍や住民票に反映されない事実婚・内縁やLGBTの問題や渉外的扶養関係の問題もあつかうことがある。
 

2 扶養手当
 家族手当がある会社は多い。これは男性中心・終身雇用を前提としていた昭和40年代からの就業規則がそのまま受け継がれているような場合もあり、男女共同参画の時代にあってないことがままある。夫婦共働きで別会社に勤務し、双方家族手当をもらっているが、片方の収入が明らかに多い場合に双方が家族手当ありというのはなんとなくおかしいと読者も感じることだろう。扶養の定義や家族手当の性質上、同居とかも要求されていることもあり、就業規則の解釈としては実際に扶養していることが必要と解されることも多い。
 夫婦間で双方扶養手当をとっていることがわかれば、収入の少ない側は会社に対して詐欺罪(刑法246条)を働いたことになるように思われる。
 男性側が妻の扶養に入っているというのを会社に報告する、というのは、むかし風の男性、現在40歳代以上だと抵抗があるようである。

 

 手当の不正受給での懲戒事例としては 神戸地方裁判所平成251217日判決 労働判例111314頁 があるが不祥事の累計で公務員が分限免職処分を受け取消請求が棄却された事例である。住居手当と扶養手当だとそうそう金額も変わらないと思われるので一応の参考になる。
 原告は、被告の交通部運輸課にバス運転手として採用されたが、不正に住居手当及び通勤手当を受給したことで、停職6月の懲戒処分を受け、更に、共済組合から虚偽申告をして融資を受けたことなどで分限免職処分を受けたのを無効として処分の取消しを求めた。裁判所は、原告が、通勤・住居届兼認定書の提出を怠ったこと、本件過支給につき、住居変更手続きを行わず、故意に借家に係る手当を受けたこと、共済からの借入れにつき、債務額を過少申告し、別異の使途に流用したことを認定し、動機、態様、結果悪質かつ重大で公務員としての倫理観、規範意識に重大な欠陥があり、勤務態度等も職務遂行の適格性を欠くとし、本件各処分を適法として請求を棄却した。

3 扶養控除
 所得税における扶養控除は家族を扶養しているときに一人あたり約年38万円の控除を受けられるものである。扶養家族が一人ふえると平均的なサラリーマンでは年8万円程度税金が安くなる。
 扶養が家庭裁判所で問題になるのが夫婦・親子間がほとんどのためか、世間的には扶養控除は、同居あるいはかつて同居していた夫婦や子が未成年の親子の間だけとおもわれているようである。
 実際の扶養控除は生計を一にしている6親等内の血族・3親等内の姻族であればよい。同居要件はない。年齢制限もない。同居したことのない、ニートのおいの子供やめいの子供でも扶養していれば通用する。生計を一にしているとしても内容はあいまいである。お年玉をあげていれば扶養に入るかもしれない。

50代サラリーマンが年金暮らしの両親に月々5万円おくっている場合に両親を扶養に入れるのはどうか。老人ホームの保証人になっているが、毎月の仕送りはまだはじまっていない場合はどうか。
 LGBで親族関係が戸籍や住民票に反映されていない場合はどうか。
 渉外的家族関係で親族関係が戸籍や住民票に反映されていない場合はどうか。

201788日に調査した範囲内では判例は存在しなかった。ケースとしては灰色ということになる。控除が現段階で通っていても否認される恐れは残ることになる。

4 扶養手当と扶養控除
 労働者が実際に金銭出費をしていない扶養家族について扶養手当を請求するのは、雇用している会社等に対して詐欺罪ではないかという問題はすでに指摘した。
 では扶養手当と扶養控除の要件に差があっても、扶養控除をして節税したい場合に労働者はどうすればよいのか。
 これは扶養手当を申告せず、扶養控除だけを申告すればいい。具体的には給与所得者の扶養控除等異動申告書を出せばいい。これをちゃんとやっているのはある程度給与実務にくわしい人である。

 

