岡本法律事務所のブログ

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カテゴリ:憲法 > 特別刑法

吉田豊裁判長不当判決 法人税法違反の逋脱税額と青色申告取消 最高裁昭和49年判決

法人税法違反被告事件
租税判例百選 第5版 122事件 第7版 125事件

 

 現在の感覚からすると故意の認定がラフすぎるように思われます。

 

【事件番号】 最高裁判所第2小法廷判決/昭和47年(あ)第1344号

【判決日付】 昭和49年9月20日

【判示事項】 青色申告納税者の逋脱行為と逋脱税額の算定

【判決要旨】 青色申告の承認を受けた法人の代表者がある事業年度において法人税を免れるため逋脱行為をし、その後その事業年度にさかのぼってその承認を取り消された場合におけるその事業年度の逋脱税額は、青色申告の承認がないものとして計算した法人税法74条1項2号に規定する法人税額から申告にかかる法人税額を差引いた額である。

 

【参照条文】 法人税法127

       法人税法159

【掲載誌】  最高裁判所刑事判例集28巻6号291頁

       最高裁判所裁判集刑事193号315頁

       裁判所時報650号3頁

       判例タイムズ315号154頁

       判例時報759号3頁

       税務訴訟資料107号177頁

【評釈論文】 シュトイエル154号1頁

       ジュリスト臨時増刊590号146頁

       ジュリスト596号172頁

       別冊ジュリスト79号232頁

       別冊ジュリスト120号216頁

       税73巻8号146頁

       税法学298号25頁

       税務事例7巻5号20頁

       税理18巻8号127頁

       時の法令875号53頁

       判例評論195号13頁

       法曹時報28巻1号127頁

       法と民主主義98号32頁

       法律のひろば27巻12号49頁

 

       主   文

 

  原判決を破棄する。

  本件を東京高等裁判所に差し戻す。

 

        理   由

 

  検察官の上告趣意のうち、判例違反をいう点について。

  所論は、原判決は、法人税法一五九条の逋脱犯の逋脱税額算定に関する限り、法人が確定申告をするにあたつて青色申告の承認に基づいてした価格変動準備金などの損金算入は、事後の青色申告の承認の取消によつて左右されるものではないと判示しているが、この判断は高等裁判所判例(東京高裁昭和三八年(う)第二九五八号同三九年三月二六日判決、東京高裁昭和四一年(う)第一〇五四号同四四年一月二一日判決、東京高裁昭和四一年(う)第一〇九号同四五年二月二五日判決・高刑集二三巻一号一八二頁、東京高裁昭和四五年(う)第一一三三号同四六年一二月二二日判決)に違反するというのである。

  原判決がしている所論の趣旨の判断は所論引用の各高等裁判所判例と相反しており、かつ、最高裁判所の判例がない場合であるから、所論は、刑訴法四〇五条三号にあたる。

  おもうに青色申告承認の制度は、納税者が自ら所得金額及び税額を計算し自主的に申告して納税する申告納税制度のもとにおいて、適正課税を実現するために不可欠な帳簿の正確な記帳を推進する目的で設けられたものであつて、適式に帳簿書類を備え付けてこれに取引を忠実に記載し、かつ、これを保存する納税者に対して特別の青色申告書による申告を承認し、青色申告書を提出した納税者に対しては、推計課税を認めないなどの納税手続上の特典及び各種準備金、繰越欠損金の損金算入などの所得計算上の特典を与えるものである。ところで、被告人Aが被告会社Bの業務に関してなしたように、法人の代表者が、その法人の法人税を免れる目的で、現金売上の一部除外、簿外預金の蓄積、簿外利息の取得及び棚卸除外などによりその帳簿書類に取引の一部を隠ぺいし又は仮装して記載するなどして、所得を過少に申告する捕脱行為は、青色申告承認の制度とは根本的に相容れないものであるから、ある事業年度の法人税額について逋脱行為をする以上、当該事業年度の確定申告にあたり右承認を受けたものとしての税法上の特典を享受する余地はないのであり、しかも捕脱行為の結果として後に青色申告の承認を取り消されるであろうことは行為時において当然認識できることなのである。したがつて、青色申告の承認を受けた法人の代表者がある事業年度において法人税を免れるため逋脱行為をし、その後その事業年度にさかのぼつてその承認を取り消された場合におけるその事業年度の逋脱税額は、青色申告の承認がないものとして計算した法人税法七四条一項二号に規定する法人税額から申告にかかる法人税額を差し引いた額であると解すべきである。

  そうすると、所論引用の各判例のこの点に関する結論は正当であり、論旨は理由があり、これと相反する判断をした原判決は、その余の論旨に対する判断をするまでもなく、破棄を免れないというべきである。

  よつて、刑訴法四〇五条三号、四一〇条一項本文、四一三条本文により、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

  検察官外村隆 公判出席

   昭和四九年九月二〇日

     最高裁判所第二小法廷

         裁判長裁判官  吉田 豊

            裁判官  岡原昌男

            裁判官  小川信雄

            裁判官  大塚喜一郎

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売春等取締条例違反被告事件

 

【事件番号】       最高裁判所大法廷判決/昭和29年(あ)第267号

【判決日付】       昭和33年10月15日

【判示事項】       地方公共団体が制定する売春取締に関する条例の合憲性

【判決要旨】       地方公共団体が売春の取締について各別に条例を制定する結果、その取扱に差別を生ずることがあつても、憲法第14条に違反しない。(補足意見がある。)