5 ちょっといやなこと
 離婚した夫婦の子供の養育費支払い請求事件だと、法律上は元夫も元妻もありうるが、筆者の所属する事務所の50年以上の事件でも、ほとんどの場合が養育費支払い義務のあるのは、元夫である。
 元夫がサラリーマンだと給与明細が家庭裁判所にでてくる。明細をみると、養育費の支払いをおこたっているのに扶養手当・扶養控除はちゃんとしていることがある、手当や控除の目的とは異なる給与のつかいかたをしているわけであり、人間のいやなところをみた感じになってしまう。

[国際関係法(私法系)]

〔第1問〕(配点:50)

共に日本に住所を有する夫婦AとBは,同じく日本に住所を有するCの非嫡出子D(満5歳)を養子に迎えたいと考えている。Cも,それを承諾している。国際裁判管轄権については日本にあるものとして,下記の設問に答えよ。

〔設問1〕

AとBが共に甲国籍を,Dが日本国籍をそれぞれ有する場合,AとBは,Dとの養子縁組を日本において有効に行うことができるか。甲国民法が以下に記すような決定型養子縁組制度のみを定め,ここでは反致は成立しないものとして,準拠法に留意しつつ論じなさい。

【甲国民法】

養子縁組をするには,家事裁判所の決定によらなければならない。

養子と実方の父母及びその血族との親族関係は,養子縁組によって終了する。

〔設問2〕

AとDが日本国籍を,Bが甲国籍をそれぞれ有し,かつAとBは,Dとの養子縁組に当たり,CとDの親子関係を維持したいと考えている。AとBは,日本においてこのような養子縁組をDとの間で行うことができるか。上記の甲国民法に加えて,甲国国際私法が,養子縁組について,以下に記すようないわゆる管轄権的アプローチ(管轄権的構成)を定めているものとして,準拠法に留意しつつ論じなさい。

【甲国国際私法】

裁判所は,養親となるべき者の住所が国内にある場合は,その養子縁組決定の国際裁判管轄権を有する。

養子縁組の決定は,法廷地法による。

〔設問3〕

AとBが共に日本国籍を,Dが乙国籍をそれぞれ有し,AとBには,この養子縁組に反対している実子E(満15歳)がおり,さらには,乙国法が以下に記すような契約型養子縁組制度のみを定めているものとして,下記の小問に答えなさい。

【乙国国際私法】

裁判所は,乙国国際私法の規定によって指定された国の実質法のみを適用する。

養子縁組は,養親となるべき者の本国法による。

【乙国民法】

養子縁組は,合意した文書を届け出ることによって,その効力を生ずる。

養子となるべき者が満10歳未満の場合は,その実親が,養子に代わって養子縁組の承諾をすることができる。

養親となるべき者に満10歳以上の子がいる場合,養子縁組をするには,その子の同意を得なければならない。

〔小問1〕

この養子縁組には,いずれの国の法が適用されるか。

〔小問2〕

法の適用に関する通則法(平成18年法律第78号)第31条第1項後段に定める要件について乙国法が適用されるとして,AとBは,この養子縁組を日本において有効に行うことができるか。

 

 

〔第2問〕(配点:50)

X男は甲国に常居所を有する甲国人詩人であり,Y女は日本に常居所を有する日本人である。Xの弟A男は日本に居住しており,Yは過去にAと交際していた。

Yは,日本において日本語の小説(以下「被告小説」という。)を執筆し,日本のインターネットコンテンツプロバイダーC社の運営しているブログにこれを公表した。被告小説は,いわゆるモデル小説であり,AやXをモデルとしている(Xがモデルであることには当事者間に争いがない。)。被告小説中には,Xが甲国において出版した詩集に掲載されている詩(以下「本件詩」という。)の日本語訳が無断で掲載されているほか,Xに窃盗癖があるとの記述や,Xが精神疾患を患っていたとの記述もあった。

Xは,Cに対して被告小説の削除依頼をし,それは削除された。しかし,被告小説は,削除されるまでの間,甲国及び日本において,Xの知人たちを含む多数の人々に閲覧されていた。Xは,Yに損害賠償を求めて交渉したが,Yはこれに応じない。

下記の〔設問1〕〔設問2〕は,それぞれ,この事件がこの後異なった経過をたどったことを前提とする独立の問題である。

〔設問1〕

Xは,Yに対して以下のような訴えを日本の裁判所に提起した。

上記の窃盗癖の記述がXの名誉を毀損すると主張して慰謝料を請求した。

上記の精神疾患の記述がXのプライバシー権を侵害すると主張して慰謝料を請求した。

本件詩の翻訳の掲載がXの有していた本件詩に関する日本における著作権及び甲国における著作権(具体的には,著作権に含まれる支分権の1つである翻訳権)を侵害すると主張して,損害賠償を請求した。

上記の各請求について判断するに当たり適用すべき準拠法の決定について論じなさい。国際裁判管轄権について論じる必要はない。なお,甲国は,文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約パリ改正条約(昭和50年条約第4号)の同盟国である。

(参照条文)文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約パリ改正条約(昭和50年条約第4

号)(抜粋)

第5条〔保護の原則〕

著作者は,この条約によつて保護される著作物に関し,その著作物の本国以外の同盟国において,その国の法令が自国民に現在与えており又は将来与えることがある権利及びこの条約が特に与える権利を享有する。

⑴の権利の享有及び行使には,いかなる方式の履行をも要しない。その享有及び行使は,著作物の本国における保護の存在にかかわらない。したがつて,保護の範囲及び著作者の権利を保全するため著作者に保障される救済の方法は,この条約の規定によるほか,専ら,保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。

著作物の本国における保護は,その国の法令の定めるところによる。もつとも,この条約によつて保護される著作物の著作者がその著作物の本国の国民でない場合にも,その著作者は,その著作物の本国において内国著作者と同一の権利を享有する。

(以下略)

〔設問2〕

Xは,Yに対し,被告小説中のXの窃盗癖に関する記述がXの名誉を毀損すると主張して,甲国の裁判所に不法行為に基づく慰謝料を請求する訴えを提起した。

Yは,これに応訴しないでいたところ,甲国裁判所は甲国法を準拠法として,X勝訴の判決(以下「本件外国判決」という。)を言い渡し,本件外国判決は確定した。

しかし,Yは甲国には財産を有していなかったので,Xは,日本の裁判所に本件外国判決に基づく執行判決を求める訴えを提起した。

本件外国判決が日本における執行判決に係る他の要件を全て満たしているとして,次の各小問に答えなさい。次の各小問は,いずれも独立した別個の問題である。

〔小問1〕

本件外国判決は,下記の甲国民法P条を適用し,慰謝料に加えてその3倍程度の金額の懲罰的損害賠償請求も認容したものであった。

そこで,Xは,日本の裁判所において,本件外国判決に基づき,慰謝料及び懲罰的損害賠償の双方について執行判決を求めている。

Xの執行判決請求は認められるか。

なお,甲国法上,懲罰的損害賠償を得た者には,その一部を国,州その他の公的団体に納める義務はなく,その使途にも制限はない。

【甲国民法】

P条 契約から生じる義務以外の義務への違反に基づく訴訟においては,明白かつ確信を抱くに足る証拠によって,被告が抑圧,詐欺又は害意ある行為を犯したことが証明された場合には,原告は,現実の損害に加えて,見せしめのため被告に懲罰を科すための損害賠償を請求することができる。

〔小問2〕

本件外国判決に係る訴訟の訴状及び期日呼出状は,甲国法に従い,いずれもXの代理人弁護士からYに対し,日本語への翻訳文を添付し,訴訟に対応できる時間的余裕をもって,国際書留郵便によって直接郵送されていた。

Xの執行判決請求は認められるか。

 

解雇ってなに 労働法の基礎知識

質問

 労働法上の解雇にはどのような種類があるのでしょうか。

回答

 解雇は普通解雇と懲戒解雇に分かれ、普通解雇には能力不足による解雇、適格性欠如による解雇、規律違反による解雇、整理解雇、その他の解雇に分かれます。

 懲戒解雇とは、労働者に非違行為があるときに懲戒処分として使用者が労働契約を終了する行為です。

 普通解雇は懲戒処分としての性格をもたないものです。

 解雇には解雇事由が必要であり、解雇事由とは、終業規則の労働契約に記載された解雇の理由です。2013年改正の労働基準法18の2は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」と規定しています。現在は労働契約法16条にひきつがれています。

岡山市 岡本法律事務所 所長 弁護士 岡本哲

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