【参照条文】       憲法14

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集12巻14号3305頁

             最高裁判所裁判集刑事128号285頁

             裁判所時報266号133頁

             刑事裁判資料229号200頁

【評釈論文】       警察研究32巻10号137頁

             ジュリスト276の2号28頁

             別冊ジュリスト21号26頁

             別冊ジュリスト44号32頁

             別冊ジュリスト68号42頁

             別冊ジュリスト95号58頁

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 

       理   由

 

 弁護人別府祐六の上告趣意について。

 社会生活の法的規律は通常、全国にわたり劃一的な効力をもつ法律によつてなされているけれども、中には各地方の特殊性に応じその実情に即して規律するためにこれを各地方公共団体の自治に委ねる方が一層合目的的なものもあり、またときにはいずれの方法によつて規律しても差支えないものもある。これすなわち憲法九四条が、地方公共団体は「法律の範囲内で条例を制定することができる」と定めている所以である。地方自治法は、憲法のこの規定に基き、普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、その事務に関し、条例を制定することができる旨を規定し(同法一四条一項)、その事務として、「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること」(同法二条三項一号)や「風俗又は清潔を汚す行為の制限その他の保健衛生、風俗のじゅん化に関する事項を処理すること」(同条同項七号)等を例示している。そして条例中には、法令に特別の定があるものを除く外、「条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、十万円以下の罰金、拘留、科料又は没収の刑を科する旨の規定を設けることができる」(同法一四条五項)としているのである。本件東京都売春等取締条例は前記憲法九四条並に地方自治法の諸条規に基いて制定されたものである。(同条例は、昭和三一年法律一一八号売春防止法附則四項、一項但書により昭和三三年四月一日効力を失つたが、同法附則五項により、その失効前にした違反行為の処罰については、その失効後も、なお従前の規定によることとなつている)。

 論旨(一及び二の後段)は、売春取締に関する罰則を条例で定めては、地域によつて取扱に差別を生ずるが故に、憲法の掲げる平等の原則に反するとの趣旨を主張するものと解される。しかし憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上、地域によつて差別を生ずることは当然に予期されることであるから、かかる差別は憲法みずから容認するところであると解すべきである。それ故、地方公共団体が売春の取締について各別に条例を制定する結果、その取扱に差別を生ずることがあつても、所論のように地域差の故をもつて違憲ということはできない。論旨は理由がない。

 その余の論旨(二の前段)は単なる訴訟法違反ないし事実誤認の主張に帰し、適法な上告理由とならない。(原判決の維持した第一審判決摘示の各事実は同判決の挙示する各証拠によつて認めることができる)。

 なお記録を調べてみても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

 よつて同四〇八条により裁判官下飯坂潤夫、同奥野健一の補足意見があるほか裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

 裁判官下飯坂潤夫、同奥野健一の補足意見は次のとおりである。

 論旨一及び二の後段について、多数意見は「しかし憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上、地域によつて差別を生ずることは当然に予期されることであるから、かかる差別は憲法みずから容認するところであると解すべきである。それ故、地方公共団体が売春の取締について各別に条例を制定する結果、その取扱に差別を生ずることがあつても、所論のように地域差の故をもつて違憲ということはできない。」と判示している。

 しかし、憲法九四条は「地方公共団体は……法律の範囲内で条例を制定することができる」と規定し、条例制定権は、法律の範囲内で許されることを規定している以上、法律の上位にある憲法の諸原則の支配をも受けるものと解すべきことは当然であつて、各公共団体の制定した条例も、憲法一四条の「法の下に平等の原則」に違反することは許されないものと解する。すなわち、憲法が自ら公共団体に条例制定権を認めているからといつて、その各条例相互の内容の差異が、憲法一四条の原則を破るような結果を生じたときは、やはり違憲問題を生ずるものというべきであつて、例えば、同種の行為について一地域では外国人のみを処罰したり、他の地域では外国人のみにつき処罰を免除するが如き各条例は、特段の合理的根拠のない限り、憲法一四条に反することになろう。これを要するに、憲法が各地方公共団体に、条例制定権を認めているからといつて、当然に、各条例相互間に憲法一四条の原則を破る結果を生ずることまでも、憲法が是認しているものと解すべきではなく、各条例が各地域の特殊な地方の実情その他の合理的根拠に基いて制定され、その結果生じた各条例相互間の差異が、合理的なものとして是認せられて始めて、合憲と判断すべきものと考える。多数意見が「憲法が各地方公共団体に条例制定権を認める以上、地域によつて差別を生ずることは当然予期されることであるから、かかる差別は憲法みずから容認するところである」として、無条件に地域的差別取扱を合憲とする趣旨であるとするならば、私どもの遽に賛同し得ないところである。また、弁護人主張の如く売春取締に関する法制は、必ず法律によつて全国一律に、統一的に規律しなければ憲法一四条に反するとする所論も採るを得ない。すなわち、全国的に統一した法律の制定されていない時期においては、各地方公共団体が憲法九四条、地方自治法に基き各公共団体が売春取締に関する条例を制定すること自体は、何ら違憲ということはできない。(ただ、各地方公共団体の制定した条例相互の内容の差異が、憲法一四条に反する結果を生じたとき始めて違憲の問題が生ずるに過ぎないのであつて、上告人は地域について具体的に差異の生じたことについて何ら主張がないのである)

  昭和三三年一〇月一五日

     最高裁判所大法廷

         裁判長裁判官    田   中   耕 太 郎

            裁判官    小   谷   勝   重

            裁判官    島           保

            裁判官    藤   田   八   郎

            裁判官    河   村   又   介

            裁判官    垂   水   克   己

            裁判官    河   村   大   助

            裁判官    下 飯 坂   潤   夫

 裁判官 奥野健一裁判官入江俊郎は海外出張のため署名押印することができない。

         裁判長裁判官    田   中   耕 太 郎

 

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